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瀬戸内の小さな蟲使い

瀬戸内の小さな蟲使い

桃尻犬

OFF OFFシアター(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い!
究極の状況下、人の本音と他人のコトが気になる、その面白可笑しい会話劇。よくよく考えたら物凄く怖いのに、何故だかニヤニヤ笑ってしまう不謹慎さ。現実は、他人の不幸は蜜の味 どころではない 玉の汗だろう。おぉ、これが「見た人もストレスが発散できるお芝居」という謳い文句か。
シンプルな舞台装置だが、状況設定を端的に表しており見事。

役者の演技というか、表情の変化が情況を如実に表している。冒頭の二人芝居…刻々と変わる心境、いつの間にか他人が絡み…興味本位の詮索と遠慮ない言葉(意見)が何とも辛口。絶妙な会話のセンスとテンポが物語の肝。

ラスト、少し時間軸をズラして表出した「蟲使い」、何とも言えないシュールさ。その無言の光景は滑稽であるが、同時に不気味で怖い。
(上演時間1時間25分)

ネタバレBOX

ボックスを連結し、それを縦組みすることでフリーフォールを表す。男女2人が夫々そこに腰かけているが、地上50㍍のところで止まって5時間が経過する。兵庫県にあるあまり有名ではない遊園地、身動きが取れず恐怖と苛立ちがピークに…。簡易な舞台装置ながら、そのリアルな状況が目に浮かぶ。

東京で同棲していた道夫(鈴鹿通儀サン)と宮崎(片桐美穂サン)、道夫は「蟲使い」の跡を継ぐため地元の兵庫県へ帰るが、宮崎にも一緒に行って欲しいという。喜ぶ宮崎だが、実は「結婚はしない」と明言される。同棲⇒一緒に行って欲しい⇒結婚というパターンを想定していたが、何となく裏切られた気持が 今の状況を一層険悪にさせている。
途中から登場する関西弁で喋る中年?女性2人ーまゆ(橋爪未萠里サン)咲(中尾ちひろサン)、同じような状況下にある。することもなく暇つぶしに2人の会話に勝手に入ってくる。2人だけの世界から第三者という世間が闖入してくる面白さ、同時に関西弁という特徴を活かした鬱陶しい存在を介在させることで 感情的な話が苦笑 婉曲へ、この会話の展開が実に巧い。因みに地上でオロオロする作業員・山本(伊与勢我無サン)との空中・地上という目線合わせも巧み。ここまでが第1部「フリーフォール編」。

場面が変わり、「第二部 虫偏」…遊園地の機械作業員・花房ともき(野田慈伸サン)とフリーフォール編に登場した最後の1人ーマエダ(てっぺい右利き サン)が小人化した。タバコ箱や五百円硬貨を用い如何に小さいか表す。これは「蟲使い」の呪術か幻覚・幻想か、奇妙な世界観へ誘われる。そして遊園地の出来事から3年が経ち、宮崎は結婚し 道夫は相変わらず煮え切らない。現実と夢想といった相容れない世界観…そして道夫の傍に蟲の形をしたマエダの姿。

公演の魅力はフリーフォールの停止事故、無さそうで有り得る設定を巧く使い、人の本性を巧みに描き出す。同時に「蟲使い」という怪しげな言葉と職業が不穏さを表す。ブラックな笑いを入れつつ、話がどう絡み合い 物語が展開していくのか関心と興味を惹く。勿論 役者の面白キャラが物語の芯をしっかり支えており、演劇という異世界をたっぷりと味わわせてくれた。
次回公演も楽しみにしております。
瀬戸内の小さな蟲使い

瀬戸内の小さな蟲使い

桃尻犬

OFF OFFシアター(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても面白かったです。すごく好きな作品です。

瀬戸内の小さな蟲使い

瀬戸内の小さな蟲使い

桃尻犬

OFF OFFシアター(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

開演前SEはホールの『ノーバディーズ・ドーター』(多分)、コートニー・ラヴのソロ、『アメリカズ・スウィートハート』。1995年、ホールの新宿リキッドルーム公演を観に行った記憶が甦った。ぎゅうぎゅう詰め酸欠の会場、ドラッグをヤりまくっていた外人女が何人もぶっ倒れていった。暴れる外人男をコートニーがステージに上げてヒールで蹴りを入れていた。

中崎タツヤ作品に通ずる笑いのセンス。これは面白い。「キング・オブ・コント」クラスの出来。笑いにうるさい方は是非一度チェックしておくべき。関西弁のテンポのよさ。

主演の鈴鹿通儀(みちよし)氏、かなりの厚底メガネは役作りか。ゆうめいの『ハートランド』でも強烈なキャラだった。
MVPはその彼女、片桐美穂さん。ドランクドラゴンの塚地を彷彿とさせるデフォルメの効いた顔芸。表情だけで会場がどっかんどっかん沸く。
橋爪未萠里 (いゆり)さんは尼神インターの渚っぽい痛快な喋り。iakuの『あつい胸さわぎ』も見事だった。
中尾ちひろさんは実弾生活アナザーの『クレープ・オリベ』の妹役だった。内面が全く読めない。

何かがズレている伊与勢我無(いよせがむ)氏と主催・野田慈伸(しげのぶ)氏の掛け合いもスウィング。

そして皆が待ちに待ったてっぺい右利き氏が満を持して登場。期待で客席の空気がどよめいた。

キャラ設定、配役、演出が完璧。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

兵庫県の寂れた遊園地のアトラクション、フリーフォールが頂上で停止。海辺の寒風吹きすさぶ中、取り残された乗客達それぞれの会話。東京での同棲生活から実家に帰り、家業の『蟲使い』を継ぐ鈴鹿通儀氏。恋人の片桐美穂さんを帰郷に誘うも「結婚する気はまだない」と告げる。混乱する片桐さん。

第2部は『ガロ』系のテイストで、根本敬や蛭子能収っぽい。海辺の再会が蛇足に感じた。何の説明もなく、絵だけで終わった方が好き。
21 1/2 世紀の少女

21 1/2 世紀の少女

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

cast A初日観劇。
この演目、今回で3度目。
再演を重ねる度、洗練され、分かり易くなってる気がする(3度目だから?)。
お芝居のトーンも少し明る目で、若者らしい青春チックさが増して、観やすかった(前回の少し背徳感のある感じも好きですが…)。
繭役の梶井思初さんは高校生でしょうか?しっかりした演技されてました。
開演前パフォーマンスを含め、ムジナ,文香,ウタカタさん等々、他の皆様も魅力的でした。

舞台「下町のショーガール」

舞台「下町のショーガール」

URAZARU

萬劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

海チーム観劇してきました。
大好きな家族に自分の思いを理解してもらえない悔しさ、無念が胸に突き刺さりました。
互いを思いやる気持ちが空回りする様が時代を行ったり来たりする中で見えてきて、切なくなりました。
演者の皆さんの歌・ダンスが素晴らしくて、アッと言う間の90分でした。

当然の結末

当然の結末

シベリア少女鉄道

俳優座劇場(東京都)

2023/06/17 (土) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

セットを見て、当たりなのかと思ったのだが・・・内輪受けのゲームやら映画やらのネタで訳が分からず・・・かなり苦痛だった♪

21 1/2 世紀の少女

21 1/2 世紀の少女

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/24 (土) 15:00

今回、始めてこちらの劇場で、こちらの団体の作品を観劇しました。

若さの溢れるよい活力がありました。かみかみなこともありましたが、だからなんだ!という勢いがあり(周囲もかんだ役者以上にテンション上げてフォロー?しようとしたり)、物語以上に役者同士に漂う青春を感じました。
劇場のあのスペースであれだけ動けるのは、本当に演出の画とそれに応える練習量があったからだと思います。

よきものをありがとうございました!

ネタバレBOX

・アンドロイドとヒューマノイドの分けたこと。まだ、この時代ではヒューマノイドが圧倒的優勢なのですね。AIチップの働きが、垣根をぼかしていきそうで楽しみでしたが、「感情」の有無とそれに付随する現象?ウイルス?心のあり方?についての言及となり、それだけでしたね。まあ、そこが物語の核なので当然ですが。続きが気になりました。

・アンドロイドの動きの差に違和感。先生役とムジカやバイト。作成順番による進化?
 物語が始まる前の動きの時から、感じてましたが。。。

・服装や靴などがなにやらゴスロリ風なのは、近未来感を出すため?個人的にはかわい~と、思いながら見てました。あと、コルセットすごいな、と。

・銀髪なら9sみたいなのになと思いながら、あの子をみていました。すいません。
舞台「下町のショーガール」

舞台「下町のショーガール」

URAZARU

萬劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

〈空チーム〉

長谷川伸の股旅モノのようにこの手の昭和スター誕生モノも古典として残っていくと思う。松竹の木下惠介、山田洋次ラインの懐かしき喜劇映画の残像。併映向きの見事な小品。戦後の貧乏長屋からSKD(松竹歌劇団)に憧れる鳩の街(赤線地帯=売春区域)の少女達。若き倍賞千恵子の姿がうっすら見えた。
かつて木の実ナナの運転手を務めた手島昭一氏がプロデューサー。木の実ナナのエッセイから創作しているが、かなり脚本家のオリジナルらしい。

木の実ナナ、本名・池田鞠子。作中ではマリーなんて呼ばれている。演ずるは空みれいさん。観月ありさに百田夏菜子を掛け合わせたような圧倒的なスター性。素材はパーフェクト、あとは周囲の才覚と運。小劇場からスーパースターを送り出して欲しい。

心を打たれたのは親友役の大淵心実(おおぶちここみ)さん、13歳!流石の劇団ひまわり、作品の血肉と化す。助演女優賞モノ。

父親役の小磯勝弥氏は長塚圭史っぽい。
母親役の富山智帆さんの痛い台詞。
遊び人の叔父役は小笠原游大(ゆうだい)氏。阿部サダヲっぽい憎めないキャラでこの作品世界の手触りを肉付ける。彼の存在感のリアルさが今作の一つのくさび。
遊女達の艶やかな美しさ。でく田ともみさん、大和田紗希さん、橘芳奈(かんな)さん。
学習院ひろせ氏は独り飛龍革命を披露。ユリオカ超特Qか?
高橋ひろし氏のエスパニョール・キャラも重要。
いじめっ子、相星功生(あいぼしこうき)氏のエピソードも胸を打つ。

退屈させないようにシーン繋ぎを工夫したリズミカルな演出が心地良い。複雑に交差した時間軸も悪くない。
ダンス・シーンがかなりハッピーなので、これぞ木の実ナナっぽい。全ての痛みと苦しみを抱えて笑顔で踊る。
テーマはエンターテインメントの孤独と見えない絆。
現実逃避の夢で現実から逃げられた者と逃げられなかった者。

大屋海さんヴァージョンも気になる。

ネタバレBOX

トランペット奏者のジャズマンだった父親、ダンサーだった母親、共に子供の為に自らの夢を諦めた。
母親の台詞、「輝くんなら私達から遠い所で輝いて!」

ラストの無理矢理ハッピーエンドに違和感。事実に即した方が味わい深いもの。父親とは互いに解り合えない関係だった方が余韻が残る。しっかりしたパッケージ作品だったので、繰り返しに耐えうる古典にするべき。雑な落とし込みが残念。
幸演会

幸演会

オパンポン創造社

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2023/06/15 (木) ~ 2023/06/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

野村さんの自叙伝を表現した作品。
面白かったです。
哀愁漂い過ぎでしょ!
また大阪で公演してください。
凱旋お待ちしております。

nameNamae

nameNamae

0F-ゼロフレーム-

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/06/23 (金) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

難しい内容なので色々な設定が甘いように感じて、
その部分が最後まで気になってしまった。
人間とバケモンとの違いやバケモンの言葉、人間が変わっていく様など…
バケモンと話せる人間役の伊藤さん?の演技は印象的でした。

伝えたいメッセージは感じとれるお芝居だった。

貝殻つなぎ

貝殻つなぎ

劇団25、6時間

吉祥寺シアター(東京都)

2023/06/23 (金) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

透明感のある貝殻でした

ネタバレBOX

人間関係を把握するのが難しかったですが、話が展開していくにつれて、だんだんとわかってきました。舞台の使い方、そして、場面の切り替わりの間合いが絶妙です。軽快に話が進んでいくので、純愛がいっそうひきたったと感じます。
ヴィクトリア

ヴィクトリア

シス・カンパニー

スパイラルホール(東京都)

2023/06/24 (土) ~ 2023/06/30 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

白を基調とした舞台にはベッドといす二つだけ。そこに(やはり白い衣装の)大竹しのぶが、ヴィクトリアという女性の生涯を一筆書きのように描き出す。かわいい女性が運命に翻弄される哀れ。冒頭は43歳からはじまる。43歳に近づこうと頑張ったのか、たしかにいつもにまして大竹が若々しく見える。パーティーでリヒャルト・シュトラウスとあいさつするところから、19世紀末の時代をうかがわせる。もはや結婚生活の破綻した夫との関係、そこに襲い掛かる不幸、…。ヴィクトリアの生涯は「欲望という名の電車」のブランチを思わせるところが多く、大竹の演技の厚みが光る。
1時間10分

ネタバレBOX

最後に出てくる少女、そして大竹にまるで天上からのように響く老婆の声は、大竹自身の物だったのだろうか。少女期と老年とが二重写しになった。
キューちゃんは僕を探さない

キューちゃんは僕を探さない

projecttiyo

元映画館(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

良い舞台だったと思います。

nameNamae

nameNamae

0F-ゼロフレーム-

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2023/06/23 (金) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

満足度★★★★★

女尊男卑傾向のある、現在の進化をお題にしていたと思う
元気アリアリが今までは優先していた感がある劇団だったが、今回は少しシリアス感が見え、成長も感じられた(偉そうにすいません🙏)
ちょっと極端なシチュレーションでもあったが、楽しませていただきました❗
個人的にメガネ👓の女の子(ボブゴリ?名前忘れた…)が旗揚げからおきにです


21 1/2 世紀の少女

21 1/2 世紀の少女

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

アンドロイドがお手伝いさん兼両親の代わりになって、子供を育てていく 人間と人間の繋がりは今以上に気迫になり、人間のパッションやキャラクターもICチップを埋め込まれコントロールされる 
いわゆる道徳観のない世界になることを暗示し、どう対応するのが良いかを客席に投げかけている
良い作品です

貝殻つなぎ

貝殻つなぎ

劇団25、6時間

吉祥寺シアター(東京都)

2023/06/23 (金) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

劇団初見。B班観ました。ラブロマンス・ファンタジーって言っていいのかな。話の途中まで設定を理解するのに難儀しましたが、なかなかに楽しめました。

貝殻つなぎ

貝殻つなぎ

劇団25、6時間

吉祥寺シアター(東京都)

2023/06/23 (金) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

 B班を拝見、華4つ☆

ネタバレBOX

 舞台美術はかなり手の込んだもので、通常の出捌けだけで6か所、様々な場所に高低差のある踊り場が設けられ劇の展開をサポートしている。物語自体は若い男女の純愛物といえようがヒロイン、波依音(はいね)の故郷にある“青い池”に纏わる伝説と彼女の出生の秘密、彼女の恋する爽雨(そう)への恋と波衣音に矢張り恋する爽雨故に時空を超え青い池に幾度となく舞い戻って…
 オープニングから中盤迄は、作家が若いのだろう、爽雨に恋する波衣音以外の乙女たちの恋心を現代日本のちゃらついた口語表現で台詞化している為、自分のような爺世代にはやはり空疎な表現にしか聞こえなかったが、まあ、若い人たちの未来を妄信したがる(と言うより現代日本の現実を直視したら耐えられないから回避している)表現と言った方が正しかろう。
 爽雨に起こった事態は、最初今作の説明を読んだ時にはニーチェの「永劫回帰」に似た体験かと思ったがそれとは異なっていた。然し最初に回帰し、少なくとも2度目まではその違いにも原理的に気付けないからその余りに深い絶望にもっと落ち込むのが当然と思われるが脚本にそこまでは描き込まれていないことも確かである。但し冒頭部分で述べたように、だからこそ宿命としての純愛に迄密度を上げたともとれる。中盤から終盤、ラストへの展開はその純度の高さで観客を引っ張ってゆくだけの力を持っている。
 物理的には特殊相対性理論即ちE=mc²で主張されたことをベースに考えればエネルギーと物質の関係は理解でき、以て今作の特殊な構造についても一定理論的解を得ることができるから興味のある方はこの等式にもチャレンジしてみたまえ。
 ところで、ラストシーンに繋がる場面でも良い演出がある。お楽しみに。
テラヤマ音楽劇★くるみ割り人形

テラヤマ音楽劇★くるみ割り人形

シアターRAKU

駅前劇場(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/25 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

いや、結構面白かった。平均年齢69歳の劇団というふざけた座組。それを観に来る客も年齢層高め。オーバー80割なんてチケットまである。ゴッホゴホ咳込み続ける老人に序盤から熟睡の老人達。気の滅入る客席にうんざりしながらも脚本はよく出来ている。

1816年に発表されたE.T.A.ホフマンの『くるみ割り人形とねずみの王様』を大デュマが『はしばみ割り物語』に翻案。それをマリウス・プティパがバレエ作品として台本化し、1892年チャイコフスキーが曲をつけた。
1978年、実写人形アニメーション映画『くるみ割り人形』をサンリオが製作。寺山修司が書いた脚本を子供向けに直したものが使われた。今作は寺山修司のオリジナルを流山児祥氏が脚色。

元大分放送の女子アナ、原きよさんが主演。美少女のまま老いたような楳図かずお調の可愛らしさ。岡部まりと黒木瞳を足したような美貌。とにかく自然に物語を流れて行く。

高橋牧氏(『時々自動』)の作曲した名曲揃い。
戦争や虐殺死体の古いニュース・フィルムが投影される。坂本龍一の遺した言葉。
今作のテーマは現実に起きている戦争を演劇で止める方法の模索。
先日のキャンドル・ジュン氏の会見で「(キャンドルを灯したからといって、世界の戦争が終わるとは思っていませんが)いつか世界から核兵器をなくして、戦争という争いごとがなくなる日を作る。自分が戦争を終わらせるんだと。」との発言があった。
誇大妄想狂の台詞のようだが、このぐらいの大風呂敷を広げられないと“アート”なんか意味がないのだろう。

「目をつぶると見えて、目を開けると消えてしまうものはなあに?」

ネタバレBOX

物語はクララ(原きよさん)が誕生会前夜、夢を見る。

お菓子の国では15年前、皇帝(二階堂まりさん)が城中の鼠を大量虐殺。生き延びた未亡人鼠マウゼリンクス夫人(村田泉さん)は皇女(永田たみ子さん)に呪いをかける。皇女の口元は醜い鼠の姿に。その後、鼠達が皇女の誕生会用の生クリームを食べてしまったことで、更に激しい弾圧が。その復讐に強力な呪いをかけるマウゼリンクス夫人。醜い鼠の姿で昏睡状態のまま意識が戻らない皇女。医師ドロッセルマイヤー(桐原三枝さん)は親戚の息子・コッペリウス(川本かず子さん)を使ってその呪いを解く。マウゼリンクス夫人は死の間際、コッペリウスに呪いをかけてくるみ割り人形にしてしまう。目を醒ました皇女は醜いくるみ割り人形を嫌い追放。
独りクララは彼の呪いを解く為、旅に出る。あやつり人形にチェスをさせている人形遣い。誰もが思い出を持たない町。誰もが争い憎しみ合っているが、「お菓子屋さん」と三回呼ぶと闘いをやめ、人間の実存に向き合う町。

寺山修司はホフマンの代表作でもある『砂男』を合体させている。
21 1/2 世紀の少女

21 1/2 世紀の少女

アートプロジェクト集団「鞦韆舘」

藝術工場◉カナリヤ条約(大阪府)

2023/06/24 (土) ~ 2023/07/02 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/06/24 (土)

AIは心の病気に罹らない。人間は心に向き合って生きなければならない。そんなことを思ったお芝居でした。
それにしても、主演の女優さんのイッチャている演技はとてもうまかったなあ。今から推しになっておいたほうが良いかもです。

瀬戸内の小さな蟲使い

瀬戸内の小さな蟲使い

桃尻犬

OFF OFFシアター(東京都)

2023/06/21 (水) ~ 2023/06/28 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

まず、設定が面白い!そこから展開する会話劇はシュールで、まさに野田ワールドを存分に堪能できる。
もう、この世界観にどっぷり浸かって、一緒に溺れるように落ちていくのが心地よい。
役者陣も好演。
もっと、もっと公演を増やしてもらいたい、今もっとも期待する劇団である。

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