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江古田駅をミナミへ

江古田駅をミナミへ

劇団二畳

FOYER ekoda(ホワイエ江古田)(東京都)

2023/10/27 (金) ~ 2023/11/03 (金)公演終了

実演鑑賞

迫力ある演技で自分の親の事も思い出し考えさせられた場面が多かったです

未踏

未踏

wonder×works

座・高円寺1(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2023/11/02 (木) 19:00

明治〜昭和の国語の歴史、アイヌ語研究の裏話が満載。日本で暮らすいろんな人間の使う言葉から我々のアイデンティティー形成の歴史を語った傑作。難しいことを話しているのに、笑いを交えて楽しく見ることができました。

ネタバレBOX

金田一家の歴史を知ってるので、お腹の大きな奥さんが「この子は学者だけには絶対になってほしくありません」と語るシーンは爆笑。
エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

おもしろかったです。客席と舞台が至近距離ですごく迫力ありました。伏線回収型の話は面白いなーとあらためて思いました。満足の舞台でした^^

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

バラバラに展開する物語は、ジグソーパズルのピースを組み立てていくような楽しみ、そしてラストに向かって怒涛のように収斂していく。ミステリー サスペンスの謎解きをするような面白さ。それがエゴ・サーチすることによって、自分であって自分ではないという影のような存在を知り 向き合う。そして 主人公 一色健治は、切なくも衝撃的な事実へ辿り着く。現世と来世、現在と過去、そして場所を自在に変化させるため、考えながら観ていると思考が追い付かないかもしれない。

知っているつもりの自分自身、それを ひとたび意識(検索)してみると思いも寄らなかった影の自分が現れる。謎めいた展開へグイグイ惹き込まれる。が、付かず離れずの存在ーー骨なしチキンが今一つ物語(主人公)に絡んでいないような…。今では社会生活に欠かせなくなったインターネット、その功罪として関連付けているのであろうか。何となく コミックリリーフとして表層的な可笑しさを担っただけの印象が強く 勿体ない。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 【βチーム】

ネタバレBOX

舞台美術は、上手が階段状、下手に別スペースを設えたシンプルなもの。物語が展開していくと、それが時間と場所を表していることが分かる。冒頭、小田切美保(池内菜々美サン)が沖縄 離島の小学校で体育の授業(野球)に加わっているところから始まる。なぜ彼女が沖縄にいるのかが物語を動かす切っ掛けになっている。が、同時にその地でキジムナー(村上悠太サン)に出会ったことで彼女の人生は動かなくなる。

エゴ・サーチ…説明では「自分の名前でインターネットで検索すること」とあるが、真の自分が誰なのか知らなければ意味がない。物語は、主人公の新人小説家 一色健治(関根翔太サン)が新たな小説が書けなく苦悩し、彼を励ます編集者といった普通の光景。
一方、IT会社(田中実と桐谷舞)へ、<骨なしチキン>という流しの歌い手が 自分を売り出してほしいと依頼に来る。そしてIT戦略を…といった繋がりを見せる。
健治が自分をエゴ・サーチしたことから、同姓同名の人物が自分に成り代わって といった事を見つける。
この2つの話が交錯し、健治の前職と美保との関係、そして健治に近づく謎の男 広瀬隆生(藤代海サン)の正体が明らかになる。

物語の肝は、インターネットという功罪を描くと同時に人と人の繋がりと想いを綴る。健治・美保、そして隆生はIT会社の同僚で、それぞれに好意というか愛を育んでいた。そして或る時、事故が…。健治は記憶喪失、美保はギジムナーに会って ということから容易に想像がつく。現世と来世、現在と過去というバラバラのピースが合わさった時の衝撃、そして感動が生まれる。
また、インターネット(エゴ・サーチ)を利用して、自分を取り戻し、一方 IT会社の舞はリベンジポルノに苦しめられ といった功罪を浮き彫りにする。

階段の上り下り、客席通路を使用した演出は躍動感が生まれ、テンポ良く観せる。歌やダンスといった飽きさせない演出にも好感がもてる。
次回公演も楽しみにしております。
吉良屋敷

吉良屋敷

遊戯空間

シアターX(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白い、お薦め。
日本三大仇討の一つである忠臣蔵を 敵役である吉良家の視点でとらえた野心作、と思っていたが現代に警鐘を鳴らすような秀作。当日パンフに美術・上演台本・演出の篠本賢一氏が「江戸幕府百年、当時は、物価の高騰、生類憐みの令によるしめつけで庶民の鬱憤はたまっていた」と、そして劇中で 自分(吉良上野介)が討たれることが鬱憤晴らしになると いった旨の台詞がある。失政を別の関心へ逸らし、町民はそれに乗っていたずらに風評を流してしまう。それは 現代においても同様で、視点を変えれば価値観が180度変わるかもしれない。例えば、インターネットで真偽があやふやな情報が拡散され、それによって選択や判断が大きく変(影響)わる。江戸 元禄時代と違って情報過多の中で真を見極めることの難しさ。

篠本氏は故観世榮夫の下で能を学んでおり、本公演は随所にその様式美(ある意味 時代物のような)ものが観てとれ 時代劇にはマッチしていた。また 物語(展開)としては拍子木を鳴らし場面転換、時の経過といった分かり易さ。伝統演劇と現代演劇を融合したような斬新であり新鮮さを覚えた。そして舞台美術は簡素にして機能的といった優れもの。勿論 討ち入りの場面も観せるが、視点が吉良屋敷にあることから一律に<赤穂浪士>というだけで個々の名は記さず、感情移入もさせない。そして<語り>と独特の<殺陣>は、舞台に釘付けするほどの魅力がある。役者陣の卓越した演技によって、骨太でありながら繊細な公演になっている。
(上演時間1時間45分 途中休憩なし) 追記予定

ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE 2023

ANJIN A NAVIGATOR OF LOVE 2023

GROUP THEATRE

浅草九劇(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
第二回浅草九劇賞特別賞受賞作。観劇日は満席。
三浦按針が故郷・家族、そして命をも捨てる覚悟で大航海を経て日本に漂着、その経緯をナレーションで説明するところから物語は始まる。勿論 コロナ禍という閉塞・混沌とした現代においての道しるべとして準えている。内容的には重苦しいものであるが、描き方は逆に多くの笑いを誘いながら元気づけるよう。端的に言えば、今を生きる人々の心を優しく描いた 希望への物語と言えよう。

説明にもあるが、舞台は大分県臼杵市の港町の海鮮居酒屋「魚屋按針」、そこで働く個性豊かな人々との ぶつかり合いを通して生きる希望を見出す。逆境や絶望の淵で、それぞれが生きるための模索や選択する姿を丁寧に描き、人と人の関わりが生きる希望へ繋がることを示唆する。厳しい現実から目を逸らさず、立ち向かう勇気こそが<生きる>ことと訴えているようだ。

全編 方言(臼杵弁)で紡がれるが、けっして一地方の出来事ではなく、日本の至るところで見聞きすること。東京の大学に通っていた小松翔太はコロナ禍によって就職先の内定を取り消され、アルバイトも解雇、学費も家賃の支払いも ままならず…。行き場のない翔太の苛立ちと鬱屈した気持を変える転機、それが故郷であり父 義一が経営する店での数日間の出来事として描く。良いとか悪いとかではなく、いろいろな意味で説得力に溢れた力作。
(上演時間2時間 途中休憩なし) 

ネタバレBOX

舞台美術は、海鮮居酒屋「魚屋按針」店内…下手が入り口、すぐカウンターがあり棚に酒瓶が並んでいる。中央奥に座敷、手前にテーブルと椅子代りのビールケース、上手奥がトイレ。壁には大漁旗、観光ポスター等が張(貼)られている。

物語は説明の通りであり、訳ありの人物と店主 小松義一(梶原涼晴サン)の関わりや背景(過去)は台詞でサラッと説明するだけ。どちらかと言えば、訳ありの人物と帰郷している息子 翔太(甲斐直人サン)との衝突を通して今の窮状、その深刻さを際立たせる。それがコロナ禍における状況で、日本の至る所で見られた光景であろう。しかし閉塞感ある状況下においても、明るく前向き いや開き直りといった店主の姿が逞しい。その諦めない姿にANJINの航行を重ねる。

訳ありな人々(性格等)…元ヤクザ(暴力)、アル中(怠惰)、引き籠り(泣き虫)、デリヘル(妊娠中)が店主に雇われ、その日暮らしの生活をしてきた。しかし、借金返済の目途が立たず 店が差し押さえという現実を突き付けられ、知恵を絞り打開策を考えるが…。今まで流されるようなダメ人生、初めて自分たちで何とかしようと努める、そんな成長譚であり応援謳でもある。この個性豊かな人々を演じた役者陣の熱演が、この公演を支えており、情感溢れる印象を与える。

上演前、揺れるような水色紗幕、波の音が港町の情景を想像させる。中央に物語の象徴でもある輝くコンパス(羅針盤)を置く。暴風雨の中、船を出航させた父の行方は…そんな周りの緊張と飄々とした店主であり父の態度、その対照的な描きの中に どんなことがあっても生き抜くといった力強さを表す、それが公演の肝であろう。
次回公演も楽しみにしております。
エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

小劇場の良さですね!「埼玉のウッディ」なんてギャグも紀伊国屋ホールでは届かない人の方が多いのでは?役者さんの表情の動きもはっきり見えて、そのせいもあってか、より心に染みました。
それにしてもあんなに舞台と近いのは久しぶりでした。

逃げろ!芥川

逃げろ!芥川

文学座

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2023/10/27 (金) ~ 2023/11/04 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

東京から下関(乗り継いで長崎)までの芥川龍之介(若松泰弘)と菊池寛(瀬戸口郁)の二人旅。当時の2等はロングシートだったそうで、舞台セットは長ーいベンチシート。どんな道中が始まるかと思っていると…。

大きく4つの場面がおきる。起承転結と言おうか。最初は友人でありライバルである二人の掛け合い。スペイン風邪の流行中で、菊池寛がマスクを外そうとしないなど、当時と今と重なる状況もある。田山花袋、志賀直哉などが芥川龍之介の「奇抜さ」や「拵えもの」を批判した、同時代評に、いちいちやり返したり。菊池が芥川を嫌な男に書いた「無名作家の日記」がきいている。
「気をつけないと噂に尾鰭がついて、足まで生えてきて勝手に歩いていく」と、気の利いたセリフもある。

続いて、突然女たちが車中に現れる。まずは「俸教人の死」で焼け死ぬロレンゾ。さらに「地獄変」で焼き殺される絵師の娘。そして「藪の中」の国司の妻だが、これはまだ芥川が書く前で本人もわからない。登場人物たちが「どうしてこんな酷い死に方をさせるんですか」「私が死んだのは誰のせいですか」と作者をなじる。急に活気付いてきて、本作で一番弾けた場面だった。

そして転になるのが、この女たちが頭巾を抜いだりして、芥川と関係のあったリアルな女性たちに変わるところ。そうして、芥川の憂鬱な「晩年」へと話はうつっていく。

「河童」「或る阿呆の一生」など晩年の自嘲的作品が、次第に行き詰まっていく芥川を示す。「死にたがっていらっしゃるんだそうですね」「いえ、生きることに飽きただけです」など、若い時に読んだはずだが忘れている。今聞くとドキリとした。

作家の評伝劇で、現実と虚構が入り混じる趣向など、井上ひさしを思わせる。最後に、芥川の人生から現代へのメッセージが立ち上がれば、いうことなかったのだが、そこが残念。芥川龍之介を熱心に読んだのは大学生の頃と、国語教師として勤めていた頃だった。いろいろ思い出すことも多いし、知らなかったことも多かった。

ネタバレBOX

最後、菊池がつぶやく「君は、誰よりも愛したとともに、誰よりも近づきにくい友だったのだ」と。
エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

役者の熱のこもった演技でした。

ネタバレBOX

「わたし」の知らないもう一人の「わたし」を追いかける物語は、先がどんな展開になるのか、わくわくもしました。キジムナーの不可思議な存在が、おもしろさを一層引き立てたように感じました。
エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

吉良屋敷

吉良屋敷

遊戯空間

シアターX(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。吉良家からのアプローチは初めて見たので新鮮だった。なぜ、刃傷になったからわからないんだー

未踏

未踏

wonder×works

座・高円寺1(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。先駆者は尊敬できる。それを支える妻は本当に素敵です…アイヌの差別色々な側面で考えることが出来た

皇国のダンサー

皇国のダンサー

劇団黒テント

ザ・スズナリ(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

主演のダンサーが天才作曲家・服部良一氏の次男、服部吉次(よしつぐ)氏78歳!ジャニー喜多川から70年前に受けた性加害の告発で話題となった。「如何に沈黙することが恐ろしいことか。」は余りにも重い言葉。

前作『亡国のダンサー』から6年目、同テーマのリブートなのか、前作を観ていないので判断はつかない。
「大化の改新」と「システムとしての天皇制」がテーマのようにも。

スクリーンに投影される膨大な文章、映像、写真。地下鉄、コンクリート、灰色、雑踏。
「雨が降っていた」「ダンサーはどこへ」

謎の部屋で目を覚ます片岡哲也氏。ずっと倒れていたようだ。そこを管理する者達から極薄スマホのような端末を渡される。「自分の情報を登録するように」と。だが何度名前を入れてみても入力されない。閉ざされた部屋で何も出来ずじっとするのみ。
ある日、渡されたゴーグルを掛けると部屋の隅に女性(岡薫さん)が倒れている姿が見える。ずっとこの部屋にいたらしい。女性は更にもう一人の人物の気配を感じると言う。その老人こそ、服部吉次氏。フレッド・アステアのムードで軽やかに舞台を彩るステップ。
どうやらここは地下もある巨大なビルらしい。長い坂を登り切った先にある。窓から見える風景が妙に懐かしい。

別役実っぽく、押井守の『イノセンス』や大友克洋の『AKIRA』のようでもある。『アルファヴィル』や『未来世紀ブラジル』を連想させる近未来ディストピアの管理社会、無数に続く質問攻め。
問い掛けのされない答がそこらの床に雑然と転がっているが、誰もそんなものには見向きもしない。答ではなく、質問にしか人は興味を示さないからだ。

ネタバレBOX

序盤から眠りに落ちる客は多かった、まあテンポがのろいので面白くはない。ただ観客席はぎゅうぎゅう詰め。古くからのファンが詰め掛けているようだ。草薙素子とアムロ・レイの名前が唐突に出て来た時の異化効果が凄かった。(アムロ・レイは古すぎるが)。

現行プログラムを自ら書き換える為にサイバースペース内で「大化の改新(乙巳の変)」を行なう必要があった。それにはダンサーが必須。ダンサーを捜し続ける者達。

「乙巳の変(いっしのへん)」、645年に中大兄皇子と中臣鎌足等が蘇我入鹿を暗殺した政変。その後の改革を「大化の改新」と呼ぶ。このクーデターにより皇位を奪おうとまで画策していた最高権力者、蘇我家直系は絶えた。
その暗殺の際、用心深い入鹿を丸腰にしたのは俳優(わざひと)。俳優の滑稽な仕草に気を許し、つい剣を手渡してしまう。それが今作ではダンサーと呼ばれる存在。

滝本直子さんの亡き父(高校の教頭)、服部吉次氏。前妻の息子、片岡哲也氏。父の愛人、岡薫さん。サイバースペースのアバターとして侵入し、目的を遂行しなくてはならない。ダンサーは踊らねば。

※オウムのPSIヘッドギアが好き。
吉良屋敷

吉良屋敷

遊戯空間

シアターX(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 断固、観るべし! 華5つ☆。尺は約100分。初日を拝見。(追記1追記2アップ。追記はこれで終了)

ネタバレBOX

 いつも感心させられるのが舞台美術の抽象的な美なのだが、今回もそれは裏切られなかった。日本の建築物の美について、またその独特な構造上の美しさや機能面に於ける論理的構造の正確性のみならず、必ずどこかに一筋縄ではゆかぬ美への哲学すら感じさせる捻りが埋め込まれていることは驚嘆すべきものである。そういった伝統を踏まえながら作られている今回の舞台美術も観劇に必要最低限の要素のみを見事という他ない構造と配置で示し余計なものが一切ない。当に演劇の醍醐味を生きた人間が創造する点に集約している為とみて良い。作中、台詞としても語られる吉良邸の構造を過不足なく再現構築しているうえに余計なものが一切無いのは、今作で描かれる華の場面(茶会)で利休の侘び寂びの精神をこそ、重んじ楽しんだであろう吉良上野介の、領地民から慕われたという伝聞からも察することのできる超一流の風流人、現代風に言えばディレッタントとしての側面をも表しているかの如し、なのである。
 物語は、赤穂浪士が吉良邸を襲撃に及んだ、当にその当日、日中から翌朝に掛けての20時間程である。この僅かな時間内に吉良と浅野、その家臣団赤穂浪人との経緯総てを集約し、然もこの「忠臣蔵」は、吉良側の視座から描かれている。上演台本、演出、美術が遊戯空間主宰の篠本賢一氏。今迄何度も書いてきたように能の故観世榮夫氏に20年程学んだこともあり日本の古典芸能にも造詣が深いからこそ実現し得た舞台である。音響も尺八、横笛、琴、呼子などは総て生演奏、拍子木が随所に入り音響部門でも舞台を締める。無論必要な場面では劇場の音響も入るがメインは生演奏という贅を尽くしたものであり、照明もいつも通りシアターXの見事な技量を示している。
 少し用語や分かり難いかも知れない箇所の説明もしておいた方が良いかも知れぬ。高家としての吉良家というのは、足利氏の支流に当たる吉良家が皇族との関係が深く朝廷での官位も高かった為に用いられている言葉で吉良家はその筆頭格であったが、実際に幕府と朝廷の連絡や儀式の運営・指導に当たっていた家柄を指す。然も吉良家は旗本でもあったから実勢は大したものであったと思われる。その上、吉良上野介は長男を失い次男を得たが、当主が急逝した上杉家の出身である妻の関係から次男は上杉家の養子となり城主となった為上杉家からも支援を受ける身となっていたのである。将軍は綱吉であったが朝廷に対して破格の礼を採ったことでも知られる。浅野内匠頭即日切腹という厳しい判断は、綱吉が儒教を重んじ可成り学問に造形の深い将軍であったことから朝廷を重んじていたこと、その大切なもてなしの礼に朝廷側使節が挨拶に来たその日に刃傷沙汰を起した浅野内匠頭に激高したことも関係していよう。
 元禄期に於ける庶民の鬱憤については元禄金貨、銀貨改鋳によって質の落ちた元禄金銀貨に悪影響を受けた町民の実生活と改鋳前の高品質の金銀貨が富裕層に集中されることで富む者は益々豊かになるという構造が見て取れる。当に現代日本の経済的混乱に似た状況に拍車を掛けたことも手伝って不評であった。更に生類憐みの令を出したことで、ヒト以外の生き物の方が人間より大事にされるといった人々の見方が反感を煽った側面もあろう。今作で、吉良が江戸庶民の噂に対する見解を述べる台詞にある「江戸幕府が成立して百年、(将軍は犬公方と呼ばれた綱吉の時代)ヒトの命は異様に軽く、物価高に庶民は喘ぎ鬱憤は溜まりに溜まって爆発寸前、また太平の世が続き武士は本分を忘れ世の中の箍は緩んだままだ。そんな庶民の鬱憤を晴らすには最早絶滅仕掛けた忠義や義憤に駆られ、本質的には幕藩体制そのものに弓を引く赤穂浪士達の仇討ちは鬱憤晴らしの特効薬としての効果がある」という意味のことを言っていた。吉良の頭の良さ、本質を見抜く眼力を観ておくべきだろう。吉良がそこまで冷静に世の中を観ていたとすると、事実は吉良と浅野の意趣返しという話ではなく余りにも複雑化した料理。饗応の作法や手順、饗応に必要な食材や食べ合わせ、包丁に対する知識や産地に関する知識、調理人に対する対応等々枚挙に暇がないこともあったのかもしれぬ。実際刃傷沙汰を起すに至る前、本来共同で当たるべき準備期間中の25日間に亘り吉良は朝廷方の用で浅野と共に準備に関わることができなかった事実もある。今作終盤で語られる如く、実際に何があったのかは不明であるが。ところで吉良邸絵図が浪士の手に渡った経緯で犯人が分かった時の上野介の高笑いからの、若者たちに対する対応も今作の肝の一つ。心に留めておきたい。
 さて、そろそろ今作を拝見した感想を述べておこう。拝見したのは初日、11月1日19時の回である。
 知り合いが何人も殺されるかも知れない、という不安に苛まれ自分は長らく封印してきた修羅を再活性化する寸前であった。殺される可能性のある知人は大人だけではない。子供もだ。シオニストが喧伝に用いるホロコーストに匹敵する事態に直面してのことだ。
 だが、今作を観終わった時、感じたのは何とも言えぬ哀しさ、寂しさであった。浪士たちが吉良邸を襲った有様が、攻め手受け手双方の模様と共に具体的な戦い方、負った手傷の詳細、氏名と共に篠本氏、観世さんの語りで紡がれてゆく。そのリアリティーが心の内側から立ち上って来た為だ。これだけの深さを味あわせてくれ、更なる思考の深化を促してくれたのは、出演した役者陣の鍛錬の賜物、練りに練られた上演台本の素晴らしさと理性的で格調高い語り、生演奏の素晴らしさ、裏方さんの対応の良さ等今作に関わった総ての人々のお陰である。心から良い作品・対応に対する礼を述べたい。
『屋上庭園』『soloplay ある親子の問答』

『屋上庭園』『soloplay ある親子の問答』

研技術研究所

サブテレニアン(東京都)

2023/10/31 (火) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2023/11/01 (水) 19:00

初見のユニット。百花亜季出演というので観に行ったが、アットホームな印象のすがすがしい舞台だった。70分(=前説3分+34分+場面転換3分+30分)。
 岸田國士の短編戯曲を2本。
 まず『ある親子の問答』で、3バージョンあるそうだが、主宰で演出の大原研二が母親の立場での戯曲を読む一人芝居。時折、観客にセリフを読むよう促す等の演出も巧く、物語がスーッと入ってくるように思った。
 続いての『屋上庭園』だが、いろいろな所で何回も上演されている戯曲で、どこかで観た気がするのだが思い出せない。登場人物は4人だが、ほとんどの時間を夫役の2人が会話する。本作を観て、面白いのは、妻役の2人が退場する場面と登場する場面だと思ったりもした。本作もスッキリと物語が入って来る上演だった。
 終演後に「アフターフィードバック」というものを30分ほど。役者陣が集まって、上演に関して気づいたことを話すそうだが、普段の稽古もそのような形でやってるそうで、アットホームな印象を強く持った。

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

αチーム観劇。鴻上尚史氏演出の大きな劇場で何回か観た作品であるが、今回のヴァージョンも素晴らしい。コンパクトな舞台に合わせて、テンポよくメリハリが効いている。最前列に座ったので、役者さんの表情がハッキリと見えたのも良かった。

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場人物の機敏さ話の転回 最後に納得させられました

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

以前観た演出と少し異なり、小劇場らしい演出の仕方で楽しめました。もう少し声の音量を抑えても良いかも…。

エゴ・サーチ【Mura.画】

エゴ・サーチ【Mura.画】

Mura.画

劇場MOMO(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

野田さんの演出で紀伊国屋で観た作品
小劇場での公演ということでどうなるのか期待でいっぱいだったが、とても良かった!いいものを観たに尽きる。
テンポのいい転換と小劇場ならではの各演者の距離感を活かして、濃密な感情の動きが渦巻く空間に仕上がっていた!
野田のところどころ気をてらった演出のアクセントのところが、よりモデラートで角ばっていないイメージ
より登場人物同士の心の動きの濃密さが、小気味よいテンポの転換で紡がれていく。
野田演出を観たひとも、この公演観てより満足を得られるだろう より濃密になった人間ドラマをご覧になっていただきたい

ガレキの城のこどもたち

ガレキの城のこどもたち

JOEcompany

新宿シアタートップス(東京都)

2023/11/01 (水) ~ 2023/11/05 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

登場する子どもたちが皆、二つの人格を持っていてひょんなことから一堂に会する。このあらすじからは想像できないくらいかなり緻密な物語展開、そして創意工夫を感じる場面転換、なによりもシリアスな内容でありながらコメディ要素が盛りたされているという見応え抜群の舞台でした。
舞台観劇自体、数える程度の人間でしたがさながら本当にその風景が眼前に広がっているかのような演出や出演者皆様方の演技に感動いたしました。
複雑な登場人物関係でありながら、すぐに物語に惹き込まれるので理解するまでそこまで時間は要しません。緻密なストーリーでありながら、観ている側への配慮も感じられる構成で素晴らしいです。
これから観劇される方はぜひ次の展開を想像しながら、そして笑って泣いていただきたい作品です。繰り返し観ることで見えてくる部分もあると思うので、次回以降が非常に楽しみになっています!

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