最新の観てきた!クチコミ一覧

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syndicated

syndicated

theater 045 syndicate

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 横浜で異色の活動をする団体に声掛けしたtheater045syndicateを含む3団体によるコラボ。各作品の尺は30~40分。上演順に世人/dasman「アイヒマン・テスト」、鳥を探す「夜の戦いの種族」、theater045syndicate「Puppy Day Afternoon」と異なる作品をオムニバス形式で上演。面白い。ネタバレ追記2024.3.4

ネタバレBOX

 各劇団、上演作品の内容も演出や目指す方向も全く異なる為、作品各々の個別性が対比される側面があって極めてエキサイティングである。同時に3作中、2作が歪みのある状況を背景にした作品で残る1作が身体表現を重視し、それこそトウシロウの身体でも狙えるような腹に贅肉のついた身体でハードボイルドを演じるものだから、最高に分かり易くアンチメタフィジックな可笑しさも対比され他のメタフィジカルな2作品と好対称を為し、更に毛色の異なるこの作品をラストに持ってきたことでこのオムニバス公演全体をアウフヘーベンした上で観客たちの日常へ降下させる仕組みも創り出している。要は哲学、心理学的な逍遥からいきなり喧噪の現実世界の持つ滑稽と奈落の哀しみやその地平でのダンディーへダイブする訳である。このペーソスをあっけらかんと笑い飛ばすようなドタバタぶり、恰好悪さと心に秘めたダンディズムのマッチングがグー。
 ところで66.6…%が、メタフィジカルな作品で占められ、サイレント時代の映画で演じられていたような動作や仕草、行動やシチュエイションの可笑しさでは無く、生きる上での不安や苦悩によって己の存在自体に故知れぬ不安定を感じ対処する術も持たぬ現代日本に暮らす我ら日本人の大多数を示していると思われる。対処する術を持たないことは書店に並ぶハウトゥー本の膨大な数や近視眼的言説の垂れ流しをチラッと見れば事足りる。原因は多くの人々が自らの頭を使って考えることを放棄してしまった為、表層をしか観なくなったこと、結果自ら納得し得る哲理を獲得する術を既に自分の手によって投げ捨ててしまって来たことにある。その辺りの事情を今公演は反映していると考える。表現は時代の鏡であるが、殊に演劇はその傾向が強いジャンルであろう。全3作を通じて今公演はこのようなメッセージを発信したと私は考えている。
るつぼ

るつぼ

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2012/10/29 (月) ~ 2012/11/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

終演後、観客の誰一人として立ち上がれない、皆うちひしがれて席を立てずにいた。こんな芝居は、後にも先にも初めてである。

『るつぼ』のストーリーは勿論知っている、台本も組まなく読み、英国ではRSCの公演も観た。だがどの上演でも、客が呆然と動けずにいるような事態は起こらなかった。
主人公ジョンは陥れられ、裁判に負け、最後の自白も撤回し、死刑台へ向かう。それを知っていながら、拳を握りしめ、彼が生き残る選択をすることを願った。妻エリザベスの言葉に、胸をしめつけられた。
私達観客は、彼ら二人の人生に確かに立ちあった。

そのように感じられる演劇と、人生で何本、めぐり合えるだろう。
主演の池内博之も、妻役の栗田桃子も、すべての場面において素晴らしかった。派手な演出も、舞台装置もない。ただ、作品を、登場人物を、きめ細かく誠実に描いた結果であろう。脚本のよさを、ここまで最大限に表出させたアーサー・ミラー作品の公演を、私は知らない。

一観客として、一人の演技者として、私はこの公演の鮮烈さを、忘れることができない。

尺には尺を / 終わりよければすべてよし

尺には尺を / 終わりよければすべてよし

新国立劇場

新国立劇場 中劇場(東京都)

2023/10/18 (水) ~ 2023/11/19 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

両作品を観て思うことは、この2作品を抱き合わせにした効果。それぞれ単独では意味をなしえなかった物語性が、相乗的に影響を及ぼしあっている。特に奇をてらった演出ではないが、組み合せの妙でテーマを付加することに成功しているのは、さすがの構成力と頷けた。
とはいえ元々の脚本の力が、シェイクスピア作品の中では弱いのは事実であり、またそれを補うだけの力が必ずしも全出演者にあるわけではない、とも感じられるのだが、それを補って余りある演出であったと思う。

小栗判官と照手姫

小栗判官と照手姫

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/02/09 (金) 14:00

Nyx得意の女歌舞伎第3弾。見応えある楽しい舞台。(2分押し)81分(10分休み)54分。
 説教節や歌舞伎で知られる「をぐり判官と照手姫」の物語を白石征が小劇場に向けて戯曲化したものを、さらに若干の潤色で上演する。駒田早代の津軽三味線と歌で始まり、百鬼ゆめひな の人形を入れたり、歌や踊りも入れ楽しい舞台になっていた。物語は実はオドロオドロしいものなのだが、本来は復讐劇のあるはずの部分を切った白石の脚本も見事だし、スズナリらしいケレンもあって見応えある作品だった。寺田結美がカッコイイ、森岡朋奈美しい、が印象だが、語り手を演じた河西茉祐が記憶に残る。

syndicated

syndicated

theater 045 syndicate

スタジオ「HIKARI」(神奈川県)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

仕事帰りに拝見しました。3作の短編、みんなテイストが違ってそれぞれに面白かったです。スクランブルのファンなので坪井さんの作品はやっぱり好きですね。2時間弱の内容でしたが。あっという間でした。また、楽しい芝居期待です。

スターリン

スターリン

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/16 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

村雲隆一演出を拝見。全5場構成。1場はスターリン(小田伸泰)とユダヤ人俳優のサーゲリ(斉藤淳)の初対面。リア王を絡ませながら、互いにどこまで踏み込めるかの腹の探り合いという感じ。二人とも神学校出身。スターリンも威圧的でなく、あまり怖くない。そこがちょっと物足りない。

2場で二人は互いに裏切りの経験を持つことを告白する。スターリンは帝政内務省の密偵に誘われ、サーゲリはスパイとして、刑務所で危険分子のユダヤ人と同じ房に送り込まれた。サーゲリは「俺は裏切ってない、房に入ってすぐに、自分の目的を相手に伝えた」というが、スターリンは「俺は密偵だ」と。サーゲリの息子ユーリがシオニストとして取り調べを受ける。スターリンは「もう家に帰った」というが。

3場 30年代の農業集団化と大粛清を振り返る。スターリンはジノビエフ、カーメネフ、ブハーリンのライバルを出し抜いたこと、レーニンが(右手はマヒしたため)慣れない左手で書いたスターリン排斥の遺言を。うまく切り抜けたことを自慢する。サーゲリはウクライナへ赴き、みずから富農撲滅の先頭に立っていた。飢餓で1000万人が死んだ等々と、スターリンに面と向かって告発。だんだん話が核心に迫っていく。スターリンの2番目の妻は自殺した。労働者と農民の殺人者になったみずからの姿に絶望して。「一人が死ねば悲劇だが、100万人の死は統計だ」とうそぶくスターリン。チャップリンのモジリである。ユーリは拘束されたまま、父のサーゲリは会わせてもらえない。ユーリはジョイントの一味だと、スターリンは疑う。

4場(短め)戦後、フルシチョフたち「新しい人」が自分に服従しないことにいら立つスターリン。戦争。サーゲリは何百の赤軍将校を処刑したとスターリンをなじる。戦後、スターリンはユダヤ人の強制移住を提案するが、フルシチョフ達は先送りにする。「医師団陰謀事件」がおきる。新たな「敵」として反ユダヤ主義が強調されると、なぜ作者がスターリンの相手役をユダヤ人にしたかが見えてくる。ドイツ語で書いた芝居なので、当然ヒットラーを重ねたのではないか。
トルストイのように不死を目指し?放浪するスターリン。「いくつもある部屋を、次から次へと変える」といわれて、暗転ごとに、窓や机を示すセットを配置換えしていた理由が分かった。
スターリンも多くの人を殺してきたせいか、得体のしれない恐怖におびえる。人間スターリンの「良心」を想像するのが、スターリンにふさわしいのかどうか。全く後悔もしないのでは、芝居が成り立たないが、独裁者の内心の苦しみというのは安易な想像であり、通俗的な慰めになってしまうのは注意を要する。

5場は悲劇的な、しかし厳粛なラストとなる。2時間10分

勉強になる芝居であった。それにしても「若き日のスターリンは皇帝権力の二重スパイだった」(亀山郁夫)とは本当なのか。この芝居もそう書いているが、それがスターリン生存中、公に知られなかったのはなぜだろう。

ネタバレBOX

5場はサーゲリが捕らえられた独房での対話。かつてサーゲリが刑務所でユダヤ人とかわした神をめぐる対話。スターリンは自分をネタにしたジョークを教えてくれとせがみ、サーゲリはそれにこたえる。「このジョークは傑作だ」「教えてくれ」「だめだ。それをしゃべったために、5年間収容所に入って出てきたばかりなんだ」等。スターリンが朝、排尿し、排便し、それから起床するというジョーク。自分の衰えが知れ渡っていて驚くスターリン。ユーリの死。サーゲリは低い、力の抜けた声で、淡々とリア王がコーディリアの死を嘆くかのようなセリフを語る(そんな場面はシェイクスピアにないが)。悲劇を見つめる人々が背後から現れて、幕。
たてほこ

たてほこ

たすいち

シアター711(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/02/09 (金) 14:00

鎧チーム。105分。休憩なし。

CROWDED CHAOS FANTASY TURBO

CROWDED CHAOS FANTASY TURBO

SPIRAL CHARIOTS

「劇」小劇場(東京都)

2024/02/01 (木) ~ 2024/02/12 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すばらしかったです。ブラボー!です。久しぶりに睡魔に恐れずに最後まで見られました。『勇者ヨシヒコ』好きにはたまりませんね。ほんとすばらしいものを観させていただきました。

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

良かったです。

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

観て良かった!と思える舞台でした。

衣装も、舞台を観る特別感を感じられ重い着物での立ち居振る舞い何度もとても美しかったです。

感染対策もしっかりされており、帰りは一列ずつのご案内にプロの劇団さんなのだなと感じました。

ネタバレBOX

瀧山が瀧山らしく見た目も美しく篤姫とのやりとりも史実に表現され安心して観られとても良かった。
狭い舞台上ではあったが大きな背景を感じられました。
谷崎潤一郎『白昼鬼語』

谷崎潤一郎『白昼鬼語』

楽園王

サブテレニアン(東京都)

2024/02/01 (木) ~ 2024/02/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/01 (木) 14:30

谷崎潤一郎のミステリー小説(!)を舞台化した80分(お馴染みのオープニング曲が5分あるので正味75分)。
一部劇中劇の読み合わせ風にしたり「心の声」を「あんな風に」見せたり演劇手法を駆使するのがいかにも楽園王。
そして「あの種の謎解き」を「ああいうカタチ」で見せたのは「コロンブスの卵」的ではないか?仮に思いついても実行しないのでは?(笑)
あと、序盤の会話が「いかにも初期の探偵小説」っぽくてニヤリ。

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

AsHの女性版、どうなるのか興味津々で、行ってきました。
素晴らしかったです。
女性版も男性版に負けることなく、とてもよかった。
やっぱり時代劇はいいなあと思った。
女性陣の着物姿、素敵でした。
普段から着なれているようで、とても粋で洗練されていて、見ていてうっとりでした。
歩き方、しぐさ、作法などがしっかり板に付いていて、綺麗で芸術的でした。

狭い空間を上手く使い、スケールの大きな大奥を見事に表現していて、見ていてとてもおもしろかったです。

これは私の希望ですが、男性と女性が混じったAsH を次回は観たいと、強く思いました。

『願わずとも、愛。』

『願わずとも、愛。』

コルバタ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/02/07 (水) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/08 (木) 19:00

今回お誘いいただき観劇させていただきました。
暗い題材でしたがところどころにくすっと笑える要素もあり、とても見やすかったです。

ネタバレBOX

少しネタバレですが、、、
るりがずっとお母さんの幻覚(?)を見ていたと分かったシーンでとてもぞっとしました。宗教二世としての苦しみや葛藤が見ていてとても伝わってくる演技でした。
時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/08 (木) 18:30

初見のユニット。時代劇で、壮大な物語に圧倒された。(6分押し)147分。
 長くやってる劇団らしいけど観るのは初めて。時代劇は好みではないのだが、風雷紡の吉水恭子・雪乃母娘が母娘役で出るというので観に行った。大正2年、一人の女性ジャーナリストが大奥最後の年寄である瀧山の話を聞きに、瀧山の姪の元に通う。根負けして年老いた姪が話す、大奥最後の数年間の回想。壮大な物語を27人の女優だけで展開し、息を呑む流れに圧倒される。見応えある舞台だった。衣装が見事だが、セリフも 練られていた。「はしぢか」なんていう言葉を久々に(人生で2度目か?)聞いた。

『願わずとも、愛。』

『願わずとも、愛。』

コルバタ

新宿スターフィールド(東京都)

2024/02/07 (水) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

内容もとても面白く考えさせられる作品でした。
それぞれの信じるものや正義感などその人の立場でないとわからないし人によるものなのだなと改めて感じながら鑑賞しました。
役者さん一人一人の演技も素晴らしかったです。

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

 初日を拝見。べし観る! 華5つ☆

ネタバレBOX

 大奥は二代将軍・秀忠の「大奥法度」によって法的に規定されていた。この法度制定は1618年。将軍及びその子弟を除く男子禁制の場所としてあまりにも名高い。が、幕末のこちらも名高い勝海舟と西郷隆盛の談判によって無血開城が決められた1868年迄は、将軍の私邸として機能し将軍の生母、妻妾、妻ゆかりの女性、乳母、家族更に奥女中らによって用いられていた居住空間であった。大奥で暮らす女性たちは、正室・御台所を中心に今作で描かれるようにこの時動乱の時代を生きていた。武士の二大価値即ち、御家存続・所領安堵の為、殊に御家存続をその目的として機能して居た閉鎖空間の中でである。主目的が御家存続であるから為将軍のみならずその子弟の生活の場でもあり、纏わる女性たちの生活の場所でもあった訳である。因みに大奥は将軍が政務を司る御座の間及び、将軍の住居としての中奥によって外界と切り離されていた。中奥から大奥へは御鈴廊下と呼ばれる通路のみで繋がるという徹底ぶりであった。即ち基本的には女性によって成立している世界であった。ここでジェンダー論を論ずるつもりはないし、様々な立場、様々な意見があることも承知しているが、様々な意見表明の殆ど総てが、衣食住というヒトが生きる原理の前に消滅の憂き目をみるのは歴史的必然及び論理的必然と言わねばなるまい。何となれば論理というものの本質的属性は或るオーダーを要求するしそのオーダーから出発した後大方の論理の唯一の展開は尖鋭化する他にないからである。おっと、話が脇に逸れた。まあ、このような前提の下に女性達の様々な立場(そのヒエラルキーだとか、出身地域の価値観や風習・文化の差、言葉遣いの差異等々)によって利害得失や心理も変化する訳だから多くの当てこすりや一定の品を保ったままの価値観の違いに起因する争闘もある訳である。その具体的な在り様を歴史の河の大きな流れの中で演出も手掛ける女性戯曲家が、女性目線で描いて見せている点で、同性ならではの心理描写、間の取り方等が見事である。各々の登場人物それぞれの心の奥に潜む精神の襞そのものにまで達する描写が随所に見出され、然もそれが実に自然に女優達の表現に現れているからである。無論、近・現代と近世との断絶を繋ぐ仕掛けも自然に見えるように書かれているのみならず、縁(えん)という因(よすが)も巧みに織り込まれている。和服の着こなし、歩み方、衣装の華麗等々も実にしっかりしており、称賛に価する。
 ところで、上記の文章は男の文章だにゃ。女性の表現はもっとしなやかで更に情緒に富む。
エウリディケ

エウリディケ

MIXZONE

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/02/04 (日) ~ 2024/02/18 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

シーンのひとつひとつが立体絵画のように綺麗
背の高い舞台、天に向かって伸びる光の反射が妖しく、シーンによっては客席のこちらにまで光が差し込んできたり
色彩表現豊かな照明が演技をよりいっそう輝かせていました
ピアノにギター、生演奏の旋律に加えて水流などの自然音にはサラウンドの迫力
愛し合う二人、困惑の霊界、募っていくのはドツボに嵌まっていく様な焦燥感
喜怒哀楽どこに気持ちを向けていいのか、なかなか感情移入しにくい物語ではありましたが、混沌とした世界観だからこその美、光と影を感じられた様な気がします
おかげで美術館での鑑賞後みたいな後味・・・どちらかというと上野ではなく六本木の方

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すばらしかったです。オールレディズの舞台、華やかでいいですね。すごくいい時間をすごさせていただきました^^

流れゆく時の中に

流れゆく時の中に

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/02/06 (火) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

本当にテネシー・ウィリアムズってこんな話ばっかなんだな。

第一幕60分
① 『坊やのお馬』
②『踏みにじられたペチュニア事件』
休憩15分
第二幕45分
③『ロング・グッドバイ』

ブリッジ、劇伴として伏見蛍(けい)氏がギターを弾く。
①明け方、泣き止まない赤ん坊。狂ったように喚き散らす若き夫(田崎奏太氏)とミルクを温める若き妻(根岸美利さん)。結婚して一年にも充たない貧しい新婚生活、生後一ヶ月の坊や。職場の鬱憤をぶちまける夫、気の狂いそうな妻、傍らには場違いに置かれた高価なおもちゃの揺り木馬。
②編物を扱う「シンプル小間物店」の経営者ドロシイ(小林未来さん)。店の前で大事に育てていたペチュニアの花が無惨にも踏み荒らされていて、警官(須藤瑞己氏)に犯人逮捕を訴える。その後、すぐに来店した奇妙な男(樋口圭佑氏)は「自分がやった」と名乗り出る。常連客の貴婦人、ダル夫人として二木咲子さんも登場。
③売れない作家のジョー(立川義幸氏)、産まれてずっと暮らしてきた生家である部屋から引っ越すことに。友人のシルヴァ(佐々木優樹氏)が心配して様子を見に来る。倉庫に預ける為、運送屋に運び出される家具の数々。その一つ一つに焼き付けられた鮮烈な記憶が目の前に甦り再生されていく。僅かばかりの保険金を残して自殺した母(二木咲子さん)。貧しい暮らしにうんざりして金持ちの男と付き合う為に自分を変えていった妹マイラ(飯田桃子さん)。妹を売女のように扱う上流階級の男、ビル(須藤瑞己氏)。

ギターの音色が胸を打つ。無名時代のテネシー・ウィリアムズが書き殴った叫び。太宰治もそうだったが自殺前の遺書のように魂を掻き毟りただひたすら書き殴った日々。もう自分ではコントロールの効かないどうしようもない叫び。オー・ヘンリーだったらもっと上手く綺麗にまとめるだろうに。テネシー・ウィリアムズの剝き出しの罵詈雑言に自らを託す表現者達のアンテナ。人間は普遍的に未完成なのだろう。常に足りない何かを求めては足掻き続ける。それがカルマか。

MVPは②の小林未来さんと樋口圭佑氏、完成された演技。だが巧すぎて今後苦労しそう。頭の良さが逆に邪魔になるかも知れない、その先を望むならば。
根岸美利さんが今回出ていなかったな、と思ったら①で思いっ切り出ていた。全く前作と同一人物とは思えない役作り。
飯田桃子さんは綺麗だね、感心する役作り。

是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

アメリカ人をカリカチュアライズしたようなオーバーアクション。演出家はサイレント映画を観せてイメージさせたのだろう。なだぎ武と友近の「ディラン&キャサリン」を想起。アメリカ人が観たら笑いそう。これが正しいのかそうでないのかはまだ判断がつかない。敢えてそうした理由がある筈。

①バカップルの下らない痴話喧嘩、それ以上でも以下でもない。木こりの斧。

②アメリカなら『トワイライト・ゾーン(ミステリー・ゾーン)』、日本なら『世にも奇妙な物語』系のお話。レイ・ブラッドベリだよなあ。ペチュニアの花言葉は「心の安らぎ」。インチキ宗教家の戯言にも聞こえる自己啓発の話。自分を囚えている枠組から外れて自由になろう!凄く良い話にも聞こえるが、多分地獄に堕ちるんだろうなとも思う。神と悪魔はいつだって同じ顔をしている。

③自分が信じて守ってきた“正しさ”は、愛する妹の変心によって根こそぎ否定される。弱者の正義には意味も価値もないのか?じゃあ自分がタイプライターを叩いて打ち鳴らしている、この文字の羅列は一体何なんだ?一体何だったんだ?

Manic Street Preachers 『The Long Goodbye』

それは長い別れから始まって、今じゃ漂白した空みたいに消えていく。
まるでコイン投げのように偶然に、何の理由もなく終わってしまう。
でも君が捨てた愛。それが止まることはなかったよ。決して止まることはなかった。
君が勘違いすることのないよう強く言わなくては。本当に止まることはなかった。それは決して止まることはなかったんだ。
『文明開化四ッ谷怪談』

『文明開化四ッ谷怪談』

サルメカンパニー

駅前劇場(東京都)

2024/01/26 (金) ~ 2024/02/04 (日)公演終了

実演鑑賞

旗揚げ時より福田善之との所縁の劇団との認識あり、うずめ劇場との関わり(客演した姿は見た)等と関心はあったものの今回ようやく初観劇となる。
ほぼ初日であったせいか、俳優の演技がえらく気になった。大声が出ているが、虚しい。まず語り部的な存在が冒頭客をいじった俳優の挙動(の不審)が気になった。素になるなら余程の覚悟をもってやるべきを中途半端にやりやがって・・と終演後どやしつけてやろうか、位の憤りが湧いた。またステロタイプな明治の志士の物言い(二本差しで背筋を伸ばし、前方やや上を見据えて虚勢張って声も張るやつ)も気になった。もっとみっともなく悩んでる姿を観客には見せていいんでござんせんか?彼ら(登場人物ら)は家の外では虚勢張って生きていたんでしょうが、観客に対してそれをやってどうすんの?と素朴な疑問。
福田善之のなんと「書下ろし」で、井村昂氏は補佐的に控える役目だったとか。飲み込みやすいドラマとは言えない。直後に観た椿組の舞台がちょうど時代的に重なり、その庶民感覚に溜飲を下げたものだが、こちらは頭でっかちな士族のよく分からない高尚な?悩みをちまちまやってる感がある。日本の近代小説=私小説のちまちまな感じの、原点でもあろうか?
演出には力を入れている。主役をやって演出もやってる事がそもそも無理難題なのでは・・と思わなくなかったが、福田氏との関係においてはそうなるようである。正直戯曲なのか演技なのか何かぎくしゃく感を否めなかったが、作り手の(というか演出の)気概は受け取った。この観劇後感、次も観そうである。

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