最新の観てきた!クチコミ一覧

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水彩画

水彩画

劇団普通

すみだパークギャラリーささや(東京都)

2024/06/17 (月) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

会場は「すみだパークギャラリーささや」。隣のカフェは入ったことあるけれど、個人的にギャラリーは初。地続きの空間のため、カフェ同様もの静かで落ち着いた雰囲気があります。物語の設定も「洗練されたカフェ」でした。絵画の個展を見に行った帰りにカフェに寄った老夫婦とその娘夫婦。近くの席には4人と面識のない若いカップル。2つのテーブルの会話は基本的に交わることなく、それぞれ別の話題が進行する。とても静かな会話劇で全編茨城弁。この団体の特徴をしっかり反映した一作でした。

ネタバレBOX

まず何より、場所から受ける影響が作品の基盤となっています。カフェ公演と劇場公演の丁度中間のような空間になったのでは。観客は、この空間に馴染みながら、出演者6名の静かな会話に集中するのみ。「日常的な他愛のない会話から、時折見せる人間関係の機微」を感じとれる、この団体らしいテキストだと感じました。直接的な描写はほぼないものの、認知症や高齢者介護に関する物語でもあると想像。親世代、子世代、双方にスポットを当てた描き方も、石黒さんの筆の魅力だと感じました。
虹のかけら ~もうひとりのジュディ

虹のかけら ~もうひとりのジュディ

(株)ルックアップ

春日井市民会館(愛知県)

2024/06/14 (金) ~ 2024/06/14 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

戸田恵子さんの演技力と三谷さんの演出。上演中は物語に引き込まれます。
そして、まさかの展開。感動と驚きが満載です。
まさに、もう一人のジュディの物語。

ゴースト&レディ

ゴースト&レディ

劇団四季

JR東日本四季劇場[秋](東京都)

2024/05/06 (月) ~ 2024/11/11 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

自然と涙した。

蘇る魚たち

蘇る魚たち

モトキカク

王子小劇場(東京都)

2024/06/20 (木) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/20 (木) 19:30

初見のユニット。男性性被害が題材のタイトな作品。いい芝居だった。(前説と客入れで5分押し)101分。
 大阪のユニットらしい。2021年に他団体で上演された作品を2022年に上演したものの再演。ジャニーズ問題が出て来る前に書かれた作品で、複雑な家族関係を持つ義理の兄弟3人の会話劇。父親は高名な教育学者だが性加害者で、3人とも性被害を受けていたということで、年長の兄がライターになってその加害を告発しようとするが、…の物語。性被害を受けた者が持つさまざまな感情を描いて、痛々しいセリフが続く。緊張して観てしまった。金魚のメタファーはあまりフィットしているようには思わなかった。
 3人のそれぞれをダブルキャストにして、さまざまな組合せで上演する面白い形。私が観た回は竹下健人・楠木健吾・山澤誠。

ラフカットFINAL

ラフカットFINAL

プラチナ・ペーパーズ

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2024/06/12 (水) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/13 (木) 19:00

【Bプロ】
今年で最後ゆえの堤作品セレクション別プログラム。こちらもすべて初演を観ており、「776」などダブルキャストの再演も観て通算4度目だったりして懐かしいったらありゃあしない。
で、「第二の心臓」はAプロの「幕張の女」と通ずるモノがあり、堤さんってばこういうの、好きなの?とか。(笑)
また、ABとも4話目が演劇……ってか小劇場ネタなのも何だかジンと来る。
そして8作品すべて「いかにもラフカット」と感じたのは刷り込みによるものか?
今回の8作品に限らず様々な作家が書き下ろした作品群も今後上演の機会があるとイイなぁと痛感。

おちょこの傘持つメリー・ポピンズ

おちょこの傘持つメリー・ポピンズ

新宿梁山泊

新宿花園神社境内特設紫テント(東京都)

2024/06/15 (土) ~ 2024/06/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

流石、中村勘九郎さんの演技は、表情や身振りでも一級品でした。
豊悦や寺島しのぶさんもほとんど出っぱなしの熱演、しかも野外なので
汗だくでした。凄く体力使ったんじゃーないでしょうか。

豪華出演者に加えて、観客も凄かった。
自分の回は堺雅人、ラサール石井、彦摩呂、柴田理恵、石井愃一がいた。
客席小さいし、途中15分の休憩もあるので、周りの状況を確認出来ます。
初回は松潤、他の回では奥田英二、クドカン、常盤貴子が観客にいたようです。

お手洗いは花園神社のものだけなので、開園前に寺島しのぶさんと
すれ違いましたよ。


有頂天

有頂天

中央大学第二演劇研究会

シアターブラッツ(東京都)

2024/06/13 (木) ~ 2024/06/16 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

若さがよく出ていたかなぁと感想

声は大きめで学生さんらしかったが
強弱もできてて見易さは感じられた

話は写真家二人を交えた
群像劇風にまとめられていたが
いまひとつ説得力とリアルさが欠けていたかなぁと
思えた約100分の話

土足厳禁とは近年珍しいとも~♪

ネタバレBOX

死ぬことを目的とした女と
物事の終わりに美を感じる写真家が中心となって
割と王道な感じの話が展開されてたなぁと

死に焦がれて
死を求める物語の中での
説得力が希薄で
彦込まれる感じはしなかったかな
キネカメモリア

キネカメモリア

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白かったです。
まずセットですが、昭和感の漂う映画館が再現されていて、観る前からワクワクしました。
ストーリーは、映画への思いや、大事な人間関係、色々な要素が詰まっていました。
不思議な余韻が残る良い舞台でした。

キネカメモリア

キネカメモリア

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ベシミル! 演劇と映画の方法上の差異を見事にクリアしている! (追記20:59アップ)
 いつも通りきめ細かな創りだが、モギリを終えて劇場入口へ至る階段脇の壁にも映画のポスター等が貼られ映画館の雰囲気を醸し出している。劇場へ入ると映画に纏わる様々な音響が英語で流れている。今回の舞台美術で最も驚かされたのが下手に奈落から上がってくる階段が設えられていたことだ。この劇小劇場にも数十回以上通っているがこのような使い方は初めて見た! 因みに奈落からの階段を上がるとホリゾントの手前に映画館モギリの机と椅子。ホリゾントには往年の話題作のポスターが貼られ上手ホリゾント前では売店の女子販売員が、何やらもぐもぐ食べている。この売店正面にもサイズの小さなポスターが貼られる念の入りようだ。上手側壁に緋のクロスが床まで垂れているが、これが映画観賞室への入り口、その観客席側に階段が設けられているが壁にstaff onlyの張り紙。映写室への通路である。奈落から映画館へ入る入口の階段脇には手摺が設けられその前に椅子が二脚並んでいる。尺は約80分。濃密に時間を過ごせる。

ネタバレBOX

 さて今作、芝居で映画に魅入られ映画を友として生きる人々個々の拘りや各々の人生経験を背景にした世界との向き合い方、近くに高速道路が通ることでショッピングモール計画が持ち上がりディヴェロッパーと称する地上げ屋が、ショッピングモール計画の臍とも言える一等地に在るこの映画館の土地所有権を巡って暗躍する物語でもあり提起されるオイシイそうな話にどう対応するか? との緊張感を交えつつ仏ヌーベルバーグの影響を受けアメリカで始まったニューシネマ運動、その1960年代世界中で巻き起こっていた造反有理に集約される若者反乱等を経験してきた常連客、その後継者と見込まれた女子高生、映画館に隣接するストリップ小屋の踊り子等々と登場する男性陣との恋や思い掛けない社会的関係を巧みに織り込みつつ、演劇という表現方法で映画という表現の持つ魅力を描いた作品と言える。非常に上手いと思うのは、映画のシーンは一切用いられていないことだ。これには訳があろう。演劇の特性は観客の目の前で役者が生身でそのパッション、主張、高揚・哀感から絶望迄人生に起こる総てを直に観客に伝えることが基本だ。それに対して映画は俳優たちの演技をカメラアイを通じて観つつ撮影し出来上がったフィルムを編集して、今度は映写機に掛けてスクリーンに映し出すという幾重もの工程を経て漸く観客に届くから各工程に於いて失われるものが在る。これが生の役者の持っていた演劇表現の迫力、インパクトの多くである。演劇上演の央に、各工程を経る毎に生の迫力を失ってしまう実際の映画のワンシーンでも用いられていたら、演劇で映画の持つ魅力やそれに魅入られた観客を描き関係者の意気地の意味する処迄を描くことで映画独自の魅了をそこはかとなく描こうとする今作の魅力を喪ってしまう。今作はワヤになってしまっていただろう。それを避ける恐らく唯一効果的な方法、それが観客の想像力に訴えることだとしたら・・・。筆者の謂いたいことは自ずと読者にも伝わるであろう。ラストシーンがじ~んと来るのは売店の女子従業員が相変わらずもぐもぐ食べ続け、館長は今迄同様何の変哲もないかの如く余りにも普通にしている。当にこれらのことが、チェーホフがその傑作群で拘ってみせたテーマの一つである、生きること、生き続けることのリアルだ。そしてこの拘りへの結果が、チェーホフ作品群の残照の如く、映画に魅入られ映画を友とする総ての人々、そして同じく役者の演技で成り立っている演劇の魅力に魅入られ、演劇を友とする人々総てに対するオマージュをも示唆しているということが言えよう。
Starting Over

Starting Over

“STRAYDOG”

サンモールスタジオ(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

【ネタバレなし】
初日、アップルチームを最前列で観劇しました!笑いあり、涙あり、ひとときも目が離せませんでした!

きく

きく

エンニュイ

アトリエ春風舎(東京都)

2024/06/18 (火) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

未見の団体、そして「CoRich舞台芸術まつり!2023グランプリ作品」ということで興味をもって観たが、自分にはよく解らなかった。いや説明を読んでいたからだと思うが、描こうとしていることは何となく分かる。

タイトルの<きく>ことを色々な方法・手段で表現しようとしているのだろうが、今まで観てきた作品と違うため戸惑う。今では、このような作品が好まれるのだろうか。
(上演時間1時間30分 途中休憩なし)

ネタバレBOX

舞台美術は、正面後ろにスクリーンが3枚。その前に横並びで箱馬がキャスト分並んでいる。天井や壁には手作りのモノが吊下がり 貼られている。シンプルな空間だが、展開に応じてスクリーンを上げ、箱馬を動かし場転していく。ここは何処で、集まっているメンバーの関係性は、といったことは判然としない。

冒頭、横並びの箱馬に座って たわい無い話を小声でしているが、1人の男が突然大声で「母が癌だった…」と話す。東京で働いている男(息子)、広島にいる病気の母、母子家庭で頼る親戚はいない。その彼に向って母の介護は大切と諭すメンバー。「そんな事は解っている!」、しかし遠方・仕事・経済など八方塞がりの状況だから苦悩しているのだと。彼の状況には同情するが、解決策は見出せない。この時点で彼は自分の心情は解りっこないと拒絶している。

そのうち 別の話題へ移行し、<きく>について次から次に色々なアプローチをする。夫婦で行っているゲーム、長大な筒を耳に当てた何らかの競技など、雑然とした情景が繰り広げられる、といった印象である。この場面を煽るのが撮影しているスタッフ。実はキャストの1人になっているよう。そして照明とは別にキャストをスクリーンへ、更に角度を変え上手の壁にも映し出し 多くの人が存在しているような錯覚(混沌とした世界観)を演出する。場面によっては、キャストが1人ひとりバラバラに喋り 会話が成立しているのか否か。いや物語における会話ではなく、日常の雑踏の中で知らぬ者(同時に多人数)が勝手に喋っている光景か。その意味では舞台という虚構性ではなくリアルな現実世界を描いているのかも知れない(台本通りorアプローチか?)。

通底しているのは「母が癌だった」である。<きく>という行為の真剣度、それは意識的か無意識かといった違いで、大きく違うのだろう。親身になれなければ 実際は聞いていないに等しい。<きく>は<きかせる>と対になり、男が初めの段階で拒絶しているよう。だからこそ <きく>人たちの会話が漂流し始めるのではないだろうか、と勝手な解釈をしている。
次回公演も楽しみにしております。
キネカメモリア

キネカメモリア

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

面白かったです。

シャーク・アタック・トルネード・アフタートゥモロー

シャーク・アタック・トルネード・アフタートゥモロー

なかないで、毒きのこちゃん

ステージカフェ下北沢亭(東京都)

2024/06/18 (火) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/06/20 (木) 19:00

105分。休憩なし。

きく

きく

エンニュイ

アトリエ春風舎(東京都)

2024/06/18 (火) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

ひとこと、すごい!こんな舞台観たことない!傑作ですね。母親の告白があるまで「うわー、手抜きの舞台かな…」と思ったらそこから大化け。すべて計算されていると考えたらとんでもない舞台です。演出も演技も何もかも規格外です。これは観て損はないですね。お世辞抜きに度肝抜かれました。

キネカメモリア

キネカメモリア

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

昔の映画館はそれぞれ特長あって面白かったなぁと思い出しました。

キネカメモリア

キネカメモリア

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

面白い、お薦め。
映画愛に満ちた珠玉作。少しネタバレするが、古びた名画座といった場所。劇場内に入った瞬間、昔よく行った映画館の雰囲気で懐かしさが込み上げてくる。といってもまだ都内にある いくつかの名画座に行くことがあるが。

秋葉 舞滝子女史の演技は勿論、演出は実に巧い。特に照明の諧調によって 登場人物の心情や情景の変化を効果的に表現している。物語は滋味に溢れ、印象付けと余韻が見事。

劇中に出てくる映画に準えている様な物語。それは日常の暮らしを淡々と紡ぐ、しかし それだけに多くの人(生)に寄り添うようで、思わず共感してしまう。自分にとって、映画は娯楽であり学び でもあったような気がする。そんな懐古的な思いに浸った。
(上演時間1時間20分 途中休憩なし)6.21追記

ネタバレBOX

舞台美術は、地方都市の寂びれた映画館(扇野文化劇場)のロビーが舞台。正面に多くの映画(洋画)ポスターが貼られ、上手に売店カウンター、下手に演台のような捥ぎり場。その近くに入場料(大人1,000円、中高校生700円、60歳以上500円)が掲げられている。

劇中の台詞 「終わらない映画ってないかな? 映画は終わりがあるから映画なんだよ」は 映画に準えて人生を語るようなもの。2本立の映画を上演している古びた映画館、そこに毎日通ってくる常連客 戸田克子(秋葉 舞滝子サン)、そして最近同じように毎日通う女子高生 一ノ瀬沙織の映画愛。と言っても2人の感性や事情は異なる。一方 映画館を含む このあたり一帯が再開発される予定でデベロッパーも通い出した。ちょっとした事件といえば この立ち退き騒動ぐらいか。

克子の大学時代は学生運動が盛んで、自分と彼も運動に参加していた。しかし運動の方向性を巡ってグループ内の対立から彼を…。その彼と待ち合わせをして見ようとした映画が「さよならコロンバス」、しかし現在に至るまで見ていない。克子は、この映画を見るまでは(人生)先に進めない。この見ることの出来ない映画(存在)こそが この劇作を支えており、克子の心情の肝。映画の内容は、一ノ瀬家が一代で築いた成金という設定と同じ。映画の恋沙汰とは多少違うが、沙織を監視していた執事の橋田正孝が、映画館に通っているストリッパーの篠山ローザに惚れた。そして避妊を含めた下ネタは映画そのもの。貧富という格差恋愛に対する差別や偏見といった観点ではなく、何方かと言えば古びた映画やストリップという廃れつつある<文化>のようなものへのノスタルジー。その対となる例として、再開発ーアウトレットモールが絡んでくる。

現代の忙しない日常とかけ離れた空間と時間、昭和という時代の雰囲気が漂う中で、過去を引きずり愁いある人生を送る。最新の話題作ではなくリバイバル、そこに古き良き時代の郷愁が感じられる。それまでの映画は、非日常・虚構の世界が強く反映された内容。しかし本作で取り上げた映画は、 日常というあり触れた内容を撮るという、当時としては斬新なもの。今では、うらぶれているが 何故かホッとする。映画を見て心に残る…その映画のフィルムがたとえ失われても、見た人の心の中で残り(生き)続ける。人生も同様で、大切な人が亡くなっても その人のことを忘れなければ、心の中でずっと生き続けるのだと…。そう考えた時、「さよならコロンバス」がたいして面白くもなく、すぐ忘れることが出来るならば、克子は新しい人生を歩み出すことが出来るのだろうか。
次回公演も楽しみにしております。
キネカメモリア

キネカメモリア

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

お昼の回、観劇しました。80分は短いなぁ。
館長と克子さん、技師さんが映画によってつながっている感じが素敵でした。
久美ちゃんのキャラがキュートで、GOOD!
鉄平さんのちょっと距離をとってるのにしっかり見守っているところ、グッときました。
沙織ちゃんの英才教育受けてる感、さすがです。

学生運動の頃のアーティストたちの様子が語られるところ、善悪を100 or 0でしか考えられないところ、
今の世と同じじゃん、って。ちょっと考えさせられました・・・。

野がも

野がも

劇団俳優座

俳優座スタジオ(東京都)

2024/06/07 (金) ~ 2024/06/21 (金)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ヘンリック・イプセン、19世紀ノルウェーの劇作家。「近代演劇の父」と呼ばれたのはモラルや道徳的予定調和(所謂ビルドゥングスロマン〈教養物語〉)を無視し、現実に即したリアルな作劇を呈示したから。作家の意図が論議される作品の走り。何となく知っているような気がしていたが、多分初めて観た。
俳優座は2月の『スターリン』がつまらなくて足が遠のいていた。(自分の理解力にも問題があったようなので違う形でもう一度観てみたい気はするが)。

演出も俳優も最高の水準。
地元の名士、財を築いた実業家ホーコン・ヴェルレ(加藤佳男氏)の屋敷での晩餐会。小さな写真館を営むヤルマール・エクダル(斉藤淳氏)は一人場違いな場に招待されている。山の工場から16年振りに町に帰って来た息子グレーゲルス・ヴェルレ(志村史人氏)が友人として招待したのだ。グレーゲルスはヤルマールからいろいろと近況を聞いていく内にある疑念が生まれる。父は妊娠させた使用人ギーナ(清水直子さん)をヤルマールに押し付けたのではないか?更にヤルマールの父、エクダル元中尉(塩山誠司氏)はかつてヴェルレの事業の共同経営者だったが、国有林伐採の罪を一人被らされて投獄、出所後は酒浸りの廃人となってしまった。理想家グレーゲルスは唾棄すべき父に訣別を告げ、屋敷を出て行く。彼が向かう先はヤルマールの家。嘘と欺瞞に満ちた暮らしに正義の光を照らし、真実の生へと人々を導いてゆく事こそが己に課せられた使命だと信じていた。

凄くよく出来た喜劇。
劇団エース格の斉藤淳(あつし)氏は今作では若々しくオリラジ中田に見えた。終盤頬張るサンドウィッチがやたら美味そう。
加藤佳男氏は政界の大物風味。突っ立ってるだけで金が取れる。児玉誉士夫なんか演って貰いたい。
釜木美緒さんは29歳!マジで子役だと思っていた。

こんな古典を易々とこなす老舗プロ劇団の強み。古今東西、世界中のどんな戯曲でも美味しく調理してやんよ。
流石に面白かった。

ネタバレBOX

ヤルマールの写真館を兼ねた家では妻のギーナと14歳の娘のヘドウィク(釜木美緒さん)、父エクダル元中尉が共に暮らす。階下は二部屋、人に貸している。そして秘密の屋根裏部屋では、まるで“海底(うなぞこ)”のような深く暗い森を作っていた。鳩や兎が放され、水槽の池もある。誰も知らない一家だけの森。一番の自慢は野鴨。野生の真鴨が我等が森に棲んでいるのだ。一流のハンターとして輝かしき過去を持つエクダル元中尉は屋根裏でハンティングに励み己を鼓舞していた。
アヒル(家鴨)は真鴨を家禽化したもの。今作で屋根裏部屋で飼育しているものはアヒルではなく、野鴨であることを一家は誇りに思っている。

一家の生活はグレーゲルスが真実を告げて回ることで急変。生温い嘘で現実から目を逸らす偽りの暮らしよりも、残酷なる真実を直視せよ。ヤルマールのそれなりに満ち足りていた暮らしは一夜で引っ剥がされる。権力者に孕まされた嫁を宛てがわれてそいつの娘をいそいそと育てていた日々。嵌められて汚名を着せられた親父は慰謝料として毎月小遣いを貰って安酒を飲んでいる。自分を包んでいた優しい嘘や誤魔化しの幻想が剥げてそこに見えたものは己の醜さ。そしてそれでも尚何も出来ない無力さ。

グレーゲルスはヘドウィクをやたら煽る。父親への信頼回復の為に自分が最も大事にしているものを捧げよ、と。グレーゲルスは悪魔にしか見えない。敬虔なクリスチャンと共産主義者をカリカチュアライズしたキチガイにしか。全ての真実を受け入れた上で許し合い愛し合うことこそが真の人間の生である、みたいな与太話。
真実を知ったら人間はとても生きてはいけない。ゴータマ・シッダッタが説いた最初の真実は『一切皆苦』。この世には苦しみ以外は何も存在しないということ。

作品最大の謎はヘドウィクが何故、野鴨ではなく自分を撃ったのか?だ。大事にしていた野鴨を殺そうとしている自分自身に耐え切れなくなったのか?父親に自身の清冽な魂を証明する為に野鴨よりも自死を選んだのか?自分を殺すことでしか伝えられそうもない何かがあったのか?
多分正解はない。登場人物にも作者にも解らない。ただそういう出来事が起こったというだけ。

豪商だったがイプセンが7歳の時に破産した父、まさにエクダル元中尉のようになったらしい。ヘドヴィクはイプセンの妹と祖母の名前。イプセン自身、母の不倫の子だったのではないかという話もあるそうだ。16で家を出て二度と帰ることはなかったイプセン。チェーホフは今作に影響を受けて『かもめ』を書いたという、成程。更に想起されるのはテネシー・ウィリアムズの『ガラスの動物園』。あの屋根裏部屋の“海底”が一家にとって唯一の“世界”だったのか。

自分的にはこの終わり方は承服出来ない。理想と現実の境目を越えようとしたら死ぬしかないのか?演出、俳優は完璧だがイプセンの原作が中途半端。
キネカメモリア

キネカメモリア

SPIRAL MOON

「劇」小劇場(東京都)

2024/06/19 (水) ~ 2024/06/23 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

地方の古びた映画館を舞台にしたお話で、登場人物のクセは強めだけど、仕上がりは小品的味わい。壁に飾られたポスターは古い映画でもリバイバル時のものだったり、さほどレアなものはないものの、客席側にも同じくポスターが飾られている設定のようなので、もっと古いのはこちらの方が多いのかも。

ネタバレBOX

劇中で名前が出てくるあの映画のことを思い出してみると、下ネタ寄りのセリフとかも含め、舞台の内容に重なる部分もあるなあと。あと、客席によっては見えにくいけど、階段横に飾られているマルセル・カルネがいい感じ。
おちょこの傘持つメリー・ポピンズ

おちょこの傘持つメリー・ポピンズ

新宿梁山泊

新宿花園神社境内特設紫テント(東京都)

2024/06/15 (土) ~ 2024/06/25 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/06/19 (水) 19:00

座席1階

新宿梁山泊は今回、力が入っていた。熱量が違う。花園神社でのテント公演、原作者の唐十郎が亡くなった直後のタイミング、そして、中村勘九郎、豊川悦司、寺島しのぶ、六平直政、風間杜夫という豪華メンバー。超満席のテント内は開幕前から熱気にあふれていた。

唐十郎が状況劇場で展開したすさまじい妄想の舞台。今回の金守珍の演出は歌舞伎テイストで彩られ、昭和の芸能スキャンダルをおもしろおかしく表現し、そしてラストにはお約束の空中戦を用意した。その金守珍が、けがで降板して代役を立てるという衝撃の発表で開幕した。
豊川悦治の「檜垣」はとにかくかっこいい。中村勘九郎はさすがの立ち回り。長ぜりふも流れるようにきっちりこなす。一方で、せりふに詰まった風間杜夫は客席の拍手で立ち直るという場面も。寺島しのぶは単にセクシーなだけでなく、上下の声色を使い分けて「カナ」の七変化を展開し、客席を魅了した。花道を間近で走り抜ける寺島には鳥肌が立った。
チケットは発売直後から売り切れているそうだが、終幕後の役者紹介ではいつも通り「SNSなどで宣伝を」とやって客席を笑わせた。状況劇場で唐とアングラ舞台を作り上げてきた金守珍が梁山泊を引っ張っていっている限り、またこのような見事な舞台は再演されるだろうし、梁山泊の次の世代がまた違ったテイストで再現していくだろう。今回は、いつもの主役級の水嶋カンナなどが脇に回って盛り上げているところも希少だ。令和の時代に息づくアングラ劇を目撃すべきだ。

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