最新の観てきた!クチコミ一覧

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リチャード三世

リチャード三世

東京芸術劇場

東京芸術劇場 プレイハウス(東京都)

2017/10/17 (火) ~ 2017/10/30 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度

繰り返し演じられてきた作品をあえて上演しようとする時、何かしら新しいことをしなくてはと思うのは、演出家なら当然だと思う。
けれど、「新しいことをする」こと自体が目的化している作品は、観客の心に何も残さない。
『リチャード三世』の世界観をこう味あわせたい、という心意気はわかる。方向性も明確だ。斬新さも醸し出しているし、スタイリッシュでありながら、観る者の感性に意図的な「不快さ」を届けることには成功している。
だが、造り手の心が感じられないために、主軸がまったく見えてこない。
東京芸術劇場の大きな主宰公演であることで、多くの人達の期待を集めていたであろうに、個人的には失望させられた公演だった。

Musical  Collection 1 陽だまりに青

Musical Collection 1 陽だまりに青

Muse:Am

シアターシャイン(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

とても良かったです。ゴッホというと絵画しか思い当たりませんが
この作品はゴッホの生涯そして義理の妹ヨハンヌの作品です。
感慨深いと事がありましたが良い時間でした。
次回作も楽しみですね。ありがとうございます。

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

まるで大河ドラマを一気見したかのような感覚。

篤姫役の方が特に魅力的でした。

ネタバレBOX

権力闘争、対立から共闘、和解への話。
感動的。

前回公演で以蔵を演じた黒崎さんが表方を。
近くで見られたのもうれしかったなあ。
傘村裕丈を探している人を探しています

傘村裕丈を探している人を探しています

王様企画

表現者工房(大阪府)

2024/02/10 (土) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

満足度★★★

閉鎖的な漁村で起こった三人(男二人女一人 うちカップル有り)の乗った船の転覆で、女一人が生き残った話
探偵にまずは他の時点で依頼をして、依頼をした人物が犯人
次は上記転覆事件の真相解明を依頼する 容疑者は生き残った女性なんだが、展開としては…😞
結局、もゃっとして終了し後はお客様の想像力でか、台本を買ってくださいと…なんともスッキリしない…
不条理をパーパスとしている劇団であれば、犯人はきっと依頼者なんだろうけど…
この劇団はいつもこんな感じ…😞

W/E

W/E

壱劇屋

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2023/12/29 (金) ~ 2023/12/30 (土)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★★

配信大感謝です!!私の2023年を円満に終えることができてとっても嬉しかったです…!!
コメディな二人芝居と、ニアワードレスな殺陣芝居と、ラップとマイムの奇妙芝居と、三者三様で大満足しました。形態は全く異なるのに、底の方でなんとなく似通った部分があってそこも興味深かったです。
しばき棒を持って跳ね回る座長先生と、Xにて投稿された大阪のオープニングを踊る竹村さんもめちゃくちゃ好きなので、東西合同や東西クロスオーバーの機会がもっとありますように…!と願いつつ、告知されている東西それぞれの2024年スケジュールもとっても楽しみです!壱劇屋、大好き!

ミュージカル『狂炎ソナタ』

ミュージカル『狂炎ソナタ』

ミュージカル『狂炎ソナタ』製作委員会

ステラボール(Stellar Ball)(東京都)

2024/02/02 (金) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

“天才”という概念に縛られ、悩み苦しむ若い作曲家
そんな彼に追い打ちをかける容赦なき指導者
破滅へのカウントダウン、さすが韓国作品は人の業を魅せるのが巧く、グイグイ突き進むスリリングさが自国でヒットした理由なのだと思うけれど、もうひとつ
ミュージカル作品だということ
ストレートで演じられるよりもずっとドラマチックな仕上がりで怖いだけじゃない
本作は韓国の作品を日本の俳優さんが演じ、全て日本語に訳されての公演
琴線に触れる旋律と感情の入った台詞が融合することで如何に表現世界が拡がっていくのか実感できる公演でした

ネタバレBOX

バックの生演奏だけでなく役者さんまでもがピアノを
演技の中に演奏を取り入れる事ができるのはかなりの強味
良いシーンが生まれました

楽曲の良さを最大に引き出す為、歌唱力が増強されれば更に良かったと思います
時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

期待以上の内容でした。いつもの男性の熱いお芝居を残しつつ女性の華やかなお芝居。圧巻でした。2時間半超のお芝居なのにそれを感じさせない、内容と演技。言うことありません。内容はお芝居やドラマでも男性視点で描かれる史実を女性の視点で見事に表現されていて、新鮮でした。本当に素晴らしかったです。有意義な時間でした。ありがとうございました

う蝕

う蝕

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2024/02/10 (土) ~ 2024/03/03 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

開幕すると段ボールの荒野。近未来の話なのか、コノ島で起こっている「う蝕」。(う蝕とは虫歯のこと。虫歯の治療は抜くか削るかしかなく、感染した骨を治癒する方法はない)。
いきなり大地が底なし沼のようにズブズブと沈みゆく天災。土が腐り果てたのか?予測のつかない地盤沈下。船に乗って避難するよう政府は呼びかけるが、島に残ることを選択した者達の話。

た組。の『心臓が濡れる』やTRASHMASTERSの『オルタリティ』のように極限状況に放り込まれた人間達が見せるワンシチュエーションもの。
イキウメの『人魂を届けに』のように横山拓也版哲学談議を妄想したがそういうものでもなかった。雰囲気はMONOの『燕のいる駅』に近い。
能登半島地震の発生によって急遽変更された部分も多々あったという。大変だったろう。繊細な作り手である。

犠牲者の身元を遺体の歯型の照合にて確定させる作業。本土から歯科医師が招聘される。
主人公は坂東龍汰(りょうた)氏。中尾明慶っぽいキャラで博多大吉のようなツッコミ。横山拓也の戯曲には軽薄で軽口で能天気なアンちゃんがよく似合う。
眼鏡が印象的な近藤公園氏。何か岡本篤っぽさを感じた。
綱啓永(つなけいと)氏は金持ちのボンボンで世間知らず、ブランド物のスーツと靴で被災地に現れる。

コノ島に移住し、歯科医院を開業している現地の新納(にいろ)慎也氏。彼の集めたカルテのデータが重要に。
遺体を掘り出すには土木作業員と重機も必須。やっと現地に現れたのは汚れた作業着姿の役人、相島一之氏一人だけ。やたら名前の呼び名の濁音に拘る性格。
謎の白衣の男、正名僕蔵氏の姿も。佐高信(まこと)顔だよなあ。まさに官僚顔。

高台にあるのは沈丁花(じんちょうげ)の漢名である瑞香(ずいこう)から名前を取った瑞香院という神社。沈丁花の花言葉は「永遠」。一応、温泉も湧いている。かなり面白いので期待して大丈夫。
是非観に行って頂きたい。

ネタバレBOX

近くにあるカノ島は江戸時代で言えば島流しの流刑地。アルカトラズ刑務所を思わせる監獄島。設定が面白いのでこれを使っていろんな話が綴れそう。日本中が「う蝕」に蝕まれる中、何故か一人だけ生き残り続ける新納慎也氏とか。
時代絵巻AsH 其ノ拾七『暁月〜あかつき〜』

時代絵巻AsH 其ノ拾七『暁月〜あかつき〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/01 (木) ~ 2024/02/05 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

時代の中心ではないけれど、名前の知れてる岡田以蔵の物語
人間関係が面白かったです!
この頃の人たちはみんな、時代に翻弄されていますよね!?

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻AsH 華ノ壱『葵姫〜あふひ〜』

時代絵巻 AsH

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

9日18:30の公演を拝見させていただきました (^^)
150分程のじかんの長さを感じさせない、素晴らしい〜舞台でした👏👏👏👏👏
翌日におかわり観劇をしましたが、更に感動しウルウル (T ^ T)
女達の激動の幕末の戦い、素晴らしい〜感動を与えてくれる舞台デス❣️

やさしい猫【2月3日~7日公演中止】

やさしい猫【2月3日~7日公演中止】

劇団民藝

紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)

2024/02/03 (土) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/10 (土) 18:30

座席1階

直木賞作家中島京子の原作を舞台化。スリランカから日本に来た青年がボランティア現場で知り合ったシングルマザーと知り合い結婚するが、在留資格をめぐって理不尽な入管行政にほんろうされ、その不当さを裁判に訴える物語だ。

長編小説だが、恐らく原作にはできる限り忠実に戯曲化したものと思われる。15分の休憩を挟んで2時間半。テンポよく話が進んでいくのだが、ちょっと詰め込みすぎた感じもする。
入管行政の残酷さは劇作の大きなテーマだ。ちょうど1年くらい前に、トラッシュマスターズの中津留章仁も「入管収容所」で、働く職員の苦悩も含めて戯曲を作り、大きな反響があった。今回の民藝の舞台では、中心となるのが裁判の場面だ。休憩後の後半に時間を割いて鋭い会話劇が展開されるが、自分としてはこの裁判の場面をもっとじっくり見たかった。休憩なしの2時間くらいの長さで、今作の前半で描かれた部分を思い切って濃縮するという手もあったと思う。

シングルマザーの子役を演じた女性3人は、大人たちの演技を凌駕する勢いがあった。せりふ回しなども鍛えられていて、発音も明瞭。周囲がかすんでしまうような熱演でとてもよかった。

もはや外国人抜きでは成立しなくなっている日本社会。今作でも描かれていたが、その外国人をさげすむネット言論はまったく現実を見ていない。同じ人間として同じ国に住み、時には助け合っていきながら交流する世の中でないと、日本は世界から人権国家としては認めてもらえないだろう。このような芝居が何回も上演され、何が大切なのかを私たちに伝えてほしい。

Musical  Collection 1 陽だまりに青

Musical Collection 1 陽だまりに青

Muse:Am

シアターシャイン(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

華4つ☆

ネタバレBOX

 ホリゾントにスクリーン。板上、舞台美術の色彩は総て白で統一されており下手から上手迄3段に重ねられた平台。最上段が踊り場となっている。側壁を黒幕で覆い上・下共に観客席側に袖を作って出捌けに用いているが平台の観客席側も無論演技空間である。板上にはイーゼルに掛かったキャンバス他椅子などが配置され場面によって多少の移動が為される。下手、板と観客席の間にピアノかシンセ。生演奏である。生演奏の奏者も役者陣も一所懸命に作品にコミットして情感を盛り上げる努力をしているのが見えるが、ゴッホのような天才を描くにはもっと突き抜けた距離感が劇作家には欲しいとは感じた。情緒で追い掛け切れるものではないように思うのだ。何となればそれは普通の感性を持つ人々が天才を崇め自分達とは異なる崇敬の対象と為すからであり、西欧的文化の中で、天才と雖も東洋に於ける“空”の思考には行き着かない実存的孤独を浮き彫りにできるとは思えないからである。ゴッホ自身も悩む狂気とは、矢張り純粋に他者からの孤立を意味せざるを得ないと考えるからである。その孤立は、然も完璧でないことを天才自身が知っており、自らの解決策としては自死しか思い浮かばぬであろうからである。
 だが、旗揚げ公演で此処迄頑張ったことは評価したい。
天翔律 -てんしょうりつ-

天翔律 -てんしょうりつ-

演劇ユニット 金の蜥蜴

ブディストホール(東京都)

2024/01/31 (水) ~ 2024/02/04 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/02/02 (金) 14:00

能楽「富士太鼓」を基に大胆に脚色(推定)、原典には登場人物として現れない殺人事件の当事者二人を中心に据えて「楽人(がくにん)の性」「天才ゆえの悩み」を描く。
その語り口は「コロンボも古畑も出ない倒叙ミステリー」あるいは「船越英一郎が出ない2時間サスペンス」で、そのテの「あるある」満載で大変ワカり易い。そうして行き着くオチは大岡越前か一休さんかなのだがこれが原典準拠なのはオドロキ。
事の真相が描かれるクライマックスは天才二人のそれぞれの悩み(ひがみ?)が前面に押し出され悲劇性を増したりも。いやぁ、凡人で良かったぁ。(爆)
そんなこんなでこことしては異色作と言えるのではなかろうか?いつもとは違う面白さがあった。

兵卒タナカ

兵卒タナカ

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2024/02/03 (土) ~ 2024/02/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

普段の生活では経験できない時間を過ごすことができました。表面的なことだけを見て物事を判断してはいけない。その背景にあることを理解することで真実を語ることができるのだと感じました。役者さんに関しては、膨大な量のセリフを記憶することや、長時間演技することの体力はすごいことだと思いました。劇場もとても見やすかったです。また、役者さんでは瀬戸さんがなんとも言えない儚さを醸し出していて、また別のお芝居も見てみたくなりました。千秋楽までがんばってください。

岸辺のベストアルバム‼︎

岸辺のベストアルバム‼︎

コンプソンズ

小劇場B1(東京都)

2024/01/24 (水) ~ 2024/01/28 (日)公演終了

映像鑑賞

満足度★★★★

まずまずであった。
描かれた世界に作者が登場し、もう一人の作者が登場し、作中人物らも自分が物語中の人物だと気づいたり、動線を探り始めたり・・metaがこんぐらかって入り乱れて、絶叫シーンが増えてきて、といった割といつもの?コンプソンズ芝居であった印象だが、そうした物語構造を骨組みとして、その中を漂う人物による時に鋭く時代に斬り込む言葉や態度が、私には魅力である。昨年の舞台も映像鑑賞し、現代性を帯びて痛烈という記憶だけがある。今作はその印象に比べ薄味に思えたが、斬り込んだ箇所はあった。斬られてナンボな今の日本ゆえ、この演劇は正しく作られていると感じる。演劇への信頼が増す。

兵卒タナカ

兵卒タナカ

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2024/02/03 (土) ~ 2024/02/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

海外の作家による日本のしかも日本的なる核の部分に迫る戯曲を、以前読んでいたがこれをどう具現するかに大変関心があった。五戸演出という事で期待もあったが、戯曲に登場する人、事物は純日本製であるのに文体としてはドイツ人ゲオルグ・カイザーの思考が込められている。この両面性を、具象を一定程度削った抽象表現を用いる事で解消し、見事に舞台化した。日本土着の感覚を微かに嗅がせながらも、普遍的・汎用的で骨太なテキストに回収された「物語」は、もはや日本限定のそれでなく、日本の場所と時代設定を用いて国家と人間のあり方を描いた作品と言える。その一方で本作は日本という国に独自のメスで斬り込んだ作品、とも見える。どちらかと言えば後者として私は有難がりたい。
三幕はそれぞれ場所が異なり、三幕三様、展開と共に劇的でダイナミックである。時代はナレーションで確か大正何年、1920年代と認識した記憶。兵卒田中は同じ隊の友人和田と故郷へ帰還する。

小栗判官と照手姫

小栗判官と照手姫

Project Nyx

ザ・スズナリ(東京都)

2024/02/08 (木) ~ 2024/02/14 (水)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

全く予定に入れていなかったが(土壇場で変わる予感はややあったが..)、空いた時間枠にちょうどハマったので観に行った。満席情報は無かったのだが指定席エリアは見た所補助席を除いて満席。最後の一つに自分が収まったかのよう。スズナリの最後列に座るのは多分初めてだ。位置も良かったのだろう、眼前からステージまで視界が開けるようで大変見やすかった。ピンと張り詰めた台詞劇は間近で見たいが金守珍演出の明快なエンタメステージは俯瞰で見るのは悪くないと発見。
「さんせう太夫」に続く女歌舞伎もの第三弾という事だったが、前作に比べ今作はスッと入り込む所があった。前作は安寿と厨子王の姉弟が「悪者」によって母親と引き離されるが紆余曲折を経て遠い地で再会する物語(姉は亡くなっているが霊はそこに居て共に再会を喜んでいる図)。
今作は曇りない心で惹かれ合った聡明な男女(小栗と照手)が引き離され、一方は殺されるも墓穴から出てこの世ならぬ姿、他方は夫の死に随行すべしとの令に本人は従うも入水の際、同行した兄弟の義心により助けられ、人買いに売られる運命ながらしぶとく生き延びる。この二人が様々あって最後には再会を果たすという、ファンタジックなお話。
昔のお話は結末が決まっていてそこに至るまで障害を乗り越えて結末に達するという構図、明確な不幸とそれを潜った末の幸福の対照は、色的にも単調だ。が、このシンプルさ、即ち一人を思い続ける事、信念を貫く事が現代においては稀少であるゆえに、艱難に打ち克って思いを遂げる結末に胸を突かれる。
熊野へ達すれば男は元の姿を得る事を観客は知っており、その日は何時来るのかと成り行きを見守る。二人が全く別々の道を辿り、互いをそうと知らず(一方は自分の記憶も無い訳だが)同道する事となっても、困難は降りかかり、故あって生じる障害に阻まれる。そうしていつしか熊野に至った頃には男は連れ添う謎の女と離れがたい心持ちとなり、目的地への到着が恨めしい。女の方はこの世に残されながら仕える相手も居ない身を、せめてこの誰にも顧みられない腐臭漂う男の道行きを助ける事で人に捧げようとしている。そうした心の内をどちらからともなく打ち明ける事となった時、既に熊野の地にあった男が元の姿に戻る。スペクタクル・マジックをここで使うか、という所であるが、最後尾からは、ここで涙を拭う観客の動きが見える。静けさの中に二人が元あったまぶしい姿への感涙は年齢の為せる技だろうか。「あとは言えない、二人は若い~♪」

ネタバレBOX

なお今回ふと観たくなった理由はチラシに元唐ゼミ(昨年辞めてしまった)禿恵の名前を見た事。唐ゼミでの主演姿しか見ていない彼女が俳優としてどう舞台に映るのかが気になって仕方なくなった。舞台では女買いという男男した役柄で、メイクでは判別できなかったが身も軽くこなしていた。
流れゆく時の中に

流れゆく時の中に

新国立劇場演劇研修所

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2024/02/06 (火) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

テネシー・ウィリアムスの短編3本を合せてこのタイトルとした。幕間の前に二編、後半一編だったが、体調下げ気味で一作目の中盤で睡魔に。二作目の途中で覚醒。パンフの短いあらすじを読んで「そういう話だったの」と分かった位である。三作目は物書きを続けている(自分に重ねた?)青年が、父母も妹もいなくなった家をついに引き払う日、回想も交えて描いた家族の物語で、「ガラスの動物園」の風景が完全に重なる。若干エピソードは異なるが、父が既にいない事、母と妹という家族構成が同じ。妹は引き籠りではなくかつて水泳大会で優勝した栄光が霞む「都合のいい」女に成り下がる(二場面でその変貌が示される)。母は病気で、妹の事で心配をかけてはいけないと兄は気づかっている。父は小さい頃から家では一言も言葉を発しなかった。・・舞台上に飾られ、引越し屋が運び出して行く調度一つ一つに、そうした思い出を重ねる中、青年のイタリア人の友人が彼を連れ出そうと終始いて、青年の話に付き合ったり世間話に持ち込む。「一人にしてほしいと頼んでる」と言う青年に彼は出て行かない理由をやっと言う。「ここで人生を終わらせる気になるなよ」、だが青年はトランクとタイプライターを両手に抱え、何もなくなった部屋を一瞥して出て行く。
短編だけに人物は深く掘り下げた戯曲になっておらず(台詞で説明し切れていない)、従って若い俳優らは人物の深みをキャラを体現して表現する課題を担わされたようである。それならば米国作品でなく自国のものにしてはどうだったろうか。
昨年観た同じ17期生がやった原田ゆう作品(新美南吉伝)で見ているはずだが、今回俳優を見て「あの時の」とは思い出せなかった。あの時は生き生きとやっていたのが翻訳劇という事もあるだろうが作品が変ると随分変わる。俳優とは難しいもの。

夜は昼の母

夜は昼の母

風姿花伝プロデュース

シアター風姿花伝(東京都)

2024/02/02 (金) ~ 2024/02/29 (木)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

すげえ。3時間10分(「観たい」に書いた3時間40分は誤り)を終えた時の実感。ラーシュ・ノレーン作品でしか味わえない「人間」への深入り、これに迫った俳優(岡本健一が突出)には満腔の労いの拍手を送らねばならぬ。
「パサデナ」「終夜」は一夜(深夜)の劇であったが、今作も昼間を通過するとは言え陽光の遮蔽された家内での1日かそこらの劇。登場人物は父母と二人の兄弟(16歳の弟と何歳か上の兄)。正直な話、脚本としては難があると言える。作者が人物に光を当てる角度を後半付け加えている印象で、「説明」のためには必要だったのかも知れないが、劇的な時間の進行としてはギクシャク感がある。人物像の顕現を「謎解き」としたミステリーと見ると、次第に照準されてきた人物が、ふいに脇へズレる。作者は全てに照準を合せたかったのだろう。
だがこの家族のシチュエーションを克明に描く試みは果敢であり、人間の人格が家族との相互に影響し合って形成される側面と、生来の素質に拠る側面の区別し難しさ、責任の取りづらさ、即ち解決のし難さを浮き彫りにする。特異な人格として岡本演じるダヴィド、山崎演じる酒乱の父マッティン、那須演じる母性と女性性と冷淡さが変幻する母エーリン、堅山隼太演じる自立を模索する兄イェオリ。各々の人物の内的な一貫性が、身体感覚を通った台詞を通して体現されている(達成度はそれぞれだが)一方、家族が積み上げてきた時間の分だけ有機体として「見える」かと言えば、まだまだ、という所だろうか。(しかし家族を舞台とするノレーン作品の最大のネックであり演出・俳優にとっては超難題と言えるのではないか。だが作品はそこを要求している。)
公演終盤にどう見えているか、観てみたいが・・チケットは完売。
詳細後日。

Musical  Collection 1 陽だまりに青

Musical Collection 1 陽だまりに青

Muse:Am

シアターシャイン(東京都)

2024/02/09 (金) ~ 2024/02/11 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

ピアノ生演奏の中、3人で描かれたミュージカルでしたが、とても素敵でした。
登場人物それぞれの愛が感じられ、切なく感動でした。
ゴッホという偉大なる画家は、素晴らしい作品の数々を、心で描いていたんだなと感じさせられました。
良い舞台でした。

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