最新の観てきた!クチコミ一覧

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ふるさとの灯

ふるさとの灯

劇団カオス

大阪公立大学杉本キャンパス旧教養地区北食堂2階オアシス(大阪府)

2024/02/23 (金) ~ 2024/02/24 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

千秋楽観劇。
アットホームな民宿を舞台に、施設育ちの3人と、自分探しと訳有の宿泊客…
それぞれ親との関係に問題抱えながら真っ直ぐ生きようとする若者達に共感💓

泣いた💦ボロ泣きした😭
オリジナル脚本だったんですね。凄いです♪
終演後の卒業生と現役生の涙😭、卒業生、愛されてる💕
素晴らし卒業公演でした。卒業生の皆様、今までありがとう😆✨

御菓子司 亀屋権太楼

御菓子司 亀屋権太楼

MONO

扇町ミュージアムキューブ・CUBE01(大阪府)

2024/02/22 (木) ~ 2024/02/26 (月)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

経歴偽証疑惑の老舗和菓子屋、渦中の先代が亡くなり、心機一転CAME&GONEとして再出発するが…

兄弟、乗っ取り、コンプラ交え、部落問題の奥深さがじんわり後を引くように描かれてる。
MONOさんらしい、ペーソス😢とユーモア😆溢れる公演。
面白かった☺️

諜報員

諜報員

パラドックス定数

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/03/07 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

ゾルゲ事件に関連して逮捕された四人(一人はおとりで実は三人)のゾルゲ側諜報員が、お互い何も知らず(あるいは知らないふりをして)尋問に立ち向かったか、という話で、実話がベースになっているが、少人数の腹の探り合いドラマである。事件は複雑ではあるが、かなり事実もわかってきている歴史ものだ。それを背景に内閣情報部と特高警察の捜査の張り合いを枠にドラマが進んでいく。もちろん新聞記者や医者、官僚など、一応その時代でも身分保障されている諜報員は拷問しにくいし、なかなか組織の秘密は口にしない。内報者も潜入されている。ドラマはこういうシチュエーションで描く人間ドラマである。この手の作品を書いたらもうイギリスものの独壇場であるが、野木も懸命に追うが、かなり苦しい。
落とし穴は意外なところにある。細かく見てみたいところだが、その前に、この舞台斜めに組まれていて声が客席に向いていないだけでなく、ひそひそ声の台詞が多く、ことに幕開きの場はほとんど聞こえない。後ろから3列目でこちらも老年だから、申し訳ありませんというのはこちらかも知れないが、周囲の年配の方はすっかり諦めて寝落ちしていた方もいたから、こちらのせいばかりではない。次の場になると声量は上がる場もあって、以後は聞き取れる場と、聞き取りにくい場が交互にやってくる。話の背景はある程度知っているから訳がわからないわけではないが、舞台としてはどうだろう。
というわけでとても批評できるほどには見ていないのだが、老年の方は補聴器をお忘れなく。劇場パンフによると演出の野木は、普通の生活のようにと芝居がかる役者を憲明に抑えたと言うが、台詞が通るようにするのと、日常会話を表現するのとは、俳優の訓練術のテクニックである。折角面白い素材なのに残念。

アンドーラ

アンドーラ

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2024/03/11 (月) ~ 2024/03/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★


なじみのないスイスの作家の作品だが、著名な作品であるらしい。国家とそこに住む国民のすべての価値観や倫理観が同一であることは難しいもので、そこを統一させてドラマを作ろうとすれば無理が出てくる。スイスと言えばデュレンマットの「貴婦人の来訪」がよく上演されるが、それに似たタッチでもある。
きな臭い現状をみれば、永世中立国というのもウソっぽいよ、という作品はそれなりに意味はあるが、この程度のことはもう我が国の国民はご存じで、なにをいまさら、といった感じではないだろうか。休憩15分でほぼ、3時間、アトリエの椅子は苦行だが文学座の実力が良く出た寓話劇にはなっている。
作品の良いところは、あまり上部構造には立ち入らず、市井の市民を登場人物にしているところだ。国家が戦争をしようと言っても、国民の方は、さまざまな事情があるわけでそこが上手く描けている。役者も教師の主人公夫妻、阿呆の店の手伝い、神父、医者、宿の亭主など、皆ステレオタイプにひと味つけて役にしている。味のつけようもなかった武田知久とか、兵隊役の采澤靖起も舞台に出るとちゃんと役割を果たしている。この辺はさすが文学座。
疑問は主人公の兄妹をフィメールキャストでやっていることで、若手の女優さんは奮闘だが、意図がわからない。これでは大車輪の兄役かわいそう。
とはいっても、あまり見ていない新人の演出家(西本由香)はここまでベテランに個性をたてて役作ったのも、白一色の抽象舞台のステーよくできていて、文学座ガールズ(と言うにはベテランもいるが)演出家の一翼を担うだろうと楽しみだ.

いい旅、現実気分。

いい旅、現実気分。

人間嫌い

小劇場 楽園(東京都)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

面白かったです!!10周年です。ぜひ!!(帰ったら追記します)

初日だったので飛行機の到着が少し遅れてしまいました。技術的なこととのこと(リアルに飛行中だったら怖いですね)でしたが、かわいいCAのお姉さんの挨拶と説明でちっとも退屈しませんでした。
人間嫌いさんの作品は最近のものを2本見ただけですが、どこかに辛辣なところもあって普通(CMとか)なら「いい旅、夢気分」なのに「いい旅、現実気分」とは・・・(以下ネタバレ)

と言うわけでぜひご覧ください。10周年記念御朱印帳にスタンプをもらって複数集めるとプレゼントをもらえるようですよ!

ネタバレBOX

きっと夢気分ではいられないのねと思って見ていたら、のっけから旅のお宿ゲストハウスが期待通りではなかったようで、しかも車しか移動手段がないのに免許取ったよと言っていた1人の免許が実は原付の免許だった・・・と想定外がどんどん出て来て、やっぱりほろ苦く終わるのかしらと心配していたら全然そうではありませんでした。
旅先でいろんな体験をして自分の世界が広がったり、自分が思っているのとは違う解釈に気づいたり、いろんな生き方を知ることができたり、夢気分でもあり、現実気分でもあり。おばさんも若い頃にもっと旅すれば良かったわ(笑)
ロウバジェットRev3

ロウバジェットRev3

Dotoo!

駅前劇場(東京都)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/13 (水) 19:00

ベテラン劇団だが見るのは2作目。とても面白く、いい話。122分。
 Rev3とあるように、2005年に初演、2012年に再演されている作品の三演だが、見るのは初めて。低予算の映画撮影現場のスタッフルームが舞台。さまざまなクセのあるスタッフや役者陣が見せるドタバタが、あるピンチに出会って…、という物語。よく練られた展開と、細かいギャグが面白いのだけれど、終盤の展開が見事で面白かった。
 実は私と同じ「joの一族」である仗桐安が久々に舞台に立つので観に行ったのだが、しっかり演じて、しかもちょっとツライ場面があるのだが、大丈夫ということだった。面白かった。
 「見させてもらう」「見させてください」というセリフがあったが、「見せてもらう」「見せてください」じゃないかな。

雨降りのヌエ

雨降りのヌエ

コトリ会議

扇町ミュージアムキューブ・CUBE05(大阪府)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/12 (火) 19:30

価格3,000円

5つの短編エピソードのうち「第形話」と「第糸話」を鑑賞。
特に「第糸話」は、初めてピタゴラスイッチを見たときのような静かな衝撃を受けました。
パンフレットに「人形劇」とは書いてありますが、さすがコトリ会議、ただの人形劇のはずがありません。
最初は一部音声は録音したものを使っているかと思いましたが、途中とちりのような感じがあり、終わった後に尋ねると「全て生」だったとのこと。
コトリ会議の「陽」の部分が全開の楽しい舞台でした。

ネタバレBOX

「第形話」は花屋敷鴨さんと原竹志さんの演技合戦。隣り合って座り目を合わすこと無く、ダイアローグというよりはモノローグで静かに殴り合い、実際にも殴り合う(いや一方的に殴る)とんでもない30分でした。
諜報員

諜報員

パラドックス定数

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2024/03/07 (木) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★

期待の劇作家・演出家による、ゾルゲ事件の劇化だったが、不完全燃焼に終わった。ゾルゲや尾崎など、直接の当事者でなく、事件を末端で協力していた(らしい)4人の男と、それを取り調べる2人の男。終始暗い舞台で、腹の探り合いのようなやり取りが多い。思想犯なのに、独房でなく、簡易ベッド付き(!)の隔離部屋。ベッドを使う回想場面の為にこういう作りにしたのだろうが、戦前の拘留施設にベッドはおかしい。そこは作者も分かっていて、特高を快くなく思っている憲兵隊が貸してくれた傷病兵の隔離部屋、ということになっている。なんと回りくどい。

警察の一部が、特高に反発し、対抗して取り調べるという設定も違和感が大きい。自宅や職場で逮捕した人間の顔と名前が一致しないというのも、ありそうにない。
アカの動向を探るためにキリスト教会に潜伏という設定も首をかしげる。戦前戦中、共産主義者は宗教を嫌い、普通は教会にいったりしない(と思う)。

一番の問題は、ゾルゲ事件の本体がよくわからないうえに、登場人物たちのゾルゲ一団での役割もほのめかし程度でぼんやりしていること。事件は共産主義を信じる者たちが、ソ連防衛のために結束したスパイ活動だったし、尾崎は戦争回避も願っていたと思う。にもかかわらず、木下順二がゾルゲ事件を描いた「オットーと呼ばれた日本人」のような思想的葛藤や強い信念がないのも残念。

ネタバレBOX

紺野幹郎(小野ゆたか)=内閣調査室勤務。尾崎らの情報のやり取りに、職場の机の引き出しを提供していた。宮城与徳と語り合う回想がある。
早川恭一(植村宏司)=安田(徳太郎)医院の勤務医。もちろん架空の人物。ゾルゲにあったことがあるが、スパイ活動とは関係ない。
芝山英晶(西原誠吾)=「早川」を名乗って、取り調べを受けたりする。なかなか仕事・名前を明かさない。朝日新聞記者。尾崎と面識がある。警察が室内に「ノート」を置いていけば、ブンヤの性分で、書かずにはいられないだろうと策略する。案の定、芝山が書き始めるが、無警戒を通り過ぎて荒唐無稽である。
立原寅生(井内勇希)=教会の牧師、実は志願して潜入した警官。
六鹿晃(横道毅)=背の高い刑事。冷静で常識人であり、特高への対抗心に燃える若尾をいさめる役。
若尾義彦(神農直隆)=大柄な刑事。短期でいらち。早川の片目をつぶしかねない拷問を加える。
戻り道に惑う

戻り道に惑う

劇団太陽族

ウイングフィールド(大阪府)

2024/03/13 (水) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

満足度★★★★

親に恵まれなかった家出した少女(中学生 役者はちょっと無理あったけど)を匿ったことで、未成年者略取及び誘拐罪で実刑を受けた男の話 男は過去にも轢き逃げで務所に入っていたことも… 務所では模範生で刑が短くなったものの、男の家族や兄妹は崩壊に…田舎独特のめんどくさい繋がり 少女は大学を卒業して何かを求める為にその男のところに戻ってくるのだが…
不条理であり、観る人の育った環境や場所によっては❓❓となるのかな
何かやるせない感が残った作品であった

「春さんの お~い、紙芝居屋さんだよ!」

「春さんの お~い、紙芝居屋さんだよ!」

辻シアター

川崎市多摩市民館(神奈川県)

2024/03/09 (土) ~ 2024/03/09 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★

ちょいハコが大き過ぎたかしらね
と感じた芝居でした
場面とかの転換も
工夫は凝らしていたが
いろいろと
今ひとつだったかなぁと思えた
約80分の作品

弾倉に薔薇を込めて

弾倉に薔薇を込めて

K-FARCE

萬劇場(東京都)

2024/03/06 (水) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

鑑賞日2024/03/10 (日) 12:00

あらすじから、「ルパン三世かゴルゴ13のような怪盗もののサスペンス系の内容か?」と、一見思わせておいて、いざ見てみたら、「とあるビルの屋上を舞台にした、曲者同士のお笑いギャグコメディ」というオチの内容で、ボケ・ツッコミの類が豊富な印象…。

ネタバレBOX

前説から、「NO MORE 演劇泥棒」との台詞が出てきたり、Vtuberの海帝輝(みかどてる)さんが、人間体を現して怪盗スパンコール役を顔出しで演じたり…と、カオス度の高さが目立ち、
極め付けは、針谷早織さんの演ずる、自称「変態強盗」こと香呂が、劇中、突然にタコ踊りで笑わせる場面もあり、ギャグコメディとしては、なかなかの出来。
クチナシと翁

クチナシと翁

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/03/08 (金) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

劇場の有終の美を飾るべく皆が思いを籠めて芝居を創り上げているかのような「夢想」をしてしまうのは已むを得ぬこととして・・、津軽弁炸裂の完成度高い「現代口語演劇」である。心地が良く、ドラマも情緒も詰まっており、魅力的な役者が粒ぞろいでもあり、幸せな時間であった。

ご長寿ねばねばランド

ご長寿ねばねばランド

劇団扉座

すみだパークシアター倉(東京都)

2024/02/29 (木) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

「リボンの騎士」など一度観てみたい演目を結構やってる若手のサテライトは未だまみえず、今回「大人サテライト」第一回を恐る恐る観に行った。演目は十数年前に初演して以来、この座組にて二度目の上演との事。Bチームを観る。年寄りばかり、とよく見れば、老けメイクをやってたり「そのまま」だったり。前説そして開幕から中々の「実力」を見せつけられ(いや皮肉、失敬)、この先2時間大変だと思いつつも、程よく情報が提供され、散らされ、あの人とあの人がああで、こう関係して、、と横内戯曲の淡々と話を進める手際に乗せられつつ、具象たちはぎっこんばったんとやっているので半分耳だけ貸して言葉を脳内解析していく塩梅で観劇時間が進む。おやおや、と関心し始める。こりゃ無理があるなと頭の中で呟きながらも、役者の演技も苦より楽しさが勝って来る。飾らずさらけ出された身体の強さが、フィクションの中に次第に座を占めて来る。ふと漏れた言葉に、胸がざわつく。慌てて押えたものの間に合わず、涙が溢れている。
終盤近くでいきなりファンタジーが混じる。80代から100歳代までという登場人物の年齢設定もおかしいが、実際にそういう光景は無いとも言えない時代でもある。荒唐無稽も交えた話の中、老いの孤独、無念で無残な人生の境地が、ファンタジーの垣根の向こうに微かに覗く。孤独が年齢を限定しない人生の問題だと気づく。
先日観た同作者の「ジプシー」にもあった人生そして少しだけ社会・世界に触れる素朴なテーマが、今作にも流れていた。手作り感満載なセットと、俳優たちの「元気さ」が妙味。

アンドーラ

アンドーラ

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2024/03/11 (月) ~ 2024/03/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

久々に人間の怖さと愚劣さを突き付ける、社会派ポリティカルドラマを見た。一種の寓話なのに、ひりひりするようなアクチュアリティーがある。「永世中立」を標榜して、ナチスドイツのホロコーストを黙認した祖国スイスに対する、峻厳たる告発状である。
架空の小国アンドーラの市民たちのユダヤ嫌い・偏見から始まるが、ユダヤ人が身近でない日本人として最初はピンと来ない感じもある(朝鮮人に置き換えると、面白い翻案劇になりそうだ)。息子アンドリ(小石川桃子=臆病な自尊心を好演)は実はユダヤ人ではなく、父(沢田冬樹)の不倫で生まれた隠し子だった。その事実は早くからほのめかされるのに、父は煮え切らず、なかなか本人に伝えない。このじらしには、じれったいとともに感情がざわざわしてくる。
しかも、ユダヤ人迫害を避けるため、事実を周りが一生懸命説得するようになっても、アンドリは「僕はユダヤ人だ。今度はあなたたちの番だ…ユダヤ人をを受け入れる」とはねつける。「第二の性」ではないが、人はユダヤ人に生まれるのではなく、ユダヤ人に作り上げられるのだ。自分をユダヤ人にこしらえあげた人間にとって、それはもはや血の問題ではない。人間のアイデンティティとは、共同幻想であることを突き付けてくる。
「黒い国」は「黒い森」が広がるドイツを示唆しているし、「白い壁」はスイスのアルプスの山々を連想させる。
アンドリをユダヤ人と決めつけ、石を投げた容疑をかぶせた男が、戦後は「私のせいじゃない。残虐な行為には反対です」と、すべてを忘れたかのように言う。
冒頭で壁を白く塗っていた妹バブリーン(渡邊真砂珠=狂乱を好演)が、再び「白く塗る」意味は、かつての罪を隠蔽する卑屈な市民に対する皮肉であり、告発である。

アカデミー賞国際長編賞を受賞した「関心領域」は、アウシュビッツ収容所の隣で暮らすドイツ人たちの楽しく平穏な日常を描いて、現代の私たちの「無作為」「無関心」の罪をついた。「アンドーラ」も同じである。

メディア/イアソン

メディア/イアソン

世田谷パブリックシアター

世田谷パブリックシアター(東京都)

2024/03/12 (火) ~ 2024/03/31 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

「オイディプス」などより知名度は劣る話だが、常軌を逸した怨念と血まみれの復讐で、ギリシア悲劇のすさまじさを堪能した。前半のギリシアのイアソンが「金羊皮」を獲るために東の最果ての国で冒険し、王女メディアと恋する話は、どうってことはない。獰猛な牡牛を手名付け、巨人を倒し、金羊皮を守る大蛇をメディアが子守唄で眠らせというあたりは獅子舞のような牡牛や、長崎くんちのような大蛇など見て楽しめる。

逃げる二人が、父王の追っ手をかわすために、メディアが自分の弟を切り刻んで海にまく。彼女の尋常ならざる性格が垣間見え、これが後半の「悲劇」の予告となる。

後半、新しい女を作ったイアソンに対するメディアの怒りと復讐のすさまじさ。奸計に落とすための偽りの和解の演技も含め、まさに鬼気せまる迫力で、圧倒された。こんな南沢奈央は見たことがない。女優として大きな飛躍を遂げたと思う。その点では、井上芳雄も食われそうだった。しかし、井上も負けてはおらず、いつもの甘い歌声とは別人の、野太い声で南沢と渡り合う。

とにかく後半は圧巻の舞台。さかまく波の山と谷を、いくつも超えていく長旅のような話なのに、終わってみれば2時間ぴったりと、濃縮した時間だった。

芸術家ノア=ミ・ザによるいくつかの思考実験

芸術家ノア=ミ・ザによるいくつかの思考実験

るるいえのはこにわ

in→dependent theatre 1st(大阪府)

2024/03/12 (火) ~ 2024/03/12 (火)公演終了

満足度★★★

仕方がないけど…😓ちょっとひどかった 内容はそれなりだったけど、セリフが…以外と止めた方が良かったかも タダできないよね

音楽劇 『母さん』

音楽劇 『母さん』

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2024/03/08 (金) ~ 2024/03/10 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

『この世界の片隅に』のオープニングテーマ曲『悲しくてやりきれない』。コトリンゴの囁くような呟くような声が世界の心象風景の彩りとして流れる。涙が出る程悲しくて美しい世界。この曲を作ったのは当時ザ・フォーク・クルセダーズだった加藤和彦。2枚目のシングル、『イムジン河』が朝鮮総連の抗議によって発売日直前に中止、回収となる。ニッポン放送の重役・石田達郎に呼び出された加藤(当時二十歳)はそのまま社長室に監禁されて3時間で新曲を作らされた。3時間後、タクシーで石田とサトウハチローの自宅に向かう。(行ったのは高崎一郎説もある)。特に打ち合わせもなく、簡単な挨拶だけでその場は終わる。一週間後、サトウハチローの歌詞が上がってくる。期待した割には何かパッとしない詞で皆違和感を感じたという。だがレコーディングが始まるとハッとする。ぼんやりとした情景と独り言のような呟きだけで、後は全て曲に語らせている。メロディーが連想させる無限の世界への誘い水に徹しているような言葉の連なり。まさに天才の仕事。

今作はその国民詩人、サトウハチローを次女が追憶する流れ。
サトウハチロー役は阿部裕(ゆたか)氏。どことなく鴈龍太郎を思わせる。口髭と顎髭を輪ゴム付きのメイクで装着。珍しい方法。
次女と母親役を兼ねるのは土居裕子さん。左幸子と高橋真麻を足したような魅力。文学性と大衆的明るさ。
息子役と若きサトウハチロー役を兼ねる町屋圭祐氏も凄腕。42歳とは!?ちょっと出だしは子役かと思った程。

父親である佐藤紅緑(こうろく)役は福沢良一氏。
佐藤紅緑は雑誌『少年倶楽部』を絶頂期に導いた『あゝ玉杯に花うけて』の作者。それは昭和初期の子供達に多大な影響を与えたスポーツ文学の始祖的な作品だった。後に『週刊少年マガジン』の編集長・内田勝は梶原一騎にこう頼む。「梶原さん、『マガジン』の佐藤紅緑になって下さい!」小説家志望で漫画原作者を続けることに気乗りのしなかった梶原一騎の目の色が変わる。「内田さん、分かった。自分が秘かに敬愛していた紅緑にあやかり、漫画を男一生の晴れの舞台と心得て根の続く限りやらせて貰います。」そこで書き始めたのが『巨人の星』。梶原一騎はサトウハチローにライバル心を抱いていたのでは?、と自分は思っている。

佐藤紅緑の弟子である詩人・福士幸次郎役は浅野雅博氏。
1918年、小笠原の父島にある感化院(非行少年を教育する福祉施設)に送られることとなった不良少年サトウハチロー、15歳。それを不憫に思った福士幸次郎が島の一軒家を借りて二人で暮らすこととなる。
サトウハチローの姉役は仲本詩菜(しいな)さん。結核で吐血、若くして亡くなる。その鮮烈な真っ赤な血こそが後の『リンゴの唄』となる。『うれしいひなまつり』も彼女への歌。
弟の節(たかし)役は佐藤礼菜さん。広島の原爆で亡くなった。サトウハチローは被災地で弟の痕跡を探す。探しても探しても遺体どころか遺品一つ見付けることは出来なかった。何一つ見付けることは出来なかった。この体験が『長崎の鐘』となる。
女中のヨネ役は小暮智美さん。「俺の初めての女」とサトウハチローは嘯く。

作曲家新垣雄(あらかきかつし)氏の奏でるピアノの旋律と植村薫さんの震わせるヴァイオリンの音色が美しい。オリジナルでサトウハチローの詩に曲を付けコロスの合唱が始まる。凄く楽曲が良い。新垣雄氏は気になる。歌唱力で選んだのであろう、配役も素晴らしい。『雪女』が凄く好き。

土居裕子さんは凄い。ずっと観ていたい。
スタンディング・オベーションも納得。母親への想いを愛憎アンビヴァレンツに奏でる。それが本当なのだろう。愛と憎しみは編まれた組紐、同じ場所にある。

ネタバレBOX

1921年、サトウハチローは浅草・根岸興業部に雇われ、浅草オペラの隆盛を体感。このシーンが狂っている。
『デルタは踊る−礼儀正しくするなかれ より−』を踊り子の仲本詩菜さん、佐藤礼菜さん、小暮智美さんがエロティックにたっぷり踊る。そして支配人の福沢良一氏も。余りにも力を入れているシーンなので観客も動揺。驚いた。

1924年、母はるは亡くなる。

凄く練られている構成。父の正体が詩人を演じる俗物であることを糾弾する息子。「何が母の愛だ、酔っ払って葬式の場もメチャクチャにしやがったくせに、世間への人気取りで嘘ばかり並べ立てやがって。」
その息子の言葉が本当であると認めるサトウハチロー。「俺は嘘ばかり並べ立てる、上辺だけの商売人だ。人の心のない売文家、恥知らずの似非文化人だ。母のことも禄に愛してはいなかった。」
だが今までこの舞台(サトウハチローの心象風景)を彩った登場人物達が総出で「それは違う」と反論する。自分の心の中の葛藤を見事に表現。断罪する自分と否定する自分。

『山の墓場』はAメロがオフコースの『言葉にできない』っぽい。
クチナシと翁

クチナシと翁

ホエイ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2024/03/08 (金) ~ 2024/03/17 (日)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

鑑賞日2024/03/11 (月) 19:00

ベテラン劇団だが個人的には3作目。津軽弁炸裂の人間劇。(2分押し)92分。
 高齢化が進む津軽の町。同じ名字の人々が行き交う中での、これといった鮮烈な出来事は起こらないけど(葬式とかはあるが)、日常を丁寧に紡いで、独特の感情が起こる。それぞれの立場でそれぞれの生き方をしている人々を秀逸に描く。冒頭から津軽弁満載だが、それにも意味があるのがスゴイ。演じる役者陣もなかなかに見事。

千と千尋の神隠し

千と千尋の神隠し

東宝

帝国劇場(東京都)

2024/03/11 (月) ~ 2024/03/30 (土)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★

2年ぶり2度目の観劇。宮崎駿のちょっと変な映画を、人力とパペットで徹底的に舞台に再現する(映像の使用は冒頭の森と、銭婆のもとへいく電車が通る海のみ)、その正攻法はやはり称賛されるべきだろう。元が映画なので、セリフでの表現が少ない分、音楽が感情や状況を示すために大きな役割を果たす。全編に音楽が鳴っていると言っていい。すべて生のオーケストラの演奏。カーテンコールでオーケストラが舞台背後にいるとわかって、ぜいたくなつくりにびっくりした。

豚になった両親の話は、映画では途中で振り返らないと思ったが、舞台では2度、豚舎へ行く場面と、夢とで出てくる。そこが大きな違いのように思うが、映画もあったかもしれない。
千尋とハクが手をつないで、名前を取り戻す場面は、映画そのものだのだが、舞台で見てもよかった。
テーマパークのような、おもちゃ箱をひっくり返したような舞台なので、俳優の演技がどうこうということはあまりないのだが、そのなかで朴路美の湯婆婆の迫力あるドスのきいた声と、坊を猫かわいがりする甘えた声は素晴らしかった。

3月11日の初日は、くしくも宮崎駿が「君たちはどう生きるか」でアカデミー賞を受賞した日と重なった。

ネタバレBOX

ロンドンの大劇場で、日本キャストで(つまり日本語で)1ヶ月も講演するというのは、日本演劇史上初めてではないだろうか。宮崎アニメの海外での人気があったればこその快挙である。少女の成長物語、ボーイ・ミーツ・ガールというベースがあり、無秩序な開発、河川の汚染への批判、拝金主義への批判が土台を支えている。そのうえで、異形の神様や竜や魔女やを、見て楽しめるエンターテインメント。世界に通用する日本発のコンテンツとして、今後各国に持っていくまでに成功してほしい。
アンドーラ

アンドーラ

文学座

文学座アトリエ(東京都)

2024/03/11 (月) ~ 2024/03/26 (火)公演終了

実演鑑賞

満足度★★★★★

よくこんなすごい作品を見つけてきたものだ。ずいぶん前に書かれた作品のようだが、緊張が張り詰めた重く悲劇的な物語であるとともに普遍的な内容で、今の日本や私たち自身を見せられている気分になる。自分は何なのかのアイデンティティーがどのように形成されるかの問題や「白く塗る」「世界から愛される平和な国の人々」など興味深いメタファーも盛り込まれ、内容が濃い。主役の若者を女優が演じているのも見事に当てはまっている。

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