ドロシーの帰還 公演情報 空想組曲「ドロシーの帰還」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    いい話だなぁ。
    「オズの魔法使い」の作家、高峰ドロシーを主軸に彼女に影響を受けて作家や漫画家になろうとしている人たちの現在を描いた作品。セットが斬新で美しい。まさに童話の世界そのもの。物語は解りやすく終盤にはホロリさせる展開があり、ワタクシの観た回はすすり泣きをしている観客がいらした。ワタクシもホロリ・・。

    ネタバレBOX

    もっと勇気が欲しいと願うライオン。脳が欲しいという案山子。心が欲しいというブリキ。不条理感を漂わせながら読者を釘付けにする名作「オズの魔法使い」の物語から入る舞台は彼らが「足りないもの」を要求する代わりに、オズは彼らに覚悟や自覚を問う。悪魔や死神がよく使う「お前の望みをかなえてやろう。その代わりお前の魂を頂くよ。」みたいな交換条件だ。

    そしてこれを書いている作家・高峰ドロシーは延々と物語を書き続けているが彼女の小説を読んで、模倣犯が現われ現実の世界で多くの人が殺されたり、自殺者が出てマスコミに叩かれる。一方で高峰の本に刺激されて作家になりたいという輩も出てくる。

    いつの世も人間が受ける影響は受ける側によって悪にも善にもなるのだ。事件があった以降の高峰の苦悩と高峰の父、高峰に原稿を書かせるためにあらゆる手段を厭わない出版者担当、高峰を崇拝し作家を志す4人を絡ませながら、終盤は希望に導いていく舞台だった。

    素敵な物語だ。高峰と父の和解はやはり泣き所だ。オズと父親役のキャスト・中田顕史郎の豹変ぶりが観もの。役者とはつくづく素晴らしい職業だと感心する。そして童話の中のキャラクターとして登場するドロシー(小野川晶)があまりにも可愛いらしい。絵本の中から飛び出してきたようなキャラだ。

    独特の「オズの魔法使い」と現実の世界を交錯させ一つの物語として立ち上げた構成も素晴らしい。

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    2011/02/25 12:23

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