コラボレーション 公演情報 加藤健一事務所「コラボレーション」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    時代に抗いつつ、生きることの苦しさ
    それが、静謐に胸に迫る佳作舞台でした。

    いつも、感じることですが、鵜山さんの演出は、それがどんな国のどんな時代の、どんな分野の話であろうとも、時代や国籍を超越した、普遍性のある作品に変換させて、観客に提示する力がお見事だと、感心します。

    今回のこの舞台もまさにそうでした。

    ナチスの圧政や、それに纏わる、人物の動向をあまり知らない人間が観ても、きちんと、この作品のテーマが伝播する舞台構成になっています。

    この作品の主人公である、リヒャルト・シュトラウスと、彼のオペラの脚本を手掛けたシュテファン・ツウ゛ァイクの、二人の人物の、時代に翻弄される苦悩は、いつ如何なる時代に生きる人の胸にも、共感を持って、心を揺さぶる舞台力がありました。

    加藤さんももちろんですが、ツウ゛ィク役の福井さんが、とても好演されていました。
    ナチスの党員役の加藤さんのご子息の義宗さんは、いつの間にか素敵な役者さんに成長されていました。彼の10代の時の初舞台も拝見していますが、年月が経って、口跡も、立ち姿も、役者さんらしくなられて、嬉しく拝見しました。

    加藤さんと、紀伊国屋ホール、あー、ずいぶん昔、ここで「熱海殺人事件」を、狭い通路に座って、夢中で観劇したことを、懐かしく思い出しました。
    あの頃の、演劇界は、何もかも素敵だったなあと、感慨深い想いがしました。

    ネタバレBOX

    年月と場所が、暗転もなく、瞬時に変わって行くのは、この舞台の性質上、あまり芳しくない気が最初はしましたが、それも、役者さんの熱演で、さして気にならなくなりました。

    ただ、一度だけ、実際のニュース映像が流れる部分は、ない方が良い気がしました。実際に存在した人物の、歴史上の実話に基づいたストーリーではあったとしても、ここで描かれているのは、あくまでも、時代に翻弄させる芸術家の側面として、例示されているタイプの芝居だと感じたので、特定の映像は使用しない方が、普遍性のある作品に、よりなったのではと感じました。

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    2011/02/22 19:57

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