第46回関東高等学校演劇研究大会-さいたま会場- 公演情報 関東高等学校演劇協議会「第46回関東高等学校演劇研究大会-さいたま会場-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    埼玉県立秩父農工科学高等学校「少年神社」
    「劇団桟敷童子」のような世界観。こう書けば小劇団マニアの方たちには解ると思う。セットは神社とおみくじ箱と鳥居。これだけで土着的な情景を空想できるってもんだ。更に序盤から他校を圧倒的に平伏させるような摩訶不思議な光景が目に焼き付く。照明が特に素晴らしい。観客をあっと言うまにその世界に吸引しねじ伏せるような力のある演出だ。瞬間、「やるな。」と期待に胸膨らませてドキドキしてしまう。音響、大道具、小道具、あの世とこの世の狭間で織り成す不思議色ロマンな演出、構成、キャラクターの立ち上がり、衣装、メイク・・それらはまさに独特なあっちの世界のようで完璧だった。さらに童の歌う歌、踊りはこれに調和し融合し「精一杯生きる」という言霊のようなバイブルを突きつけた舞台だった。あまりにも素晴らしく秀逸な舞台に鳥肌が立ったほど。

    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    村に祭られた氏神様の周りで遊ぶ黄泉の国の狭間からやってきた子供たち。それは現在大人になった彼らの過去の光景だ。過去の4人と、血のように紅く染まった唇に白い肌を持つソラと、大人になった4人が交錯する物語。

    狭間の子供たちも大人も白い狐のお面を腰にぶら下げている。この小道具が終盤、ライトアップされて黄泉の国の情景を幻想的に塗り替え美しい幕引となる。

    狭間の子供たちはソラを交えて仲良く遊んでいたがソラは突然居なくなってしまう。残された4人はソラが最後に言った言葉「5110日後に逢おう」という言葉を信じて大人にななったものの、なんだか現実を受け入れられない彼らが居た。現実って厳しいな。他人と関わらなければ自分自身が傷つかなくて済む。現実に押しつぶされる前に自分から逃避しよう。なんて考えワタルは神社に居座って大学にも行かない日々が続いた。

    そんな折、土地にまつわる伝説は14年に一回ずつやってくると言われそれが今年、ソラが居なくなってから5110日目だった。チーーーん・・鈴の音が鳴り響く度にあの世から子供たちはやってくる。そうして人形を抱えたお婆もやってくる。人形はソラの身代わりだ。お婆はソラが死んでから、その現実を受け入れがたく人形をソラと思い込んでいたのだった。

    ソラはお婆や大人になった4人を勇気づけ生きるという現実を受け入れられるように・・とやってきたのだ。かつてソラが友の為に血液を提供し死んでいったその血は友の中で生き、流れていた。なのに友は生きていても死んでいるようなさまだ。「せっかく赤い血が流れていても君はいったい誰なんだい?」と白いソラが吐くセリフが静かに響く。
    そして、ソラはお婆に「大丈夫だよ。この子は氏神になってこの村を守っているよ。」と囁くのだった。

    過去の自分と向き合う今の彼らが対峙する描写が絶妙だった。物語にインパクトを与える為に響かせる鈴の音、子共らが遊びに興じる光景、神隠しの伝説、ソラと子供たちのキャラクターは観客を充分に魅了し、終焉後の拍手喝采とざわめきは確実に優勝を予感するものだった。

    生徒らの演技力、堂々とした佇まいは幻想的な世界観の中にひょこりと現れた迷子の子鬼を想像し、なんだかとっても嬉しくなってしまった。素晴らしい舞台をみるとなぜこんなにも幸せなのだろうと、つくづく思う。


    ☆次回の全国大会は8月の福島。福島なら行けるから、泊まりがけで行こうと思う。

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    2011/01/17 12:17

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  • CATD部員Y,I, .>
    おおっ、これはこれは、ご丁寧にコメント有難う!
    少年神社は明らかに優勝を予感させる作品でした。
    会場の入り口では農工演劇部の部員達が演劇部公演のチケットを
    500円で売っている姿を見て、微笑ましかったです。
    その様子から部員たちの勢いを感じて、いったいどんな舞台を見せてくれるんだろう、
    と期待していましたが期待を上回る素晴らしい公演でした。
    プロの劇団をしのぐ舞台に鳥肌が立つほど感動しました。
    次回の公演は福島ですが、どうなるのでしょうか?
    他の作品も是非に観たいです。
    出来ましたら、このサイトにUPして頂きますと情報が得られて観にいけます。
    宜しくお願いします。

    2011/04/02 12:50

    こんにちは!
    我が校の演劇を見ていただいて、有難うございます!(^^)!
    この度上演させていただいた少年神社ですが、3年生が卒業してしまったため、次の上演からキャストが変わることになりました(;_;)
    入ったのは新二年生なので、至らない点もあると思いますが、楽しんでいただけたらなと思います。
    それと、農工演劇部の他の作品も是非ご覧になってみてください!

                                       少年神社 新コトネ役 (巫女)

    2011/04/01 21:54

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