第46回関東高等学校演劇研究大会-さいたま会場- 公演情報 関東高等学校演劇協議会「第46回関東高等学校演劇研究大会-さいたま会場-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    新潟県立新潟南高等学校「夏への扉」
    作者の谷藤太が主催する劇団「enji」といえば小劇団マニアの方はご存じのはず。実に「enji」らしい戯曲でした。


    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    1966年、初夏。
    ビートルズの来日に熱狂した夏。若き父と母がいた夏。
    そして大好きだった叔父さんがいた、あの夏。

    そして冬、母も亡くなって現在に失望した少女はあの夏の陽射しのような明日を探して、喫茶店にあるいくつもの過去の扉を開けて回り、幸せだったあの頃に思いをはせながら傷心していた。

    そこへ不思議な香・オプナースを持って売りに来た女から、それを買った少女は香を吸い込んで目を覚ますとその夏の中にいた。彼女の名前は「明日香」。

    その時、明日香は安らぎの中で眠り続けていた。彼女の一番幸せだった時間に戻り、過去から帰ってこないつもりだったが、これを現実の世界の明日香の恋人が連れ戻すストーリー。

    「私、あの頃の方がいろんなもの掴んでいられた。手はずっと小さかったけど、小さい手の中に大事なものがたくさんあった気がする。だけど今はこぼれちゃう。手はずっと大きくなったのにこぼれちゃうの。ザーーーっと。」


    相変わらずの谷藤太独特の言葉の表現の巧みさ。この戯曲は聴覚でも刺激され心地よい美しいメロディーとなって耳の周りをくるくる、くるくる回りながらすとん!と入り込むのだ。これをまたキャストらが見事にその情景を演じ、高校生ながら登場人物の年齢に似せた見せ方はむしろ職人技だった。ワタクシは完璧に騙されその世界観に浸り、しばし、ゆるりと過去の美しい風景を眺めていたのでした。

    素晴らしい舞台でした。

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    2011/01/17 00:13

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