第46回関東高等学校演劇研究大会-さいたま会場- 公演情報 関東高等学校演劇協議会「第46回関東高等学校演劇研究大会-さいたま会場-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    新潟県立塩沢商工高等学校「麦に水を」
    小さく、何もない部屋。麦と女はその部屋にいる。そこに新たに一人の男が入れられた。閉じ込められた牢のなかで2人の人間の行動、深層心理を描いた不条理劇。少人数での演劇はキャストらの演技力が試されるが、しっかりした演技力で充分に濃厚な舞台だった。

    以下はねたばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    部屋に入れられた男・ナインはなにが何だか理由が解らず戸惑う。先に部屋に入っていた女・セブンは司令官の指示通り動き従うが、新参者のナインはその指示に抵抗し反抗する。

    聖書を読むように強制させられ、これを断ったナインだったが、代わりにセブンがナインの身代わりにずっと聖書を読み続けなくてはならない、と知ると、やがて籠の中に閉じ込められた鼠のように抗うことをしなくなるナイン。

    一日一回の水を与えられ、意味のないことを何でやらせるんだ!?といちいち意見しながらも徐々にナインの中にある異質なものが矯正させられ、人間らしさを失われていくさまは末恐ろしい脅迫を垣間見るようだが、セブンがナインを窘める「白い羊の中に一匹だけいる黒い羊は省かれる」という言葉は圧倒的に静かな迫力があった。

    セブンは人間が人間でなくなっていくとき、喜怒哀楽が必要で、無感動の後に来るのは死ぬことだけ。と麦に貴重な水を与えて育てるが、この麦こそがセブンの心を支えたゆういつの希望だったのだ。

    終盤、セブンは殺される運命だが、残されたナインはセブンの育てていた麦に水を与えてセブンと同じように育てる。ナインもやがてセブンと同じ運命を背負っているのを知っているのだ。

    素晴らしい舞台だった。ちっさな箱の中で蠢く人間模様。

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    2011/01/16 18:07

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