娑婆に脱帽 公演情報 劇団だるま座「娑婆に脱帽」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    本当の贈り主
    昭和の下町の風景の描写がレトロ感満載で
    上手い。セットはタバコ屋とその向かいのアパートの一室のみなのにまるで町全体の臭いやら雑多な息遣いが想像できるのは演出の技なのかと・・。そうして多すぎる人の流れがこういった下町の風景を見事に賑やかにしておりクラシカルな雰囲気を醸し出していた。当日パンフには写真、役名、役柄まで書かれてあり多い登場人物にも迷うことなく完璧に把握できた。勿論、物語は好みの芝居で本当に素晴らしかった。泣いた!泣けた。泣かされた。

    ネタバレBOX

    刑務所時代の仲間4人はとある下町の煙草屋の向かいにあるアパートを借りて探偵事務所を開設することにした。ここで彼らは一儲けしようという魂胆だったが、そうは問屋が卸さない!がこの世の掟ってもんだ。

    4人はひょんな事から殺人事件に巻き込まれ一儲けどころか掠めた15万円も施設にプレゼントされるピアノの代金に消えてしまう。

    4人が犯した罪も織り交ぜながらこの事務所と近隣の人間関係も巧みに描写し、また、バルドーの小悪魔的な色香も織り交ぜながら昭和30年代の情景を絶妙に演出していた。個人のプライバシーなんて言葉もなく、煙草屋の黒電話が近隣の住民の呼び出し電話と利用されていた環境や、その黒電話にかかってきた一本の電話が元で麻薬患者が殺されたりとサスペンスなスパイスもしっかり加味されていた。

    そしてその煙草屋の娘・みっちゃんと精神薄弱児のモタとの不思議な友情が芽生える辺りから物語りは大きくうねり出す。みっちゃんが過去に味わった絶望や、モタのハーモニカの音色はワタクシの感受性を刺激してちくちくと心に響き泣くに充分の展開だった。

    秘密を知ったモタを殺そうとしたヤクザに銃を仕掛ける学者のシーンではあまりの筋書きの完璧さに絶句し、モタとみっちゃんが精神薄弱児の施設にピアノを贈呈する場面とその後の展開では、感動のあまり泣きじゃくってしまったが、しかし、ワタクシの涙はこれらのストーリーにだけでなく、こうした舞台を作り上げた人達に感動したのかもしれない。

    舞台は笑いあり、涙ありの温かな物語りで往年の「寅さん」を彷彿させるような出来ばえだった。本は勿論、良く出来た素敵なお話だった。帰り際「いい物語だ・・。」と口々に話す観客が目立っていたのも、これを裏付ける。

    こうして温かな気持ちになって帰路につく幸せはクリスマスの為の装飾が映える夜に似つかわしい。

    だから、舞台が好きだ。

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    2010/12/05 13:33

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  • だるま>
    コメントサンクス。

    をを~、寅さんを目指してましたか~。笑
    その目標は既に達してますよ。とっても温かみのあるお芝居で、
    帰り道の夜風も冷たくなかったです。
    人間というのは心が満たされれば、幸福なのだとしみじみ思います。

    次回も期待しています。頑張ってくださいね。

    よいクリスマスを♪

    2010/12/08 17:32

    ご来場ありがとうございます。

    『「寅さん」を彷彿させるような』

    このお言葉、とてもうれしいです。
    私たちが目指す場所でもあるのです。

    気持ちが温かくなれるお芝居を作りたいと思っております。
    私も舞台が大好きです!

    ぜひぜひ、またいらしてください。
    お待ちしております。

    よいクリスマスを♪

    2010/12/08 13:05

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