CARNAGE 公演情報 summer house「CARNAGE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い、お薦め。
    初めて観る演目、映画「おとなのけんか」(邦題)としても上映されたそうだが 観ていない。舞台は、虚構の世界を空間と時間を使って どう描き出すか。しかし この劇は、現実の出来事をその時間の中で紡ぐ、言い換えれば 現実を舞台という虚構の世界で描くといった感覚だ。敢えて空間を作らず、時間も流れない。今そこにあるリアル、その漂流するような会話や行動を覗き観るといった楽しさ面白さ。

    舞台はフランス、登場するのは二組の夫婦、その4人が 子供の喧嘩の後始末を話し合うために集まる。中流階級でリベラルを自認する人達が、いつの間にか本質からずれた話し合いになり、だんだんと興奮し我を忘れる。リアルな空間と時間、その中で役者陣の自然な演技が臨場感を増していく。自然(体)という確かな演技、それが異様な雰囲気を漂わせていく。喧嘩の当事者である子供は登場しないが、会話の端々からどのような子供で親子関係なのかが垣間見えてくる。色々なところに飛び火した会話を通じて、一人ひとりの人物像が立ち上がる。いつの間にか(リベラルという)化けの皮が剝がれ 本性剥き出しの激論、それがどこに辿り着くのか目が離せない。少しネタバレするが、この舞台をひっ掻き回す者でありモノが肝。

    舞台美術は、話し合いが行われる家のリビングルーム。その光景がさらに現実味を帯びるような錯覚に陥る。どこにでもあるような空間だが、工夫も凝らしている。それは劇中でトイレ、洗面所に行く場面では、ある舞台セットを回り込むという動作が加わる。その動線が同一空間の中で別の意味合い(廊下)を表しているようだ。細かいところだが、これによって居住空間の広がりを的確に表現している。実に丁寧な演出で巧い。
    (上演時間1時間25分 休憩なし) 追記予定

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央にソファとテーブル、その斜め横に椅子2つ。後ろの壁際に2つの置台ー1つは電話、もう1つに煙草、酒瓶が乗っている。客席側の上手/下手に本の山、中央の花瓶に50本のチーリップが活けてある。中流階級の家庭、本の山は 仕事であり良識等といったリベラルの象徴か。

    登場人物は わずか4人。被害者側の夫婦=ヴェロニク(水野小論サン)--ライター、ミシェル(小林タカ鹿サン)--雑貨商、加害者側の夫婦=アネット(伊東沙保サン)--フィナンシャルプランナー、アラン(小野健太郎サン)--弁護士。子供同士が喧嘩をして、棒を振り回して相手に前歯2本を折る怪我をさせる。初めのうちは穏やかに話していたが、だんだん本来の目的と違う方向で議論し始める。その行き違いとなる分岐点が曖昧、ただアランの携帯電話が頻繁に鳴り、話し合いが度々中断し、皆 少しずつイラついてくる。一方、ミシェルの母親からも電話が…。この姿を現さない相手(電話)に翻弄されていく。
    以降 追記予定

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    2025/03/27 00:08

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