サーフィンUSB 公演情報 ヨーロッパ企画「サーフィンUSB」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    どんな時代でも、どんなシチュエーションでも、日常は確実にある
    そんな世界観を、ダラダラした日常会話とともに見せてくれる。
    「神は細部に宿る」とでもいうか、どーでもいい会話が延々と続くのは日常なのだ。大がかりなセットとともに。

    大がかりなどーでもよさ。

    そこには、哀しさや切なさも潜んでいる。
    ヨーロッパ企画は、非日常下における日常をうまく描く劇団になっているようだ。

    ネタバレBOX

    ヨーロッパ企画の舞台を観ていて感じるのは、どんな時代でも、どんな状況でも「日常はある」ということ。
    「水の7日間」(笑)と呼ばれる天変地異らしき後、水位が上昇したことで、地表のいろんなところが水没した世界。
    さらに、海には汚染された廃液が流れ込み、人魚という生き物も生まれている。
    そんな歪んだ、末期的な世界。でも、それは日常なので、細かい説明はない。

    しかし、そんな大変な世界なのに、水があるから「だからサーフィンでしょ」とばかりに、サーフィンを始める若者たちがいる。
    特に仕事にも就かずに。

    大変なことになっているはずで、ドラマ的にはそれをどう生き延びるか、という展開になっていいものの、ここではそうならず、いつ終わるともしれないダラダラした生活が続いている。

    サーフィンをして、水の中からいろんなモノを拾ってきてはお金に換え、そのお金で食べ物を買って、またサーフィンをする。
    ファストフードを五感を研ぎ澄まし、スローフードとして食す、なんてどうでもいいことがそこでは延々繰り広げられている。
    どうでもいいことは、日常だ。

    すべてを受け入れているというか、現状がすべてであり、そこには普通の生活がある。
    『ボス・イン・ザ・スカイ』でも、ドラゴンが出てくる世界になのに、それは普通の状態であり、そんなことよりもロックフェスのほうが気になっていた。『曲がれスプーン』でも、超能力があることが日常だったから、超能力がどうこうというよりは、日常の生活が大切だった。

    一見、非日常なのだが、彼らにとっては日常である、というのは当然で、それをうまく表現していると思う。
    何かを声高に示すのではなく。

    いつもながら、息の合った日常会話を再現するような、ダラダラした会話が秀逸だ。まるで、そこで普通にしゃべっているように、どうでもいいことを口々に話したりする。
    この劇団ならではの、息の合い方であり、それはいつも素晴らしいと思う。
    あまりにも普通すぎるので、その凄さは実感できないかもしれないのだが。

    どーでもいいことが繰り返され、日常が消費されていく。
    だから、社員を海に落とすシークエンスのしつこさも最高だ。

    しかし、日常を切り取った物語なので、シチュエーションが風変わりであればあるほど、観客はドラマチックな展開を期待するのだが、それには肩すかしを食らわせてくれる。いつもそんな感じだ。
    そこが持ち味でもあると思う。

    それは、いつまでも学生気分にある大人たちの話でもある。「いつまでも学生気分」「モラトリアムな状態」は、この劇団の中央にあるのではないだろうか。今回も、結局2人の会社員が、会社を辞めてサーフィン生活を始めてしまう。それは、文明とか社会へのアンチテーゼとかではなく、単に「いつまでも学生気分」が味わいたいからではないかと。

    とんでもないシチュエーションなのに、その世界の一場面、日常をすぱっと切り取って見せるだけなのだ。
    だから、大したことは何も起こらず、内容が薄く感じてしまうのかもしれないし「オチ」らしきオチがあるわけでもない。

    自然をどうとか、自然がどうとか、文明がどうした、文明をどうした、などとという、メッセージ性を感じるもよし、感じなくともよし、なのだ。

    観客は、日常の中にある、微妙な感情や状況などを会話の中などから、感じ取ることが必要になる。
    感じ取るというよりは、隣で起こっていることをぼんやりと眺めるということかもしれない。

    ちょっとした笑いの中も、よく見ると、結構、キツイ内容だっり、切なすぎる内容だったりするのだ。人魚の設定は、結構酷いし、廃液を浴びたりして。
    それもこれも日常の中にあるという感じ。
    どう考えても明るい未来が待っているようではないし。

    まるで、ただ話しているようにしか見えない、彼らの演技は凄いなあと思ってしまう。

    サーフィンUSBって、モロそうだった。バカバカしいけど(笑)。

    3

    2010/08/06 04:53

    0

    0

  • あきらさん、折をみて「2010年のベスト」を教えてください。掲示板にUPしてあります。ヨーロッパ、いいわ~(^0^) だるそうな人魚姫に溺れました。笑

    2010/08/07 13:16

    みささん

    コメントありがとうございます。

    私は、自分が観る前、というより「観てきた」を書く前には、他の方のネタバレも「観てきた」も極力見ないようにしています。できるだけ白紙で見たいからです。

    2010/08/07 04:37

    ワタクシ、本日、観に行きます。しっかり予習させて頂きました。自分が観に行く公演で、先にUPされた方の内容の濃いネタばれは必ず開いて予習してから観劇することに決めています。するってえと、完璧に把握できるでごあす。(時代劇風)

    2010/08/06 14:27

このページのQRコードです。

拡大