音楽劇『巨人達の国々』 ご来場ありがとうございました☆小説化決定しました!! 公演情報 舞台芸術集団 地下空港「音楽劇『巨人達の国々』 ご来場ありがとうございました☆小説化決定しました!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    巨人が憂うもの
    劇場に入るとそこは既にファンタジーの世界。「不思議の国のアリス」に登場するようなキャラクターが観客の座席まで誘導したり、キャラクター同士の会話でもって、既に観客を劇中に引きずり込む演出は流石。更に舞台は「巨人の国」のなんだかエロちっくなセット(ニョロニョロ)といい、舞台の手前に設置された生演奏スペースが目に飛び込んできた時にはワクワクしちゃった!
    スペシャルライブはアコーディオンユニットの「momo椿*(ももつばき)」の会。
    天使のような澄んだ声で歌う物語歌は叙情的であまりにも美しかった。

    相変わらず、衣装がファッションショーのさま。


    以下はネタばれBOXにて。。

    ネタバレBOX

    フリーターのヤスシは、日々の生き方をいい加減に暮らし、ある時はネットで自らの歌を金の目的の為にサイトに登録していたり、詐欺まがいの行動をしたり、家賃を滞納したりしていたが、それらの事に対して、まったく罪の意識なんてなかった。

    ある日チャイナガールのジョカと出会い、一目惚れするも、ジョカはかつて住んでいた街を巨人の涎で溶かされてしまった被害者だった。そんなことも知らずにヤスシは大家の外野が持参した肉じゃがを食べてしまう。この肉じゃがこそが、巨人族からの罠で、ヤスシはクロノの陰謀に加担する形になってしまう。人々をコントロールし溶かしてしまおうとするクロノらはヤスシの歌で巨人を復活させ、沢山の涎を採取し、人々を溶かそうと企む。

    一方、大家の外野は、遥か昔に神に逆らい、地獄に幽閉されたはずの巨人族・クロトの母親だった。巨人族の因習をも含め「夢のヨダレ」を街に垂らし人々を溶かそうとしているという恐ろしい陰謀の為に外野が歌うシーンと、外野にコントロールされているヤスシが外野の模写をして歌う場面の情景は独特の臨場感があり、おとぎの世界さながら、魅せる。そして酔わせる。

    しかし、なかば正気を失ってクルクルと彷徨い、狂いそうになった磁場をジョカの正義が軌道に戻すというお話し。終盤の大家のセリフ、「巨人が地上に出てきてくれればいい。人間は殺し合いをしながらこの世に害をもたらす。だから罪深い人間を溶かして殺してしまおうと思った。そして鏡で未来を覗いてみたかっただけ・・。」が心に沁みる。


    人々が生きるということに対して、「もっと真摯に見つめ合うよ。」というような作品だったような気がする。伊藤の作品を観る醍醐味は、劇中使われるセリフの美しさにあると思う。今回は音楽劇ということだったが、その素晴らしい音楽に消されてセリフが聞こえなかった部分がひじょうに惜しい。更に架空の巨人像があまりにも幼稚だったのが、この芝居の妖しさを割り引いてしまったようにも思う。要するに影だけでも充分に想像できる範囲内だったように思うのだ。

    優しい巨人たちのお話。

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    2010/07/02 17:57

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