満足度★★★
檜の話が面白かった
劇団初見。
「翻訳劇」が持つウソ臭さへの違和感を楽しむ芝居だとは知っていましたが、
一番面白かったのは、ラストに至る場面での俳優の見せ方と舞台装置の使い方。
原作をもっと崩してほしいと願う自分がいました。
原作との違いを面白がるのではなく、檜の話のようなウソそのものを面白がる。
「誤翻訳」とは関係ないところで楽しんだわけですが、
振り返ってみると、ストーリーは重要でなかったことに改めて気づき、
古典を古典たらしめているのは、ストーリーだけではないと、
当たり前のことを実感できたのは、「誤翻訳」の懐の深さでしょうか。
素人からすると、シェイクスピアって、話の筋立て自体は、意外と陳腐だったりするし。
悲劇を悲劇たらしめるのは、何なのか。
単に「悲しい話だから」と日本語で表現できるのとは違う、
別の文脈が「悲劇」の背景には存在するのでしょう。
涙を誘うセンチメンタルなお話は、必ずしも悲劇ではない。
「何が悲劇なのか」について文芸評論のように難しく説明されても、
それはそれで違和感あるわけですが。