夜壺 公演情報 劇団唐組「夜壺」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    風雨と歳月にさらされて。
    紅テントがよく見ないと赤だと判らないのが、いつも夜だからなのか・・少し淋しい。
    宵闇に浮かぶ幻のような唐十郎の芝居の中でも、比較的時空がとっ散らからないストレートプレイだ(少女仮面レベルの)・・と、今回主役を張った女優赤松由美の舞台での「日常」感覚を新鮮に眺めていたが、二幕ではとっ散らかった混沌モードに変容。毎度の唐芝居、ラストの屋台崩しに照準した作りになって行く。
    序盤に流れる「日常」、ナンセンスが挿入しながらも戻るべき「日常」に回帰するとホッとする。「こんな感じが続いて欲しい」と思わせる雰囲気は赤松の持つ「日常」な空気によるが、混沌の二幕では「日常」な赤松が息の上がる様を見ることになった。
    たぶん自分には混沌の中の「日常」を観たい欲求があり、既に混沌である所の現実にあっては、日常が混沌化して行く様はあまり観たくない、と感じているのだろう。本来それは飛躍への想像力を称揚するものだったのだろうが、今、そういう形での飛躍を求める時代ではないのではないか・・。
    そんな事を思った。

    ネタバレBOX

    最近続いて観劇している唐組の、言わば本家の屋台崩しは年一度の祭に招ばれるテキ屋の出店のように定番で、作品によって形は違うのだが、意味合いは同じという事なのか、お客さんハイお待ちかね、ハイ拍手~と寄席の色物芸に拍手を求めるノリすら感じさせるおざなり感。この地元の夏祭りな雰囲気が、濃厚に「唐組」を染めている。役者の技量はあるし戯曲はどれも唐戯曲である。思うに旅芝居的「くたびれ」感を醸すのは大道具のくたびれ方だろう。
    名状しがたい境地にあると見える劇団の旅芝居的芝居を次もまた観に行ってしまう気がする。

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    2016/10/30 00:51

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