満足度★★★★
風雨と歳月にさらされて。
紅テントがよく見ないと赤だと判らないのが、いつも夜だからなのか・・少し淋しい。
宵闇に浮かぶ幻のような唐十郎の芝居の中でも、比較的時空がとっ散らからないストレートプレイだ(少女仮面レベルの)・・と、今回主役を張った女優赤松由美の舞台での「日常」感覚を新鮮に眺めていたが、二幕ではとっ散らかった混沌モードに変容。毎度の唐芝居、ラストの屋台崩しに照準した作りになって行く。
序盤に流れる「日常」、ナンセンスが挿入しながらも戻るべき「日常」に回帰するとホッとする。「こんな感じが続いて欲しい」と思わせる雰囲気は赤松の持つ「日常」な空気によるが、混沌の二幕では「日常」な赤松が息の上がる様を見ることになった。
たぶん自分には混沌の中の「日常」を観たい欲求があり、既に混沌である所の現実にあっては、日常が混沌化して行く様はあまり観たくない、と感じているのだろう。本来それは飛躍への想像力を称揚するものだったのだろうが、今、そういう形での飛躍を求める時代ではないのではないか・・。
そんな事を思った。