Hamlet 公演情報 演劇集団 砂地「Hamlet」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    迷わない
    「To be,or not to be, the question」...限りある時間の中で、一つの公演を観る。あれか、これかという二者選択ではなく、同じ時間帯に多くが上演されている公演の中から、この公演を選んで嬉しく思っている。
    有名なシェイクスピア「ハムレット」という戯曲...言葉は悪いがこの手垢のついたような作品をどう観せてくれるのか、大変興味があった。その印象はサスペンス風で、スタイリッシュな演出という感である。
    演出の延長上にある照明、音響効果も洗練されており印象深いものがある。

    ネタバレBOX

    梗概は改めて書なくても有名な戯曲。しかし、説明にもあるように「有名な戯曲であり、様々な解釈、様々な上演形態が試みられた、あるいは、それらの試みを許してきた、名作戯曲」ということを意識したことは容易に理解できる。

    王が急死し、王の弟クローディアスが王妃と結婚して王の座に就く。悲しみに沈む王子ハムレットは、ある晩父の亡霊と会い、その死がクローディアスによる毒殺であると知る。ハムレットは狂気を装い復讐を誓う。

    場内はL字型ひな壇客席。出入り口の反対側にある席に座る。その位置から右手奥に上階へ通じる階段。また芝居途中に階下から照明が照らされるシーンがある。この劇場の特長である立体的な空間を見事に演出していた。
    セットは、患者搬送に使用するようなスチール状網ストレッチャー3台が等間隔に置かれている。その台下部に水が入った大きな水槽が置かれてある。始め中央に置いてあった水槽内には人骨が...。

    殺人事件の謎解きのような雰囲気もあり、その物語の先を観たくなるような展開である。小難しいと感じていたハムレットも、この公演では分かり易く思えた。今までは政治劇の要素が色濃いという印象であった。その面はあるが、ここでは人間が持つ猜疑・嫉妬・羨望・偽善というような負のスパイラルが折り重なるように描かれる。その様が澱のように沈殿していく。しかし、それは重苦しいという感覚ではなく、骨太・重厚という感覚に近い。心の深奥を水槽の水に映し出す...静謐なまでの美しさが感じられた。
    それは、陰影のある、もしくは定位置(水槽淵)だけの強調した照明効果。また音響は重低音のようで、それが荘厳のイメージを呼び起こす。

    さて冒頭の限りある時間に関連して、女性演出家サラ・フランコムの舞台を8台のカメラで撮影、臨場感豊かに再現した映画が公開される予定(日本未公開)。映画では8定点から捉えるというが、そのライブ感はその場限りのもの。ただ、映画のようにアップで役者の表情(感情)を観れないことはあるが...。

    次回公演を楽しみにしております。

    0

    2016/05/27 07:58

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大