満足度★★★★★
春の息吹
観る側のすべての感覚をそばだたせ、
春の息吹と廻り来たる命の普遍を描き出していました。
人、花、時、すべてが織り込まれた世界、
微かな気配から始まり、
やがて命が解き放たれ、
人々が集い、
そのなかにも無機質に流れるときがあって、
命の滅失があり、
さらに再生の気配が訪れる。
それらが、パフォーマーの身体や舞台美術、奏でる音、仕掛けられた音、装置の動きにいたるまで
作り手の編む様々な創意や表現とともに観る側を新しい春の訪れと過ぎ行く季節の感覚に誘ってくれる。
村芝居の桃太郎にしても、モノトーンのダンスにしても、
季節の情景として観る側に新たな印象を刻んでいきます。
舞台袖のスピーカーの音や花の動きにも
人が見るものを凌駕した季節のダイナミズムがあって。
そしていったん終わりを告げた春が、
その気配を再び醸す終わりにも強く心を捉われました、
劇場空間全体を使った見事な舞台だったと思います。