満足度★★★
セットが素晴らしい
中途半端に発展した街の動物園を舞台に、それぞれちょっと異常なところがある人達を描いた作品で、回り舞台を用いたスピーディーな展開の中に人間の身勝手さが表現されていました。
浮浪者を働かせるビジネスで儲け、街を牛耳る男が経営する動物園の動物が全て消えてしまったところに股間が光る謎の男が現れるところから始まり、その動物園で働いていて失踪した男の妻、その妻を刺して服役していた夫の妹、幼い頃に一家心中で両親を失った男、街を牛耳る男の娘のそれぞれのエピソードが動物園で重なり合い、真相が明らかになって行く物語で、終盤の緊張感溢れる展開が良かったです。
消えた動物について序盤以降はあまり触れられず、新たな展開を匂わせる台詞で物語が突然終わってしまうのが、謎めいていて印象的でした。
人間の愚かさをえぐり出す脚本や、回り舞台と照明を巧みに用いた視覚的な演出は面白かったのですが、声をがなり立て過ぎで台詞が聞き取りにくく(1人は声が潰れていて特に聞き辛かったです)、演技もオーバー気味に感じました。京都の会場ではそれでちょうど良かったのかもしれませんが、王子小劇場のサイズに合っていないと思いました。
前半はウケ狙いなシーンもたくさんあったのですが、いかにも関西的なベタなボケ・ツッコミはほとんど笑えませんでした。後半の盛り上げ方はとても良かったので、前半の空回り感が勿体なく思いました。