ぴおんち33の観てきた!クチコミ一覧

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追憶のベロニカ~飛龍伝より~

追憶のベロニカ~飛龍伝より~

ThreeQuarter

パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)

2011/08/24 (水) ~ 2011/08/26 (金)公演終了

満足度★★★★

不思議な感動
絶叫型の台詞に始めはげんなりしましたが、時代背景に不思議とよく合っており、すぐに惹き込まれました。あの熱狂の時代にはこんな愛の形もありえたかも知れない、と思わせる演出と熱のこもった演技はすばらしかったです。特に山崎一平は100%はまり役。体型が完璧に自衛隊員(笑) 始めから最後まで洗練という言葉からは程遠い泥臭い舞台でしたが、役者さんの力量のせいか、あるいは放出される熱量の故か感動しました。ただ、最後の一平が殺されるシーンはちょっと説得力が弱く、そこまでの熱い舞台とは一線を画した感じがあった。最後までMAXで突っ走って欲しかったです。しかし、熱演はいいのですが、途中から明らかに役者さんに疲れが出て、台詞の噛みが出ていましたね。ペース配分もまた重要だと思います。でも、熱い舞台に拍手!

Nazca -ナスカ-

Nazca -ナスカ-

劇団銀石

吉祥寺シアター(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

素人考えだが、お芝居は本来は
役者の体一つとろうそく一本あればいい。それで「場」を創り上げていくのが役者の力量だ。だから台詞は重要。これだけの高さと奥行きのある舞台、装置、音楽、重厚な脚本にライティングを準備して、どうして台詞の出来をなおざりにするのだろう。絶叫型な上早口で聞き取りにくい。物語の展開が分りにくいのも当然だ。すごく惜しいと思うし、理解に苦しむ。演出家にはもう馴染んだ台詞でも、ほとんどの観客は当然ながら初見。物語の難解さや、世界観の問題以前のような気がしますが・・・・・。

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

これは僕が神様になりたかったけれどなれなかった話で、僕の彼女が実は地球だったってオチが待っている話なわけで、

劇団エリザベス

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★

絶対的に青臭い領域
青臭い世界観を青臭いままに。背伸びするわけでもなく、青臭さを恥じるわけでもなく、それを絶対的と規定するなら、そこに何かが生じるわけで・・・・・。う~ん、これが今時の若者の世界観だといわれればそんな気もする。アニメ、未熟な空想、地球観。大人になりたくないという思いが作る、不思議な世界だ。前半はわりと惹かれて脚本家の空想世界に浸れた。それは、後半の展開が期待できたからなのだが、大した展開も無く、だんだん飽きてきて最後の30分は時計ばかり見ていた。個人の小さな世界観だけでは最後まで観客をひっぱっていく事は出来ない。感動も感激も普遍性があればこそ。ごく一部の人にだけこの感性がわかればいいというスタンスならそれもありですが・・・・。でも、説明文の中で孤高でありたいとあるので、それでいいのかも。

『Black Shooting Star』

『Black Shooting Star』

おぼんろ

Barまいどおおきに(渋谷区宇田川町34-6 W&Iビル4階)(東京都)

2011/08/20 (土) ~ 2011/08/20 (土)公演終了

満足度★★★★

楽しかったです!それほど悪趣味でも
無かったかな。長老のゴキブリのイメージが大島弓子の「すばらしき昼食」に出てくる擬人化されたゴキブリによく似ていてびっくりした。(この人の動物や鳥、虫の擬人化は出色。イチョウの葉っぱだって擬人化してしまうすごさ)でもマンガとは違い舞台では動きがあるので、すばやい動きに主婦の本能を刺激され、スリッパで叩きたくなって困った。まぁ、それほどリアリティがありました。嫌いな人にはそれだけでも身の毛がよだつかも。
狭いバーの空間を上手く使って話を創り上げていく手腕に感心しました。月一のペースでどこまで続くか。楽しみですね。

GHOST IN THE BOX!!

GHOST IN THE BOX!!

PEACE

上野ストアハウス(東京都)

2011/08/18 (木) ~ 2011/08/22 (月)公演終了

満足度★★★★

すごく良かったです!
前半ホラー、後半その謎解きコメディ。前半のホラーがけっこう怖いので、後半のつじつま合わせのような謎解きであはは、あははと大笑いできる。何でこんなに可笑しいのだろうと考えたが、前半の緊張が解けてリラックスできるので、その分気持ちが笑いを欲しているせいかな。狙ってやったとしたら、脚本上手いです。後味もいい。
若い役者さんが多いけど、凝った脚本で若さを上手く使っていて、薄っぺらな感じが全くしなかった。後半のコメディに入ってもいいリズムと分りやすいギャグで突っ走り、超満員の観衆を十分楽しませてくれました。すごく楽しみな劇団ですね!前半のホラー部分にもう少し凄みと怖さがあれば文句無く☆五つ。

リコリス ~夏水仙~

リコリス ~夏水仙~

東京ストーリーテラー

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2011/08/17 (水) ~ 2011/08/21 (日)公演終了

満足度★★★★

優しい普通の人々と
心深き喫茶店のマスターとのハートウオーミングなお話。脚本にぴったりな自然な演技で、とても感動しました。音源もすごく良かった。(あまり目立たなかったけど、美しかったです)満員の客席も当然の出来ですね。何より役柄がそれぞれぴったりとはまって、お芝居を観る楽しさを十分に味あわせてくれました。舞台の使い方も巧く、無駄な暗転や意味のないトーンダウンが一つもない。ベタな作風とよく言われますが、この無駄の無さからそう見えるだけで、むしろすっきりとよくまとまった佳品という感じがします。ん~、欲を言えば、本当に欲張りなんですが、看板のそばに佇む男にもう少しミステリアスさがあれば、もっと色々想像できて楽しめたかなぁ、と思います。帰り際、劇団にファンがいっぱいついているのを見て嬉しかった。

【ご来場感謝!】『キスより素敵な手を繋ごう』/『追憶と記憶』『メロウ』

【ご来場感謝!】『キスより素敵な手を繋ごう』/『追憶と記憶』『メロウ』

ナイスコンプレックス

サンモールスタジオ(東京都)

2011/08/12 (金) ~ 2011/08/16 (火)公演終了

満足度★★★★

メロウ 記憶と追憶 キスよりステキな手をつなごう
の3作品とも観ました。全体として一つの作品になっている、というよりは、一つ一つ独立した作品というイメージが強い。特に「キスより~」は一つの作品としてみてもかなり凝った演出なので、元囚人達のエピソードは付け足し、という感が強い。それに対し、「メロウ」と「記憶と追憶」は明らかに対になっている感じで、「キスより~」はその後日談という感じがしました。「メロウ」と「記憶と追憶」は男女の監獄における書き分けが面白かったです。冷たい雰囲気の女性雑居房、利害によって結びつく女囚達、これに対しあくまで熱く乱暴で、意気に感じて盛り上がる男囚達、女達の緻密な脱走計画に対し、行き当たりばったりな男の脱走計画。こうしたジェンダーの書き分けがすごく楽しめました。色々疑問に思うところはあるにせよ、よく出来たお芝居だったな、と思います。一日に2公演見て、全然飽きなかった。役者さんの力量を感じました。
「キスより~」は、やはり少し懲りすぎかな。作家姉妹の存在が邪魔な感じ。物語が複雑になって、しかもこの二人の存在が本筋に全く活きて来ていない。時系列が逆な上に、この姉妹が入れ子のように絡むため、せっかくの感動的なストーリーが分散してしまった気がしました。舞台上の時間が逆に回るかのような所作の演出も面白く、演技も良かったですが、役者さんの技量を生かすためにも、もう少しシンプルな脚本のほうがより大きな感動が呼べたと思います。

青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう

青山君よ、家が明けたら夜に帰ろう

コーヒーカップオーケストラ

シアター711(東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★

いかにも下北沢な・・・・・
いいなぁ、こういうの。チープな美術にハチャメチャなストーリー。勢いがあって、体当たりで怖いものなし、といった感じのお芝居。劇場の小ささもなんのその、MAX声の台詞。な、なんかお祭りの夜店の熱々のたこ焼きを食べた感じ~。また観たいです。(千代田線の人身事故の影響で遅刻してしまった。皆さんすみませんでした)

私とアナタの間の距離は・・・

私とアナタの間の距離は・・・

演劇集団Nの2乗

「劇」小劇場(東京都)

2011/08/09 (火) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★

間がいい!
今まで想像もしなかった、犯罪の加害者の家族の物語。彼らは言いたい事や訴えたい事、悔しいことや辛い事がいっぱいあって、でも加害者の家族ゆえに口には出来ない、という微妙なシチュエイションを上手に表していたと思います。お互いの何となくもどかしい間が絶妙でした。このタイトル、巧いですね。加害者の家族には、犯罪を犯した長女に対して言うに言われぬ感情があり、口に出せないだけに家族の中で距離が出来てしまうんだなぁ、とタイトルの意味がよく分かりました。次女役の女優さん、すごく良かったです。良かった理由はネタバレBOXへ・・・・・。

ネタバレBOX

次女役の女優さん、さして目立つ服装をしているわけではないのですが、いつもキチンと、派手でも地味でもなく、靴も服装に合わせて全部替えて、ああ、この人は役柄をよく研究しているんだな、と感心しました。教職を辞し、加害者の姉に代わって必死に食堂と家族を支える次女。世間の偏見や蔑視から身を守るため、またそれに負けないため、彼女はいつもキチンとしている。そんなことしか出来ないけれど、キチンとしている。そのような女性を表すのに、とてもよく考えられた衣装だったと思います。演技ももちろんですが、衣装も役柄をよく語っていた。私はこういうの、いつも隅々まで観ます、というより気になります。(笑)
チャイムが鳴り終わるとき

チャイムが鳴り終わるとき

オーストラ・マコンドー

吉祥寺シアター(東京都)

2011/08/10 (水) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★

突出した演出
う~ん、こういうのをどう表現したらいいのだろう・・・・・。演出家の意図が明確に表われすぎた、とでも言えばいいのだろうか。ストーリー、役者の演技、そして演出及び効果が相俟って演劇という物が成り立っていると思うのだが、今回はさして尖った演出をしていないにもかかわらず、演出が前面に出すぎた感じがした。役者の声を絞り、観客の注意を舞台上に集中させようという演出、二つのストーリーを並列させ、物語を盛り上げていこうという演出、小学生の無邪気さと残酷さを際立たせようという演出、生のギター演奏で臨場感を出そうという演出、それらすべてが成功しているのだが、その演出の意図がはっきり見えすぎて、演技やストーリーがかすんでしまった感じ。身じろぎさえはばかられるほどの静かな台詞まわしははっきり言ってしんどかった。というより、ものすごい緊張を強いられた、という気がします。こうして観客に緊張を強いるのも、演出家の意図の一つなんだろうか・・・・。ちなみに吉祥寺シアターの高い天井からまっすぐに落ちるライティングは、美しさと力強さがあり、素晴らしかったです!

いつか / タルチュフ

いつか / タルチュフ

こゆび侍

ギャラリーLE DECO(東京都)

2011/08/09 (火) ~ 2011/08/14 (日)公演終了

満足度★★★★

草食系男子の面目躍如
ひとり芝居の「いつか」を見ました。もう、あまりにも劇中のキャラと役者さんのキャラがぴったりだったので、恐ろしくリアリティがあり、いわゆる草食系と呼ばれている、優しく穏やかな現代の若い男性の姿や心情を楽しめました。
ストーリーはよくよく考えればかなりシュールなお話なのですが、キャラクターの一致がそれを感じさせず、こうした男性が今の日本を支えているのだなぁ、と妙に納得。
ひとり芝居ですがテンションの高さを感じさせず、あくまで穏やかで優しいネオジャパニーズを演じて、透明で不思議な存在感がありました。美術や音響、効果も程よく、ライティングもいい。無理に感動させよう、とかこれを主張したいという気負ったところが無いのも好感が持てました。ひとり芝居はこんな感じであってほしい。演劇の持つ痛さをきれいに取り払った作品ですね。

【全ステージ無事終了!ご来場ありがとうございました】みきかせプロジェクトvol.3 「流星群アイスクリン」

【全ステージ無事終了!ご来場ありがとうございました】みきかせプロジェクトvol.3 「流星群アイスクリン」

みきかせworks

ワーサルシアター(東京都)

2011/08/03 (水) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

あずき組面白かった~。
これがほんとのアイスクリンだったら、溶けちゃうのを惜しく感じただろうな、と思うほど。美味しすぎて劇が終わるのが名残惜しく感じられた。蜂寅企画は衣装、着付けにメイクもばっちり、拍子木などを上手く使い、江戸の雰囲気を上手く出していた。台本も恋文や巻物など、ほとんど小道具と化していてリーディングということを感じさせない。演技の巧さ、着物の立ち姿の美しさなどが際立っていた。細かいところにも神経が行き届き、なおかつ遊び心にあふれていて、本当に楽しいお芝居でした!
味わい堂々は、これはもう、脚本の腰の強さにノックアウトされた感じ。小さな劇場であえてマイクを使い、小さな声で観客の注意を惹きつける巧みさは、リーディング劇をよく研究し、この形式を逆手にとった形かな。この二つの劇団、全く違うリーディングスタイルを見せてくれて、(江戸物と現代物、リーディングっぽくないのと100%リーディング形式を取ったもの)大満足させてくれました。またやってほしいなぁ。

べじたぶるーす

べじたぶるーす

劇団光希

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2011/08/03 (水) ~ 2011/08/07 (日)公演終了

満足度★★★★

楽しくリアルな農村群像劇
自然な台詞と程よい声の大きさで、とてもリラックスして見られる劇でした。台詞を噛んだり出だしがあれ?と思うところもままあったが、声の程よさがそれを目立たせなかったかも。ストーリーもいいですが、小さなところまで良く観察されていて、好感度UP。例えば、農作業用の靴。長靴あり、スニーカーあり、きれいに拭いてあるのあり、埃で汚れているのあり・・・・。実際に農村に行って作業を手伝った経験が生きているし、劇団が農村の問題を一緒に考えているのが良く分る。お芝居だけれど、絵空事じゃない、自分の問題ではないかもしれないけれど他人事じゃない、というスタンスがまっすぐ伝わってきて気持ちよかったです。そして、
みんな、色々考えさせられたと思います。私たちが何気なくスーパーで買っている野菜の一つ一つに色んなドラマがあることを・・・こういうのを、いいお芝居というんだろうなぁ・・・・。

ピアノのへや

ピアノのへや

空間製作社

アイピット目白(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/08/02 (火)公演終了

満足度★★★★

この小劇場でマイク??
と始めはびっくりしましたが、マイクは歌と心の声のエコーとしてのみ使われ、上手く使っているなぁ、と感心。こんな使い方も出来るんですね。音楽もストーリーも良く、三代に亘る優しい普通の人々を描いて心がほっこりするような音楽劇でした。役者さんでは2話の次女役の少女が素晴らしい声量と的確な演技で秀逸でした。
素晴らしい出来だっただけに、いくつかの気になる点がとても残念。まず、袴や着物の着付けが変。袴の紐はもっと下で締めるものですし、女性の着物の後ろのおはしょりは帯のたれできちんと隠すのが常識です。この劇団の人は誰も時代劇を見ないんだろうか・・・・と不思議に思いました。それから第2話のお父さん。いくらなんでも若すぎ。茶髪に眉カットしているお父さんって???長女より若く見えて、せいぜい次女のお兄ちゃんという感じ。これだけの舞台美術や音源を用意し、台詞や歌の練習をして、なんでこんなところで手を抜くのか理解に苦しみます。お芝居は多くの人の目に触れるもの。着付けの先生が来ているかもしれない、メイクアップアーティストが来ているかもしれない、とは考えないのだろうか?画竜点睛を欠いた感じで本当に残念です。

spelling09『縁の鵺(よすがのぬえ)』

spelling09『縁の鵺(よすがのぬえ)』

VARNA -The Another Words-

TACCS1179(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★

脚本長すぎ、演出凝りすぎ
役者さんの出番多すぎ・・・・で、すべてに too muchでbusy な印象。こうしたヴァンパイヤ物って演出家のモチベーションがあがるのか、力が入りすぎていて、観ていて疲れました・・・・。特に何人かで背景を拵えたり状況説明で唱和するのは、始めは雰囲気作りに役立っていたが、ワンパターンでだんだん飽きてくるし、これで出番が多くなってしまい、役者さんが疲れてきているのがはっきりと分ってしまう。以前Take it easyの「千年女優」でも同じような演出があったが、あれは女声のみであったし、声のトーンのばらつきも無く素晴らしくよく揃っていたが、そもそも男女混声でこれを完璧にやるのは無理。背景を拵えるのも体格差がありすぎて難しいと思うのだけれど・・・・。厳しい意見が多いですが、基本的に無理な演出が多すぎたのではないかというのが私の印象です。もっとも、ヨスガの親玉の闇鳥さん、台詞甘すぎです・・・・。

果樹の在処

果樹の在処

集団as if~

笹塚ファクトリー(東京都)

2011/07/27 (水) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★

なんでインプロやりたいのか
よく分からない・・・・・。観客サービスなのかな?(全然サービスになってないと思うけど)たまに上手く演れる程度なら止めたほうがいいのでは、と思えるレベル。一つの部屋を様々に使うアイディアは面白いし、後半の展開も悪くないけれど、あのインプロで、逆に興を殺がれてしまった感じでした。前半で、後半に繋がる伏線が十分に張れていないので、インプロがいいインターミッションにならず、話を断絶する形になってしまったのは残念。あれだけドロドロの後半にするなら、前半に丁寧にそれを予見させるエピソードを入れておかないと、すべてが唐突の印象を否めない。この伏線をインプロでうまく仄めかしたり、張れたりするぐらいなら、インプロも悪くはないと思いますが・・・・。ストーカーされる少女の美少女度にも疑問が・・・・・。

愚鈍起承転浪漫譚

愚鈍起承転浪漫譚

シンクロナイズ・プロデュース

吉祥寺シアター(東京都)

2011/07/28 (木) ~ 2011/07/31 (日)公演終了

満足度★★★★★

美しく、ソフィスティケイトされた空間
吉祥寺シアターの、あの天井の高い奥行きのある舞台を、あんなに上手に使いこなしている劇団を初めて見ました。シンプルな舞台美術が、お手本のような力強いライティングにより、様々な空間として活きてくるのは役者さんの力量が有ってこそのものだと思いますが、それぞれのシーンが絵のように美しく、よく計算されていて印象的でした。ストーリーの面白さ、台詞の切れの良さも抜群です。愚鈍で不器用で誠実なドンキホーテに現代の役者バカの人生を重ね合わせた、現代版「ドン・キホーテ」素晴らしい出来でした。音楽の選択も良く、男達の可笑しさ、切なさを美しく彩っていました。う~ん、なんというか、生きるのが下手な男達を描くのに、これだけ洗練された演出を持ってくるとは・・・・。素晴らしいものを見た満足感でいっぱいです!

肝っ玉おっ母とその子供たち

肝っ玉おっ母とその子供たち

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2011/07/22 (金) ~ 2011/07/26 (火)公演終了

満足度★★★★

ヘレンケラーの時もそうだったが、
舞台美術や衣装の見事さ、役者のばらつきが無いこと、暗転のテンポ良さなど、プロフェッショナルな技を感じる舞台でした。ただ、ミュージカルではないので歌にまで細かくチェックを入れるのはヤボというものですが、劇中歌に関しては少し声量が足りず、不満が残った。この劇の中では歌もかなりなウエイトを占めていて、それがこの劇のいいアクセントになっていると思うが、その部分が弱かったのがすごく残念な気がした。カトリンを葬る時の歌など、泣かせどころだったと思うが・・・・。台詞は小さな声もよく響き、さすがの貫禄だったが、歌はやはり感動を与えるためにはある程度の声量は必要だったと思う。ブラボーの声が飛ぶ幕引きの中、あの歌にもっと力があったらそれこそスタンディングオベーションの嵐になったことと思います。

天幕版 東海道四谷怪談

天幕版 東海道四谷怪談

天幕旅団

ザ・ポケット(東京都)

2011/07/20 (水) ~ 2011/07/24 (日)公演終了

満足度★★★

改作歌舞伎エンターテイメントを
目指していたようですが・・・・・。早口のうえ滑舌が悪く、始終いらいらさせられたた。崇徳院の「瀬をはやみ・・・・・」に始まって、古今の名歌や名台詞の断片をちりばめた五七調の台詞はいったい何のためなのか。台詞が心にどころか、耳にすら届かない。天幕旅団のポリシーが「・・・公演が終われば跡形もなく消え、後には何も残らないサーカステントのようなお芝居を目指す」とあるが、あれでは本当に何にも残らない。時間の問題があるのなら、全く受けていないちゃんこの部分などを削ればいいのだし、あの台詞のテンポをキープする意味が全く分りません。
劇場自体はいい雰囲気を拵えていたし、また、名作の改作や歌舞伎エンターテイメントというジャンルもかなり斬新で面白い。赤穂浪士役の役者さんが町人と刃を交える時と、浪人とはいえ侍の伊右衛門と戦うときはちゃんと太刀筋を変えていたし、きちんと出来ている部分も少なくないのに、肝心の台詞が出来ていないのは非常に残念な感じです。

玄朴と長英

玄朴と長英

ピーチャム・カンパニー

ART SPOT LADO(東京都)

2011/07/23 (土) ~ 2011/07/30 (土)公演終了

満足度★★★★

チャレンジングな劇団だなぁ・・・・・
というのが第一の感想です。前公演のダンシング・ヴァニティもそうでしたが、尖った演出や今回の息詰まるような会話劇など、並の神経ではやれない。劇団の視線がはっきりと演劇の進化や革新に向いているのを感じます。全く性格や生き方の違う二人の男の会話劇なのですが、大正時代に発表されたとは思えない斬新さを持って迫って来ました。玄朴と長英という江戸時代の人間を描きながらも、普遍的な人間のぶつかり合いを表しており、今はもうこんな濃密な人間関係は望んでも得られないのかもしれないな、と最後の玄朴の独白を聞きながら思いました。現代人もこのような人間関係に憬れているのだろうな、と思わざるを得ないようなお芝居です。これを一日に三公演ですか・・・・・。体力的にもチャレンジングだなぁ。

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