博多湾岸台風小僧
劇団桟敷童子
吉祥寺シアター(東京都)
2007/11/06 (火) ~ 2007/11/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
レトロで熱い芝居くささ満点
アナクロな物語に暑苦しい演技、しかし作り込まれた美術と熱気にあふれる役者たちの演技は確実に濃厚な叙情味に満ちた演劇的ファンタジーを堪能させてくれる。
芝居の面白さを存分に味合わせてくれる素晴らしい舞台だった。
ワールド・トレード・センター
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2007/10/20 (土) ~ 2007/11/06 (火)公演終了
満足度★★★★
世界と私との関係を考えてみる
2001.9.11にNYで起こった同時多発テロの映像は衝撃的であったけれど、あの事件について私はどういった関わりを持ちうるだろうか。
自己の日常の外枠にあるものとして全く無関心でいることは、果たして「正しい」ことなのだろうか。
WTCビルを臨むビルの一室にあるとある日系情報誌の編集部に、あの日、不安を感じつつ集まってきた人々の姿を描くことで、世界と私の関係の取り結び付き方への問題提起を投げかける群像劇だった。
ワールド・トレード・センター
燐光群
ザ・スズナリ(東京都)
2007/10/20 (土) ~ 2007/11/06 (火)公演終了
満足度★★★
大惨事との距離感
同時多発テロによって崩壊してしまったWTCビルを臨むビルにある在NY日本人向けの情報誌編集部が舞台。
テロが起こったあの一日を、NY人でありながら異邦人でもある現地日本人の立場から立体的に描き出す。
天使都市
演劇集団円
ステージ円(東京都)
2007/10/02 (火) ~ 2007/10/14 (日)公演終了
満足度★
きょう人のつぶやき
を舞台化したかのような、脈絡のない場面が連なる意味不明の舞台。
無理してことばを追っていくと、こちらの気が狂いそうになる。
文字列としてじっくりつきあえば何らかのイメージが浮かび上がるのかもしれないけれど、芝居言語としては成立していないように思った。
Mirror
jorro
王子小劇場(東京都)
2007/10/04 (木) ~ 2007/10/08 (月)公演終了
満足度★★★★
青年男女の恋愛風景
よくできていた。
上演時間は80分ほど。
雰囲気の作り方はとてもいい。
おおむね楽しめた。
しかしポツドールの亜流という感じでどうしても見てしまう。
登場人物の偏差値が若干ポツドールより上って感じで。
ニュータウン入口(本公演)
遊園地再生事業団
シアタートラム(東京都)
2007/09/21 (金) ~ 2007/09/30 (日)公演終了
満足度★★
華麗な美術、貧しいテクスト
極めて洗煉された視覚表現に、いかにももったいつけた独りよがりのイメージを感覚的に接合したようなテクストの組み合わせ。
空白に何らかの意味を見いだす観客もいるのだろうが、はっきりいって退屈な芝居だ。素材の組み合わせに飛躍があり、しかもその連想は安易に思える。作者の孤独な連想ゲームに無理矢理つきあわされているような感じだった。
遊び半分
中野成樹+フランケンズ
赤坂RED/THEATER(東京都)
2007/09/20 (木) ~ 2007/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
軽やかでモダンな翻訳劇
中野茂樹+フランケンズの舞台を見るのは今回がはじめてだったが、僕は非常に面白かった。
100年前のアイルランドの芝居を、現代の日本の感覚にひきよせて演じることで、そのギャップがもたらすおかしさと同時に、戯曲が本来持っていた普遍的な魅力についても再発見できたように思う。
シングのこの名作を選択するという嗅覚の良さもすばらしい。
カロリーの消費
サンプル
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2007/09/14 (金) ~ 2007/09/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
邪悪ファルスの傑作
胸が悪くなりそうな露悪的ギャグ満載だが、松井周演出だとそんな場面もあっさり味に感じられる。
シュールな設定で、エキセントリックな人物たちが、妙にリアリティのあるディアローグでやりとりすることで、グロテスクな喜劇性を生み出されている。
アルゴス坂の白い家-クリュタイメストラ-
新国立劇場
新国立劇場 中劇場(東京都)
2007/09/20 (木) ~ 2007/10/07 (日)公演終了
満足度★★
冗長散漫
川村戯曲らしい面白い仕掛けはいくつかあったとはいえ、全般的に整合性の乏しい、伝えたいことが不明確な舞台。役者も演出家もひたすらもがいている感じである。
休憩を含み2時間50分の公演時間はとても長く感じられた。
ロマンス
こまつ座
世田谷パブリックシアター(東京都)
2007/08/03 (金) ~ 2007/09/30 (日)公演終了
満足度★★★
後半失速?
ボードビル風のスタイルで、ボードビルを志向していたというチェーホフの44年の生涯を表現する。
緻密な演出と達者な役者の技の数々を堪能するが、脚本は物足りない。後半特に失速した感じ。
これぐらいのスタッフをそろえれば、これくらい面白いものはできるのはあたりまえ。でも何か物足りなさを感じる舞台だった。
the real thing
青年団リンク・RoMT
こまばアゴラ劇場(東京都)
2007/09/05 (水) ~ 2007/09/11 (火)公演終了
満足度★★★★★
知的な演劇的仕掛けを堪能する
一筋縄でいかない、いかにもやっかいそうな戯曲を、洗煉されたセンスで見事に提示した優れた舞台だと思った。音楽の使い方や選曲がしゃれている。
役者陣の演技もニュアンスの豊かなもので、こちらの想像力を刺激する。
シラノ・ド・ベルジュラック
メジャーリーグ
青山円形劇場(東京都)
2007/08/29 (水) ~ 2007/09/09 (日)公演終了
満足度★★★★
コトバの芝居の醍醐味と役者の名人芸
シンプルな舞台装置の中でのスリリングなコトバのやりとりがドラマを生み出していく過程を堪能する。
達者な役者たちの個性と技を十分に生かした演出だと思った。
安寿ミラのロクサーヌは本当にすばらしい豊かさであった。
右近、猿弥などの芸達者による流麗なリズムの芝居も心地よい。
知りすぎているほどわかっている結末にも、涙を止めることはできなかった。
いい舞台だったと僕は思いました。
オズの魔法使い
NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)
にしすがも創造舎 【閉館】(東京都)
2007/08/25 (土) ~ 2007/09/01 (土)公演終了
満足度★★
スペクタクルは華やかだけど
衣裳,ダンス,照明,音楽などの仕掛けにはいろいろな工夫があったけれど,展開はめりはりにとぼしく,僕は退屈してしまった.
もう少し刈り込んでテンポをあげたほうがよかったように思う.
ライオンキング【東京】【2023年1月22日昼公演中止】
劇団四季
四季劇場 [春](東京都)
2000/01/01 (土) ~ 2016/05/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
充実感に満ちたすばらしいスペクタクル
オープニングは圧巻である。
そのイメージの豊かさと濃厚さに陶然としてしまう。
とにかく独創的で美しいスペクタクルに満ちた舞台である。
孤児のミューズたち
Studio Life(スタジオライフ)
シアターX(東京都)
2007/07/25 (水) ~ 2007/08/05 (日)公演終了
満足度★★★★
チェーホフ的
悲劇的で絶望的な状況を、喜劇的枠組みの中で見事に描き出すことに成功していた。
脚本がすばらしい。『ゴドー』をチェーホフ的な道具立てで再現したような感じ。
ヴェローナの二紳士
シェイクスピアシアター
俳優座劇場(東京都)
2007/06/02 (土) ~ 2007/06/04 (月)公演終了
満足度★★★
シンプルなシェイクスピア
贅肉のないすっきりとしたシェイクスピアの笑劇。
戯曲の面白さを味わうことができる舞台だが、簡素な舞台だけに観客側も能動的に想像力を働かさなければ楽しめないだろう。
主演の平澤智之は声よし、姿よし、演技よしのすばらしい役者だと思う。
ヒトガタ(再演)
グリング
新宿シアタートップス(東京都)
2007/06/06 (水) ~ 2007/06/18 (月)公演終了
満足度★★★
上質のホームドラマ
よく練られた脚本に達者な役者、テンポのよい展開。
ただお話自体は意外性に乏しく、なんとなく物足りない。
中学校の美人学級委員長がそのままへんに崩れることなく大人になったような高橋理恵子の美貌に魅了されてしまいました。
藪原検校(やぶはらけんぎょう)
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2007/05/08 (火) ~ 2007/05/31 (木)公演終了
満足度★★★
悪の凄み
洗煉された舞台美術と整然とした演出プランで戯曲の面白さは十分伝わった。役者ももちろんすばらしい。
しかし全体にいまひとつ狂騒的なエネルギーに乏しい舞台でもあった。
犬は鎖につなぐべからず
ナイロン100℃
青山円形劇場(東京都)
2007/05/10 (木) ~ 2007/06/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
今年のベスト1
岸田戯曲の世界が丁寧に再現されつつ、ケラの色でしっかり染まっている。七つの戯曲はケラの魔術によって融合され、さらに豊かで味わいのある小宇宙が作り出されていた。
とにかく観に行って、狂騒としみじみの奇跡的な結合を堪能してもらいたい。
私は大傑作であると思いました。
実験
演劇集団円
ステージ円(東京都)
2007/05/17 (木) ~ 2007/05/31 (木)公演終了
満足度★★
「巨悪」がひきたたない
橋爪功奮闘するも、全般に人物造型が類型的で台詞が陳腐なため、「巨悪」の凄みがひきたたない。
展開のテンポはいいので退屈はしなかったが、主題の大きさのわりには平板な芝居になってしまったように思った。