しのぶの観てきた!クチコミ一覧

1021-1040件 / 1290件中
モリー先生との火曜日

モリー先生との火曜日

加藤健一事務所

本多劇場(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/15 (火)公演終了

満足度★★★★

期待を裏切らない戯曲
観に行って正解でした♪原作小説を購入して帰りました。

Do!太宰

Do!太宰

ブルドッキングヘッドロック

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2010/05/14 (金) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★

オーソドックスな演出で劇世界を深く豊かに、そして遠くへ
 太宰治作品やその登場人物、太宰自身と彼の周囲の人々のエピソードと平行して、ブルドッキング・ヘッドロックという劇団の成り立ちや内部事情、たとえば脚本家(喜安浩平さん)の脚本執筆が遅いことや劇団員の生活が厳しいことなどを、暴露するように見せていきます。
 私小説を書いた太宰と劇団史(部分的に私戯曲)を書く喜安さんが重なり、太宰作品および太宰の人生と現代の若者の群像劇が相似していく脚本がとんでもなく面白いです。

 台を山車のように、壁を障子のようにスライドさせ、動画や文字映像を壁に映すなどして多くの場所、時代へとすいすい場面転換していきます。装置による演劇的演出がとても巧みです。今では見慣れた、もしかすると少し古さも感じる演出方法かもしれません。でも太宰を見る私、私を見る太宰、その双方を見つめる私(観客)という多層空間が力強く立ち上がっており、オーソドックスな手法から生まれるマジックを再確認できました。

 しかし、いかんせん全体的に役者さんの演技は上手いわけではなく・・・作品として拝見する体勢を整えるまでに長い時間がかかってしまいました。
 男子高校生役を演じた時の津留崎夏子さんの、思い切った振り切れっぷりには見入りました。津留崎さんのことは他劇団の公演でもよく拝見していましたが、違った面を見せていただけました。

 制作面についてはロビーでの物販が充実しており、10周年記念のTシャツの色が豊富で、思わず物色してしまいました(笑)。DVDだけでなくサウンドトラックも作ってらっしゃるんですね。
 総勢17人という劇団体制は、今の小劇場の状況から考えると大所帯だ言っていいと思います。大人数のマンパワーを今後も大いに見せつけていっていただけたらと思います。

ネタバレBOX

 終盤の展開に心奪われました。突然日本の主要都市がテロに襲われ、戦争状態になってしまいます。劇団の過去と現状を太宰および太宰作品と重ねるだけに終わらず、架空の未来の姿を示したことで、日本の内にとどまらない普遍性を感じ取れました。
 (終演後に主宰の西山宏幸さんに伺ったところ、戦火を逃げ惑った太宰と重ねた場面だったそうです)
露出狂

露出狂

柿喰う客

王子小劇場(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/31 (月)公演終了

満足度★★★★

演劇マシンたちのまばゆい疾走
 某女子高サッカー部のあられもない痴態と猛スピードの栄枯盛衰。マシンガンのように打ち込まれる膨大なセリフで約100分を一気に駆け抜けます。

 サル山をイメージしたという美術は“お山の大将”“猿真似”といった文字通りの意味も連想させますが、私にはバベルの塔にも見えました。サッカー部の荒くれ女子部員たちが、高みを目指すが地に落ちることを繰り返し、それでもまた上を見上げ続ける人類をあらわしているとも受け取れました。
 そして「高天原女子高校」という名前もいいですね!高天原といえば日本神話ですが、ギリシア神話の神々の戯れや死闘とも重なりました。※高天原は中屋敷さんの脚本によく登場します。

 ラストシーンはさておき、よく計算された脚本だったと思います。登場人物の名前を連呼することで、14人の女子高生の顔と名前が素早く一致して、難なくストーリーについていけるようになります。名づけ(役名やキャッチコピーなど)のセンスも冴えており、鮮やかなひとことで役を輝かせました。
 ある脚本・演出家がおっしゃっていたのですが、本来ならト書きになるような情報が、全てセリフの中に書きこまれているのも中屋敷さんの脚本の特徴です。「誰が、何をして、どうなった」とはっきりセリフで説明してしまうのですが、それが単調な言葉の羅列で終わらず、ぐっと空間の厚みを増すように演出されているのが素晴らしいです。

 演技(発声)方法は好みが分かれるところかと思いますが、私は俳優の身体を、今作については女性らしさをあからさまに利用していることに、潔さというか、プロ意識を感じます。
 女優たちはある型に沿った、いわば振付どおりに動き語ります(そのように見えます)。決まった形と言えど切り替えが頻繁かつ早いので、なぞるだけでも難易度が高いです。体の動きだけでなく感情の揺れも小刻みですから、体と一緒に気持ちもパキパキとコントロールする必要があります。それらの技をこなしつつ、出演者全員がそれぞれの持ち味を発揮するという贅沢を味わえました。

 劇団員の3人をはじめ客演常連の方々のいつもながらの凄味と安定感が嬉しく、初出演(だと思われる)の方の今まで気づけなかった魅力も発見できました(例えば劇団競泳水着の細野今日子さん)。
 中でも「ブス」と言われ続けるウツボ役の七味まゆ味さんにはノックアウトされました。ウツボの人物紹介は「大胆不敵なサッカーサイボーグ!」でしたが、七味さんは演技サイボーグですね!

 制作面では1週間以上の公演を盛り上げるための工夫がいいですね。終演後に色んなイベントがあり、チケット価格もそれに合わせて数種類あります。物販コーナーも充実していました。
 全配役をシャッフルする「乱痴気」ステージは今や柿喰う客ではおなじみのイベントですが、2通りの稽古をしているのは単純に考えても大変でしょうし、観客へのサービスという面だけでなく、俳優養成の意味でも大いに役立っているのではないかと思います。

ネタバレBOX

 1期生、2期生、3期生それぞれのサッカーに賭けた青春を描き、最後は1期生のヒル(深谷由梨香)が舞台上に残ります。乱交でチームワークを保っていた同級生4人が卒業してバラバラになり、ヒルが悲しくたたずんでいると、ゴキ(熊川ふみ)が現れます。そこでなぜかサッカー部に入部する3年前の春へと場面転換。「これが終わりの場面ですよ」ということはわかりましたが、なぜその場面で終わることを選んだのか、すっきりと腑に落ちませんでした。
 回想シーンだと素直に受けとめると、「そして人はまた愚行を繰り返す」といった印象を与えるいわゆるリプライズの効果や、もしかしたら「すべてはヒルの空想だった」という夢落ち・・・などと色んな可能性を考えられたのは面白かったです。

 中屋敷さんの作品を観終わった時にいつも私の心に残るのは「中屋敷さんってなんて凄い人なんだろう!・・・でももっとできるはず」という不完全燃焼な後味。それは今回も同じでした。一観客のわがままにすぎませんが、いつか「とうとう100%以上のものをつぎ込んでしまった・・・!」「振りきれて一周回って帰って来て、また遠くに飛んで行っちゃった!」ぐらいの(笑)、とんでもない問題作を書いてくださることを期待します。
マクベス-シアワセのレシピ-

マクベス-シアワセのレシピ-

THEATRE MOMENTS

シアターX(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

満足度★★★★

予言に翻弄されるマクベスを現代に読み替える
 シンプルな装置の中で、主に身体表現で戯曲を立体化するスタイルでした。想像していたよりも原作に忠実で、初めて「マクベス」を観た人にもその内容があらかたわかるようになっていたことに好感を持ちました。主人公マクベスは三人の魔女の予言に翻弄されますが、それを現代に読み替えた演出がとても面白かったです。

 オープニングの「観客の恋愛体験をその場で手短に演じてみる」という余興(ガチンコ馴れ初め芝居)は、個人的には好きにはなれませんでしたが、舞台から役者さんが観客に気さくに話しかけ、希望者全員に飴を配るサービスづくしの幕開けには、劇団の姿勢がよく表れていて感心しました。ロビーでは絵画展が併催されており、演劇鑑賞の窓口を広げる工夫もされています。
 初日はシアター・カイが通路席まで埋まっており、劇団の固定ファンを大勢獲得されているのがよくわかりました。

 受付に長蛇の列ができており、スムーズに客席につけたとは言いがたい状況でした。終演後に演出の佐川大輔さんとお話させていただいた際、作品の感想と一緒にそのことをお伝えしたところ、真摯に聞き届けてくださいました。翌日からは具体的に改善されていたようで、観客への誠実な対応を嬉しく思いました。

ネタバレBOX

 衣装は末広がりのパンツ・スーツで統一しつつ、中に着る白系のインナーやヘアメイクで個人差を出していました。統一イメージで俳優を記号化し、演じる役が次々に変わっていくことで、物語の普遍性を伝えられていたと思います。
 マクベスとマクベス夫人を演じる役者さんをある場面から変えることで、2人のおかれた状況および精神状態が大きく変化したことを示すのは、演出家の解釈がはっきりと表れて面白いです。

 フィジカルシアターとはいえ心理描写は非常にリアル。メソード演技の技術を感じさせました。たとえば、王位には就けたが心の静寂を失ってしまったマクベス(山本悠生)が、マクベス夫人(絵理)に「お前のせいでこんな目に遭った!」と涙を浮かべて逆ギレする姿に、爆笑できたんですよね。「演技をしている人たち」を眺める階層から、「自分のことを棚にあげて誰かに当り散らす困った人」を目の当たりにする階層へとジャンプできたからだと思います。

 赤い糸と紙(新聞紙)、てるてる坊主などの小道具の使い方も効果的でした。
 敵兵に囲まれ孤立したマクベス(佐川大輔)は、新聞記事を身にまといながら舞台をぐるぐる走り回ります。それはTVコマーシャル、ノウハウ本、占い、噂話などに翻弄される現代人を表していました。

 個人的にもったいないと思ったところを数点。ダンカン王を演じていた山本悠生さんが、後でマクベスを演じていたのには違和感がありました。1人1役ではないものの、メインの役柄については固定イメージがつく演出だったので、違う役者さんにしてほしかったです。
 マクベスを破ったマルカム王子が勝利宣言をする場面は、できれば皮肉な視点も盛り込んで欲しかったですね。最初の場面のリプライズになり、パタっと突然とぎれるような幕切れも物足りなかったです。

 マクダフのエピソードをカットして「母の腹をやぶって生まれてきた」のをマルカム王子にするのは、思い切った選択ですが巧い工夫だと思えました。
アメリカン家族

アメリカン家族

ゴジゲン

吉祥寺シアター(東京都)

2010/04/29 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★

舞台は崩壊し、家族は(一瞬)再生する
 あらすじ→母が突然出て行ってしまい、3人の兄弟と父親だけが残された。そんな非常事態に、次男の誕生日パーティーに参加しようと長女とその夫が帰ってくる。しかし次男は友人を2人連れて来て、家族水入らずの雰囲気ではなくなってしまった。さらに見知らぬ男まで家に入り込み・・・。

 作・演出の松居大悟さんが終演後のトークで話されていたとおり、役者さんの即興(エチュード)からシーンを立ち上げる作劇方法をとっていらっしゃいます。役者さんの魅力を伝えやすいという利点はあるものの、どうしても脚本の精度は低くならざるを得ないと思います。必要だとは思えない会話が積み上げられては捨て去られていくので、私には何を見て、何を感じ取るべかを選べない混沌状態でした。でも最後にあっと驚く演出で、ぐるりと世界をひっくり返してくれたのがとても面白かったです。

 役者さんの中では母のボーイフレンド(?)役の津村知与支さんが特に印象に残りました。一人芝居としても観られる完成度で、ありえない事態をしっかり成立させていらっしゃいました。

ネタバレBOX

 「全てをぶち壊す」シーンで、役者さんが家の壁に突進して破いてしまいます。服を脱いで舞台の外に投げて、照明器具に引っ掛けるという暴挙に感動(笑)。マンションの1室が広い世界とつながり、居間とゆるやかなスロープ、その上にある個室との間に隙間(装置の間の溝)があることにも納得できました。

 家族だけで食卓を囲み、互いの悪口を言い合う場面は密度が高まってとても良かったです。
 1人ひとりの誕生日を盛大に祝うのが、この家族にとって絶対に欠かせない恒例行事だということでした。次男(奥村徹也)が事前連絡なしに友達を連れてきたことさえも、その行事を面白くするためのアイデアだったのではないか・・・とまで考えてしまいました(笑)。こんなに想像を広げられたのは、最後の家族の結束に説得力があったからだと思います。
夢の痂(かさぶた)

夢の痂(かさぶた)

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

劇場は夢の真実を考えるところ
こまかいところまで丁寧に演出が行き届いていて、初演よりもぐんと理解が深められたように思います。三部作の最後を飾るにふさわしいエンディング。
井上ひさし全戯曲の初演記録など、劇場で販売されているパンフレットがすごく充実しています。
神野美鈴さんが素晴らしかったです。

ネタバレBOX

終戦から2年経った東北地方の元地主宅。巡幸する天皇陛下が泊まることになり、その予行演習をする場面。かたずをのんで見守りました。この劇中劇のように天皇が責任を取って退位していたら・・・日本はどんな国になっていたかしら。
「劇場は夢を見るなつかしい揺りかご 夢の真実を考えるところ 夢の裂け目を考えるところ」
『SHIBAHAMA』  遂に本日千秋楽!!!当日券出ます!!ぜひぜひおこしください。

『SHIBAHAMA』  遂に本日千秋楽!!!当日券出ます!!ぜひぜひおこしください。

快快

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2010/06/03 (木) ~ 2010/06/13 (日)公演終了

満足度★★★★

なんと言っていいやら…凄かった
快快の作品は私にとっては観るというよりは体験で、その点で今作はより本質的な意味で「体験」でした。ただの観客参加型イベントではなく、全体が「SHIBAHAMA」になっていて、全身全霊のメッセージも受け取れたように思います。

ネタバレBOX

私が見た回のゲストは岩井秀人さん。テレビゲームが本当に得意なんですね。岩井さんのアドリブだか演技だか見分けがつかない生々しさが凄かったです。日替わりゲストによって、作品の印象はガラっと変わると思います。
わが町

わが町

JAM SESSION

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/25 (火) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

通路席までぎっしりの初日。
役者さんは前のめりで元気。メリハリの利いた演出で、大好きな「わが町」の世界をしみじみ味わえました。ロビーで戯曲も販売してくれています。

モジョ ミキボー

モジョ ミキボー

モジョミキボー上演委員会

OFF OFFシアター(東京都)

2010/05/04 (火) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

初日に鑑賞
素晴らしい2人芝居。後半にもう一度行きたいと思っていたのですが、難しい感じに・・・(涙)。まだご覧になってない方、5/30(日)までですのでどうぞお見逃しなく!

寝台特急”君のいるところ”号

寝台特急”君のいるところ”号

中野成樹+フランケンズ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2010/05/20 (木) ~ 2010/05/30 (日)公演終了

満足度★★★★

生きてる自分の時間は特別で、でも平凡で。
いつもながらきちんと作りこまれている、おしゃれで優しい時間でした。幼稚園で上演される園児によるペープサートを思い出しました。

ネタバレBOX

列車、コンパートメントに小分けされた1つ1つが、世界の縮図。そして列車から飛び出して、宇宙まで飛んで行って・・・。
谷山浩子 Presents うさぎと猫の芝居小屋 Vol.1 第1話『不思議なアリス』/第2話『真夜中の太陽』

谷山浩子 Presents うさぎと猫の芝居小屋 Vol.1 第1話『不思議なアリス』/第2話『真夜中の太陽』

うさぎと猫の芝居小屋

こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都)

2010/05/19 (水) ~ 2010/05/22 (土)公演終了

満足度★★★★★

工藤千夏作・演出の短編「真夜中の太陽」
始まって数分で、あぁ、これは傑作だ、と思いました。とてもシンプルだけど、一目で演劇ならではの多重構造を示す衣装と配役。ほとんど泣きっぱなしの約45分間。「不思議なアリス」は谷山浩子さんのファン向けかも。

ネタバレBOX

みずみずしい死者たちと出逢い、震えました。
井上ひさし作「少年口伝隊 一九四五」と飴屋法水演出「転校生」が組み合わさったような構成で、最後はスペイン映画「パンズ・ラビリンス」のエンディングを思い出しました。
ザ・パワー・オブ・イエス

ザ・パワー・オブ・イエス

燐光群

ザ・スズナリ(東京都)

2010/05/10 (月) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

恩恵を受けたのは誰なのか
井上ひさしさんの「いつまでも過去を軽んじていると、やがて私たちは未来から軽んじられることになるだろう」という言葉を、より生々しい実感を持って、受け止めることができた。

甘え

甘え

劇団、本谷有希子

青山円形劇場(東京都)

2010/05/10 (月) ~ 2010/06/06 (日)公演終了

満足度★★★★

『甘え』というタイトルに唸る
めちゃくちゃ面白かったです!全く躊躇せず、大きくダブルコールしました。脚本演出はもとより美術、照明、音響などのスタッフワークも充実。

プランクトンの踊り場

プランクトンの踊り場

イキウメ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2010/05/08 (土) ~ 2010/05/23 (日)公演終了

安定感のある劇団ですね
今回もごく普通の日常と隣り合わせの、ちょっと怖いSF世界を楽しむことができました。

ネタバレBOX

3人目の滋が“情報の入れ物”から“記憶の入った人間”になった場面で、一気持に空気が変わったのが面白かったです。
田村一行『オママゴト』

田村一行『オママゴト』

大駱駝艦

大駱駝艦・壺中天(東京都)

2010/05/01 (土) ~ 2010/05/16 (日)公演終了

大駱駝艦を初見
全身白塗りでほぼ全裸の男女が踊る日本の舞踏。アングラが苦手な私ですが、全然平気でした。オリジナリティーが次世代へと継承されていることが素晴らしいなと思いました。

BLUE/ORANGE

BLUE/ORANGE

シーエイティプロデュース

ワーサルシアター(東京都)

2010/04/22 (木) ~ 2010/05/02 (日)公演終了

満足度★★★★

密度の高いスリリングな三人芝居
ワハハと笑っても不安にさせられる、スリリングなお芝居でした。私が観た回は満席。気になる方は早く予約した方がいいかもしれません。5/2まで。人間は他人を知りたがるけど、実際のところは自分自身のことも全然わからないんですよねー。

第13回公演 「匂衣(におい)」ご来場ありがとうございました!

第13回公演 「匂衣(におい)」ご来場ありがとうございました!

劇団印象-indian elephant-

シアター711(東京都)

2010/04/16 (金) ~ 2010/04/25 (日)公演終了

満足度★★★★

25日(日)13:00~公演中止、17:00~特別公演
24日昼に拝見しました。小劇場で出会えて嬉しい、優しいお芝居でした。

ネタバレBOX

思い出には匂いと肌触りがあり、それはその人だけのもの。温かい孤独を抱きしめられた。韓国人女優役のソヌさんと娘役の瀧田さんが良かった。
ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

ORGAN 【ご来場ありがとうございました。次回公演は9月中旬】

elePHANTMoon

サンモールスタジオ(東京都)

2010/04/07 (水) ~ 2010/04/18 (日)公演終了

満足度★★★

シュールな現代ホラー
 臓器移植をテーマに、臓器提供者(ドナー:D編)と臓器受容者(レシピエント:R編)の当事者心理を描いた2本立て公演。作・演出はマキタカズオミさん。私は【R編】【D編】の順番で鑑賞しました。

 舞台は木の茶色とアルミ(素材は不明)の銀色が壁にうまく配置された、品のいい都会的な部屋。中央奥のコンクリート打ちっぱなしの壁から木々の緑が少し覗き、自然の温かみを感じさせます。装置上部をぐるりと囲み、二重らせんを思わせる木の枠がポイントでした。
 そんなさわやかな空間で静かに交わされる現代口語劇ですが、題材が臓器移植ですから内容は重厚。登場人物の感情の衝突は激しく、息が詰まるような緊張感があります。

 前作『ブロークン・セッション』でも感じたことですが、両バージョンともに「その先が見たい!」と思うところで終幕するのが残念でした。「CoRich舞台芸術アワード!2009」の第2位に選ばれた『成れの果て』では、タイトルどおり救いようのない人間の争いとその果てがしっかり描かれていたので、私が勝手な期待をしてしまったせいもあると思います。
 “現代日本を舞台にしたシュールなホラー短編”としては、見応えがあるかもしれません。でも私としては、周囲や自分自身との死にものぐるい格闘と、その末に獲得される何かが見たかったです。

 【R編】初日の上演時間は50分でした。【D編】が1時間15分なので、装置の転換が大変かもしれませんが、できれば途中休憩を挟んで両方一度に観たかったですね。
 【D編】の回はほぼ満席で、場内誘導のスタッフさんたちの客入れの手際の良さにうなりました!入り口が1箇所しかない小劇場で自由席だと、空席がないようにするのも難しいんですが、通路席も見事に埋まっていました。

ネタバレBOX

【D編】
 “死刑囚の臓器提供が合法化された近未来”という設定がとても面白いです。臓器を提供する死刑囚と提供を受ける家族だけでなく、その間に入る業者や刑務官の家族、もう1人の被害者遺族の現実を描く群像劇になっており、臓器移植についてより広く、深く考える仕掛けになっていたと思います。死刑囚の「自分の臓器で6人が助かるなら、2人分おつりが来る(殺したのが4人だから)」という発言は、不謹慎ですが興味深いです。

 ただ、繰り返しになりますが、私が見たかったのは自分の子供の仇である死刑囚の心臓を移植された妻・百合が、夫とともにこれからどうやって生き延びていくのかです。子供を殺され妻も死に、すっかり絶望してしまったもう1人の遺族・金城が、移植手術直後の百合の心臓をナイフで突き刺して殺し、自分も窓から飛び降りて自殺するという結末では、物足りなかったですね。

 目立った大道具は中央下手寄りに置かれた黒いテーブルとイス4脚のみ。そのまま刑務所の面会室、居酒屋、リビングなどに場面転換します。照明も音響も特に使わず、2つの異なる場面を重なった状態にする演出は、シンプルな会話劇が続く空間に動きを与え、いい刺激を生んでいました。
 例えば金城の部屋を、妊娠中でお腹の大きくなった刑務官の妻・麻子が横切る場面がとてもスリリング。また、同じテーブルに着いているのに、百合と麻子が別の空間にいるのも面白いです。

 木製のテーブルとイスの表面の処理(塗装の仕上げ方)や可動性などは改善の余地あり。緻密な演技の積み重ねから、静かで分厚い空気が作り上げられていたので、わざわざ持ち上げないとイスがスムーズに動かないのはもったいなかったです。

【R編】
 交通事故で死んだ兄の臓器が3人のレシピエントに提供され、母と妹はその3人に、毎年1回、兄の命日(つまり臓器提供日)に自宅に来て一緒に食事をすることを約束させます。集まった人々は一見ほがらかに言葉を交わしますが、母と妹が「兄は今も彼らの体の中で生きている」と思っていることがわかり始めてから、狂気が加速していきいます。

 登場するのは8人ですが、1対1、2対1といった少人数の密度の濃い会話が多く、人物の出はけや通りがかるタイミングなどがよく計算されていたと思います。でももっと濃く残る後味が欲しかったです。50分の短編だと考えても物足りなかったですね。

 「もう来年は来られない」と告げるレシピエントたちに失望した母と妹は、事故の時に兄を乗せて車を運転していた男を使って、彼らを殺害。切り出してビニール袋に入れた3つの臓器をテーブルに並べ、母と妹がそれを眺めながら嬉しそうにパンを食べます。「年に一度お兄ちゃんと食事をする」という希望が叶ったことを表していたんですね。
夢の裂け目

夢の裂け目

新国立劇場

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2010/04/08 (木) ~ 2010/04/28 (水)公演終了

満足度★★★★★

約10年ぶりの再演
ドイツ演劇のようなシャープな装置で、戦争直後の庶民の日常が描かれます。井上ひさしさんの「東京裁判三部作」の中で、一般人の戦争責任を問うのが『夢の裂け目』。初演同様、とても感動しました。家族と一緒に観たいお芝居です。

ネタバレBOX

「学問とは、世界の骨組みを探ること、そしてそれを磨いて、次の人に渡すこと」。「劇場は夢の真実を考えるところ」
私のこの目で【ご来場誠にありがとうございました!】

私のこの目で【ご来場誠にありがとうございました!】

劇団スカラベ

シアターブラッツ(東京都)

2010/04/09 (金) ~ 2010/04/11 (日)公演終了

満足度★★★★

前売3500円でこの歌唱力なら満足以上!
オフ・ブロードウェイ・ミュージカルの本邦初演。題材は芥川の小説3編。出演者は少数精鋭5人。奥行き生かすシンプルな装置に見事な照明で自在に転換。歌詞は饒舌すぎの感もあるが、歌の楽しさを素直に伝える演出が好感度大。

旗揚げ公演とのこと。大変だと思いますが、今後も続けていただきたいです。

このページのQRコードです。

拡大