ヴォツェック
新国立劇場
新国立劇場 オペラ劇場(東京都)
2014/04/05 (土) ~ 2014/04/13 (日)公演終了
満足度★★★★
アンドレアス・クリーゲンブルク演出
貧困が人間性を奪い、次世代も暴力の泥沼から逃れられない。水浸しの床に箱型の空間を浮かせた動的な美術に、グロ系スチームパンクの衣装も強烈…!悲惨な話がさらに悲惨に、凄惨に…。オペラだけど社会派かつ戦慄ホラー(笑)。オペラといえば「古典」の印象もありますが、演出でヴィヴィッドな現代性を持つものなんですね。
緑子の部屋
鳥公園
3331 Arts Chiyoda(東京都)
2014/03/26 (水) ~ 2014/03/31 (月)公演終了
満足度★★★
不在の他人、消失した他人とは私自身である
学校の教室の壁が白く塗られていました。床には白いカーペットが敷かれており、学校によくある金属製の脚と木を使ったイス数脚と、よく似た素材のテーブルが置かれています。客席は演技スペースをL字型に囲むスタイル。質素だけれど、そぎ落とされたおしゃれ感のある空間でした。そこに洗練されたカジュアル・ルックの若者3人(男性2人、女性1人)が登場します。役者さんが若者らしい現代口語を話し、複数人をシームレスに演じていくのはチェルフィッチュの『三月の5日間』に似ていました。
今どきのごく普通のおしゃべりから、緑子という若い女性の育ちや性格、友人・恋人関係などが少しずつ浮かび上がってきます。3人の役者さんは緑子に関わりのあったさまざまな人物を、短いエピソードごとに演じ分けていき、激しく動きながら長いセリフを言い続けたり、言葉の意味とは明らかに違う体の動きを見せるなど、負荷の高い演技をされていました。
昨年9月に拝見した鳥公園の短編『蒸発』は、肌で確かめられるような生々しい肉感があって、それゆえの切実さや切迫感から、鼻を突くような刺激的なエロスもあったと思うんです。それに比べると今作は知性できれいに整理整頓されているような印象を受け、個人的には物足りなかったです。
痒み
On7
シアター711(東京都)
2014/03/25 (火) ~ 2014/03/30 (日)公演終了
満足度★★★★
叫んでも暴れても可愛い!若手新劇女優の底力
白い布や石膏のような素材でできた、砂漠、宇宙、銀世界などを想像させる白い抽象舞台。床の中央に空いた丸くて大きい黒い穴が、かなりのインパクトです。白い空間なので照明が映えました。舞台全体を照らす映像演出も時々ありましたが、これ見よがしでないのが良かったです。
大学の同窓生たちがある事故(?)をきっかけに異空間に転送されてしまう荒唐無稽な設定で、現実を軽々と飛躍する短いエピソードが連なっていきます。登場人物のキャラクターがそれぞれに濃くて、女優さんたちは戯画的な役作りをされており、「あんなに可愛いコがこんなことまで!?」という、意外性のある体を張った演技もされます。
私の個人的感覚ですが、こういう作品は雑な印象を与えたり、過剰に下品になって見苦しくなる傾向があると思うんです。でもこの作品では、そういうことは全くありませんでした。とにかく若い女優さんが可愛い!崩れても品がある!そしてセリフが明晰!歴史ある劇団に所属してある程度の年数を経た方々は一味違うなぁと、素直に感心してしまいました。
このお芝居に登場する32歳前後の女性たちは、過酷かつ悲惨な状況に置かれているはずなのですが、場の空気は基本的に明るくコミカル。たまに挿入される心の闇の部分の描写も効果的で、一本調子にならない演出にとても好感を持ちました。ミソジ女性の本音がよどみなく垂れ流されるセリフは、皮肉が利いていて痛快です。でも深刻にはなりすぎず、女性らしい可愛げもありました。選曲も筋が通っていていいムードだったと思います。
豪華な当日パンフレットが無料で配布されました。色んな企業の広告が載っていて、ちょっと驚きました。あれだけ集めた営業努力も凄いと思います。広告を入れることをなるべく避ける団体もありますよね。いわゆる小劇場劇団とは文化が違うのだろうなと思いました。
さいあい~シェイクスピア・レシピ~
tamagoPLIN
シアタートラム(東京都)
2014/02/21 (金) ~ 2014/02/23 (日)公演終了
満足度★★★★
さいあい~シェイクスピア・レシピ~
何度も上演されてきたそうですが、やっとシアタートラムで初見。最初どうしたらいいのかドギマギしたけど、最後は感動しまくって落涙!
江戸系 諏訪御寮
あやめ十八番
小劇場 楽園(東京都)
2014/03/12 (水) ~ 2014/03/16 (日)公演終了
満足度★★★
大河ドラマの趣がある和風ホラー恋愛譚
小劇場楽園は大きな柱を挟んでL字型に客席が設営された劇場です。ほぼ正方形のステージ中央には陰陽魚の模様が描かれ、壁は障子で囲まれ、舞台上の出入口の1つにはタイトル文字が書かれたのれんが掛けられています。怪談が似合う和風の空間で、現代服の人々が歌い、舞い、演じます。ステージから柱を挟んで反対側には電子ピアノ、サックス、ヴァイオリン、パーカッション等の演奏者が控える場所があり、一部には演奏と出演を兼ねる人もいました。客席通路も含め劇場内全体を使ったお芝居でした。
戯曲は力作で、本筋にまつわるサイド・ストーリーも面白いので、休憩込みで3時間の大作にしてもいいのではないかと思いました。2つの家族の話だと、たとえばケラリーノ・サンドロヴィッチ作『百年の秘密』(約3時間25分休憩込み)もあります。生演奏を含むさまざまな演出的趣向については、戯曲が複雑な構成であるせいか、全体的に盛り込み過ぎの印象を受けました。
客席通路で大きな声を出す場面が少なくなく、私個人としては耳がつらかったです。大劇場でも通用する声量をお持ちの役者さんは、そのあたりの調整もしてもらえたらと思いました。
印象に残った役者さんは、篠塚家長男・春平役の美斉津恵友さんと、諏訪家長女・琴美役の金子侑加さんでした。
あひる月13
福島県立いわき総合高等学校
王子小劇場(東京都)
2014/02/21 (金) ~ 2014/02/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
トークも素晴らしかった。
震災から約3年経った被災地の高校生の今。俳優がそれぞれに一人で立っているのが素晴らしい。媚びない、甘えない、威張らない、嘘をつかない。舞台に本物の人間の言葉があった。終演後のトークでも誇張のない事実が慎ましく並べられ、私も一人の人間として向き合えた。お芝居でもトークでも落涙。上演時間は約1時間5分。
洋服解体新書
玉造小劇店
座・高円寺2(東京都)
2014/02/06 (木) ~ 2014/02/16 (日)公演終了
Rと無重力のうねりで
マームとジプシー
横浜にぎわい座・のげシャーレ(神奈川県)
2014/02/10 (月) ~ 2014/02/16 (日)公演終了
満足度★★★★
Rと無重力のうねりで
1時間40分ぐらい?ボクシングだった…辛い。どんなに辛くても立ち向かって、倒れても起き上がって、限界を超えても、それでも届かない、わからない、無重力の先。積み重ねが本物だから「わからない」と言える。弱いことが強さになる。壮絶。
男たらし
ブス会*
ザ・スズナリ(東京都)
2014/01/29 (水) ~ 2014/02/04 (火)公演終了
「砂女←→砂男」(楽日昼予約完売。昼は当日券はでません。お問い合わせは09072550814まで)
うずめ劇場
ザ・スズナリ(東京都)
2014/02/07 (金) ~ 2014/02/11 (火)公演終了
満足度★★★★
初日に両方拝見
「砂男」は原作を批評する演出家の視点があらわれていて面白かったです。「砂女」は安部公房作『砂の女』に忠実で、小劇場演劇ならではの作品でした。詳しい感想はトラックバックしています。
しろたへの春 契りきな
演劇集団 Ring-Bong
サイスタジオコモネAスタジオ(東京都)
2014/01/18 (土) ~ 2014/01/26 (日)公演終了
冬眠する熊に添い寝してごらん
Bunkamura
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2014/01/09 (木) ~ 2014/02/01 (土)公演終了
燕のいる駅
Theatre Polyphonic
ギャラリーLE DECO(東京都)
2014/01/14 (火) ~ 2014/01/19 (日)公演終了
満足度★★★
燕のいる駅
本編に出られなかった俳優のための短編上演がありました。発表会としての公演にふさわしい配慮と努力だったと思います。準備も本番も大変だったことと思います。
真夏の夜の夢(再演)
SPAC・静岡県舞台芸術センター
静岡芸術劇場(静岡県)
2014/01/18 (土) ~ 2014/03/01 (土)公演終了
満足度★★★★
悪魔が出てくる夏夢
そぼろちゃん(原作ではヘレナ)が出て来ただけでグッと来て、クライマックスでまたダダ泣き…。言葉にならず飲み込んだ思いが充満する深層心理(森)が舞台。幾重も連なる物語が現実にも続いてる。
人魚の夜
青☆組
こまばアゴラ劇場(東京都)
2014/01/10 (金) ~ 2014/01/20 (月)公演終了
TRIBES トライブス
世田谷パブリックシアター
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/01/13 (月) ~ 2014/01/26 (日)公演終了
満足度★★★★
TRIBESとは種族
面白かったです!生まれつき耳が不自由な息子がいる家族のお話。急に立場が逆転するのがスリリングで、犯罪サスペンスの香りもほんのり漂ってくる、緊張感のある会話劇でそた。とてもいい戯曲だと思います。大胆さと繊細さを兼ね備えた俳優の演技をじっくり観察し、小刻みに変化する関係性を、美しい音楽とともに前のめリでノリノリになって味わい、楽しむことができました。
音楽劇『わが町』
俳優座劇場
俳優座劇場(東京都)
2014/01/08 (水) ~ 2014/01/12 (日)公演終了
かもめ
劇団東京乾電池
ザ・スズナリ(東京都)
2014/01/07 (火) ~ 2014/01/12 (日)公演終了
満足度★★★★
原作に忠実なセリフ劇。おすすめです。
原作に忠実なセリフ劇でとても面白かった!出演者の演技にバラつきあれど、人物の心情も劇中での役割も意図がくっきりわかるのでOK。初日は2時間10分休憩なし。
抽象空間に具象の衣装と家具を用いて場面転換。演技スペースを舞台前と奥に分け、奥を効果的に使う。
ニーナを田舎くさくて純朴な凡人にして、古典悲喜劇を観客側にグッと引き寄せた。おかっぱ頭に丸メガネのキモくてダサいトレープレフにも好感。
全体をニーナ(=かもめ)の物語と印象づける工夫のおかげで、とてもわかりやすい。恋愛はもとより2人の作家の苦悩もクローズアップ。劇中劇のリフレインも素晴らしい。
トレープレフはWキャストで私が観たのは岡部尚さん。ニーナは松元夢子さん。演出は女優の角替和枝さん(出演はされていません)。
曲がるカーブ
クロムモリブデン
赤坂RED/THEATER(東京都)
2014/01/09 (木) ~ 2014/01/23 (木)公演終了
満足度★★★★
甲子園をいじり倒す約90分
あー私の想像なんかサラりと裏切り蹴散らして、遥か彼方に飛んで行った(笑)。アートセラピー受けた気分。荒療治だけどサイコー(笑)。大阪公演後なので完成度もめちゃ高い!唯一無二の劇団です。赤坂レッドシアターで1/23まで
プルーフ/証明
ウォーキング・スタッフ
シアター711(東京都)
2013/09/28 (土) ~ 2013/10/06 (日)公演終了