満足度★★★
大河ドラマの趣がある和風ホラー恋愛譚
小劇場楽園は大きな柱を挟んでL字型に客席が設営された劇場です。ほぼ正方形のステージ中央には陰陽魚の模様が描かれ、壁は障子で囲まれ、舞台上の出入口の1つにはタイトル文字が書かれたのれんが掛けられています。怪談が似合う和風の空間で、現代服の人々が歌い、舞い、演じます。ステージから柱を挟んで反対側には電子ピアノ、サックス、ヴァイオリン、パーカッション等の演奏者が控える場所があり、一部には演奏と出演を兼ねる人もいました。客席通路も含め劇場内全体を使ったお芝居でした。
戯曲は力作で、本筋にまつわるサイド・ストーリーも面白いので、休憩込みで3時間の大作にしてもいいのではないかと思いました。2つの家族の話だと、たとえばケラリーノ・サンドロヴィッチ作『百年の秘密』(約3時間25分休憩込み)もあります。生演奏を含むさまざまな演出的趣向については、戯曲が複雑な構成であるせいか、全体的に盛り込み過ぎの印象を受けました。
客席通路で大きな声を出す場面が少なくなく、私個人としては耳がつらかったです。大劇場でも通用する声量をお持ちの役者さんは、そのあたりの調整もしてもらえたらと思いました。
印象に残った役者さんは、篠塚家長男・春平役の美斉津恵友さんと、諏訪家長女・琴美役の金子侑加さんでした。