「肉 the 光速華撃団~肉汁&男汁~」「黒豆☆弾肉」
男肉 du Soleil
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/03/02 (火) ~ 2010/03/04 (木)公演終了
満足度★★★
ほとばしる傍若無人(中二病寄り)
「肉 the 光速華撃団〜肉汁&男汁〜」の方を観劇。
HPを観て相当な覚悟で臨んだもののあえなく玉砕。貶すにしても褒めるにしても「ヒドい舞台」という言葉しか思いつかない。
ハマる人にはハマるかもしれないしそんな人はいないのかもしれない。でも彼らはそんなことおかまいなく自分のやりたいようにやるのだろう。そしてそれを観てくれと言うのだろう。その意気やよし。
ディスりを観たい人は早めに行くのがよろしいかと(2日夜公演は開場10分後より開始)。
The Heavy User
柿喰う客
仙行寺(東京都)
2010/02/27 (土) ~ 2010/03/02 (火)公演終了
満足度★★★★
ジャパニーズホラー
柿喰う客の何が好きかって、なによりも音楽的な気持ちよさがもろ自分のツボなとこなのだが、音に特別重点を置いたという今公演は、だからもうそれだけで個人的には見所十分大満足。
音響がない中であれだけ音楽的な(それは五線譜に統制されない原始的な音楽に近いように思う)魅力のある舞台を作るというのは、単純にすごいと思う。
けれど物語は夏の怪談話のような特殊な洗練がされていて、少し物足りなさを感じた。
「彼ら」という考えを宗教的背景が根本的に異なる仏に持って行く試みはとてもワクワクするのだが、正当に違和感を突きつけるようなコンテクストの肉片が垣間見えるかというと、ちょっと無邪気すぎる感。
isaac ground
獣珍
千本桜ホール(東京都)
2010/02/26 (金) ~ 2010/02/28 (日)公演終了
満足度★★
5W1H
役者に台本の8割を委ねる逆順創作法という方法論は面白いし、ぜひこれからもチャレンジしてもらいたいが、作品として現段階では残念ながらまだ金を取って観客に見せるレベルにまでは至っていない印象。
少なくとも台本がある部分とない部分が歴然と判別できてしまった時点で、方法論への甘えが見えてしまっていたように思う。
ひたすら熱っぽく「考えろ」としか言わない主人公や、舞台としての変な間を埋めようとする無意味な5W1H。途端に遅くなる進行。
言いやすく耳あたりの良いどこかで聞いたような台詞ばかりが飛び交い、せっかく台本部分で築いたキャラクターや背景がぱったりと見えなくなる。その浅さを覆い隠すように大声や勢いで張り合う様も観ていて喧しかった。
躍動感のあるダンスや身体表現は個人的に好みの部類で、台本が用意されていた部分には少なからず魅力を感じただけに残念。
この手法で安定した上質の演劇が提供されるには、世界構築の入念な共有と、役者個人個人の演劇表現力の向上が必須課題だろう。
次回に期待。
二月大歌舞伎
松竹
歌舞伎座(東京都)
2010/02/01 (月) ~ 2010/02/25 (木)公演終了
満足度★★★★★
一度は観ねば歌舞伎をば
カウントダウンがあと80日を切り、今のうちに一度は観ておかなければと初歌舞伎。昼の部。小劇場と勝手の違う長丁場と休憩の多さにどぎまぎ。
解説レコーダーは台詞の訳や作品の時代背景が説明されていたりと便利なので借りて損なし。
行ってみればああ歌舞伎ってすごいんだな、と素直に感激。そりゃそうだ。でなけりゃ何百年も続いてないわ。
日本的な美意識によって洗練された美意識と豪華さの極みと言ったらいいのか。
特に「俊寛」の、観客を動かせないのなら舞台を動かせばいいじゃないと言わんばかりに、恐るべきダイナミックさを持ちながらも一つも無駄な動きのない風景の転換に感動。演じ手だけでなく、裏方、囃子、舞台装置全てが歌舞伎の所作なのだという息遣いをビンビン感じる。
個人的には容れ物としての歌舞伎座にも、劇場を中心とした複合施設のはしりをみて興味深かった。
夜の部がかなりすごかったらしいので観たかった・・・
おどろきのしろさ
サルとピストル
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/02/16 (火) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★
世にも奇妙な物語チック
出口の無い空間にいつの間にか集められた人々が、見えない絶対者から出題されるゲームをクリアしたら脱出という不条理シチュエーション。
全体的にホラーっぽい雰囲気だとか超モデル体型の美女が出てきたりとただ観ているだけならまま楽しめるのだが、個人的には感覚上も理屈上もどうも消化不良感が拭えなかった。キャラクターに関しては度々現れる激情とそのコンテクストの浅さのギャップのバランスを受け止めきれず、哲学的な命題を隠れ蓑に都合よく纏めた感のあった展開には苦笑いを隠せない。
BGMのドラマテッィクさを頼りにしたラストシーンもこつ然と訪れた印象で、感覚が置いてきぼりを食らってしまった。以前からその曲に個人的な思い入れがあっただけに余計残念だった。
『世界の終わり』を囲む短編
Minami Produce
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/02/23 (火) ~ 2010/02/28 (日)公演終了
満足度★★★
Bを観劇
説明文などから、個という存在が持つ特異なザラザラとした感触を表現するという意味での「10%の理解者を求める」ような芝居を想像していたのだが、キャラクターも展開も、案外マンガ的に彩られていてちょっと肩すかし。
マンガついでに言うと、内容でもちょっと触れてたがどことなく白泉社系列の雰囲気。
増殖おんな
ぬいぐるみハンター
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/02/19 (金) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
歩き見推奨
会話が数カ所で同時進行し、あっちでの会話がいつの間にかこっちの話題とつながって展開していくような手法をとっていたので、初心者に向いてるとか向いてないとかいうよりも、楽しもうとする心で周りに臆することなく歩き見できる人向き。
逆に立ち見や座り見していると面白さ半減するんじゃないだろうか。
当の自分はあっちもこっちも観たい精神でちょこまか移動したり一人ぶつぶつ言っているその内容の面白さに時に後ろを追っかけさせてもらったり、大変図太く楽しく観劇。
テーマと手法と空間の縫い合わせの的確さは前回の「埋没おんな」そのままに、今回「増殖おんな」達のはっちゃけテンションわちゃわちゃ感が丁寧に演出されていて、演劇として観やすく飽きないものになっていた。
内容で特にいいなと思ったのはラスト。短いながらも女という生き物の真実にソツなく迫っていてグッとくる。
そして彼女はいなくなった
劇団競泳水着
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/11 (木) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★★
恋愛ミステリー
パズルのピースを一つづつはめていくと一枚の絵が見えてくるタイプのミステリー。だから後半になるにつれ、まじで!なるほど!だから!ひゃー!の連続。面白かった。
アーリークロス
9-States
OFF OFFシアター(東京都)
2010/02/17 (水) ~ 2010/02/21 (日)公演終了
満足度★★★★
オッサンの生態
オッサンらのダメ愚痴に苦笑。女子の必殺技「かわいい」でも乗り切りがたい、妙に生々しいオッサンの哀愁と欲望がチラチラ見えるので、若い女性だと観ているのが結構キツいかもしれない。
恐らく、ふと入った飲み屋にいた地元の常連さん達の会話に聞き耳を立ててチラチラ覗いている、ぐらいの気分で観るのが理想的。
最後のはっちゃけ具合は気持ちよく楽しめたけれど、全体になんだか面白そげな雰囲気が物足りなかった。面白くなるような事はやってるんだけれど・・・。なるほど「今後に期待」と言いたくなる気持ちがわかる。
遠ざかるネバーランド
空想組曲
ザ・ポケット(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
作品No.7
OM-2
日暮里サニーホール(東京都)
2010/02/12 (金) ~ 2010/02/13 (土)公演終了
満足度★★★★★
血と肉のもっと奥深くにある美
強烈に感覚を揺さぶる抽象。
死だとか、恐怖だとか、絶望だとか、ゾッとするような極限の感覚を呼び覚ましてどん底を知らしめ、そこから一息に上へと反転していく。身体の重さを抱えたこの社会で生きる人への、原初的なエールのように感じた。
音楽の要素は強かったが、それ以上にむしろ全体が一曲の音楽なのだと思う。なんというか、人間そのものを描いたクラッシックとでもいうのか。無数のいびつな慟哭がどこかで瞬間依り合わさっていく、まさに自分が切望している音楽の姿がそこにはあり、思わず涙が出た。
60兆の追放者 ご来場下さいましてありがとうございました。
ルナ・パンク・ヴァリエーションズ
萬劇場(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
アクションスペクタクル
ストーリーテーリング、キャラクター、演出演技その他諸々エンターテイメントとして文句なしに魅力的。そして珍しいことにアクションや歌などにも存分にそそられる。
普段エンタメといえばありがちな表層的な言葉にシラけて冷静になってしまうタチなのだが、この芝居からは決して浮ついたものは感じさせない。だからこそ没頭して展開にハラハラドキドキできる。とても楽しませてもらった。
君が笑わないなら僕がワラウ(公演終了!ご来場ありがとうございました!)
ザ・プレイボーイズ
d-倉庫(東京都)
2010/02/10 (水) ~ 2010/02/14 (日)公演終了
満足度★★★★★
下ネタの品格
ザ・男子中高生の発想。おっぱい、パンツ一丁、戦隊、変態ガンガンカモンの下ネタ7割よくわからない何か2割スベリ1割をバカで満遍なくコーティングしたコント祭り。
けれど作り手のポリシーを窺わせる下世話さのない下ネタなので、男子じゃなくとも気分を害すことなく「バカだなー」と笑える。(それでもある程度下ネタへの許容力は求められる)
下ネタのインパクトが強すぎてあまり目立たなかったが、演技の素地がきちんとしているので、パロ的な無意味なコントも発想の勝利的なシュールなコントも面白さがちゃんと生きてていい。そして最後は「演劇」的にニヤリとさせる纏まりのよさ。なるほど「君」ってあの人のことだったのね。
コント好きの眼から観ててもかなり笑ったコントオムニバス公演。
埋没おんな
ぬいぐるみハンター
下北沢GAoh!(東京都)
2010/01/23 (土) ~ 2010/01/24 (日)公演終了
満足度★★★
埋もれる
3姉妹の間で交わされるタラタラした会話を、リアルすぎる演技と見るか演劇としてこなされていない会話と見るかで評価がかなり変わってくると思うが、後者としてとらえてしまった自分は特に前半はかったるくてしようがなかった。
オチは途中で何となく予測がつくものの、その着想と劇場設定のインタラクティブな必然性が妙な説得力を引き起こし、まんまと舞台の展開に意識が同期させられる。若干してらやれた感。
これからひと月一本ぐらいの超ペースで芝居を作るようだが、それぞれの芝居にもきっとそういった面白みはでてくるんだろう。個人的には、そのひとつひとつの舞台をもうちょっと丁寧に作りこんで欲しい思い。
愛獣-改訂版- 全公演日程無事終了いたしました
MissPRs
サンモールスタジオ(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★
愛
よくわからないのだがこういうテンポでこういう雰囲気の芝居はなんていうんだろう。新劇的?小劇場を観始める前に抱いてた「小劇場」の一つのイメージってああこんなだったなと思い出した。
こういう感じが好きな人はいるのだろうが、残念ながらその雰囲気(演出)と、直接的なリードをとる台詞の数々がむず痒すぎて、自分には合わなかった。
そして個人的にはダンスがあまりいただけなかった。要所要所感情や展開の動きを言葉ではなくダンスで表現する試み自体は好ましいし、ダンスも美しくはあったのだが、物語的な「言葉」の役割を、少なくとも代替する熱動を表現しきれていたかというと、いまいちよく響いてこなかった印象がある。結局言葉でバッチリ補っていたのもちょっと。
ジョニーと同居人の同居生活のくだりのステキさには拍手。
未完成な犬の末裔
架空畳
ザ・ポケット(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★
ヒルコ達のクニヅクリ
架空畳観劇4回目。相変わらず凄まじい言葉遊びでオカマバーと創世神話、仕舞にはオディプスまでクルッとくっ付けてしまう想像力と創造力に拍手。話は今まで観てきた中で一番筋が理解しやすかった。ただ、舞台としては今回ちょっとうーん。以下ネタばれにて
幸せの歌をうたう犬ども【ご来場ありがとうございました!】
DULL-COLORED POP
タイニイアリス(東京都)
2010/02/02 (火) ~ 2010/02/04 (木)公演終了
満足度★★★
うーん
ラストのスルッとさ加減は置いといても、演技の面で「もっと面白くなりうるだろうなあ」と感じてしまった場面が多くあり、どうも物足りなかった。
ナイフなワイフ(ご来場ありがとうございました)
劇団 THE☆メンチカツ成
王子小劇場(東京都)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★
確かにあらすじの通り
あらすじに偽りなし。
でも実際観てみると「うーん?」と首を捻ってしまう。
シュールと言えば聞こえがいいが、どうもどこか自己完結的な匂い。笑わせることを追求するわけでもなくかといってなにか存在の本質を抉るということでもなく、思わせぶりなわりに底が案外近くにみえるような、どうも肩すかしな印象。
暗転の多さ(と長さ)が象徴してしまっているように、「間」もブツ切れ感があり、流れよく観る事が出来なかった。
日替わりゲスト、覆面レスラーの捲し立てとチョップの躊躇いなさはすばらしかった。
山梨
範宙遊泳
PRUNUS HALL(桜美林大学内)(神奈川県)
2010/02/03 (水) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
ハイパワースピードテンション復讐劇+山梨
大好き。脚本、演出、役者なにしろ全てにおいて勢いよく馬鹿馬鹿しい。
郷土物語宣言第一弾と称し山梨を独立国家にしちゃった脚本の謎な勢いあふれた馬鹿馬鹿しさだけでも相当なものだが、計20人強の若く激しい役者それぞれの基礎演技・身体能力の高さが、その脚本のを立体的に引き出していて見事。
特に群像のハーモニー加減が馬鹿馬鹿しさという観点から統制された様はカタルシスさえもたらす始末。オリジナルなセンス光る役者も多くて、観ていて飽きない。
物語の中で起こってる事実だけを冷静に追っていくとこんなブラックな話はないのだが、観ているとむしろ爽快な気持ちにさせられる。ラストはポジティブな意味で「うわああああ」と唖然(そして呆然)。
大学関係者が多いせいなのかよくわからないがなぜか客席は終始シーンとしていて観劇する場としてとても居心地が悪かった。自分はディティールからなにから見事ツボに入り堪えきれずグフグフ笑いっぱなしなのに、耳から入るのは自分の笑い声だけ。その悲しさったらなかったので、よほど「面白くないの?!」と問いただしたかった。
めちゃくちゃ好きなんだけどなあこういう芝居。
『F』
青年団リンク 二騎の会
こまばアゴラ劇場(東京都)
2010/01/29 (金) ~ 2010/02/07 (日)公演終了
満足度★★★★
俺とお前がこの場所で
なるほど口語はこういう舞台に活きる。
個人的に女子胸キュンな関係性や展開というものが好みではないので楽しめたかというとほどほどなのだが、じんわり素敵な舞台。