狂騒パレード
メッテルニッヒ
明石スタジオ(東京都)
2010/08/05 (木) ~ 2010/08/08 (日)公演終了
満足度★★★
あやうく睡眠
何より脚本がもったいないなと。百物語に入って以降の怒濤の散漫さに思わずうそーんと吹き出してしまいそうになった。あのシーンを観ていて、言葉との距離を測れていない時分に書いた、一歩引いてみた形としてはなんとなく整ってはいるけれどよく見ると謎なアクロバテッィクさをみせる文章を思い出し懐かしい気持ちに。
新明治仁侠伝
劇団め組
吉祥寺シアター(東京都)
2010/08/04 (水) ~ 2010/08/08 (日)公演終了
満足度★★★★
明治武士
ちょうど「龍馬伝」が薩長同盟結ばれるや否かを放送していたので、なるほどこの先そんなんになってゆくのかと勉強になった。
歴史に明るくないのでどこまで史実でどこから物語なのか判断つかなかったが、それでもなんとなくかなり史実に忠実に、隙間に物語を組み込んでいるんだろうなーと感じた。歴オタだったらもっと楽しめたのかしら。
体感時間は長かった。というより、一つの場面が大河ドラマの一週のように、いちいち盛り上がり暗転するタームの積み重ねで、終わりかなと思ったら終わってないというのが何度か続いたので体内で終わりのタイミングを逃した感。
個人的に、関ヶ原後のカブキ者みたいに生き延びてしまった虚しさを反骨パフォーマンスとして変換していくような、愛嬌のある思想の方が共感を持てるので、葉隠思想な侍魂は根本的に受け付けないんだなと気付かされた。
広島に原爆を落とす日
RUP
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2010/08/06 (金) ~ 2010/08/22 (日)公演終了
満足度★★★★
ヒロシマ
内容は色々とザワザワさせる要素満載なので触れないが、つかこうへい直系の舞台は初見だったので演劇史的な意味で興味深かった。なるほどアングラの後に登場して80年代以降の演劇の一端を用意したというのが納得。
サーフィンUSB
ヨーロッパ企画
本多劇場(東京都)
2010/08/04 (水) ~ 2010/08/15 (日)公演終了
満足度★★★
セットはすごい
「え、これで終わりなの?」と思ったのが本音。
映画の「曲がれ!スプーン」にも似たような手応えのなさを感じたのだが、普段からこういう、役者の集団的な雰囲気に頼る部分の多い作風なのだろうか?
しかしその役者の雰囲気で作られる場面も、日常性を打ち出すことを狙いにしてると念頭に置いても、どうも散漫なおしゃべりとしか思えず。風刺の効いた構造自体は面白いのだが、どうでもよいおしゃべりの分量が多すぎた。
舞台は初見なのでここでの判断は避けたいが、常時この調子というのなら劇団の名前の通りようには首を捻ざるをえない。
セット以外は、本多劇場のキャパで観るべき舞台のようには感じられなかった。
[※25日(日)13:00追加公演決定!!] 脳内TRIPアルゴリズム!!
オッセルズ
シアター711(東京都)
2010/07/21 (水) ~ 2010/07/26 (月)公演終了
満足度★★★★
画が強い
とかく画のインパクトが強い。しかし、アイデンティティがコメディであるということに対して抱く期待ほどには笑えず。
もちろん好みの問題も大きいだろうが、女性が笑いにくいんじゃないかなと思われるラインに入っている下ネタ絡みの笑いがけっこう多かったので、そこで引いてしまった分キツかったかなと。
暖かそうな場所 【ご来場ありがとうございました。次回は12月クリスマス】
ろりえ
nakano f(東京都)
2010/07/22 (木) ~ 2010/07/25 (日)公演終了
不快指数MAX
第二の性とか言い出した頃を思い出してみればかなり遠くまできたもんだなとしみじみ思うような女子像の新鮮さは興味深いし、ちょっとしたセンスもツボに入るもので好み。
けれど、時間が経つにしたがって増す暑さにイライラが募って舞台どころじゃなくなったので全部台無し。一番暑い時間帯の公演だったので余計に不快だった。
不快感からの連鎖イライラかもしれないが、なぜ演出を直前になって知らせるのか、なぜビールが割高なのかという所をもやもやハラにためながら帰宅。
内容だけでの評価だと結構高く付けたようなものだっただけにがっかり。
席のブロックによって最終体感温度がけっこう違ったように見えたので、これから行く方は涼しい所を探してみたらいいんじゃないかと。
あそび
山田ジャパン
サンモールスタジオ(東京都)
2010/07/14 (水) ~ 2010/07/20 (火)公演終了
「精跡-SEISEKI-」
角角ストロガのフ
サンモールスタジオ(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★
もっと突き抜けていてほしかった
内容は攻めの体勢であったけども、先に行った方の感想を読んで思い描いていたものよりは大人しく、自分としてはもっとガンガンぶちかましてくれたらいいのになと思った。
あとは観せ方がもうちょっと整理されてほしい。4場面がほとんどずっと舞台上にある状況が先走りして、視覚効果としても物語としても焦点が散漫になっている印象があり、観ていて途中で疲れてしまった。
その状況に必然性を持たせるように、それぞれの場所で起こっていることが舞台上で一瞬リンクしていくようなシーンもあったが、どうも小手先の小細工感がぬぐえず、滑稽さが残った。
しかし周りが見えすぎる多くの演出には出せない、どこか不自然なクセのある演出はいい意味で引っ掛かるものがあった。前半で言葉にならない違和感が、物語が進むにつれ「不自然なもの」という言葉を掴んでいく感覚はなかなかない。
吾妻橋ダンスクロッシング
吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会
アサヒ・アートスクエア(東京都)
2010/07/16 (金) ~ 2010/07/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
大満足
出演者ラインアップを見てこれ面白くないわけないだろうと行ったダンスクロッシング。お酒も飲んでいいパフォーマンス観て、お腹いっぱい大満足。3時間だけれど時間の長さなんてちっとも感じない。ジャンル越境に興味のある人全てにお勧め。
飴屋さん達とか皆本当いいパフォーマンスを観せてくれたけど、中でも車ABの「スカイツリー」は、今後ここからもっと展開していって欲しいと思わせるような新しい感覚があった。
ライン京急はオチ役が加えられていたためか「EKKYO-!」で観た時よりも受け取めやすかった。
電車は血で走る(再演)
劇団鹿殺し
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2010/06/18 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
オーサカファンタジー
彼らが東京に来てすぐぐらい、5年ほど前の立川の駅前でパフォーマンスしてた頃に遭遇して以来。てっきり今ごろバンバン鹿の首をへし折ってくような芝居をやってるのかなと思っていたら、予想外に気持ちのよい舞台でびっくり。
イメージはつかこうへいとカブキロックスを掛け合わせた感じ。
娯楽性を押しながらも含むものが多く、ローカルの固有性と身体性が台詞を生きたものにしていて完成度の高い良い作品だと思う。菜月チョビの関西弁の力がすごい。
ラクダ
範宙遊泳
王子小劇場(東京都)
2010/07/14 (水) ~ 2010/07/18 (日)公演終了
満足度★★★
なんだったんだろう
緩急自在のセンスのよさと奇妙な気味の悪さをカタルシスにまで高めて観せてくることができる団体だと知っているだけに、終演後脱兎のごとく帰宅したくなるほど居心地の悪さが残る舞台だったのがどうも不思議でならない。
ことごとく観客をノらせない役者のテンションは、むしろ作為なのかとさえ思った。
毎度おなじみの水へのこだわりにはゾクゾクさせられる。
8割世界番外公演『欲の整理術』×『ガハハで顎を痛めた日』
8割世界【19日20日、愛媛公演!!】
ART THEATER かもめ座(東京都)
2010/07/07 (水) ~ 2010/07/11 (日)公演終了
満足度★★★★
民間教員の可能性
脚本だけみると文句無しの☆5。舞台として観ると『欲の〜』が☆3、『ガハハ〜』が☆5。
『ガハハ〜』義務教育に関わる(ろうとしている)人は必見。実際の中学生にもぜひ観てもらいたい作品。
以下長らく書いてたものが消えたのでまた今度・・・
“ UN VIAGGIO NUOVO (ウン ヴィアッジョ ヌオヴォ)”
せんがわ劇場
調布市せんがわ劇場(東京都)
2010/07/04 (日) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★
マイムとアングラとコンテンポラリー
特に期待をしていなかったのがよかったのか、けっこう楽しめた。
問題があるとすれば構成かなと。これを3部としてくっつけるのは、よく言えば大胆。悪く言えば統一感がない。
1部は舞台上でのダンス。日常生活のいろんな場面を元にした短編のコラージュで、ダンスというよりパントマイムでコントをやっているように見える。内容も動きも明瞭すぎてつまんないなと思ったらデビュー作だったのかなるほど。
2部はもろアングラな雰囲気の、劇場全体を使った見世物小屋風パフォーマンス。これはなかなか手が込んでいる。劇場提携のワークショップの強みだろう、空間の複雑さを使いこなし細かい配慮がしっかりと非日常空間を補完していて、ずっといても飽きない。
ただパフォーマンスが点在しているのではなく、演者も各々移動しながら時に楽隊になったり最後同時多発で痙攣ダンスをしたりと一体性も感じることができる。マイフェイバリットは「毛皮のマリー」をエレベーターの中で朗読してた「美少年」。
単体としてはかなり満足度の高いウキウキ体験なのだけど、構成として観ると、1部のサラリーマン生活のパントマイムが2部でアングラとなって、受動から能動へとダイナミックな受容態度の変化を要求されるので、ここかなり観客に柔軟性がないとキツいんじゃないかなと。
そして3部は再び舞台でのダンス。内容は1部より抽象的で、音楽的な統制がきく野性的な躍動感を持った身体にほれぼれ。特に辻田暁さんの動作にほれぼれ。
それぞれ単体は楽しい。ただやっぱりトータルで観ると、この構成はちょっとどうかと
水×ブリキの町で彼女は海を見つけられたか【ご来場ありがとうございました!!】
アマヤドリ
吉祥寺シアター(東京都)
2010/06/25 (金) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
フルカラーに世界を
『ブリキ〜』を観劇。体調最悪で行ったのでうろ覚えだが、帰り息絶え絶えながらも観てよかったと思った記憶はある。クールな美術とリズムを持って疾走する身体と呼吸は観ていてほんと美しい。もう一度体調いいときに観たい。
音楽劇『巨人達の国々』 ご来場ありがとうございました☆小説化決定しました!!
舞台芸術集団 地下空港
ザ・ポケット(東京都)
2010/06/30 (水) ~ 2010/07/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
咥内神話大全
ユーラシアの西と東の創世神話を、極東中野の四畳半のからひも解き転がす、壮大そうに見えて妙に人間臭のするエンターテイメント。
歌あり演奏あり観客参加ありで、足を踏み入れた時から徹底した世界観を味わせてくれる。
ストレートな教訓話だと理解した上で行く分にはとても楽しめる舞台。
不滅
鵺的(ぬえてき)
「劇」小劇場(東京都)
2010/06/23 (水) ~ 2010/06/27 (日)公演終了
満足度★★★★★
連鎖反応
先日映画の『告白』を観たばかりだったので、姉妹作のような感覚で観劇。
『告白』が鈍器で後ろから殴られるようなショックだとすれば、これは首を絞められるような苦しさ。指の生暖かさや感触が伝わってくる分嫌悪感が走りぞっとしない。
役者が皆がっちりと生き抜いていてよかった。でも場転ごとにあんなに薄暗闇にする必要があるのかは疑問。
The Heavy User
柿喰う客
仙行寺(東京都)
2010/06/19 (土) ~ 2010/06/19 (土)公演終了
そ ら
奥沢スロープ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2010/06/15 (火) ~ 2010/06/20 (日)公演終了
満足度★★★
中学生的自分探し
ルデコ4Fの使い方が面白いのと、まあまあリズムよく観ることができたり飲み物サービスもあったりといった観客に対しての気配りは好印象だったのだが、脚本の幼さがどうにも受け付けない。
「本当の私」探しに意識を掘り下げていた後半はそれなりに深みを感じさせる部分もあったが、「私」以外の世界を描いていた前半約1時間、物事を雰囲気で認識しているような説得力のない言語や会話が続くのは辛かった。
中学生の頃の世界認識ってこんな感じだったな、と懐かしい気持ちにはなったものの、劇場でその薄さを観せられても・・・と思う。
裂躯(ザックリ)
乞局
笹塚ファクトリー(東京都)
2010/06/16 (水) ~ 2010/06/21 (月)公演終了
満足度★★★★
批評される「親」
「子」に観察され批評される「親」と、疑似家族を再構築することによって引きつれがあぶり出される「子」。「家族」の行方を描いた作品は最近いくつも観てきたが、中でも傍観的で挑発的な視点。考えさせられる事が多かった。
前半と、後半のわしづかみ具合がハンパなかったのだが、「外」の視点が介入された中盤が手応えがなかったように感じたのが残念だった。
『アタシが一番愛してる』
バナナ学園純情乙女組
ART THEATER かもめ座(東京都)
2010/06/15 (火) ~ 2010/06/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
!!!!!!!!!!!!!!!!!
こりゃすごい。これほど狂乱やカオスという言葉が脳天を突き抜け耳をつんざく舞台もなかなか観られない。実際公演後は軽く難聴。
ほとんど台詞が聞き取れないのもなんのその、キレキレの身体、意味をなさない場面の同時平行パワープッシュ、飛びまくるあれやこれ。ロリから男の娘(女装子?)まで初っ端からランナーズハイ。
統制に向かえば柿喰う客、無秩序に向かえばこれといった感じ。
快快に似た危なっかしさも感じたが、こちらの方が遥かに健康的。
今の時分に身体論を語るなれば、最もプリミティブでアグレッシブなものの例に挙げられるのは、実はオタク的なそれなのかもしれない。
ただ、他の方も書いているように戸口が万人に開いてないので、観劇は各自判断で。
でも80'中〜後半に生まれて90年代からテレビをBGMにゲーム機とパソコンをおもちゃにして育って、00年代にニコニコ動画のMADを(オタク的な意味で)観てきた世代のコンテクストがデフォルトになっていたようだったので、そこらへんに同調できる人は数々の小ネタにときめく事必至。