満足度★★★★
手作り感いっぱいの
劇団員だけによる特別企画ライブ。不慣れなことを少し恥ずかしがりながら行うところなど好感が持てました。女優4人の仲の良さや、全員の信頼感も感じられ、心が温かくなりました。
ネタバレBOX
『人形の家』、素舞台で駆け足の人形の家という感じでしたが、ああこういう話だったんだと知ることができました。
コントは、特に雨宮さんのレギンスマンが良かったです。両手で表現したカタカナのレが忘れられません。
短編映画は、女友達の友情の話。一日くらい会社さぼって友達と過ごしてもいいなあって思いました。そういえば、しょっちゅう月曜日を休むOLがいたことを思い出しました。
『Hellow,my girl!』、電話機を発明したものの、特許権取得でベルに敗れたエリシャ・グレイをモチーフにした話。愛する女性の幸せのため研究ノートを渡してしまうのが切ない。
合唱あり、ピンポン玉運びゲームありで楽しかったです。
満足度★★★★★
ああ面白かった!
結婚詐欺師が恋に落ちると盲目になってしまう…。
ネタバレBOX
結婚詐欺グループの実行役の男が恋に落ちた話。喫茶店のウエイトレスの強烈キャラやバカップルの馬鹿振りも加わり、面白かったです!
下手側と上手側の上手な使い方が特徴ですね。『8:2の男』のときに、下手のドアが閉まると同時に上手のドアが開くというタイミングの良さに感心しましたが、今回も下手側の会話と上手側の会話が交互に繰り返されました。冒頭シーンではちょっと間が空きましたが、途中のシーンでは間髪置かずに何度も何度も繰り返され圧巻でした!
冒頭、ミイラ取りがミイラになるって言っていましたが、あれってネタバレですよね。あの時点では相手も結婚詐欺師だということが分かっていないので、商品には手を出すな的な、郭の掟のようなことが言いたかったはずです。ミイラ取りがミイラになるでは、結婚詐欺師が結婚詐欺師に騙されるよって今後の展開を教えることになってしまいます。
知り合ったきっかけはというと、ま、相手を騙そうとしたことには違いありませんが、二人が相思相愛になったことも事実です。さて、今後二人はどのような職業に就いて生活するのでしょうか?結婚詐欺師としての共働きも有りですね。
満足度★★★★
冒頭シーン、掴みはOK!!
全体に楽しく明るく、少し変で、楽しめました!
ネタバレBOX
舞台は幼稚園、いきなりの「ブーン、ブーン、カーセブン」、ゆうこりんのCMには笑ってしまいました。
後半の朝マックは全然面白くありませんでした。しかし、受けなくても続ける役者魂の強さには敬服し、あまりのしつこさに少し受けました。
さて、再開発のため墓地移転が必要になり、お寺付属の幼稚園にもその影響が及ぶらしく、卒園者や不動産会社の社員が出入りするようになり、先生たちも交えてドタバタする話。タイムカプセルを掘り出すと人骨が出てきて、空襲で亡くなった人たちの亡霊に憑依されて異常行動を取るという少し不気味な要素が入りつつ、最後は練習の成果を発揮して先生たちが発表会でリコーダーを演奏するというところで終了。
日常に少し非日常が加わる味付け、少し慣れてきました。
臨時園長さんの中指を立てるという以前の癖が題名の由来のようですが、時々題名先にありき感を感じます。
それにしても、タイムカプセルを埋めるときだって人骨は出るはずで、この一帯が空襲で焼け死んだ人たちを土葬した地域だと分かれば、そもそも論ですが、タイムカプセルを埋めようという行事もありえないのではありませんか?!
満足度★★★★★
素晴らしい!
一つのことをテーマに議論して、こんなに真面目でこんなに面白い作品ができるなんて、まるで『十二人の怒れる男』を観ているようでした。
そして、各人が持つ心の傷までえぐり出すとは、よくもここまで練り上げたものだと感心しました!
ネタバレBOX
キッザニアで採り上げられている職業などに就いている父兄を呼べば波風が立たないのでしょうが、キャバ嬢だとあれっと思う感覚って何でしょうか。
私も最初は会計事務所で働く女性と同じように、キャバ嬢を呼ぶ必要はないと思いました。アンケートも参考にこそすれ縛られる必要はないと思いましたが、キャバクラで働くお母さんの、事務職員だって会計士先生の手伝いをしているに過ぎない発言にドキッとさせられました。
そして、そんな議論を通して、みんなは社会の構成員で誰かの役に立って報酬を得ていることを再認識するとともに、職業には貴賎はありませんが、各自が各々の職業の意義を自覚して我こそはという自信を持つことができるようになりました。素晴らしいと思います。
頑張って勉強しても誰でも公認会計士になれるわけではありません。しかし、学んだことを活かして専門職として事務面では先生以上に実践的に働いているでしょう。キャバクラで働く女性の「女の喧嘩には負けたことが無い」、凄いインパクトがありました。
二人の授業対決が見物ですね。
そして、大工の奥さんの洞察力も良かったし、若い男性教師の本音はありつつもきっちりと仕事するところも良かったです。
セクハラ攻撃や卒業文集を読むことになる伏線の張り方も素晴らしかったと思いました。
議論が白熱して全員が硬直するシーンなども、動かない演技に緊張感が感じられました。
本当に素晴らしかったです!
満足度★★★
個性的、勢いがありました!
戦国の世が終わり、世間が落ち着き始めた頃のはみ出し者たちの末路が哀しくも生き生きと描かれていました。
ネタバレBOX
混乱の時代のあだ花たちは、最後は殺されても永遠に漕ぎ続け、幽霊船となって永遠に航海を続ける、居場所はそこしかないという感じで…。ああ浪漫!
満足度★★★★★
ひびき合いましたよ!
二人が意思を伝え合うことができた感動、こちらまで響いてきました!!
ネタバレBOX
しつけられて無表情になったヘレンが水がほしくても伝えられず、再び感情を爆発させたものの、ポットに手を突っ込んでこれだーって身体で表現した食卓シーンから、サリバン先生に連れられてポンプ場へ行き、汲み出された水を浴びることで物と名前が1対1であることを初めて実感し、更に父母や兄、召使いを名前で再認識するとともに、指文字でteacherを表現することによって言葉は意思を伝える手段であることを知ったラストシーンまで、怒涛のごとく描かれていて感動しました!!二人の響き合う気持ちがこちらまで伝わってきました。
身体を張った演技、素晴らしかったです!!
KAZE版『ヘレン・ケラー ~ひびき合うものたち』は指文字を最初から教え込んでいたので最後に意思表示ができたのに対して、私の記憶違いでなければ、2009年の鈴木杏・高畑充希主演の『奇跡の人』では指文字を使って物と名前が1対1であることを知ったというところまでだったような気がして、KAZE版の方が優れているように思いました。
ただ、作家さんとの交流によって書き下ろされたとあったので、特別なエピソードでも描かれているのかなと思いましたが、内容的には『奇跡の人』とスタートからエンドまでほとんど同じでした。もっともKAZE版は1995年が初演ですから、2009年『奇跡の人』がほとんど同じだったということです。
満を持しての再演、役者も一新したとの話でしたが、なぜかヘレンの父母は年配者でした。役者層は厚いはずです(よね?!)。中堅どころを抜擢すればいいのにと思ってしまいました。失礼ながら、あれではおじいちゃん、おばあちゃんとお孫さんです。
もう一つ、平板なしゃべり方が気になりました。風にしては珍しいなと思いました。
満足度★★★★
シュール!
笑いどころ満載でした。
ネタバレBOX
撮影中にカッコよく殉職するつもりが、見極め過ぎてというか、首をひねっているうちに終わりまで行ってしまい、結局死ねなかったという話。
首をひねるって何だろう?
どっきりカメラのような感じ、あるいは台本を読まずに撮影に臨んだような感じ、んなことあるかあ?!
しかし最後に、監督さんの「もう一度最初から」で、占いシーンも映画の一部だったんだ、凄いシュールな映画だったんだと思いました。
男たるもの引き際を考え過ぎてはいけません。スパッと決断が大切ということですね。
占いシーンで5,000円だと人が半分しか見えない、せっかく名前を伏せているのに隊員が名前を呼びながら入ってくるなど、もう笑いどころは満載でした!!
コメディとしては最高でしたが、前作『そんなの俺の朝じゃない!』のときの家族愛のようなプラスαは感じられませんでした。
満足度★★★★★
基本爽やか!
基本的には爽やかな青春ドラマ。
ただ、常識を越えた組み合わせが馬鹿馬鹿しく、メルヘンになっているところが楽しく素晴らしい!
ネタバレBOX
修学旅行中の女子の部屋における恋バナから始まり、男子の部屋に転換された途端、ウイーン、ウイーンのロボット登場で大笑い。
一応付き合っている二人、ロボットに恋した女子高生、偉そうにしている先輩と彼の好みに合わせようとするけなげな女子、昨年の修学旅行で知り合った女子高生が忘れられない鹿という四組の恋の行方はという話。
青春物らしく、ぎこちなく胸キュンがあるところが一本筋が通っていていいですね。
そこに、ロボットや鹿、文字通り肉食系女子の登場で話が膨らみとにかく面白かったです。
で、鹿ではなくきょんだったとは!鹿でもきょんでもどっちでもいいのですが、「八丈島のきょん!」のエピソードが出て来なかったことにジェネレーションギャップを感じてしまいました。
平賀源内の作ったロボットが奈良の大仏と遭遇すると、大仏のDでDプログラムが発動して人間になれるなんて何てメルヘン、そして恋が成就するなんて何てハッピーエンド!
劇団員4人はそれぞれイケメンを始めとして色々個性派揃い、カップル四組が上手くいくのはいいのですが、もっとも一組は食う食われるの関係かもしれませんが、全ての顛末を順番にやるので少々冗長気味かなとも思いました。
「ガマ王子VSザリガニ魔人」にも通ずる話
後藤ひろひとさんが1998年にPiperを旗揚げしたときの作品『Piper』を2005年にリメイクしたのが本作品で、今回はそれを若手俳優さんたちで再演したものでした。
ネタバレBOX
すみれ姫と名乗る老女が若い夫婦の前に現れ、疑心暗鬼ながらも夫婦はそれぞれ船長と洗濯女になって、姫の愛するダニ小僧を探す冒険の旅に出掛けるという話。
現実と空想が交り合い、最後に夢を叶える自動販売機にコインを入れて、さて夢が叶うか…。
「ガマ王子VSザリガニ魔人」の活劇部分とも相通ずるものでした。後藤さんのルーツが見られたような気がしました。
結構強烈な客いじりがありました。オリジナルにもあったのでしょうか。
ところで、嘘か本当か知りませんが、パチンコ屋でバイトしてお笑いを目指しているという人が出演していました。ネタ披露がありましたが、下ネタばかりでは困ったものです。
満足度★★★★★
大満足・堪能!!
スタートが強烈で、この先どうなることやらと期待と不安がありましたが、すぐにお馴染みの噺に軌道修正されました。
全部で9話、お見事、大満足でした。
ネタバレBOX
夏葉亭ナッツ(七味まゆ味) 何事にも積極的な女子高生の話。青春を謳歌しようとクラス委員や部活などの前向きな活動だけでなく、いじめられる側にも積極的で、リストカットをしたり清水の舞台から飛び降りたりする強烈でダークな新作落語。次の演者の話では、彼女の一人芝居を落語化したものらしく、調べたら元ネタは「いきなりベッドシーン」でした。
夏葉亭ジンジャー(登米裕一) 「権助魚」、急に普通の噺に戻ったことに物足りなさも感じましたが、この後は全て古典でした。
夏葉亭ハスカップ(鬼頭真也) 「初天神」、上手い。ホントお父っちゃんなんか連れて来なければ良かった。このあたりからもうすっかり普通の落語会の雰囲気です。
夏葉亭空豆(齋藤陽介) 「時そば」、使い古しの割り箸を胸のあたりでこすると確かに綺麗になったような気がしますね。
夏葉亭メロン(小玉久仁子) 「火焔太鼓」、いい噺を選んだと思います。座り小便せずに三百両数えられました、二百両から百五十両に戻ったような気もしましたが。
夏葉亭ポルチーニ(中川智明) 「紙入れ」、丸坊主で海老蔵似の優男、ごしんぞさんに好かれるタイプとお見受けしました。ぴったりの噺です。
夏葉亭金保丸(多田直人) 「死神」、くしゃみして消えたりするのは知っていましたが、ろうそくを持ったまま外に出て、明るいからもったいないと言ってふっと消してしまうオチは新鮮でした。
夏葉亭みかん(村上誠基) 「権助魚」、反省されていましたが、確認不足による掟破りのネタかぶり。ジンジャーがかまぼこだったのに対してこちらは魚肉ソーセージ。工夫は認めますが、やはり残念!2時と2時25分が逆になっても強行していましたね。
夏葉亭雛菊(永島敬三) 「金明竹」、猫がばらばらになったり、店の主人にさかりがついたり…、その後の大阪弁の早口はお見事!さすがはトリです!!
満足度★★★★
宇宙の果ては見えないような
人は動かされているだけではない。たとえ人類がいなくなっても放射能放出装置は残される。
ネタバレBOX
役者さんが多くて少年(青年?)の視界の邪魔をする、分かった気になった瞬間に、まだ見えていないものがあることに気付かされる、ホントそう思います。
ビッグバンからしばらくの間は素粒子に邪魔されて光は直進できず我々のところに届かない、真実が見えない様を上手い具合に表現していました。
複数の人が同じ動きをする、二人が同じ台詞を言う、言動がずれる、面白かったですね。あの先生は山村紅葉さんみたいでした。
台詞のある役者さんたちのノリノリに比べると、アンサンブルの人たちの無表情振りが際立ち、人間と単にあやつられているパフォーマンとを身比べているようでした。
満足度★★★★★
素晴らしい!
とにかく、具体的な所作を一つ一つ真面目に進行させることでこんなにも面白くできるんだと感心しました!
被害者家族が極刑を声高に叫ぶ昨今、死刑執行員制度が導入されたこの時代どんな反応を示すことやら。
ただ、一粒で二度美味しいということもないようです。
ネタバレBOX
舞台上には柱が13本、奥には二階に続く階段が途中まで見えているという設定。
ふーっ、所謂敵討が公に認められたらどうなるかということですね。加害者を死刑にするには、被害者家族が志望して死刑執行員になり、縄を首に掛け、足を縛り、椅子を蹴飛ばす、これらの行為をしなくてはなりません。
死刑執行員がいない場合は無期懲役となるので、終身刑が無い上での選択は厳しいものとなるわけです。
被害者一人一人の思い出を語る妻の言葉は具体的で重たい物がありました。
刑務所職員の子沢山も、制度導入前の死刑執行人を逃れたいがための作戦と知って納得しました。
そして、死に際の男に妙に興奮するマニアの女、獄中結婚して死刑を看取ること今回で3回目とは…。この制度はこんなマニアには最高の制度だったんですね!!
ただ、3回目と聞いたことと、もう一つの「あしたはどっちだ」の概要と配役を考えると、これは「どんとゆけ」の加害者が生きていたら成り立たないじゃないかということで、死刑が執行されることはこの時点で分かってしまいました。
被害者の妻に心情の変化が起こるかもしれないと思っていましたが、もうあり得ないことが明白になってしまい残念でした。
それと、終焉後の主宰の挨拶の中に変態女という言葉が出たことで、自殺希望者が犯罪を犯す「あしたはどっちだ」では、間違っていたらごめんなさいですが、死刑が回避され変態女が悔しがるという光景が目に浮かんでしまいました。
一粒で二度美味しいということもないような気がしました。
ところで、今回の選挙で世田谷区長になった保坂直人さん観たかなあ、ぜひ観てほしかったと思いました。
満足度★★
メジャーへの道は遠い
頑張ればメジャーになれるというわけでもない、厳しい世界ですね。
ネタバレBOX
麻奈が伝説のアイドルだったとは!劇場のオーナーも知らなかったなんて。
なぜ彼女がメジャーデビューを目前にして去ったのか、その理由が明らかにされない限り、ラストシーンの復活の真意が分かりません。単に事務所や劇場の窮地を救うためとはいえ、かたくなに守ってきたポリシーを簡単に変えちゃっていいんですか?!
再デビューの意志があるのか、もし背後に犯罪でもあったとしたら本当に顔をさらしていいのか等々、色々なことが考えられます。
それにしても、急な復活で久々に歌うことになったので伝説のアイドルも昔のようには声が出ません。音程も不安定です。喉に手を当てて言い訳しています。妙にリアルでした。
彼女たちの中では大阪弁の子が一番声が通っていましたが、マイクを使うことは考えなかったのでしょうか。
店員さん役の、らりるれろらりるれろという感じのワンフレーズノンストップで噛むのを初めて見ました。
満足度★★★★
看板女優大活躍!
途中途中でゆんゆんの絵本の朗読があり、なごみます。
ネタバレBOX
地下一階の広い方ではなく、二階のギャラリーをちょうどマンションのダイニングルームに見立てての公演でした。
崩壊した(と思い込んでいる)家族の再生がテーマ。
今回の地震はこのお芝居の重要なアイテムの一つで、東京の人の心にも影響を与えました。
この家の夫は地震の日以来、妻と娘ゆんゆんの許に帰ってきません。お母さんの承諾を得てゆんゆんが集めてきた家族は、性同一性障害の男女一人ずつと詐欺師の三人。浄水器のセールスマンを詐欺師と決めつけているところが凄く、スカッとします。
オカマの陽三郎は疑似家族を演じているうちに家族というものを見つめ直し、勘当された実家に安否の連絡をすることで関係修復ができました。
この家の夫も岩手から帰ってくるとの連絡があり…、なんで岩手やねん、矢も盾もたまらずボランティアに行ったんかい、浮気かと思ってました、…家族がより親密な関係になれそうで、良かったねゆんゆん。
ところで、雪乃ちゃん頼みの構成、このまま続けるべきなのか判断が難しいところですね。
満足度★★★★
昼の部観劇
敵討天下茶屋聚(かたきうちてんがぢゃやむら)、まさに敵討ちの話。
ネタバレBOX
ちょっと台詞を噛んだようなシーンがあったり、染の井役の魁春さんが台詞を忘れて早瀬源次郎役の錦之助さんが「観念せい」的な台詞を教えてあげていたりするという珍しい経験をしました。
今回、幸四郎さんは安達元右衛門と東間三郎右衛門という悪党二役を演じました。
安達元右衛門は早瀬源次郎たちに討たれましたが、最後の早瀬源次郎たちと東間三郎右衛門の立ち回りの場面では、いきなり「とざい、とーざい(東西)」の掛け声とともに挨拶となり、それぞれにファンがいるので名優同士の決闘には決着はつけないというこれまた珍しいシーンを見ることができました。
満足度★★★★★
すっかり飼い慣らされて
カイコを題材にしているので分かり易く、カイコの生態、宿命を知っている私は先読みしていましたが、よく考えると私たち観客はすっかり飼い慣らされていたのでした。
ネタバレBOX
お客は狭い客席に整然と押し込められ、ここまでは前回と同じですが、頭には虫の目玉のようなものを付けさせられ、カイコのアンサンブル役を担うことになりました。そして、後方で演技するときは後ろを向かないと内容が分かりませんよと説明を受けました。
実際、お芝居の最中に全員でしっかりと後ろを向いたりしていましたが、狭くても文句も言わず、無理に身体を捻って言われた通り同じ方向を見る…、これって工場で飼われているカイコそのものじゃありませんか。
私たちはすっかり劇団に飼い慣らされていました!やられました!
ルデコ1階は奥に窓があり、ブラインドが下りていましたが、東急東横線の電車が通る度に灯りが見え、カイコが歩いているような錯覚に陥りました。
カイコ役の役者は首の後ろに申し訳ないくらいの羽が付いたような衣装でした。成長した蛾の姿が思い浮かび哀れを誘います。
糸を吐きさなぎになって殺されるのも悲しいですが、成虫になったとしても飛ぶことも飲み食いすらできないという悲しい運命が待っています。そして、神と呼ばれ、象徴に祭り上げられたカイコは手術によってさなぎになることができず、宿命を受け入れることすらできない何とも哀しい生涯でした。
一つ気になったのが「役割分担」という言葉です。養蚕工場の話ではありますが、何かビジネス用語っぽく、「それぞれ役割がある」くらいに情緒的な言い回しにしてほしかったと思いました。
満足度★★
久し振りの二日間だけの公演でしたが、
次回作に期待します!
ネタバレBOX
スターウォーズの森の民みたいなのがちょこまかちょこまかし、訳知り顔のおっさんがのらりくらりしていただけでした。
1万円の特別席にお客さんがいたら内容変わるのかな。いじられるのかな。
それにしても、端っこのお客さん、うつ伏せになった俳優さんが見えたのかなあ。普段の席を取っ払って、あんなに細長い舞台にする必要があるのでしょうか。新宿のACB会館のキャバレー跡ででもやればいいのに。
屋台100店が99、98になっても気付かないが、50になるとさすがに気付く。また50店で見慣れると49、48になっても気付かない。1店になるとさすがに気付く。
ホントそうですね、…ってなわけないでしょ。1店になった理由が視覚的な問題だったとはいったい何??需給関係も考えてよねって、それもつまらない。
そんなテーマのためにわざわざ足を運んだのかと思うと情けない。
で、1店が0になったり、0が1になったりするとどうだろう。デジタル的には気付くかな。
満足度★★★★
バッハ無伴奏チェロ組曲第1番
プレリュードから始まりました。(多分)
ネタバレBOX
チェロと心中とは壮絶です。
チェロとベッドイン、夫が嫉妬、チェロと一緒に夫を殺し、ピザを焼く窯で焼いてしまった。そして、ビデオに犯行を告白して心中の顛末を記録する、裁判所で見てもらうことを前提に。
堀ひろこさんの迫真の演技でした。
ただ、小屋が小さくお客がすぐ目の前なのと、ビデオカメラに向かってしゃべっているという設定なので、不自然に宙を見ている、あるいはお客と目を合わさないように無理しているという印象を受けました。
チェロを弾く手の動きはチェロ奏者白神あき絵さんとピッタリ合っていて、ふりばっかりではそうはいきません。曲が頭に入っている証拠です。素晴らしかったです!
満足度★★★
演劇界を揺さぶる実験的演出、
すなわち小ネタで繋いでいるという感じでした。
そして、下ネタが多く、笑いの好みが異なりました。
ネタバレBOX
記号を排除するという実験的演出、刑事にコートという記号を排除すべく刑事たちが女子高生の恰好をする、斬新だあー!
役者が死体を演じる際のリアリティを高めるために、顔を水に浸けて殺してしまうなど、斬新だけど、そんなことどうでもいい!
国会に間引きに行ったら議員がほとんど残らなかったというのはいいとして、今更、鳩山さんでもあるまいにと思いましたが、客席は鳩山さんで大笑い。
尖閣諸島は日本の領土というフレーズにも客席は大笑い。
そんなに面白いかよ?!客層にも違和感を覚えました。笑い屋がいたような気がしました。
笑いの好みは異なりましたが、初原千絵さんの女性刑事が可愛かったのが救いでした。
満足度★★★★
先日の『マッチ売りの少女』に比べて
構成・演出の違いがあってか、こちらの方が客の年齢層が低いこともあってか、笑いの多い客席でした。
ネタバレBOX
下手には大きなマッチ棒のモニュメント、細長い大きなテーブルが天井から吊り下げられていました。物が落ちるくらい揺れるのかと心配しましたが意外と安定していました。
別役さんの初期作品をいくつかコラージュしたもので、「たち」には、三人の『マッチ売りの少女』の意味の他に、『象』と『AとBと一人の女』などが入っているという意味があったのですね。
原爆のケロイドなどという戦後の話題の他に、戸籍がコンピュータウイルスに冒されて娘の真贋が分からないという今日的設定もなされていました。
主婦が回覧板で少女たちの頭を思いっきり叩いたり、戸籍係の言動が面白かったりして、客席には笑いが絶えませんでした。
ただ、『マッチ売りの少女』の由来を考えると、あまり笑えませんでした。
この家の娘になったらなったで、近所付き合いの煩わしさがあると諭すところにはくすぐられました。押し掛けてきた少女たちを拒否する一方、テーブルには子供のおもちゃみたいなものが飾られていて、夫婦は子供のことを決して忘れていないのが印象的でした。