きゃるの観てきた!クチコミ一覧

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七月花形歌舞伎

七月花形歌舞伎

松竹

歌舞伎座(東京都)

2013/07/04 (木) ~ 2013/07/28 (日)公演終了

満足度★★★★★

菊之助のお岩が出色
江戸時代、三代目菊五郎が当てたお家芸に挑む菊之助。

玉三郎、18代目勘三郎の初役も観ているが、いままで観た中で一番哀れさが勝ったお岩だったと思う、出色の出来だ。

この若さで役の性根をしっかりつかみ、的確に表現できている。

場数を踏んでいる最近の若手の強みだ。

しかし、本当に腹がたったのは、隣の男性客が遅れて途中入場し席に着くなり、バッグをガサゴソとまさぐり、驚くことに舞台をまったく観ずにその場で足の水虫のケアをは始めた。

それが終わると半ズボンをはいているので素肌の太ももを附けうちに合わせてバシバシ叩く。台詞まで大声で言う始末。

うるさくてかなわない。こういうのが新しい歌舞伎座の常連客なのか。私の世代には考えられない所業だ。

ネタバレBOX

先ごろ亡くなった勘三郎の初演の際に問題となった「お岩が蚊帳にひきずられる場面で笑いがおきる」こと。

今回も注目したが、やはり笑いが起きた。

いまの客はコントをよく見ているせいか、動きで笑ってしまうのだろう。

となると、この演出はそろそろ考えるべきかもしれない。

17代目の勘三郎が演じた際は、老体と言うこともあり、長く引きずられる演出ではなかったため、笑いは起きなかった。

小仏小平に笑いが起きるのも、本来はおかしいのだ。

「薬くだせえ」は哀れさを感じるが、笑わせる場面ではない。

今回、やけに笑う客が多かったのには驚いた。

染五郎も父祖の当たり役伊右衛門をそつなくこなす。

松緑の直助権兵衛に当代の猿翁初演の直助を思い出した。武智鉄二氏が「世話物の芝居とは違う。時代劇のチンピラ」と酷評したが、私はこのときの直助が好きである。

今回の松緑も賛否あるかもしれないが、わかりやすい演じ方である。

宅悦の市蔵も子役時代から観ているので感慨深い。昨今、宅悦役者がけなされるjことは少ないが昔は点が辛かった。
40年前の故・坂東弥五郎の宅悦は今回の市蔵と孫色はなかったが、酷評された。

お袖の梅枝は昼の部の再岩藤でもおつゆを演じ、父の時蔵の演じた役を演じる機会が増えた。

この若女形も父親の初役の時よりは数段巧い。

今回はカットされた三角屋敷は、隠亡堀の伏線がつながる大事な場面だが、カットされることが多い。

お岩の櫛を直助が拾って持ち帰り、櫛を洗う盥の中から幽霊の手が伸びるなど怪談らしい演出があり、

お袖が直助の身代わりに与茂七に討たれ、実は二人が兄妹とわかり、畜生道と主家への不忠から直助が切腹するなど

平家物語の袈裟と盛遠の趣向が仕込まれていたり、観どころが多いので残念だ。

今回は三角屋敷の代わりに女形がお岩を演じる場合、常道の夢の場が出る。

女形は与茂七を替わらないので、夢の場かだんまりの茶屋女を替わる。

菊之助は与茂七を替わるうえ、夢の場も演じる。

役者の見た目の美しさで楽しませる演出で、これはこれでよかった。

また、昨今は上演時間がますます短くなっているので、三角屋敷の上演はなかなか望めなくなっている。




サスペンスオムニバス

サスペンスオムニバス

PureMarry

三越劇場(東京都)

2013/07/02 (火) ~ 2013/07/03 (水)公演終了

満足度★★★

夏にふさわしいミステリー
アガサ・クリスティーがラジオドラマ用に書き下ろし、タイプ原稿しか残っていない初の舞台化作品だそうで、ラジオドラマ風のお芝居でした。

オムニバスでそれぞれ全く独立した作品で、共通の登場人物も出てこないので、一部を除き、俳優は二作で複数の役を演じる。二作ともアガサらしく「鉄道」が絡む。

夏にふさわしいミステリー。

外国人演出家だが、場面転換などMODEと似た雰囲気を感じた。

原作に忠実に上演するのが今回の主眼のようだが、さらに舞台らしい脚色がなされてもいいかなと思える。

ネタバレBOX

第一部「最後のディナー」

タイトルにふさわしく、絵画「最後の晩餐」に似た絵面を群衆でつくる場面を挟むなどの趣向がある。

プレイボーイの敏腕訴訟代理人ルーク(加納竜)が、謎の美女(多岐川裕美)の計略にかかり・・・

多岐川の妖艶な美しさが恐ろしい。



第二部「フェイからの電話」

新婚パーティーの最中にかかってきた電話。

いたずら電話にしては、夫ジェームス(竜小太郎)のおびえ方が尋常ではない。

新妻パム(夕貴まお)が問い詰めると、亡くなったはずの前妻フェイがかけてきてるという。

前妻は目を離したすきにめまいを起こし、ホームから転落死したのだと打ち明ける。

妻の提案でその駅に二人が行ってみると、現れたのは亡き妻の母親で娘と瓜二つの老婦人(多岐川)。娘は夫にホームから突き落とされ殺されたと言い、しかし、老婦人はパムに「旅行してはいけない」と忠告したのは自分ではないと言う。

では娘のフェイが?・・・という怪談めいたオチがつく。

多岐川は電話場面の娘と、ラストの老婦人をくっきり演じ分けた。

心霊現象の話題が出てくるが、「成仏してない」という形容は日本人にはわかりやすい翻訳だが、外国物だけに違和感があった。

竜小太郎は大衆演劇のスターで、ポケットに手を入れて気取って見せるポーズなどが板についておらず、所作が不自然なのが気になった。

竜は以前に比べ、小太りになり、小柄なので、宝塚男役出身の長身の夕貴と並ぶと身長差もあり、

「カッコよくて素敵な旦那様」という女友達の称賛がピンとこない。

夕貴は、ふだん時代劇出演が多いが、宝塚で洋物経験があるので、むしろ、翻訳もののほうが似合う。

物語としては、二番目のほうが起伏があり、面白かった。


バッファローの月

バッファローの月

劇団あかぺら倶楽部

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2013/06/12 (水) ~ 2013/06/16 (日)公演終了

満足度★★★★

たまにはほかの作家のコメディも良い
レイ・クーニーの作品を多く上演している劇団だが、今回はケン・ラドウィッグ。
たまには別の作家の作品もリフレッシュできてよいと思う。

この公演、日を追うごとに好評のクチコミが広がったのか、完売が出始めた。

良質なコメディを上演し続けている劇団なので、ファンとしては嬉しい。

ほかの小劇場系劇団と少し客層が違うと感じるのは、劇団員や客演者が声優として活躍しているので、声優ファンが固定客になっているためか。

今回、ひとつ苦言を呈したいのは、制作業務について。

毎公演、開演2時間前に整理券を配布し、1時間前に当日券販売受付開始をしており、

私が観る当日の朝も、ソワレは2時間前の午後4時に整理券配布と公式ツイッターに情報が出た。

ところが3時30分に会場に着くと受付は無人。「整理券配布は開演1時間前」と張り紙が出ている。

しかも午後4時20分には「整理券絶賛配布中です!」との書き込みがツイッターに出た。

好評な公演のため、当日券売り切れを懸念し、予定を変更して都合をつけ、会場に急いでかけつけたのに、整理券配布時間に配布せず、ツイッターでは予定通り、「配布中」と。事実と相違する情報である。

ツイッターに返信したが、公演終了後も返事はもらえなかった。

受付開始時に制作スタッフに確認したら、「今日は1時間前でいいかなと判断し変更しました」

客の立場にたっていないご都合主義。

しかも、ツイッターでは変更なしのまま、「2時間前配布」の情報を流す。スタッフの誠意と配慮を感じられなかった。

ツイッターを遣うならHPではないから情報はリアルタイムで正確でないと意味がない。

アットホームな雰囲気の劇団だけにあえて言いたい。

ネタバレBOX

個人の声優ファンが従来より増えてきたせいか、俳優が出てくるだけでキャッキャと爆笑する客席にはいささか鼻白んだ。

主役のジョージを演じる高木渉は、とぼけた中にも緩急自在の演技で笑いをさらう。

この人の声色や口調は、どこか前進座の中村梅之助に通ずるものがあり、なごませる。

妻のシャーロット役、客演の三石琴乃との息も合っている。

「今回はハイテンションな演技で、声をつぶしてしまった」とカーテンコールで挨拶していたとおり、高木はがらがら声になっていて、彼のようなベテラン俳優が声をつぶすのは、あまり褒められたことではない。

ジョージの娘、ロザリンドの婚約者ハワードが、ジョージの浮気相手のアイリーンと結ばれるのは海外コメディによくある強引な結末だが、ロザリンドもマネージャーのポールと結ばれ、メデタシメデタシ。

ポールを演じる吉田智則は長身の美青年で、時代を担う若手劇団員だが、アニメ声優としても人気があるようだ。

劇団代表で演出家の水鳥さんが急逝以来、演出に専念していた大西健晴が今回、久々、俳優復帰し、ジョージの妻、シャーロットに思いを寄せる弁護士リチャードを演じているが、やはり大西が出ると、この劇団の芝居は引き締まる。ずっとアンケートに復帰を要望してきただけにうれしい。





新釈『金色夜叉』

新釈『金色夜叉』

松竹

三越劇場(東京都)

2013/06/03 (月) ~ 2013/06/23 (日)公演終了

満足度★★★★

現代人にも理解しやすい脚色
ここ何年か新派の「金色夜叉」を観たいなぁと思っていた矢先に公演があるのを知り、三越劇場に何十年ぶりかで行き、新派公演も10年以上観ていない。

「新釈」ということで、これは文学座に書き下ろしたもの。

今回の芝居はあえて登場人物の色分けをはっきりさせることで、現代人にも理解しやすくなっている。

悪い人が一人も出てこない、各人の心に寄り添った描き方。


初演は国立劇場だったが、今回は小さな劇場で場面転換が多いから大変だろうが、明治情緒を入れながらうまくつないでいた。

新派のほうの「金色夜叉」も改めて観てみたいと思った。

最近の新派公演は小津安二郎や木下惠介の映画作品の舞台化が多いが、私はやっぱり川口松太郎や泉鏡花原作の芝居が観たい。

ネタバレBOX

「金色夜叉」と言えば、宮には有名な「ダイヤモンドに目がくらみ」なんて決まり文句の形容があるけれど、この芝居の宮(波野久里子)は西洋文明や上流社会の社交など、自分の身のまわりにないものへの好奇心と憧れで、成金の富山と婚約してしまう。

意に染まない親子ほど年の違う男の妾から後添えに収まった女高利貸、満枝(水谷八重子)は、高利貸の手代となった貫一(風間杜夫)に一途な恋を仕掛ける。

宮の変身に傷つき、軽蔑していた「金銭」を扱う仕事をしながら、宮への憎しみに縛られている貫一。

有名な熱海の海岸の場面も貫一が宮を下駄で蹴るとかはなく、あまり芝居がかっていなくて、貫一の真情がごく自然に伝わってきた。

新派への客演が多い風間杜夫の貫一は、いかにも書生らしく、年齢を感じさせない若々しさ。

台詞に説得力があるので、観ていて気恥ずかしくならない。

つかこうへいの芝居をやっていた風間さんが貫一をやるなんて、当時からすると想像もつかなかったが、ピッタリはまっている。

貫一が夢の中で見る宮と満枝の対決の場面が見ごたえがあり、水谷、波野の凄絶な演技はさすが。

この二人を観ることがいまやとてつもなく贅沢に思えた(言わずと知れた梨園の血筋のお二人でもある)。

この夢の場が貫一の自己分析とけじめにもなって終盤へと展開していく。

満枝の水谷は貫一とのやりとりで、大真面目に演じるほど笑いを誘う。それだけに終幕の亡き夫の郷里でひっそりと暮らす覚悟を語る場面の慎ましさが哀しい。

この脚本における人物像では、宮が一番演じるのに難しいとは思う。

末は狂うほど愛している貫一を捨て、なぜ富山になびいてしまったのか。

「飛んでみたかったのですわ」という宮はある意味、現代的でもあり、羽振りのいい青年実業家と玉の輿婚をして夢破れる女性タレントの例は現代でもいくつもある。

また、明治と言う新しい文化流入の渦の中に立つ者の混乱をも象徴している。

英太郎の狂った老婆の繰り言に出てくる「お嫁に行けなかったスーちゃん」はどこか、宮の心のうちを示しているようでもあり、英も好演。






駄菓子屋ケンちゃん

駄菓子屋ケンちゃん

もざいく人間

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2013/06/05 (水) ~ 2013/06/09 (日)公演終了

満足度★★★

思ったほどドタバタではなく
「もざいく人間」の公演は、一般の劇団公演とは少し違う性格というか、ファンサービスの特徴があるようにとらえています。
今回もファンサービスの部分はありましたが、観る前に思ったより、オーソドックスなコメディに感じ、楽しめました。各キャラクターが個性的で、特に鳥越コンツェルンのトリオが面白かったです。

ネタバレBOX

毎回、横島裕さんを楽しみに観ていますが、今回は見た目もいつもと違う感じでいつもよりおとなびた印象でした。

畳屋の父親が大工の父親から「娘に色目を使うな」と言われるのは、あまり適切とは言えないせりふに感じました。設定上、誤解される要素もないからです。

ケンが「逃げられる」を「逃げれる」と2回も言っていたのも気になりました。
チェンジ・ザ・ワールド

チェンジ・ザ・ワールド

マグズサムズ

シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)

2013/05/23 (木) ~ 2013/05/27 (月)公演終了

満足度★★★★

バランスの良いコメディ
合体前に早稲田で学生時代の公演を観て以来好きになり、必ず観に行くコメディ劇団。

毎回、コメディではあまりとりあげられないテーマをうまくみつけて肩の凝らないシチュコメを創り上げる佐藤さんの力量に感心する。

「世界を変えてやる!」というロック精神と相反する現実的問題を抱えるメンバーたちが面白哀しく描かれている。

どぎついいまふうのコメディが増えた昨今では希少価値ともいえるこの劇団の自然な笑いのセンスがわたしは好きだ。

ホロリとさせられるところもわざとらしさがないのが評価できる。

シチュコメの場合、人情と笑いのバランスが難しいところ。

マグズサムズはそのバランスがとてもいい。

ネタバレBOX

「人喰いシャーク」と恐れられた過激なロッカーからサラリーマンになり、小市民的に変貌した猿渡亮太さんの腰の低い演技に大笑い。

前作に続く中年男性の飄逸さが光る。スパイス的に登場する相羽崇史さんのバンドボーイ、実は頼りになる医学生も面白い。

見たところこのバンドは中途半端感が否めず(笑)、そこがまたコメディにはピッタリなのだろう。

お産騒動がクライマックスなのだが、いくらなんでも出産直後にピンピンして普通に歩いて病院に行くのはさすがに非現実的だ。

いかにもご都合主義でリアリティに欠け、ここはもうひと工夫あってほしい。

お産は女性にとっては大変な経験。軽く扱われては困る。

男性作家だからだろうか。

ご贔屓劇団だけに「玉に疵」がとても気になるのだが、前作もそうだったが、この劇団のコメディには矛盾点が毎回ひとつはあり、それがけっこう見過ごせない重要な点であること。

コメディとしての体裁を整えようとするほうに神経がいき、状況として、人間の行動としてありえないことが出てくるのだ。

ここを克服すれば、より良質なコメディになると思う。


虚言の城の王子

虚言の城の王子

空想組曲

吉祥寺シアター(東京都)

2013/03/03 (日) ~ 2013/03/10 (日)公演終了

満足度★★★★

入れ子構造の秀作
いつもの二重構造から物語がさらに進化し、入れ子構造になっていた。

舞台空間の使い方も優れているし、キャラクターが明確。

若い俳優が懸命に演じている。

私が観た回は客席は若い女性がほとんどで熱烈なファンが多かったようで、少々気圧された。

終盤はすすり泣きが聴こえ、スタンディングオベーションまで起きた。

次回作はどんなふうになるのか、今から興味がわく。

ネタバレBOX

「本当に絶望した人だけが入れるお城」は、ある意味現実逃避ともいえる。

ネットの虚構世界も連想させた。


お城の世界の登場人物はデフォルメされるためしかたないが、少々アクションがオーバーで少し気恥ずかしくなった。

よくできたストーリーではあるが、優等生の作文みたいで、やや観念的できれいにまとめすぎた印象を持った。

だから、若い御嬢さんがたのように夢中で泣きじゃくる生理現象は起きなかった。

私にも理屈なく涙があふれてくる芝居もあるのだが、この作品はそうではなかたというのが個人的な感想。
空気正常

空気正常

殿様ランチ

サンモールスタジオ(東京都)

2013/02/27 (水) ~ 2013/03/06 (水)公演終了

満足度★★★★

初演との違いは?
フライヤーに、初演の不評が書かれてあり、コリッチをみたら、なるほど不評が多

く、打って変わって今回は皆さん絶賛されてるので、はたしてかなり改訂されたのかどうかが、気になります。アフタートークの日に拝見できたらよかったのだけれど。

殿様ランチらしい会話の面白さがあり、配役もよく、不思議な世界が描かれ、なかなか個性的な作品で楽しめました。


ネタバレBOX

板垣さんの笑いは、「間」が板垣さんの「間」になっているのが特徴的。自然に吹き出してしまう。

二人の「犬少女」は、村の独特な雰囲気を表現するものかもしれないが、主軸の
話とは別のストーリーで、主要人物ともあまり絡まないのが物足りなかった。

細かいところでは、水蒸気の防護服を着て入るのに、素足にサンダル履きというのは首をかしげる。

小笠原佳秀さんが最初、気付かないほど、扮装もしゃべりかたもいつもとまったく違う雰囲気だった。

どこか原発作業員を連想してしまうのは時節柄だろうか。








ロックオペラ モーツァルト

ロックオペラ モーツァルト

ネルケプランニング

東急シアターオーブ(東京都)

2013/02/11 (月) ~ 2013/02/17 (日)公演終了

満足度★★★

両バージョン観ました。
12日.14日と違うバージョンを観ましたが、私のいつもの書き方で、1つにまとめさせていただきます。

12日は2階、14日は1階で、やはり1階のほうが席は後列でも舞台に近い感じ
で、入り込めました。

目が悪いので、こういう大劇場は大きすぎて疎外感がぬぐえません。


なかなかないWキャストなので、一見の価値はあると思いましたが、2500円もするパンフレットには手が伸びませんでした(笑)。

総体的な感想は、宝塚でトップがモーツァルト、二番手がサリエリを演じたら良いミュージカルかも。

場面ごとに宝塚でも行けそうだなと思いながら観てました。

ネタバレBOX

モーツァルトとサリエリが丁々発止、火花を散らすのかと思ったら、そうではないので、ちょっと期待外れ。脚本に深みがないのでドラマとしての感動が私には薄い。

サリエリの出番が少ないので、Wキャストの力配分としてはよいのかもしれないけど。

アフタートークで、海外キャストのキーに合わせたから高すぎて歌いにくいと山本が言っていたが、この人、いつも地声で歌い、高音は苦しそうに顔をしかめるので、今回も気になった。

歌唱では中川のほうがのびのび歌っていたと思う。

演技では、山本のサリエリは芸質に合ってクール、中川のサリエリは人間味を感じた。

モーツァルトは、かっこよさでは山本、等身大では中川。母親の死に号泣する場面が山本はわざとらしく、中川に真実味が出た。

母親が生き倒れになり、困惑して助けを求める場面も、山本はしっかりして見えるのでお芝居っぽくて同情をひかない(笑)。中川は本当に困っているように見えたが。


かつらが山本はモーツァルト、中川はサリエリが似合っていないように感じた。

鶴見辰吾の「運命」を暗示する役が、しどころがなく、罰ゲームみたいで、ふきだしそうになった。

モーツァルトを張り合う女性二人の歌唱が一番聴きごたえがあったかもしれない。

【公演終了!】望遠ノート【ご来場誠に有難うございました!!】

【公演終了!】望遠ノート【ご来場誠に有難うございました!!】

演劇ユニット「クロ・クロ」

劇場MOMO(東京都)

2013/01/23 (水) ~ 2013/01/27 (日)公演終了

満足度★★★★

予想以上に良かった
初めて観る劇団なので、少し不安でしたが、銀河鉄道の夜と天文学の世界の話が絡み合い、なかなか素敵なお芝居でした。

遅刻すれすれ滑り込みセーフだったので、最後列で観たのですが、座席の構造上電車に乗ってるみたいで、世界にひたれました。

脚本を読みたいなぁと思い、台本購入しました。台本を買うお芝居は少ないので
すが。




ネタバレBOX

難しい学術説明があるためか、台詞をつっかえる人がいたのは残念。

車掌さんが銀河鉄道の人と言う感じがとてもよく出ていました。

観ているだけではところどころ、わかりにくい個所もあったので、台本をよく読みたいと思いました。
アウト・オブ・オーダー

アウト・オブ・オーダー

劇団あかぺら倶楽部

東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)

2012/10/04 (木) ~ 2012/10/08 (月)公演終了

満足度★★★★

シチュコメ劇団の老舗らしい安定感
千穐楽に観たが、役者紹介方々公演エピソードも語られ、アフタートークのようで楽しかった。


老若男女幅広い観客層をつかんでおり、最近は若手を積極的に起用しているが、やはりベテラン俳優を観るのが私には楽しみなのだ。


今回は高木・中村コンビ。


長年演出を務めていた水鳥さんが亡くなられたので、大西が演出を手掛けるようになった。


個人的には高木・大西コンビで観てみたい作品だ。


大西は俳優復帰の噂もあるので、期待している。

ネタバレBOX

やはり高木のピグデンは緩急自在で安心して観ていられる。


演技中、ベルトのバックルが壊れてしまうというハプニングもあったが、アドリブで笑わせた。


役として乗り切る、プロでは大事なことだから、見事である。


ウィリーの中村伸一は、台詞のとちりが何回かあり、コメディの場合、流れがとぎれてしまうので残念である。


支配人の押田浩幸は、いかにも支配人らしいが手堅すぎて物足りなく感じた。


私はファルスの矢吹ジャンプのマンガチックな支配人がとても印象に残っている。


ローズの夫東龍一はさわやかな二枚目役が多いせいか、チンピラみたい粗暴な役は違和感があった。


話そのものはテンポのよい艶笑コメディで、高木と共に、ボーイの山口登が印象に残る舞台だった。




白虎隊風雲録 コダマ!(CM大会最優秀賞受賞!)

白虎隊風雲録 コダマ!(CM大会最優秀賞受賞!)

劇団バッコスの祭

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2012/09/26 (水) ~ 2012/10/01 (月)公演終了

満足度★★★

着想は面白いけど
タイトルの「白虎隊」の存在が薄いと言うか、やはり白虎隊は悲劇がクローズアップしてこそ、感動があるのだと思う。

つめこみすぎた感がある。

被災地東北への思いは伝わったが。

ネタバレBOX

配役表が終演後にしか渡されないので、山本八重の存在がわからず、まるで軍師みたいなので違和感があった。

殺陣もいつものようなキレが感じられず。最近大きな舞台でやることが多いが、

アンサンブルの実力のばらつきが気になる。

切腹のトリックや東北の有名人の精霊登場のきっかけなど、ひつぜんせいやn粗さが目立った。
隣の屋上は高い

隣の屋上は高い

多少婦人

pit北/区域(東京都)

2012/09/28 (金) ~ 2012/09/30 (日)公演終了

日常で起こる不条理劇
とあるビルの屋上に集まってくる男女の物語。

それぞれが抱えている事情が浮き彫りにされるが、有機的には結びつかず、すれ違っていく。

それもまた大都会に暮らす人間関係の縮図なのかもしれない。


平凡な日常の中で起こる不条理劇のような芝居。

ネタバレBOX

ビルの屋上の使用管理をしているらしき宮島みほいの正体不明ぶりが面白い。

いったい、なぜ、彼女が屋上使用権を握っているのかよくわからないが。

フリーターに見えて実は弁護士の山村遊哲が作・演出の酒井雅史そっくりの芝居をするなと思って、聞いてみたら、かなり細かく演出をつけたのだそうだ。

分身のようだった(笑)。

はっきりしたストーリーはない群像劇で、ずっと不協和音を聞かされてるような感じ。独特のゆるさがあるが、途中の余白

が間延びした冗長さを感じる場面もあった。


この劇団の芝居のスタイルを知らない客は戸惑うのではないだろうか。




小林が突然「隣のビルの屋上がこのビルにつながっているのおかしくないですか?」と言い出す。

劇場の構造がそうなっているわけだが、観客としては「2つのビルの見立て」で芝居を観ているので、いきなり現実に立ち返ったような


かえったようなセリフが出てきて面食らった。それが謎解きになるのかと思ったら、そうではない。

側面は高層ビルという設定なのだがそれも「ここの壁、こうなってるのかしくないですか」などと言う。

笑いを取るためなのかどうか意味不明だった。

小林が「就活中」と強調する割に、いつもふわふわしたルーズな普段着にリュック姿でやってくるのも不自然な気がした。


芝居とは関係ないが、隣に座ったよく劇場でみかける業務観劇人らしき男性が、最前列なのに、時々、いびきをかくのと、

飴を噛む音がとても耳障りだった。


こんな狭小空間で勘弁してほしい。寝るなら後方の隅に座ればいいのに。








独り音楽劇『ペールギュント』

独り音楽劇『ペールギュント』

株式会社センターヴィレッジ(CENTER VILLAGE MUSIC FACTORY)

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2012/10/29 (月) ~ 2012/10/30 (火)公演終了

満足度★★★★★

起伏に富んだ独りミュージカル
私は基本的にひとり芝居と言うのは観ていて気恥ずかしく嘘っぽいので嫌いなのだ。

ところがこの音楽劇は三矢さんの歌唱力、表現力が素晴らしく、同一人物には思えず、ひとり芝居の難点を感じなかった。

目を閉じていても物語世界が広がるので、アンケートにCD化を希望した。

三矢さんは真矢みきや黒木瞳らのトッピスターを輩出した伝説の67期首席の成績で、退団後に難関の芸大に合格して声楽を本格的に学んだ。

宝塚の華やかさと確かなクラシックの歌唱力を身に着けた稀有な女優である。

ネタバレBOX

宝塚はトップスター以外の人は様々な役を演じるので、引き出しが多いのかもしれないと感じた。


冒頭、ペールが北欧の山の斜面をトナカイに乗って滑り降りる場面でたちまちペールの物語の世界に連れて行ってくれた。

SPACの「ペールギュント」ではコミカルだった緑衣の女=魔女が雪女みたいにものすごく恐ろしく表現され、印象に残った。

70歳の老境を迎えたペールが、それでもなお可能性を信じて生きると言う姿に年配の男性客何人かが涙していた。それほど心に沁みる作品だった。
六月大歌舞伎

六月大歌舞伎

松竹

新橋演舞場(東京都)

2012/06/05 (火) ~ 2012/06/29 (金)公演終了

満足度★★★★★

「ヤマトタケル」 新・猿之助に期待したい
ヤマトタケルは、先代猿之助の「生き様」も込められた作品。それdかえに、本人が演じると手前味噌みたいで、ちょっと鼻白むのだが、甥の新猿之助が演じることにより、客観的に観られ、勘当できた。

最後の宙乗りに、彼がしっかりと先代の精神を受け継いだことを感じ、若き日の先代との思い出が多い自分は涙が止まらなかった。

新・猿之助はいわゆる門閥の本流の若い役者との共演も多く、先代のように孤立していない分、今後の幅広い活躍が期待できる。

猿之助と言う名跡は代々「進取の精神」が伝統でもある。先代の芸を受け継ぎながらも当代がどんな新境地を開いていくのか楽しみだ。

ネタバレBOX

新猿之助は、熊襲館での激しい立ち回りの動きが先代そっくりでゾゾゾとなった。

中車のミカドは、声がつぶれているのが痛々しい。歌舞伎役者の発声がいかにたいしたものであるのか思い知らされる。

しかし、小栗栖の長兵衛を映像で観た限りでは、立ち回りで回転する軸のぶれなさは初心者ながらさすがで驚いた。もし幼少時から続けていたら、かなりの役者になっていたかに思われる。

わけあって継承者にはならなかったが、香川照之という俳優としては映像のジャンルで別の可能性を見せてくれたことも澤瀉屋の血だと思う。

こういう歌舞伎俳優がいてもよいのではないかと思う。


今からでも日舞を習って所作を身に着け、ボイストレーニングをやってほしい。

團子くんのきびきびした演技と舞台度胸は祖母、浜木綿子譲りかもしれない。浜さんは宝塚の下級生時代、舞台度胸のよさで、大スター明石照子の目に留まったという。

鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)

鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)

国立劇場

国立劇場 小劇場(東京都)

2012/12/02 (日) ~ 2012/12/25 (火)公演終了

満足度★★★★★

歌舞伎の将来に期待
一條大蔵卿は播磨屋の当たり役だけに、安定感があった。

自分が若手の頃から観ている人たちがいまや重鎮と成り、併せて若手の成長ぶりも確認でき、将来が楽しみ。

皆鶴姫が菊の花を差し出す場面が今まで観てきた演出と違うので、あれっと思った。最近はこの型なのだろうか。

ネタバレBOX

笠原湛山の歌昇が初役と思えない出来。若手でこれだけできるとは。動きと言い、表現力と言い、素晴らしい。

彼は同月の研修発表会でも、主役の一條大蔵卿を演じ、こちらも出色の出来。将来が楽しみだ。

親戚同士の播磨屋、萬屋の若手は充実している。

又五郎の智恵内は芸風からか実直すぎ、いわゆる「機嫌のよい役」に不足を感じた。

芝雀は亡き父の当たり役皆鶴姫を演じ、父を偲ばせた。

梅玉の鬼次郎に、義太夫狂言がしみているのに感動した。ここまでには本当に長い年月が必要と痛感。

同じことが弟の魁春にもいえ、養父・歌右衛門のセリフ回しそっくりで感無量。



【緊急再演】つぎとまります【王子小劇場】

【緊急再演】つぎとまります【王子小劇場】

劇団肋骨蜜柑同好会

王子小劇場(東京都)

2012/12/14 (金) ~ 2012/12/15 (土)公演終了

満足度★★★★★

楽しみな作家が出てきた
ツイ友の関係で観に行きました。想像していた作風と違い、楽しめる不条理劇。


会話が漫才のようでぐんぐん惹きこまれていく。


フジタタイセイの俳優としての自然な演技も好みだ。

不条理劇だが嘘のない芝居。

ネタバレBOX

主人公がゴミ箱を被っているのがよい(笑)。

冒頭で鉛筆をリズミカルに回すフジタの手つきに、俳優としてのカンの良さを予

感したが、そのとおり「間」のよさをもった俳優。
君には頭がさがる

君には頭がさがる

電動夏子安置システム

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2012/02/23 (木) ~ 2012/02/28 (火)公演終了

満足度★★★★★

さすがのグランプリ
シアターグリーンの審査員をしていたので、担当劇団ではなかったが、公正を。期して書かなかった。いくつかの参加作品を観た限りでは、電夏が断トツの出来でこれが受賞しなければおかしいと思ったので、W受賞も納得。

面白いので二度観に行った。

一般受けもする作品で、マニアックな壁も超えた。

ネタバレBOX

深刻な役が多い谷仲恵輔が電夏メンバーに混じって真面目に演じているが面白い。

古川健に、自分を重ねて観た。

すっと審査員をしてきて大好きな電夏の授賞発表の場にいたかったが、個人的事情で欠席した。

審査を今年で退く決心をした意味でも思い出に残る作品。
また悪だくみをしているのね

また悪だくみをしているのね

電動夏子安置システム

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2012/08/07 (火) ~ 2012/08/12 (日)公演終了

満足度★★★★

殊勲賞は蒻崎今日子
JACROWの「明けない夜」を思わせるストーリーで、それに出演した蒻崎今日

子が真面目に演じて笑わせる。彼女の演技力がこの芝居に厚みを持たせた。

ネタバレBOX

小原雄平が老け役なのが意外。横島裕はミスキャストかなと思った。大好きな

俳優だがこの役には若すぎる感じ。

道井良樹となしお成が息の合ったところをみせた。

一点引っかかったのは、ラストで現場に駆け付けたのが電話の側にいた刑事たち全員ではない点。

その前の会話では任せて信じてほしいと言っているので、ちょっと疑問に思った。


ナイゲン【本ページは2012年版です。ご注意下さい】

ナイゲン【本ページは2012年版です。ご注意下さい】

Aga-risk Entertainment

新宿シアター・ミラクル(東京都)

2012/09/22 (土) ~ 2012/09/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

会議劇の傑作
ひとひねりが多い冨坂さんとしては、初期の作品のせいか、三谷幸喜を思わせる会議もので素直に笑える。



ネタバレBOX

会議資料も観客に渡され、丁寧。


斉藤コータがやはり面白い。

矢吹ジャンプの演技も印象に残る。

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