ゲゲゲの女房
東宝
シアタークリエ(東京都)
2011/09/29 (木) ~ 2011/10/07 (金)公演終了
満足度★★★★★
消えゆく者たちの魂が、青く美しく光る「蝶化身」となっていつまでも輝いている。
「ゲゲゲの女房」ブームは演劇界にも!
この原作、どうしても水木しげると鬼太郎や妖怪たちに引っ張られてしまい、
作家さんたちの興味も、気を抜くとそっちに行ってしまう。
本当の主役は、奥様の布枝さんの苦労話と、夫人から見たしげる像、とかにある。
NHK連続ドラマは、長丁場なので実に様々な側面を、
バランス良く掘り下げていた傑作だった!
映画版では、クドカンの水木しげるが似すぎていると話題だったが、
夫婦の超貧乏時代と、二人が本当に夫婦になるまでの部分に集中し、
これも成功作だったと思う。
しかも、わずかに挿入された目玉おやじと悪魔くんのアニメも
水木まんがのテイストを的確に再現していた!
さて舞台版は…
大ファンである主演の水野美紀さんは、背が高いのも布枝さん向き。
暗くなりがちな話を、いつものコメディエンヌぶりを発揮してうまく引っ張っていた。
しげるさん役の渡辺徹さんは、貧乏という役がぎりぎりできる程度の体格か?
こちらもコメディには定評がある。
申告した所得が低すぎて生活できるわけがないといって、
税務署員が調べに来る有名なエピソードも健在。
ここで税務署員に扮する桟敷童子所属の原口健太郎さんは、
牛乳瓶の底のような眼鏡に出っ歯というまさに「水木キャラ」になりきっていて爆笑。
さらには追い払った後に撒こうとした塩すら無いという、おまけつき。
このシーンは、貧乏が生み出した哀しい怒りの場面なのに、
夫婦二人の呼吸の合い具合がとても楽しい。
作演出が「桟敷童子」(←まさに妖怪の世界?)の東さんなので、
妖怪が出るシーンのライティングや、そのお祭りのようなにぎやかさは
まさに東さんの世界。
本作では全体を通じて、時代とともに淘汰され、消えていってしまうものへの
愛しさ、はかなさ、が強く残る。
大和田さん演じる紙芝居屋の最後の口上!
梅ちゃん演じる貸本屋は、胡散臭い景品で再起を図るも、
うまくいかず、それでも肉体労働で、しげるへの未払いの原稿料を残していく。
そして、居場所を失っていきながらも、しげるに御礼を言い続ける妖怪たち…。
そう、戦争中にジャングルの奥地で見た何万という青い蝶々は、
しげるを守ってくれた亡くなった兵士たちの魂だった。
消えゆく者たちの魂が、青く美しく光る「蝶化身」となっていつまでも輝いている。
ウエアハウス-circle-
演劇集団円
シアタートラム(東京都)
2011/09/30 (金) ~ 2011/10/12 (水)公演終了
満足度★★★★★
これぞ演劇の魅力!金田さんの朗読の力、橋爪さんの自由自在な演技の幅、都会の地下室でぎこちなくも哀しい、束の間の二人のコミュニケーション。
これぞ演劇の魅力!
映画でこの迫力、リアリティは絶対に味わえない。
だから芝居を観るのはやめられない!
金田さんは無力で孤独なごくごく普通の小市民、
そしてその朗読は、力強く、時に哀しく訴えかける。
対する橋爪さんは、自由自在に変わる幅のある演技。
あるときは可愛らしく、優しく、静かに、凶暴に、病的に、
凶悪に…テレビでは絶対観れない面を、
ご本人もノリにノッてやっておられるのがわかる。
都会の地下室でぎこちなくも哀しい、
孤独な男の束の間のコミュニケーション。
サイコスリラーのようでもあり、しかしよく考えると
人生に疲れたただの普通の人間が、
ちょっと話を聞いてもらいたかっただけでもある。
本当に観てよかった。
ところで、橋爪さんが劇中で披露した…
↓↓↓↓↓
現代能楽集Ⅵ 『奇ッ怪 其ノ弐』
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2011/08/19 (金) ~ 2011/09/01 (木)公演終了
満足度★★★★★
語られる奇怪だが泣ける物語の数々。仲村トオルのおっとりした暖かさ、池田成志の達者な語り口。
偶然出会った男たち。
そして語られる奇ッ怪な物語の数々。
仲村トオルさんの語る、一見関連性の無い
いくつかの不思議な話と、意外な真実。
仲村トオルさんの、あったかさ、
池田さんの語り口の達者さ、強さ、可笑しさ、
他ではエキセントリックな役が多い山内さんの
普通の役が実にいい。
特に前半部分の物語が良いです。
それぞれの話の導入部から引き込まれ、
語り口に魅せられ、最後に泣かされます。
「その一」より良かった!
DVDが出たら絶対買う。
ゲゲゲのげ ~逢魔が時に揺れるブランコ~
オフィス3〇〇
座・高円寺1(東京都)
2011/08/01 (月) ~ 2011/08/23 (火)公演終了
満足度★★★★★
渡辺世界と鬼太郎エピソードが見事に融合。可笑しく楽しく哀しい世界。
植物状態の女性(馬渕)が夢見る、
小学校時代のいじめの記憶と悔恨の念。
それは妖怪の仕業か。
そして鬼太郎達はそれを退治できたのか?
渡辺えりさんの作によるストーリー構成が非常にうまい。
単なる夢、幻想の世界ではなく、
幾人もの登場人物たちが鬼太郎の世界とクロスオーバー
しながら展開し、世界が膨らんでいく。
可笑しくも、物悲しい、せつない世界。
独特な世界でありながら、きちんと鬼太郎の
妖怪物語の1エピソードとしても成立しているのに驚いた。
と同時に面白かった!
中川晃教のセリフ回しと歌によって作られる鬼太郎が
当然オリジナルのキャラクターがありながらも
中川色が力強くしっかり出ている。
しかも目玉のおやじ付き。
ヒロインは、私の大好きな馬渕英俚可さんです。
ランドセル姿での強烈ないじめっ子も潔く、
二役では真反対でワイシャツ1枚だけをまとった
夕方の妖怪を妖しく演じる。
広岡由里さんは、
砂かけ婆と、なんと子泣き爺まで演じてます。
さて渡辺えりさんは妖怪を演じて、歌も披露。
さすが、パワフルです。
渡辺世界と鬼太郎エピソードが見事に融合。
可笑しく楽しく哀しい世界。
独自の物語世界の面白さを堪能しました。
悩殺ハムレット
柿喰う客
シアタートラム(東京都)
2011/09/16 (金) ~ 2011/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
マジ、イケテル系!2回も観ちゃいましたヨー、カラの~~
「運命の女神、なにしとーる!」
(セリフ合ってます?)
2回目!
全体がわかってて観ると、
1回目よりももっとノリノリで観れました!
あのセリフが気持ちよく入ってきます。
笑いのツボも見事にはまっちゃいます。
最高です。
セリフは、方言も検討されたとか。
もしかして、キャラメル渡邊さんの「…どん。」はその名残り???
次回は『マクベス』!
さて、今回と同じ表現方法…ということは無いでしょうねぇ。
全く変わるんでしょうかねぇ。
今から楽しみです。
悩殺ハムレット
柿喰う客
シアタートラム(東京都)
2011/09/16 (金) ~ 2011/09/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
マジ面白すぎなんですけど!
生きちゃう系?死んじゃう系?
それ問題じゃね?イケてる感じはどっち系?
オール女優キャスト!!
シェイクスピアのハムレットを今風に変換したら、
超流れるようなセリフはギャル語、チャラ男風、
リズミカルな音楽とときどきダンス、
衣装メイクはホストクラブ風、キャバクラ風に!
これがぴったりハマッタ!
女優さんたちが超カッコイイ。
終始ノリノリのハムレット!
面白過ぎです。
皆さんの、特に深谷さんのハンパ無い運動量にセリフで、
常にハイテンション、これを十何ステージこなすパワー!
尊敬しちゃいます。
キャラメル渡邊さんのセリフ「・・・どん。」もカワイイ。
岸家の夏【全日程終了!次回公演は2012年1月東京・2月大阪にて!】
劇団鹿殺し
青山円形劇場(東京都)
2011/07/28 (木) ~ 2011/08/07 (日)公演終了
満足度★★★★
菜月チョビ・千葉雅子(猫のホテル)・峯村リエ(NYLON100℃)豪華顔合わせ、格闘家3姉妹の波乱の半生!
劇団鹿殺し 夏の女優祭り として、
菜月チョビ・千葉雅子(猫のホテル)・峯村リエ(NYLON100℃)という
豪華な顔合わせで、格闘家3姉妹の波乱の半生を
「鹿殺し」ならではの歌と踊りでにぎやかに描く!
この3人を中心に歌う!踊る!常に動きまわる!
パワフルで、チープで、着ぐるみもあって、バカバカしくも楽しい舞台。
それでいて、どこか三姉妹の悲哀がにじんでます。
特に千葉さんの活躍が凄くて、キャラとしては
「流れ姉妹」たつ子、まんまでしょうか。
着ぐるみも着ますしね。
それにしてもやはり、女は元気、女は強し。
男じゃあ、面白い話にならないでしょうねぇ。
『ナツヤスミ語辞典』
演劇集団キャラメルボックス
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2011/08/03 (水) ~ 2011/08/11 (木)公演終了
満足度★★★★
乱痴気ヴァージョン・配役シャッフル!渡邊安理ちゃん凄!お祭りバージョンを楽しんで。
前日に通常の配役で観劇。
今日は、柿喰う客恒例の「乱痴気ヴァージョン」!
通常と違う配役での1回限りの公演です。
すごいです。
この1回のために、本来の役とは別の役も
稽古して仕込んでいるってことですもんねぇ。
そして初っ端、女教師役は渡邊安理ちゃんでしたね。
あの長台詞を、パワー全開で完璧にこなしてました。
まあお祭りバージョンということなので、
本来の芝居としては、やはり通常版に譲りますが。
それと、途中で演技を間違えて、演出の中屋敷さん
の指示が上方?から聞こえてきて、やりなおす、
っていうシーンは、ほんとに間違えたんじゃなくて
そういう乱痴気ようの台本どおりだったのかも?
以前もアドリブ風のやり取りが、実は演出だった
っていうことがあったので。実際どうだったんだろう?
柿の通常公演では、終演後に毎日質問雑談コーナーがあったから
確認できたのですが。
『ナツヤスミ語辞典』
演劇集団キャラメルボックス
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2011/08/03 (水) ~ 2011/08/11 (木)公演終了
満足度★★★★★
キャラメルボックス×柿喰う客=化学反応!!中身はキャラメル、表現は柿風味!
キャラメルボックスの名作が、柿喰う客とのコラボで再演が実現!
一見、相反しそうなテイストの劇団同志と思いましたが、
なんの、自然に溶け合って、「独特の風味」で面白かった!
キャラメルボックス×柿喰う客=化学反応!!
内容は、キャラメルらしいゴースト・ハートウォーミング・ストーリー。
二度とない女子中学二年の夏休み。
プールが嫌いなために、毎夜、水を抜きに来る生徒三人組と、
その証拠を押さえようとする同級生の三人組、
幽霊が出るという噂に、張り込むカメラマン。
夏休み連日の大騒動と、忘れられない奇跡の出来事を描く。
印象的なのは担任の女教師!
冒頭の長台詞には素直に驚きノリも良く、
また、何度も繰り返された、お化け話に驚くと硬直して突然倒れてから、
ゆっくりうつ伏せ(だったか仰向けだったか)になっていくという
意味不明のリアクションなど、大爆笑でした。
主演のカメラマンの娘も素直に良かった。以前の柿喰う客公演
(女子サッカー部の話)でも、タイトルコール役の中心人物でしたね。
そして、かたくなに水泳に抵抗するヤンマ(ヤマダ)の主張!
こらまた奇妙なリアクションやイントネーションの体育教師にも
大爆笑!
こうして見ると、
「中身はキャラメル、表現は柿風味!」という感じでしたね。
結構昔の優しくてあまーい内容も、柿独特の押しの強い個性的な
メリハリ演技で、受け入れやすく味わいやすくなった感じです。
やっぱり観て良かった!
太陽に灼かれて
ホリプロ
天王洲 銀河劇場(東京都)
2011/07/24 (日) ~ 2011/08/09 (火)公演終了
満足度★★★
「とにかく怖い。ぞっとする。」
私にとって非常にハードルの高い、ロシアの昔の話。
タイトルだけだと「太陽がいっぱい」のような、
リゾート、バカンスで男2人と女1人ラブストーリーのイメージだったが、
実際は、ハードな政治・歴史ものでした。
こういう難しい作品でも、大きな劇場でそれなりの動員があることは、
意外で凄いと思いました。
内容は…独裁、権力、「とにかく怖い。」「ぞっとする。」
ついこの間まで(場所によっては今でも)こんなことがあったかと思うと。
その中で今、名子役から成長中の、美山加恋の純真さが一段と光っていました。
クレイジーハニー
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2011/08/05 (金) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★★★★
作家に容赦なく投げつけられる言葉が痛い。結末も痛い。
作家に容赦なく投げつけられる言葉が痛い。結末も痛い。
差別の対象者や、作家に容赦なく投げつけられる
傷つける言葉の数々。
10人程度でも、群れの中で生まれる感情。
見ていて突き刺さるように痛い。
そして、かなりエグイ、結末。
それすら越える登場人物二人のクレイジーさ!
長澤まさみ、初舞台は、まず成功。
常にエキセントリックで、「普通の状態の演技」が観れませんでしたが。
リリー・フランキーも初舞台なれど、
こちらは非常に自然なオカマの演技が良かった。
よくあるステレオタイプのオカマ演技でないところが。
10人のファン像が、こちらはステレオタイプなのに苦笑しますが、
集団心理から、隠れてぼそっと聞こえるように言われれる
ちょっとした「中傷の言葉」が、刺さるように痛い。
と、同時にリアルで怖い…。
やはり、本谷有希子は凄かった。
そして誰もいなくなった
劇団東京乾電池
駅前劇場(東京都)
2011/08/19 (金) ~ 2011/08/21 (日)公演終了
満足度★★★★
不条理なのに論理的に推理劇として成立し、大どんでん返しがあるという矛盾。それ自体が不条理。面白い。
本多劇場こけら落とし第2弾として上演された演目。
タイトルの通りクリスティの同名小説に材をとりながら、
ゴトーを待ち続けるという味付け。
どうも、別役実というと不条理で難解という
イメージが強く苦手なのですが、
その中にあっては、殺人の動機も「不条理な理屈」
には合っている。
本作の「不条理推理劇」としては、
連続殺人の犯人探しのストーリーも、
不条理な動機から客観的に理屈が合うという
一見矛盾した状況が面白い。
そしてラスト、推理劇として普通に?感心する?
どんでん返しがあるというところが面白かった。
ここがチラシの宣伝コピー「モンティパイソン的大どんでん返し」
を指すのでしょうが、表現方法というか絵面が
「モンティ…」なだけなので、
他の作品を引用するのはかえってマイナスであり、
別に、「他作からの引用を宣言するような」必要はないと思う。
柄本さん(セリフはとんでたけど)、綾田さんという
ベテラン勢の力の抜け切った演技もいいが、
クライマックスでは探偵的な役割を担った、
江口のりこさんが光ってた。
三銃士
東宝
帝国劇場(東京都)
2011/07/17 (日) ~ 2011/08/26 (金)公演終了
満足度★★★
試練が悲劇的すぎで暗すぎ。あと、冒険を、はしょるな!
「銃士」をめざしてパリに来たダルタニアンは、ふとしたことから知り合った
三人の銃士と立て続けに、当時禁止されていた「決闘」を約束する。
これをきっかけに、彼の、王と国を守り銃士を目指す冒険の旅が始まる。
井上くん主演という若さと存在感と上手さ、
脇にまわった山口さん、橋本さんら、主役級の役者さん達といい、
抜群の安定度を誇る座組み。
チラシとキャストで想像すると、きっと波乱万丈、破天荒、
でも抱腹絶倒の内容を期待したんですが、ちょっと勝手に期待しすぎたか。
4人が旅の途中で一人ずつ減っていく下りは、劇中劇と語りで簡単に
済ませられてしまい、その部分の活劇は見れなかったりして。
「冒険を、はしょるなって。」
なによりも、クライマックスにおきる「試練」が悲劇的すぎて、
全体が暗く重くなってしまった。
まさか、と思った。
もう少し加減してくれても良かったのに。
そうすれば、もう少し軽く楽しくなっていたと思う。
ちなみに、「一人はみんなのために、みんなは一人のために」は
語訳だという話があて、前半は正しいんですが、後半は違っていて
「一人はみんなのために、みんなは勝利のために」が正しい、らしいです。
→ http://www.future-planning.net/x/modules/news/article.php?storyid=4029
(「オール・フォー・ワン」の「ワン」とは「一人」でなく「勝利」を意味する“ Victory ”)
…でも、じゃあ、誤訳の方が、良かったですよね。
奥様お尻をどうぞ
キューブ
本多劇場(東京都)
2011/07/30 (土) ~ 2011/08/28 (日)公演終了
満足度★
ナンセンス!めちゃくちゃをやりたい…といいつつ、やってることは「モンティパイソン」の真似だった。
「犯さん哉」の続編?のナンセンスコメディ。
冒頭からの原発ネタとか、ドアのパントマイム?とか、結構好き。
皆さんベタ褒めで、大倉さん大好き、平岩紙さんかわいいけれど、
ケラさんは人気作家だから、
以下、言うのには勇気がいりますが…
ナンセンス、めちゃくちゃをやりたい…と言いつつ、
やってることは「モンティパイソン」の真似だった。
特に、王子様などの物語など、笑えるけれど同じテイスト。
「モンティパイソン」を、
そのまんま真似したアニメーションまであって、唖然…。
「モンティパイソン」が好きでリスペクトしているから、自分でやりたかっただけなのか。
かみさまの匂い
東京マハロ
駅前劇場(東京都)
2011/08/11 (木) ~ 2011/08/17 (水)公演終了
満足度★★★★
生きていく姿が観たかった。
東北大震災のボランティア活動に熱心なれど、
自分が継いだ家業古本屋の経営には身が入らず、
夢だった漫画家の道もさっぱりで妻の収入に頼る長男。
それを客観的な目で見る弟と妹。
タイトルからはもっとファンタジーな感じをイメージしてましたが、
観てみたら、ある家族の人間関係を描くリアルな話だった。
ただ、結局は人の死で盛り上げるような展開は、どうも納得いかない。
多くの場合現実では、死ぬわけにはいかないから、
情けなく、みっともなく、人から非難されながらも
どんな形で生き続けるしかないのかが本当の「ドラマ」であって、
死んでしまった悲劇は本当は「ドラマ」ではないと思う。
結局は誰かが死ぬことで成立させるような、非常に多くの
今のドラマ・映画・芝居を観て最近つくづくそう思う。
鎌塚氏、放り投げる
森崎事務所M&Oplays
本多劇場(東京都)
2011/05/12 (木) ~ 2011/05/22 (日)公演終了
満足度★★★
何を、放り投げる??
親から二代にわたる優秀な執事、鎌塚氏は、
仕える正統で高貴な貴族だが、お金のない主人のため、
金持ちの下品な貴族からなんとか金を引き出そうと奔走する。
ある意味特殊な環境で、縦横に活躍する、個性派の俳優さんたちを
見ているだけで楽しめてしまう。
話が、変な方向に暴走しだすけれど、それぞれのパーツが、
ラストには奇跡的に(半ば強引に)あてはまって、大爆笑、大団円
というシチュエーションコメディのお約束にはまってしまう
面白さもあります。
全体的に良い意味で毒がなく、ホンワカしているのは、
集められた俳優さんたちのキャラクターと演技の相乗効果が生み出した
これもまた、この芝居でしか味わえなかった、小ーさな奇跡といえます。
滑稽を好みて人を笑わすことを業とす
毛皮族
リトルモア地下(東京都)
2011/07/23 (土) ~ 2011/08/09 (火)公演終了
満足度★★★★
小劇場ナンセンス・エロ軽演劇!!
継続して上演している毛皮族の軽演劇シリーズ。
今回3演目ありましたが、残念ながら1演目しか観れませんでした。
上演時間は各1時間という軽く観れて、えらく笑えるばかばかしさ。
…がイイ!!
彼女の居る所、常に日が差し、明るくあたたかくなるという女。
今日も一言「おひゃさま」と叫ぶ。
彼女自身もそのことに気づき、次第にその使命は全世界を背負う
ことになり…。
ということを説明すること自体が、ばかばかしく・・・笑える。
滝沢家の内乱
加藤健一事務所
本多劇場(東京都)
2011/07/13 (水) ~ 2011/07/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
加藤忍さんが凄く良かった!
今回は、倹約家で日常人という意外な人柄の馬琴を演じた
カトケンはもちろんですが、
それよりもお嫁さんの加藤忍さんが凄く良かった!
嫁入り直後から、口述筆記を完成させるまで、
日を追いながら、シーンごとに少しずつ年月と、
しゅうととの人間関係を重ねていく自然な演技が素晴らしかった。
それにしてもカトケンの作品の選択眼はすごい!
銀河旋律
演劇集団キャラメルボックス
山野ホール(東京都)
2011/07/03 (日) ~ 2011/07/05 (火)公演終了
満足度★★★★
応援したくなる。
「夏の扉」公演中に起きた東北大震災の影響で、
その後の観劇動員数・チケット売り上げが激減、
劇団設立以来の存続の危機に直面しているというキャラメルボックス。
巻き返すには、とにかく芝居を打つしかない!というわけで
急遽公演が決まった演目の一つです。
内容は、劇団の昔を思わせるタイムトラベル・ラブストーリーの再演。
なぜか時代を感じさせる雰囲気と、初心に帰ったようなシンプルさ
(タイムパラドックス?は複雑ですが)、
1時間では物足らないけれども、良かったです。
劇団員総動員でのトリプルキャストということで、
最近はあまり出演されない俳優さんも出演するというのは、
とってもいいことと思います。
ただ、病気復帰後と聞きましたが、西川さんはまだ調子悪そうで、
口が回らず滑舌が悪いようでした。
あせらず、完全復活を祈ります。
レ・ミゼラブル
東宝
帝国劇場(東京都)
2011/04/12 (火) ~ 2011/06/12 (日)公演終了
満足度★★★★★
「列に入れよ!われらの味方に!われら夢見た明日が来ると!明日が!」
ついに観た!
ロンドンオリジナルバージョンではこれが最後という、レ・ミゼです!
(…ということは違うバージョンが観れる日が近いということか。
それも楽しみ。)
しかし、何度観ても感動に涙してしまう。
本当にバランスが良くて、よくできた作品なのでしょう。
ミュージカルは偉大です。
今回の公演では合計3回チケットゲット。
仕事の合間を縫って、まずは1回目が観れて幸せです。
キャストでは、前回はデカレンジャー・スーパー戦隊出身の
菊地美香さんの「幼く可愛らしい」コゼットが
個人的には最大のイベントでしたが
今回は欠席で残念。(代わりに神田 が出演)
今日は中山エミリ、確かに幼いかわいさとは言えるかも?
山口祐一郎バルジャンは、さすがの安定度。
(人によっては癖のある歌い方が気になるかも。)
三波豊和テナルディエは検討していますが、
ご自身の人の良さや優しさ、丸さが出てしまって、
役独特の「アク」が無くて、いまひとつ。