ヘッダ・ガブラー
シス・カンパニー
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2018/04/07 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/30 (月) 13:00
千秋楽に再度観た。初回観たときよりも、苦笑/爆笑が多い珍しいイプセンになっていた。それは主に登場人物のキャラクターを誇張する演出で出来上がっているように思うのだが、それでいて物語の骨格はしっかりとしていた。役者陣の豪華さも含めて、見事な舞台であるのだが、繰り返し観ると、メイド役の福井裕子が一種の「神」的なポジションにいることに気付く。高いフランス窓の美術も素敵。
じぶんさがし
RISU PRODUCE
赤坂RED/THEATER(東京都)
2018/04/25 (水) ~ 2018/04/30 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/27 (金) 19:00
相変わらずの「いい話」にまとめてあった。とある劇団がオーディションで出演者を募集するところから始まり、公演の初日を迎えるまでの展開を描く群像劇。「芝居についての芝居」や「芸術についての芝居」はしばしば自己肯定劇になりがちなのだが、本作もその傾向がやや見られる。しかし、それほど嫌な感じがしないのは、いつもは出演する作・演出の松本が、今回は出演せず演出に専念したことで、客観性が保てたのかと思う。ただ、最後の映像は賛否分かれるところではないか。それと、病人を登場させて、そのエピソードを拾わないのはやや勿体ない。場面転換が全て暗転というのも、やや工夫が欲しいところではある。
渦中の花
room42
王子小劇場(東京都)
2018/04/24 (火) ~ 2018/04/29 (日)公演終了
満足度★★★★
母が失踪し家族が壊れていく物語を、烏丸棗が描く。実話ベースだそうだが、その実話は知らない。介護すべき祖母を抱えて、母が失踪するという状況の中では、いかにも起こりそうな出来事が次々に展開され、家族それぞれの立場は理解でき、それぞれに共感できる場面が続く。その辺の書き方と、役者陣の演技の質は高いが、終わって救いがないのはツライ。
芝居とは関係ないが、このサイトでは「1時間30分」と書かれているが、実際には「1時間50分」というのは、予定を立てる上でややキツイ。Corichのシステムの限界か。
この暗闇を超えて、温泉へ行こう!
三栄町LIVE
フラワースタジオ(東京都)
2018/04/17 (火) ~ 2018/04/25 (水)公演終了
満足度★★★
黒田勇樹の描く脚本は、トリッキーなプロットのシチュエーション・コメディという印象がある。本作も、プロットは面白い。ドジな兄弟が銀行強盗に入るが失敗。逃げるために銀行の奥の応接室で、難病で体が動かず、聞く・話すしかできない女性に出会う。音だけで温泉に連れていこう、というのがタイトルの意味。オノマトペ演劇と名乗っている。興味深いプロットで、多少の無理矢理感は否めないものの、コメディだから良いかな、というギリギリのところでやっている。惜しむらくは、スピード感を出すためか、高速でセリフをいわせるのだけれど、舞台経験が少なく滑舌の怪しい役者が出ていること。若い舞台なので、しょうがないのだが…。
新宿コントレックスVol.19
Aga-risk Entertainment
新宿シアター・ミラクル(東京都)
2018/04/20 (金) ~ 2018/04/21 (土)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/20 (金) 19:30
5団体の短篇コントを上演する、アガリスクの定番公演だが、玉石混交とはこのことだと思った。エンニュイ,アガリスクは合格点(星3つ)、くによし組は上級(星4つ)だが、今回は、かつて、新宿眼科画廊で「受付芝居」という新ジャンルを開発した、なかないで、毒きのこちゃん、が白眉(星5つ)。なんと「スタッフ芝居」という新ジャンルを持ち出してきたのは凄い。これだけなら十分に星5つだが、劇想からまわりえっちゃん、の悪ふざけをお笑いと勘違いした作品がひどすぎた(星1つ)。
嗚呼いま、だから愛。
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/04/19 (木) ~ 2018/04/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/19 (木) 19:00
十分に共感できる芝居だった。2016年に初演した作品の再演だが、初演は見てない。売れない麻雀雑誌の4コマ漫画家の女性を川上友里が演じ、夫や姉との関係で、一種の被害妄想的な状況を語り出すのだが、それはそれで共感でき、一方で、夫や姉にも共感できる場面が多く、何とも言えない不思議な作品になっていた。エンディングは一種感動的だが、そんなに巧くいくかな、という気もさせられる。
革命日記【青年団・こまばアゴラ演劇学校“無隣館”】
こまばアゴラ演劇学校“無隣館”
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/04/14 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/17 (火) 19:30
時代に合わない芝居だった。2012年に初演だったというが、そのときには時代に合っていたのだろうか。世界同時革命を目指す過激派が、平凡な市民と偽って暮らす家に、テロの相談に集まるが、さまざまな人間関係や、隣人が邪魔になって話が全く進まない様子を描く。パンフレットでの平田オリザの発言を読むと、革命の話というより組織(の腐敗)の話を描いたという。そこは確かに描けているが、あまりにリアリティがないのは惜しい。唯一、坊薗初菜が各名論の演説をする部分は、古いタイプの活動家らしい印象が出ていた。
ネジ工場
タカハ劇団
駅前劇場(東京都)
2018/04/11 (水) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/13 (金) 19:30
2012年初演の再演で、初演も観ているはずだが記憶がない。だが、いい芝居だった。何かおかしなことになっている近未来の日本で、家業のネジ工場を続ける3兄弟。決して巧くいっていない中に、妹を名乗る女性が現われ……、という展開。チラシにある「そのネジが何に使われているか…」はあまり強調されていないが、ある家族の群像劇として観ると、登場人物の造型も巧く、役者陣も熱演である。惜しむらくは、時間軸で最後のシーンから始まるため、オープニングで3兄弟の結末が分かってしまうこと。それと、時間経過を表わすのに暗転を多用するのはタカハの欠点と言ってもよいように思う。でも、いい芝居だった。
Farewell(フェアウェル)
松本紀保プロデュース
サンモールスタジオ(東京都)
2018/04/06 (金) ~ 2018/04/15 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/09 (月) 19:30
淋しい人達の物語、とでも言えばよいだろうか。中学の同級生であるマスターがやってる喫茶店を手伝いつつ、その妻のやってるスナックも手伝う松本。喫茶店には常連のAV女優がいるのだが、そこに松本から一方的に別れた夫が訊ねてくるところで、物語が動く。出てくる人は、皆、何かの弱点を持ち淋しさを抱えているが、それを覆い隠すように互いに寄り添おうとするが、不器用な人達は巧く寄り添えないものの、何とかやっている、…というような展開。落語のマクラに使われる「何で一緒にいるの?」「だって寒いんだもん」を思い出した。にもかかわらず、何か不満を感じるのは、松本をフィーチャーしようとし過ぎてるからではないだろうか。
ヘッダ・ガブラー
シス・カンパニー
Bunkamuraシアターコクーン(東京都)
2018/04/07 (土) ~ 2018/04/30 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/08 (日) 14:00
イプセンの有名な作品だが、暗く悲しい物語になっていた。2009年、箱庭円舞曲の古川の演出、小沢真珠主演で赤坂RED/THEATERで観たことがあるが、我が儘な女性に翻弄される人々、という印象しか持てなかったことを思い出した。舞台の大きさも、出演者・演出も違うので、単純に比較することができないが、この古い時代の女性の生き方を考えさせる芝居として、寺島しのぶが演じてる印象を持った。水野美紀が弱気の女を演じるというのは、ちょっと外した感じを最初は持ったが、最後には芯の強さを出していたのは演出か、彼女の力か。
ストラタ
一十口企画
新宿眼科画廊(東京都)
2018/04/06 (金) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★
シュールなナンセンス作品だが、笑えない残念さが残る。交差点で子どもが交通事故で死ぬ。車を運転していた男の妻は同じ日に子どもを産む。真相を隠そうとする夫婦だが、近所に住む2歳の子どもが事故を目撃していた。そんな中、現場検証に連れて来られた夫婦だが、警察官がなぜかインコで、夫婦の母は奇妙な言葉を発する…、というわけで、この辺からシュールな展開になっていくのだが、何が何だか分からぬまま、夫婦と母親はお菓子になって関係者に食べられてしまう。何とも不思議な作品だった。
僕をみつけて/生きている
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/06 (金) 19:30
短篇集『生きている』を観た。何だかハッキリしない舞台だった。
1つ目の『俺とお前の生きる道』は、突然妻に無断で会社を辞めた夫と妻の会話。ありそうで、ちょっと面白い。2つ目の『進軍、ブラック社畜兵』はひたすらブラック企業をからかい倒す展開だが、気持の良い内容ではなかった。3つ目の『Gの家』は、NHK「おかあさんと一緒」放送終了後の登場人物(動物)達の物語だが、これが全く分からなかった。lattice氏の書き込みによれば、これは前作の続き、的作品らしく、だとすれば、そう書いておいて欲しかった。目当ての片桐はづき・國吉咲貴が出ていただけに、勿体ない芝居だと思った。
悪人
テレビマンユニオン
シアタートラム(東京都)
2018/03/29 (木) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/02 (月) 19:00
jokerman(331)
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/02 (月) 19:00
中村蒼と美波による2人芝居。新聞連載小説が原作で、映画化もされた作品の舞台化だが、緊張感ある90分だった。原作も映画も見ていないので、ストーリーも知らなかったが、生活に倦んでいるOLが出会い系で知り合った男が殺人を犯していて、その殺人犯と逃げるという、ある意味分かり易い展開を、OLの視点から語る。演技での表現力を要求される舞台だったけど、美波って、こんな巧い役者だったのか、と思わせる素敵な舞台だった。
僕をみつけて/生きている
かわいいコンビニ店員 飯田さん
OFF OFFシアター(東京都)
2018/04/04 (水) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/04/05 (木) 20:00
『僕を見つけて』を見た。tacticalな芝居だった。金持ちのフリーターの家で、人狼ゲームをするためにバイト仲間やその友人・恋人達が集まる。三々五々集まる中で、男女の様々な恋愛関係が徐々に明らかになり、いよいよゲームが始まるが…、という群像劇。恵まれた人とそうでない人、とか、様々な人間関係を描きつつ、興味深いエンディングへと続く。90分飽きず、シリアスもあり、笑いもあり、と、なかなか楽しめる舞台だった。
ピヨピヨレボリューション公演『Gliese』
オフィス上の空
ザ・ポケット(東京都)
2018/04/03 (火) ~ 2018/04/08 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/03 (火) 19:30
再演で、大森ノルンでの初演も見ている。若い女の子に人気の雑誌のモデルになりたい女の子と、トップモデルの女の子、編集長であるそのトップモデル母を取り巻く、様々な人の物語。ピヨレボらしく、歌とダンスを交えて分かりやすく展開し、エンターテインメントに徹した舞台は楽しいことは間違いないところではあるのだが…。初演では、Glieseという星の話題がもっと強く扱われていたような記憶があるのだが、今回はそれほどでもなかった。
日替わりゲストで臨時に再結成された「38mmなぐりーず」が登場したときには嬉しかった(^_^)vし、なぐりーずメンバーで出演してる真嶋一歌の芝居中の小芝居が楽しい。
春暁-しゅんぎょう-
野生児童
「劇」小劇場(東京都)
2018/03/29 (木) ~ 2018/04/02 (月)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/04/02 (月) 14:00
若い芝居だった。日本人の父が、中国滞在中に中国人の母と結婚し、姉妹弟の3人が生まれた5人家族の物語。日本に帰国して中国人の母が精神的に病んでしまう展開を、時間軸を動かしながら描く。最後は希望ある終わり方で、タイトルもそれを表していると思う。作・演出の有田の実体験と重なる部分が大きい作品らしく、その有田が主人公を演じるあたりで客観的に見えていない部分がややあるように思えて惜しい。中国人の母を韓国人の洪明花(みょんふぁ)が演じるというのは興味深い。
Ten Commandments
ミナモザ
こまばアゴラ劇場(東京都)
2018/03/21 (水) ~ 2018/03/31 (土)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/03/22 (木) 19:00
同じ瀬戸山の『ホットパーティクル』と対をなす作品と言ってもよい。明らかに原子炉内部を示唆する舞台に、白い衣装の役者陣が登場し、瀬戸山の分身とも言える占部が失語した女を演じる。夫・浅倉は作業員らしい。その他の登場人物も、誰とは分からなくても原爆や原子力に関わる人々らしいことが分かる。静かな芝居だが、エンディングは少し希望が見える。
たまには海が泳げ!
クロムモリブデン
王子小劇場(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/21 (水) 18:00
久々にダークなクロムモリブデンだった。子役アイドルがレイプされ、それを忘れさせようとする母・姉と、レイプした男の家族、マスコミ等が混じって、「クロムな」世界観を演じる。同じことを3回繰り返すと狂ってくるという独自さもクロムだし、久々に何と言っても出演の奥田ワレタの狂いっぷりが尋常でなく、エンディングに向かってスピードアップする勢いも面白かった。
『天国と地獄』
遠吠え
王子スタジオ1(東京都)
2018/03/20 (火) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/03/21 (水) 15:00
面白かった。とある高校の演劇部。女子ばかり3年生3人、2年生2人、1年生2人の7人の物語が、時間軸を細かく動かして、繰り返しや似た場面を繋げることで、同じことが過去から未来へ繰り返されていくことを示唆しているような舞台だった。特に知ってる女優は出ていなかったのだけれど、皆、しっかりと役割を演じて素敵な感触の舞台だった。
「LOVE」 Chapter3
シンクロ少女
OFF OFFシアター(東京都)
2018/03/19 (月) ~ 2018/03/21 (水)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/03/19 (月) 19:30
シンクロ少女の、この "Love" シリーズは、もう手放しで絶賛するしかない。既に Chapter 3 で、1話完結とは言っても、前2作を観ていた方が面白いのは間違いない。今回も、櫻井演じる武田と名嘉演じるユミの恋の行方が揺れ動くのは興味深く、おがわじゅんや演じるたんちゃんとたなか沙織演じるヨシノの馬鹿ップルぶりも健在である。新たな登場人物として、上海に行ってしまった大岡(トリプルキャスト・この日は横手が演じた)の恋人である陳さんとして宮本奈津美が登場し、更に複雑な様相を呈するが、ただもう苦笑するばかりで楽しく、元気になる芝居だった。