「いろいろなおんな。」Volume2
演劇ユニット「みそじん」
OFF OFFシアター(東京都)
2018/07/26 (木) ~ 2018/08/05 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/07/31 (火) 19:30
前作と同じく、短篇4話が最後でまとまる展開だが、今回はやや繋がりが弱いように思う。個々の短篇はそれなりに面白く、特に2話の玉手箱の話はなかなかである。ただ、3話が4話と同じ花火を見ている、というのが少し勿体ない。
死ンデ、イル。
モダンスイマーズ
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2018/07/20 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/28 (土) 15:00
3部作の第3弾だが、最も古い2014年の作品の再演で、初演は観てない。3部作どれも見事だが、本作は理由なく泣けてしまった。浪江町から原発事故で二本松の叔母の家に避難してきていた女子高生が1年を経つ頃、失踪し、ルポライターが真相を探りに来る。その中で徐々に明らかになる、登場人物達のエピソードの絡み合いが秀逸で、物語が巧みに進行する。そして、エンディング場面では、主人公の役者のエネルギーに泣かされてしまった。
青鬼の褌を洗う女
metro
代々木能舞台(東京都)
2018/07/27 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/28 (土) 12:35
天願大介と月船さららによるチャレンジングな芝居は見事だった。能舞台を利用して、坂口安吾のテキストをほぼそのまま使い舞台化する。客演に綾田俊樹・多田慶子を迎えているが、会話というより、ほぼ月船のモノローグで展開される舞台は、会場の独特さも相まって、興味深い作品だった。今回初めて気づいたのだが、月船の声は独特の世界観を提供し、その世界観に一気に引き込む魅力がある。綾田の達者なのは当然とも言えるが、久々に見た多田の健在ぶりに少し嬉しくなった。
消えていくなら朝
新国立劇場
そぴあしんぐう(福岡県)
2018/08/12 (日) ~ 2018/08/12 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/21 (土) 18:00
蓬莱を思わせる作家の家族の物語だが、とても面白かった。それなりに成功を収めたバツイチの劇作家・定男が、結婚を考えている若い女優と共に5年ぶりに帰省する。だが、18年ぶりに揃った家族は、楽しく語ろうという感じではなく、互いに誰かをなじるようなやり取りが繰り返される。定男は、自分の家族が特別なのだ、というのだが…。蓬莱にしては、かなりほろ苦い印象の作品だが、力関係が瞬時で変わるところが面白い。鈴木浩介が軸になる作品は珍しいが、存在感を示してた。
平成三十年のシェイクスピア
コンプソンズ
王子小劇場(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/22 (日)公演終了
顔!!!
艶∞ポリス
駅前劇場(東京都)
2018/07/18 (水) ~ 2018/07/25 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/18 (水) 19:30
女性でなければ書けない芝居だと思った。映画の楽屋を舞台に展開される、美人は得か、的な話題を題材にした芝居だが、それだけでない、多分「あるある」なエピソードが次々に起こる。オープニングとエンディングが重なる作りだが、そう予想させておいても飽きない95分だった。美女を演じた幸田尚子も勿論巧いが(というより、役者は皆巧いが)、杉岡あきこ演じる「美女でない演技派」は秀逸。
お蘭、登場
シス・カンパニー
シアタートラム(東京都)
2018/06/16 (土) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
青色文庫 ー其四、恋文小夜曲ー
青☆組
ゆうど(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/19 (木)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/15 (日) 19:30
動きのある朗読の「文庫」シリーズも4回目で、今回は「恋文」というテーマ性を持たせたのが面白い。人間や家族を扱う芝居を中心にする吉田小夏だから当たり前とも言えるのだが、これほど彼女の作劇の中に「恋文」が書かれていたとは思わなかった。それを巧く構成し、90分の中でまとめるのも手が込んでいる。会場の古民家とも感触が合って、心地好い時間が流れていった。
serialnumberのserialnumber
serial number(風琴工房改め)
The Fleming House(東京都)
2018/06/21 (木) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/15 (日) 14:00
『ROBOTA』を観た。ちょっといい気分になってしまった。災害救助用ロボットを開発する技術者兄弟の、兄が失踪して、それを探し出した弟がやってくる場面から始まり、何故兄が失踪したのかが明らかになる過程でさまざまなエピソードが分かる。そううまくいくか、という終わり方でもあるが、サイエンスとヒューマンを繋ぐ存在としてのロボットという位置付けは面白い。
『コントロール・アン・ア・アン・アン・コントロール』『ギャル』『猫の呪い』『朝子さんと夕子さん』
遠吠え
SCOOL(東京都)
2018/07/13 (金) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/14 (土) 20:00
最近気にしていた「遠吠え」が、4演目の冒頭だけをやるという興味深い企画だが、面白かった。『コントロール…』は物語の流れは何となく読めるのだが、役者が私のテイストとは少し違った印象だった。『ギャル』は最もリアリティがあって、役者陣も見事にフィット。ただ、どこに着地させるのかが分かりにくい(分、観たくなるのだが…)。『猫の呪い』は、中断の直前のシーンが全てを物語っていると思うので、それが正解か知りたくなった。『朝子と…』は、不思議な感触の作品で、どう展開しても落ち着かないような気がした。いずれにしても、面白い企画だが、私は『ギャル』に2票、『猫の呪い』に1票を投じた。
睾丸
ナイロン100℃
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2018/07/06 (金) ~ 2018/07/29 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/13 (金) 18:30
ケラの作品群の中では「物語」の不条理がないタイプの芝居だった。面白い!1993年とその25年前の1968年の2つに時間軸が交互に現われ、25年前の出来事がようやく回収されるという構造も、丁寧な脚本だった。ナイロン劇団員も巧いが、客演の坂井・根本・安井・赤堀もナイロンの芝居にしっかりと馴染んで、ケラらしい世界観を楽しめる3時間だった。長く感じないのはスゴイ。
満州戦線
流山児★事務所
ザ・スズナリ(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/13 (金) 14:00
日本人には書けない芝居だと思った。流山児事務所と韓国人作家パク・グニョンのタッグは、2年前の『代代孫孫』に続き2作目。昭和18年の満州を舞台に、「日本人」として認められたいと願う「朝鮮人」の物語を描いたものだが、それほどまでに願う彼らの環境や、キリスト教の布教を願う宗教的背景など、理解はしていてもストンと入って来にくい題材を、シライケイタが巧みに表現してた。座組の妙も楽しめた。
THE SHOW MUST GO ON !!
劇団天動虫
ワーサルシアター(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/12 (木) 19:30
若さとベテランの味が、ほどよくミックスされたエンターテインメントで面白かった。京都での三代目阿国の話題を軸に、もしかしたら歌舞伎はこういう風に江戸に移ったのかもしれないな、という壮大なフィクションを、一気に駆け抜ける、爽快な舞台だった。若さを中心にしながらも、少年王者館の井村昴や浅倉洋介といったベテランがしっかりと押さえる所は押さえる。最も印象的だったのは、女形(オカマ)の役者を演じた岩井梨沙子で、若いのにしっかりとした重みあるセリフ回しだったので感心した。
欲を言えば、やや冗長か。『飛び火』のときにも同じことを思ったし書いてる。余計なセリフや演技を絞って100分くらいにはできるのではないか。
月の海 2018
日穏-bion-
「劇」小劇場(東京都)
2018/07/11 (水) ~ 2018/07/17 (火)公演終了
満足度★★★★★
鑑賞日2018/07/11 (水) 19:00
2016年初演の作品の再演で、初演も観ている。初演を観たときも凄い芝居に出会ったと思ったが、今回も期待に違わぬ、素晴らしい出来である。初演とほとんど変えていないとのこと。認知症の母の介護のため、仕事を辞めて田舎に戻った静(岩瀬)を軸に、行方不明から戻った弟(?)や、幼馴染みのケア・マネージャー、近所の八百屋夫婦など、心温まる物語ながら、秘密が徐々に明かされるプロセスをドキドキしつつ楽しむ…、という展開。細かなエピソードの回収や丁寧な仕掛けは見事である。風鈴の音という効果音まで計算されている。
ちょっと気になったセリフがあったのだが、終演後、主宰・作・主演の岩瀬氏に直接伺って納得。そこまでも考えていたのか、と感心させられた。
トイレの花子さんの帰宅
やまだのむら
イズモギャラリー(東京都)
2018/07/07 (土) ~ 2018/07/11 (水)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/09 (月) 18:30
國吉咲貴の作・演出だというので楽しみに観に行った。面白かった!小劇場の役者である「ぼく」(野村)のトイレに幽霊の花子さん(山田)が現れ、住んでいると言う。また、「ぼく」のストーカーであるマルヤマさん(三澤)は、勝手に合鍵を作って入り込んだりして、「ぼく」のプライベートな空間が無くなっていく…、という展開だが、國吉にしては珍しく物語に不条理がない。幽霊の存在は一応不条理だし、マルヤマさんの行動は過剰ではあるけれど、スジは通っているので、普通の物語として観られ、それはそれで巧みに作りこまれている。終わり方は少し切なく、そこもまた私の好みにフィットしてる。
馘切姫-クビキリヒメ-
ヅカ★ガール
王子小劇場(東京都)
2018/07/06 (金) ~ 2018/07/10 (火)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/07/08 (日) 17:00
壮大な物語だが、時代背景や場所も分からず、このような芝居をやろうとする意図が分からない。それなりに盛り上がりもあり、つまらなくはないが、面白いとも言えない。同様な芝居をやる劇団として、つい、昔の re:mix を思い出してしまったが、常にその世界観でやってるわけではないようである。また、似たような殺陣を活かした舞台をやる劇団としてX-QUESTを思い出したが、殺陣のレベルは全然違う。
熊ん子リバーバンク
桃尻犬
OFF OFFシアター(東京都)
2018/07/06 (金) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★
鑑賞日2018/07/07 (土) 19:30
桃尻犬フィーチャーリング徳橋みのり、という印象の公演。何となく不満が残る。結婚した旦那が通販でバイブを買ったのを発見し呆然とする妻(徳橋)、という状況から始まり、同居する妻の友人とか、元カレとかが混じって、次々と人が死ぬ展開になる。死んだ人が見えるとか、見えないとか、いろいろやってる内に、ロードムービー風の展開になり…、というわけで、終わり方にも何かモヤモヤ感が残ってしまう。
悪役たちの反省会
tea for two
小劇場B1(東京都)
2018/07/04 (水) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/06 (金) 19:30
気になったので2度目の観劇。要は、8人(組)の悪人が反省らしきことを述べようとするのだが司会に突っ込まれる、というパターンを8回やるわけで、2・3人の会話劇を中心とする同劇団らしくはないのだが、最後の仕掛けが効いてる。8人は、自分の番でなければ、相当フリーに演技してよいらしく、初日とは違った動きもあったりした。一方で、8人全員を相手にする司会役の西尾早智子の負担は大きいと思う。
serialnumberのserialnumber
serial number(風琴工房改め)
The Fleming House(東京都)
2018/06/21 (木) ~ 2018/07/16 (月)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/05 (木) 20:00
『nursery』を観た。詩森ろば自身が出演する短い前日譚に続いて本編。精神病院での患者と医師の会話劇だが、患者が2重人格というのはよくある話で、その「よくある話」に落とし込まない微妙な感触に巧さがあると思った。2重人格者を演じる田島も、一瞬で変化する違いの表現などが巧いし、相手役の坂巻もベテランらしい緻密な演技を見せてくれる。ただ、こういった話題は、どうしても日常と離れてしまうなぁ、という気持は残った。
悪役たちの反省会
tea for two
小劇場B1(東京都)
2018/07/04 (水) ~ 2018/07/08 (日)公演終了
満足度★★★★
鑑賞日2018/07/04 (水) 19:30
同劇団ほぼ2年半ぶりの新作長編は、同劇団の別シリーズ「tea for ONE」的性格が強いように感じたが、最後に仕掛けが待ってた(^_^;)。アル・カポネやヒットラーなどの大掛かりな悪人が出るかと思えば、阿部定や切り裂きジャック等の犯罪者から、果ては船場吉兆食品偽装の社長と「ささやき女将」まで、さまざまな悪人に反省させるシンポジウム。司会の安藤陽子(西尾早智子)は容赦ない言葉を浴びせるのだが…、という展開から、思わぬエンディングに向かう。仕掛け好きの大根らしい劇作と言えるが、役者の力量というか、なりきり感がポイントで、なかなかの健闘である。阿部定を演じた高橋恭子は10年ぶりの出演だが短編映画「狂熱」で見せた艶っぽい所を出しているし、ヒットラー役の池田ヒロユキの熱演ぶりは見応えあり。