彼女は二度ベルを鳴らす
空想実現集団TOY'sBOX
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2018/03/28 (水) ~ 2018/04/01 (日)公演終了
満足度★★★★
受付・客入れから始まり、終演後の撮影会や、新参者の私にも優しく温かいハイタッチ会、お土産には全役者さんサイン入りキャスト表の手作り感!
小劇場で出来る“おもてなし”として何が喜ばれるか、幾つも考え出してそれを実践する労を惜しまない体制には、そりゃー人気も上がるでしょうし、もう是非とも上がって欲しいと思うのは至極当然。
中々筆の進まない気弱な小説家と、飛び出した濃ゆいヒーロー感ある小説主人公。
更に、ひょんな形で現れた薄幸ヒロインも加わったキャラ設定バッチリの三つ巴で小説世界は進行。
現実世界と小説世界入り乱れる中、何役もこなしていく役者さん達の演技バランスも非常によく、それ故ストーリー的には楽しみながらも、もっと欲張ってもOKだったのではないかという思いが。
例えば小説家と主人公の意見が対立してバチバチする等、小説主人公にはもっと大暴れしてもらってハチャメチャになれば更によかったなーと考えてみたり。
これは想像ですが、旗揚げ作品がベースという事で、(かなり書き直しもされたでしょうがそれ以上に)当時から比べて演出・役者力が随分とUPした為、余力みたいなものが垣間見えた様に思ったのですがどうでしょう。
「若きキャラメルボックス」という印象が強く残った反面、当然TOYsBOXさんらしさを追求されている部分も見受けられ、特に「笑い」にはこだわろうという姿勢は感じられました。
クセ者な役どころで役者さんでもイケそうな作・演出家さんには、それでもまだ使っていない引き出しがある気がしてなりません。
そのアクの様な強味をいかんなく発揮させ、最強のTOYsBOXへと昇っていかれますよう期待いたします。
ハムレットマシーン
OM-2
日暮里サニーホール(東京都)
2018/03/22 (木) ~ 2018/03/24 (土)公演終了
満足度★★★★
「戸惑う」という感覚を大いに刺激されました。
舞台をグルッと1周取り囲む客席。
その一つに着席して観劇しているうち、自分が歪んだ時間を刻む時計盤上で、目盛のひとつに配されている様な感覚に。
具体的な確信に手が届かないもどかしさはありましたが、精神世界として捉えるにはあまりにも激しく且つ生々しい光景。
彼はかつて「ハムレット」だった男なのか、それとも「ハムレット」に憑りつかれた男なのか、とにかく神経をフル稼働しているうち、重圧・逃避・倒錯・・・混沌さがみるみる加速。
「目の前はこんな状況、それなのに空気が無臭で普通に美味しいのが不思議」何故かそんな事を思ったり・・・
「ハムレット」といえば藤原竜也がまず頭に浮ぶ私にとって本作を観終わった後、「なれの果て」という言葉がポッカリ浮かんでいました。
Yellow Fever
劇団俳小
d-倉庫(東京都)
2018/03/21 (水) ~ 2018/03/25 (日)公演終了
満足度★★★★
ジャズピアノの調べがさり気なく効果音となり、まるでオールドムービーを観ているかの様。
もはや現代においては絶滅してしまったのではないかと思える程 武骨で硬派な私立探偵。
その彼にしっかり食いついてくる女性記者は、まさにオヤジキラー。
じっくり煮込まれた台詞回しと所作のカッコよさ、東洋系移民が中心の物語という事もあり、翻訳モノながらしっくりきて、ハードボイルドの世界観もハマっていました。
カナダ西海岸において日系人達の寄り添う街が「スラム街」として扱われていた時代があったのは非常に哀しい歴史ですが、それはもう昔の事・・・いや、ごく最近聞いた政治発言と同じニュアンスが作中でも語られていたので気味悪い感じがします。
「う~んマンダム。」を真似されていた年代の方には直球なのではと思われる公演。
隣の芝生も。
MONO
座・高円寺1(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/21 (水)公演終了
満足度★★★★★
それぞれ問題を抱えた2つの会社がお互いの腹を探り合う、ごく日常的なストーリーかと思っていましたが、個人的にはどこか『セーラー服と機関銃』を彷彿させる意外な展開の面白さでした。
勿論ストーリーは完全オリジナルですし「快感ッ」なバイオレンスシーンもありませんが、ユーモラスな空気の中に不穏な匂いが混ざり込んだ独特の味わいは、どことなく共通しているのではないかと。
直接的な描写はなくとも水面下で確実に存在する影、おのずと舞台上にないシーンまでも頭の中で広がっていくところにテクニックを感じます。
前作での「俳優育成講座」出身メンバーが本体作品の中で馴染んでいるどころか、大活躍されていて凄く頼もしい。
既にその時で会話の面白さが際立つ劇団さんである事は重々承知していたのですが、今回更に感じたのは会話を面白おかしく楽しんでいるうちに、登場人物のキャラクターはもちろん、お互いの関係性や心の微妙な変化等がごく自然にスルッと入ってくる絶妙さでした。
隣り合わせの2つの会社は、同じ舞台で左右に分かれたセットではなく、回転舞台による完全入れ替え制。
なので下手・上手の見えづらさとは無縁であり、ほんの数秒で雰囲気がガラッと変わります。
プープーソング
劇団きらら
北とぴあ カナリアホール(東京都)
2018/03/16 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇職人な風格の舞台。サクサク進行する安定感。
レンタル彼氏(広くは人間関係代行業)を依頼するに至った女性の生き様は、ズバリだめだめではありましたが、人としては味わい深く、何とか幸せになって欲しいと思ってしまうタイプ。
彼女が思い悩む類の不義理は、大なり小なり身に覚えがある気がして自分の胸に手を当ててみたくなります。
(う~ん、あるかも。っていうか誰にでもあるでしょ、きっと)
何だか無意味にも思えるお金がどんどん消費されていく様は、オイオイッとツッコミたくなりますが、とりあえず情に流されやすい代行さんでよかったなーと。
若い代行さんの他に登場する、もう少し年配の代行さんがメチャクチャいい味。
人間、手垢がつけばそのぶん良い出汁がでるなー。としみじみしました。
猫と針
劇団Kalium
新井薬師 SPECIAL COLORS(東京都)
2018/03/15 (木) ~ 2018/03/17 (土)公演終了
満足度★★★★
撮影スタジオに集まった5人の同窓生。
高校時代に起きた大事件や、直近の殺人事件等、きな臭い話題に縁のある面々。
事件の真相解明が軸になっている様にも見えますが、実際の見どころはその話題についてやり取りする彼等から滲み出る人間性にあった様に思います。
公演時間が比較的短いにも関わらず、全くそう感じさせない密度の濃さ。
とにかくしゃべる。5人揃ってもしゃべるし、誰かが抜けてもしゃべる。
その場に居ない人の噂をする事で露わになってしまうのは、噂されている人物より、むしろ噂している当人の人間性ではないかと思えて、どこか怖いものが残りました。
そして5人が集められた本当の目的も怖い。
気になるところは、役者さん達は登場人物の役柄ほどにスレてはいないと思われ、こんな台詞を言ってはいるけれど本当は良い性格なんだろうなーと、どこか想像できてしまうところでしょうか。
いい子達ばかりだと思っていたらラストでドスンと落とすタイプの内容の方がしっくりきたかもしれません。
どちらにしても劇団として伸びていく貴重なワンステップの意義は感じ取られ、実際、演出・役者さん達の持ち味の良さは本流以外の所からもポロポロこぼれ出しており、今後のまた違った角度からの作品も観てみたいと思いました。
渇愛
名取事務所
小劇場B1(東京都)
2018/03/09 (金) ~ 2018/03/18 (日)公演終了
満足度★★★★
韓国の国民性というか気質というか、そういった空気感が色濃く出ていた舞台。
どうも自己主張の強い登場人物が多いと思えてならない韓国ドラマは、個人的には苦手なタイプで、早々に投げ出してしまう事がほとんどですが、本作に関してはしっかり見届ける事ができました。というか観る事から逃げられない感覚。
ムーダン(巫堂)にまつわる禍々しさが蔓延する中、決定的な深刻さを持ち迫ってくるのは夫婦の巡り合わせの悪さ。
不幸の連鎖はあまりに衝撃的で、次々と重くのしかかってきますが、それはそっくりそのまま“見応え”として昇華。
随所に入る記憶のフラッシュバックは映像的でありながら、血と汗の匂いが漂ってきそうな生々しさで、終始 照明と音響と演技が絶妙に絡み合い、役者さんの背後に伸びた影にまで迫力を感じます。
観終わった後は、何だかもう喉がカラカラになっていました。
Hysteric FIVE
放課後ランナー
ウッディシアター中目黒(東京都)
2018/03/07 (水) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
連続猟奇殺人事件を軸に、正にぶっ飛んだミステリアスコメディー・・・でありながらの変態超大作。
サスペンスタッチのスタートと認識するやいなや繰り広げられる展開は、まるで目の前にぶら下がった多彩なご馳走をひょいパクひょいパクと食べ突き進んでいく様な楽しさ。
夢中で食べ進んでいるうち、今一体どこに向かっているのか時折分からなくなっても、次々ご馳走が出てくるものだから、ひょいパクひょいパク。
気が付けばアラ不思議、見事ゴールに辿り着いていました。
映画に『変態仮面』という作品がありますが、やはり生舞台の持つインパクトとパワーは絶大。しかも沢山いるし(笑)
女性陣もクールセクシー系や羞恥コスチューム等で対抗。
登場人物全員が方向性こそ違えど見事なキャラクターばかりで見どころには事欠かないのと、とにかく華のある役者さんばかりだったなーと。
格闘アクションシーンに見とれたり、あまりの荒唐無稽さに笑ったかと思うと、いきなりのシリアスシーンにドキッとしたり、何かと感情目まぐるしく引き込まれましたが、いつの間にか変態コスチュームがシュールでお洒落に見えてくるから不思議。
本来のキャラとはギャップありまくりの吹っ切れた変態パワーには、もうぐうの音も出ません、お見事です。
PIGHEAD 蠅の王
ワンツーワークス
赤坂RED/THEATER(東京都)
2018/03/01 (木) ~ 2018/03/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
ワンツーワークスさんがオフィスものを演じれば、そりゃ絶対面白いと思っていましたが、案の定めちゃくちゃ面白かったです。
とある会社での、いち部署内における人間模様を俯瞰で観察できる本作。
ギスギスしてしまうのにはそれ相応の原因があるのですが、会社というひとつの国家の中ではどうしようもないという現実。
社員一人一人の微妙な立場や、個性ある人格がどんどん擦り切れ変貌していく様が、それこそ手に取るように伝わってくる凄み。
同じプロジェクトでありながら執拗に衝突を繰り返す関係性に「やっぱりそうなるよねー」と気の毒になってくる思いと、「なんて巧い心理描写なんだ!」と作品としてのクオリティーの高さにひたすら感心してしまう思いの、意味としてはダブルのため息が出てきます。
オフィスワーカーは特に必見の、丸の内サスペンスホラーな作品でした。
遭難、
成城大学 演劇部
成城大学 2号館地下 002教室(東京都)
2018/03/01 (木) ~ 2018/03/04 (日)公演終了
満足度★★★★★
観劇中、私の中で何度も「性根」という言葉が頭をよぎりました。
生徒の自殺未遂問題によって別棟の職員室に追いやられた4人の教師。
連日、きっつい生徒の母親が責任を追及しにやって来るのがその理由で、まさに針の筵の職員室。
往々にしてトラブルが起こった時、その人の性格が露わになってしまうものですが、その赤裸々な人物像をリーダー格教師を筆頭に、どの役者さんも見事に身にまとっているので、すこぶる面白い。
もう少し高齢で、それこそプロの役者さんが演じた方が完成度は高いのかもしれませんが、彼女達が創り上げ醸し出す空気感は唯一無二。
この公演で本作『遭難、』に初めて出逢えた事は、とても幸運だったと思います。
前提として戯曲の良さも当然ありますが、その肝(きも)を充分汲み取った人間模様に、幕が上がったその瞬間から速攻引きずり込まれてしまう力強い公演でした。
舞台「エグ女」
TBSラジオ
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2018/02/27 (火) ~ 2018/03/04 (日)公演終了
満足度★★★★
性悪な女、依存する女、男癖の悪い女等々14パートにわたって、たちの悪い女性のオンパレード。
着眼点が面白く、日常レベルの毒とユーモアで、どのパート楽しめますが何しろ1パートあたり10分未満。
テーマを深く掘り下げた作風が好みの方には不向きかもしれない反面、オードブルをちょっとずつ食す様に、色んな味を楽しみたい派にはうってつけな構成。
美人女優さんばかりで占められているのも本公演のウリだと思え、三戸なつめさんのお人形みたいな愛らしさと個性には、そりゃもうビックリ。
(ただし絶対関わりたくないエグ女役)
そして「だめんず・うぉ~か~」の作者でもある倉田真由美さん。
オープニングパフォーマンスでのキメ顔には笑ってしまいましたが、10パート目『輝美』の吹っ切れた演技で堂々たる存在感。
千葉のジョニー
タンバリンステージ
Geki地下Liberty(東京都)
2018/02/28 (水) ~ 2018/03/04 (日)公演終了
満足度★★★★
千葉のご当地感満載の舞台が下北沢で。
だめんずキラーの結婚詐欺師も東京じゃなく千葉っぽい(?)
騙す者、騙される者、追求する者達に対して「よしそこでもうひと押しだ!」「駄目だ!騙されるな」「その追跡ばれるだろっ!」と何故かそれぞれに肩入れしたくなるオール愛されキャラで盛り上がりっぱなし、上手い。
終演後、演出家さんによるダメ出しがセットになっており何気なく笑っていた所にもチェックが入って中々手厳しい。
(ガチ指導7割、パフォーマンス3割な印象)
演劇部のキャリー
クリオネ
OFF OFFシアター(東京都)
2018/02/22 (木) ~ 2018/02/28 (水)公演終了
満足度★★★★★
役者バカなお二人だからこそ、そしてこのキャスティングだからこそ実現したといえる濃厚で純真でウェルメイドな二人芝居。
野口かおるさんの、こんなに色んな側面が引き出された作品を拝見したのは初めてです。
オクイシュージさんは、規格外な野口さんがたとえ突然襲いかかってきたとしてもパッと身体をつまんでクンクン匂いを嗅ぎ、そっと元の位置に戻しそうな貫禄があり、それこそ引き出しが無数にありそうな大人な役者さんだと思えました。(野口さんを一体何だと思っているのだ、失礼な!)
最初はキャピった女子高生の中から「野口かおる」が見え隠れする流れに笑い転げたり、その空気に自在に溶け込みながらも攻めも忘れないオクイさんの巧さに感心したりと、お二人の関係性の妙を楽しんでいましたが、ある場面から一転、ガッツリとストーリーの中へと引き込まれてしまい、もはや笑う事も忘れ、ただただ見入ってしまいました。
かなり無法地帯な舞台ではないかと想像していたのですが、それを沢山匂わせながらも絶妙な計算ずく!
元々お二人の為に書き下ろされた作品ではない事にビックリです。
あと強く印象的だった事・・・客席との一体感がたまらなく心地良い舞台でした。
ゴスン
演劇組織KIMYO
王子スタジオ1(東京都)
2018/02/22 (木) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
まずオープニングのインパクトが凄かった(感動半分、ビビり半分)
ちゃんとしたセットを組んだ舞台が好みの方もおられるでしょうが、それと引き換えに提供されるのは密室スペースでの客席ギリギリMAXアクション。
その肉体エネルギー占領率に頭がボ~ッとしてくる事しばしば。
何度も痛い目にあいながらも脱獄を繰り返す主人公の疾走感や哀愁は、そう確かに沁みてきたというのに、記憶の先頭に鎮座するのはゲストコーナーでの乳首相撲(次回公演の主役争奪戦)
そりゃもう、どえりゃ~受けておりました。
何とかして記憶の優先順位を並び替えられないものだろうか。
液化アンソロジー
劇団背傳館×怪奇月蝕キヲテラエ×フィグス
十色庵(東京都)
2018/02/24 (土) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
タイトルのイメージから、何やら学術的要素が入った難モノだったらどうしよう。という心配をよそに
step1.「何だ、この人達?」の興味心からグイッと作中に引きずり込まれーの
step2.その世界観を舐めまわす様に堪能した後
step3.とどめを刺すエンディングに唖然とする
そんな短編の醍醐味を完備した作品陣。(計4パート)
脚本・演出担当者が3名、パートによって脚本と演出の組み合わせがシャッフルされた構成。
私は、劇団 背傳館 高尾氏の作演出が目当てだったのですが、もはや誰の作風がどうのこうのはドロドロに溶け合い、もう役者さんの醸し出すキャラクターの妙も相まって、あちゃこちゃで化学反応が起こっていたのではないかと思わせる、妖しい実験室の様な公演でした。
これがタイトルにある「液化」の意味するところなのであれば・・・液化成功だと思います。
ピクチャー・オブ・レジスタンス
INUTOKUSHI
恵比寿・エコー劇場(東京都)
2018/02/21 (水) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★
めんどくさい事は全てアンドロイド任せの近未来にバブル景気再来。
アンドロイドが何でもやってくれるから人間に残されたのはお金を消費する事。
イケイケどんどんの世の中はハーレムみたいではあるけれど・・・
特に流行の波と調子にのりまくった奥田努氏が見事にエグい愚民を表現しており際立っていました。
偶然にも前日に観た「RUR」と共通するところの多いテーマでしたが、その切り口は犬と串流。
パープルポップで賑やかしい中にも問題提起がしっかり組み込まれ、ストーリー性の強い作品でした。
『RUR』
「戯れの会」
学習院大学西1号館特設劇場(東京都)
2018/02/22 (木) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★
「ロボット」という言葉を誕生させた約100年前の作品なのに「これって正に現在がこの作品に近づいている?」と思わせる洞察力の鋭いストーリーには驚くばかり。
じゃあ現実にも・・・ジワジワと恐怖感を覚えました。
モノトーンにワンポイントの赤でドレスアップの登壇者。
上質な大人向けのSF作品が情感たっぷりに語られる2時間超えの公演。
集中力を要しますがズッシリきました。
疫病神
ピヨピヨレボリューション
北とぴあ つつじホール(東京都)
2018/02/21 (水) ~ 2018/02/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
毒々しくも甘美に心を蝕んでいく本作の疫病神は多くの女性にとって、どうにもあらがえない媚薬みたいなモノではないでしょうか。
ストーリーとがっちりタッグを組んだミュージック&ダンスシーンは、演技という手段だけでは伝えきれない主人公の精神世界を見事に表現しており、その思いがこぼれ出すが如く客席にまでなだれ込んで来るのは、なかなかの迫力でした。
両サイドに表示される歌詞も見てみたいけど舞台から目が離せない。
忘れられない友達
Tropica
ザムザ阿佐谷(東京都)
2018/02/17 (土) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
5人の役者さんの実体験・・・それぞれの記憶の中から、息を吹き返した過去の友達とそのエピソード。
ゲイであることをカミングアウトされた役者さん達中心のユニットとはいえ、そこに直接言及するのは5パート中「毎日楽しくしてくれた友達」と「性の気づきをくれた友達」の2パート。
そんな2パートも思わず応援したくなったり、思春期特有の芽吹きと苦みを感じさせる極上の作品。
時にはコミカルに、時にはアーティスティックに・・・全編を通して、彼らの何気ない日常の中から、とりとめのない心情ニュアンスまでも、きめ細やかに伝わってくる表現力には驚きの連続でした。
おそらく誰にでも、ひとつは身に覚えがありそうな記憶の断片。
私は2パート目「いつも応援してくれた友達」で、ずっとしまい込んでいた記憶が蘇り、心のひだに触れてくる痺れるような感覚と共に見入ってしまいました。
この公演を通して 何かと理解されにくい事情があったとしても、自身を表現する力量をもってすれば、素晴らしいコミュニケーションが生まれ、広がっていく可能性を強く感じさせられ、その力強さと繊細さに感動しました。
沈黙の音
演劇企画アクタージュ
参宮橋TRANCE MISSION(東京都)
2018/02/15 (木) ~ 2018/02/18 (日)公演終了
満足度★★★★
地下に閉じ込められた5人の男女。
必然的に繰り広げられるお互いの探り合い推測合戦。
フムフムこれで状況は読めた。
誰が仕組んだ罠で、誰が悪なのか。
一番犯人っぽくない人が犯人の定説を当てはめ推理してやろうじゃないか。と思うものの状況が二転三転するものだから「この人、犯人?」「ドキッ、やっぱりこやつか!当てた?」「えっ、そっち?」と随分振り回していただきました。
もはや推理するのも忘れ、勢いが増していくストーリーの波に乗ったまま「なるほど、そーゆー事かーっ」に辿り着いた頃には見事に謎が回収されてスッキリ!
散々に5人の噴き出していた感情が余韻として残りました。
この感覚は舞台だからこそ、映画では決して味わえない。