英雄伝説 馬賊・矢吹丈
月蝕歌劇団
芝居砦・満天星(東京都)
2014/12/05 (金) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
満足した
月蝕歌劇団の公演は何度か観ているが、今回会場の「芝居砦・満天星」には行ったことがなかった。某マンションの地下2階にあるのだが、事前に場所を確認していたにも関わらず少し迷ってしまった。
その会場に降る階段には、あの独特な絵柄のポスターが飾ってあり、場内には過去の月蝕歌劇公演のポスターが…耽美、退廃的な雰囲気が漂う感じは不思議と高揚感が増す。
とびきり濃密な芝居でもなければ、深い感動がある、というものでもないが、不思議と見入らせる魅力がある。気がついたら、公演が終りキャストとの談笑も含め2時間以上、会場に居た。
公演は、ちばてつや作画「あしたのジョー」こと「矢吹丈」がリングでは死なず、満州に行き馬賊になった… という噂だが、その真偽はいかに。
さて、件の矢吹丈だが、片目を失い眼帯をしている。なぜか丹下段平のイメージを持ってくるところが可笑しかった。
これは、高取英 氏が学生時代に書いた戯曲第2作だという。
堪能させていただきました。
喜劇王暗殺
トツゲキ倶楽部
d-倉庫(東京都)
2014/12/03 (水) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
トツゲキ倶楽部の真骨頂…
劇団らしい…つまり「ありえないけどありえるかもしれない状況」と「ゆるくもしっかり生きている言葉と演技」で独特な人間模様のおかしさをエンタメ化してみせる演劇ユニット、と言うコンセプト通りの公演であった。喜劇王暗殺と言う史実をベースに創作したフィクション。しかし、描かれた時代背景は、軍靴の響きが段々大きくなってきた時期のこと。作・飛葉喜文氏もそのことは意識しており、「偶然にも当時の世相は、今現代の日本にも通ずる。不景気と戦争の匂い」と当日配布パンフレットに記載している。
芝居的には、ツッコミ所がいくつかあるが、公演を貫く主張の前にそんなことは野暮に思える。
あ、流れ星!
演劇集団ホシノハコ
上野ストアハウス(東京都)
2014/12/03 (水) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
オーソドックスな芝居
劇団および団員の等身大の物語…とても分かりやすいハートフルコメディといったところか。しかし、表層すぎる点、キャストの力量に差があるためぎこちない場面があったのが少し残念であった。
(雨海チーム)
僕と真夜中の僕
座キューピーマジック
駅前劇場(東京都)
2014/12/03 (水) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★★
面白い!
座キューピーマジックの公演は、毎年末観させてもらっているが、毎回感動している。本作もその期待を裏切らなかった。
今年観劇した公演の中でも優れもの。脚本、演出、演技、舞台美術という芝居の主要要素すべてにおいて満足した。
どこにでもいそうな男性の将来に対する不安・悩みが、表面的には面白可笑しく描かれているが、その深奥は…。
「1960年代のアメリカヒューマンコメディ映画の世界」という謳い文句のとおり、舞台美術も往年のスター、監督の写真が飾られた雰囲気ある室内を作り上げていた。
WATAC I
Hula-Hooper
TODAYS GALLERY STUDIO(東京都)
2014/12/04 (木) ~ 2014/12/08 (月)公演終了
満足度★★★
クスッとした笑い
脚本に当たるのが、女子高生の交換日記。その表現方法がコンテンポラリーダンスである。会場はビル5階にあるギャラリースタジオ…そのスペースを所狭しと利用していた。
2011.12.7追記
キャストは全員女性で女子高生の姿が生き活きとダンス芝居の中で表現されていた。コンテンポラリーというと、インドの現代演舞をイメージしていたが、身体表現はその印象に近かった。
少し気になるところが…
遺失物安置室の男/改
劇団夢現舎
新高円寺アトラクターズ・スタヂオ(東京都)
2014/11/22 (土) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★
難解かも…
物事の常識・非常識などは、その境界が曖昧であろう。そういう、いつの間にか思い込み、または刷り込みに対する警鐘のようであった。
一方、自分は何者か…という自問自答に時間を費やしたくない。目に見える物体は、その外形で何かを判断している(それの善し悪しは別)。人間に関しては、名前をはじめ何らかの証明書がある。その証明は、人間性になんら関係ないだろう。しかし、人物を特定するには案外役立つ。
さて、本公演は禅問答や比喩的な場面が内容を難しくしたようだ。芝居にある意義的なものが垣間見えるのが好きな観客には面白いだろう。しかし、観たままを受容し楽しむ観客には、少し抽象的に観えた。自分は、どちらかと言えば、後者のタイプ。
舞台美術は雰囲気があり、演出には工夫があって楽しめた。
主人公の「遺失物安置室の男」の特長(パンフレットの裏面に素っ気なく書かれている)を考慮して観ると面白いと思う。
名醫先生
パンドラの匣
劇場HOPE(東京都)
2014/12/02 (火) ~ 2014/12/07 (日)公演終了
満足度★★★★
ブラックユーモア
チェーホフの作品をモチーフにしたニール・サイモンの短編集…習慣や文化が異なる日本人が演じたオムニバス9編は、珠玉であった(2時間20分_1幕目5作品60分、2幕目4作品80分、途中休憩10分)。
確かにオムニバスだが、劇中登場の小説家の脳内における連作構想という感じに思えた。
新選組ミュージカル~陽光~
剣舞
南大塚ホール(東京都)
2014/11/28 (金) ~ 2014/12/01 (月)公演終了
満足度★★★★
華麗な剣舞
企画・制作は、剣舞プロジェクト…と言うだけあって“剣舞”は華麗であった。新撰組でよく描かれるエピソードを場面毎に繋ぎ、題材を魅力的に仕上げていた。もとより本格的(時代考証を行う)な時代劇を目指すのではなく、魅せるエンターテイメント公演。そのこだわりは、殺陣とダンス(剣舞)を区別した演出に表れていた。
本公演の新撰組…シリーズ化の第一段らしい。「新撰組物語」の終幕をどこまでにするかによって、今後、何公演になるか決まるだろう。
今回、新撰組が分裂したところまで…これから先、副長・土方歳三が五稜郭で戦死するまで描くとすれば…楽しみである。
なお、事故には気をつけてほしい(自分が観た回は、音響装置が倒れて場内に大音が響いた)。
気がつけば、あした。
aibook
OFF OFFシアター(東京都)
2014/11/26 (水) ~ 2014/12/02 (火)公演終了
満足度★★★★★
感動した
どこにでもありそうな家族の物語を情感豊かに描いた秀作である。本当にある家族の法事前夜を垣間見た感じで、そこには坦々とした日常があった。そして現代社会が抱える悲しみも…。
夜よ、水際に揺らぐノートルダムの夜よ
天幕旅団
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2014/11/28 (金) ~ 2014/12/01 (月)公演終了
満足度★★★★
雰囲気ある公演
実に幻想的、幻視的な芝居であった。SPACE雑遊という劇場の特長を上手く利用し、ノートルダム大聖堂を表現していた。あの螺旋階段を駆け上り鐘つき場へ…その臨場感が薄暗い場内とマッチし、ランプの灯だけが頼り。
そして、せむし男とジプシーの踊り子の儚い夢物語。ヴィクトル・ユーゴーの原作の一部を切り出し、75分にまとめた演出はお見事。。
ノア版三人姉妹【ご来場ありがとうございました!】
ノアノオモチャバコ
小劇場B1(東京都)
2014/11/27 (木) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★★
場面転換に工夫が必要かも
チェーホフ作の「三人姉妹」をノア版にアレンジした公演…とは言え随分原作(邦訳)に忠実であったと思う。
田舎で無為な時を過ごし、それを嘆く姉妹たちの心理が描かれる。その演出は…。
紙屋悦子の青春
劇団俳協
TACCS1179(東京都)
2014/11/27 (木) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★
面白いが…
分かりやすい反戦芝居。場内にはすすり泣きがもれるほど情感豊かに描いていた。また、俳協らしい丁寧な場面転換は見事だった。
全体的には面白かったが、気になる所も…。
<2014.12.3追記>
劇団俳協の公演の楽しみは、もちろん芝居であるが、その以外に演出部の方の当日配付パンフの「はしがき」に興味がある。本公演、準劇団員公演に記載されている内容には、いつも感銘を受ける。
本公演では増田敦 氏が書いている。長いので全文を転載できないが、その一部を引用さてていただく。
「戦争を体験したことがない私たちが、戦争の時代を物語とともに擬似体験し、共有できるのが演劇のすばらしさです。この芝居を観て何かを感じ、少しでも戦争の悲劇を考えるきっかけになればと思います。」…同感です。
ハーフテールモニュメント
B.LET’S
小劇場 楽園(東京都)
2014/11/26 (水) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
とけない鎖
劇26.25団
OFF OFFシアター(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/23 (日)公演終了
満足度★★★★
もつれた愛
加害者家族の深く悲しい物語。と、同時に一人の人間として自分の心を本当に開放できないもどかしさ。それを他人ではなく家族の中で感じる苦しさ、虚しさが伝わる公演だった。
(後日追記)
海のてっぺん
ワンツーワークス
吉祥寺シアター(東京都)
2014/11/20 (木) ~ 2014/11/30 (日)公演終了
満足度★★★★★
いつも新鮮な驚きが…
ワンツーワークスの公演は、いつも優しく心を和ませてくれるとともに、社会性をチラッと垣間見せる。もしくは、その逆で社会性の中に人の喜怒哀楽を盛り込むという贅沢な芝居だ。今回はどちらかと言えば前者の部類に入るだろう。
さて、舞台全体に建築途中の家が…見た目はこのまま続ければ本当に住めるのではないかと思わせる出来栄えであった。そして木の香漂うには、仕掛けがあった様だが…。
説明文では、嫁・姑問題のようだが、本筋はもっと深く悲しい。そして現在の日本の姿が浮かび上がる、という秀逸な作品であった。
橋を渡ったら泣け
劇団CANプロ
銀座みゆき館劇場(東京都)
2014/11/21 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
厄介な自分心理
極限状態に置かれた人間の心理。状況設定はよくあるが、面白く描いていた。
説明文から小松左京の小説「日本沈没」を想像した。本公演も時代背景やラストのセリフはそれを彷彿させるようであった。
はなはどこへいった
榴華殿(RUKADEN)
タイニイアリス(東京都)
2014/11/21 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
珠玉…
この種の公演は好き。
説明文には「老女」「徘徊」「追憶」と少し寂しい言葉が出ていたが、お茶目な老女のシャレた会話が魅力的だ。最後は悲しいが、長い人生における心の「彷徨」は見事だった。そしてラストシーンは美しく印象的に仕上げた。
バスに乗る天使たち
ナマイキコゾウ
「劇」小劇場(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/23 (日)公演終了
満足度★★★★★
ファイナル公演…残念!
劇団ナマイキコゾウ…素晴らしいファイナル公演ありがとうございます。
そして残念です。今年は多くの旗揚げ公演を観たが、一方ファイナル公演もいくつか拝見した。
(公演については、後日追記)
言の葉の散りぬるを
wordleafproject
高田馬場ラビネスト(東京都)
2014/11/21 (金) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
見応えあり
まず、テーマの着想が面白い。ストーリーも推理小説のように二転三転させて飽きさせない工夫が施されている。演出も幻想的な導入によって観客を舞台に集中させる手法は成功した。脚本・演出は優れていると感じたが、それを体現する演技力が足りないと思う。せっかくの主張が十分伝えきれないから、見ている方も感情移入出来ない。
(後日追記)
月闇の詩 -竹取の調べ-
劇団 夢神楽
d-倉庫(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
丁寧だが…
結構な長編小説を読んだ気分である。満足感はあるが、途中のふざけた部分も含め不要な場面も多々あったと思う。それゆえ、序盤の登場人物の立場・関係性を説明する重要な場面の印象が薄れてしまった。せっかくストーリーは単なる予定調和へ導くことなく、最後まで観せてくれただけに残念に思えた。エンターテイメント作品…キャストは、役者・ダンサーが同一舞台に立っていたようで、それぞれの得意分野が際だちレベルアップを図っている所は好意を持ったが、一方アンバランスにも観えた。少なくとも、群舞はある程度レベル(高次での)合わせが欲しい。
(後日追記)