満足度★★★★
月並みだが、面白かった
大括りにいえば、フランスと日本・江戸時代/明治初期および現代の死刑執行人に関わる人間の苦悩といった話だろうか。日本に死刑制度がある以上、直接か間接かの違いはあるが、その執行に携わる人間がいることには違いない。
この公演を通して「死刑制度」そのものの是非を問うには材料が不足している。まぁ、観客がどう感じ思い描くかは勝手であるが…それほど強いメッセージを発していたか疑問である。
家制度における死刑執行人は世襲であり、その役割(罪人の処刑)こそが自分も含めた一族の「生きる」道だった、という皮肉な話である。現代における問題は「家」という世襲から、個人と家族の悩みとして描かれていた。この公演は、多面的・深耕的な問題提起をしているようだが、芝居としてはわかり易い見せ方になっていたと思う。特に、フランスと日本という国の違いや時代の切り替え演出には、暗転だけでなく、ダンスパフォーマンスを取り入れ魅せる工夫をしていることに好感を持った。
観客が思い、考えるという芝居の醍醐味が感じられ、十分楽しませてもらった。
なお、些細ではあるが疑問も…。