平田オリザ・演劇展vol.5
青年団
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/11/05 (木) ~ 2015/11/18 (水)公演終了
満足度★★
【走りながら眠れ】脚本に難/約70分
実在した人物を主人公としながら、主人公の特質や境涯とはあまり関係のない、他愛のない会話がダラダラ続く。
その駄弁にしても、もっと自然に展開できないものか?
確かに、人間は会話するとき、唐突に話題を変えることがままあるけれど、本作ほど頻繁ではなく、多くの場合、話と話になんとか脈絡をつけようと頑張って話す。
会話のくだりに不自然さが色濃いのは、人物たちが上の努力を怠りがちなのもおそらく原因していよう。
“急な話題変え”が会話のシーンにそれらしさを与えるものだと思い込んでいるのならば、それは大きな勘違い。
それから、今回扱っている人物は『暗愚小傳』の高村光太郎ほど著名ではないのだから、もっと人物史が解るような戯曲が書かれるべきだった。
超、今、出来る、精一杯。
月刊「根本宗子」
テアトルBONBON(東京都)
2015/11/01 (日) ~ 2015/11/08 (日)公演終了
錆びつきジャックは死ぬほど死にたい
ポップンマッシュルームチキン野郎
CBGKシブゲキ!!(東京都)
2015/10/28 (水) ~ 2015/11/03 (火)公演終了
満足度★★★
笑いが抑えめなのは意図的なもの?/約140分
構成が少しゴテゴテしすぎ。
もっとスッキリ見せてくれれば、より食いつけたかも。
あと、この劇団としてはオフザケがかなり少なめでした。
彼女にとって無敵の世界
ライオン・パーマ
シアターグリーン BOX in BOX THEATER(東京都)
2015/10/29 (木) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★
私には難解でした/約120分
おそらくはイニシエーションをテーマに据えた、ライオン・パーマ流の寓話劇。
いつもながらのバカバカしいギャグに加え、意味深げなメタファー、リフレインなどが続出し、興味深く鑑賞したが、暗喩や反復に秘められた意味が何なのか、私にはその多くが理解できず、隔靴掻痒の感を最後まで拭えなかった。
仮に脚本を精読しても、それらの意味をつかむことは私にはできなそう。
それでも、作品が持つエンタメ劇としてのレイヤーは最後まで私を捉え続け、終幕まで退屈を感ずることなく観劇できました。
橙色の中古車
FUKAIPRODUCE羽衣
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/10/30 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★
アラフォー女の一人旅を一人芝居で/約60分
テンション頼みのこの種の劇は苦手。
初めて見た深井順子さんの活気あふれる快演は魅力的ではあったものの、一本調子で眠気を誘う。
おまけに、遠い旅先のお国柄があまり伝わって来ず、作品としての主張もはっきりしない。
従軍中のウィトゲンシュタインが(略)
Théâtre des Annales
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/10/15 (木) ~ 2015/10/27 (火)公演終了
ドラマ・ドクター
ティーファクトリー
吉祥寺シアター(東京都)
2015/10/23 (金) ~ 2015/11/02 (月)公演終了
満足度★★
最後まで“蚊帳の外”感が拭えず/約105分
“人間にとって物語とは何か?”という大きなテーマを扱っているのだろうが、劇作家とドラマドクター、あるいは劇作家同士の観念的なやり取りにほぼ終始し、“その世界の内輪話”といった印象が否みがたく、劇作と無縁な私はずっと“蚊帳の外”感を抱きつつ鑑賞。
お話作りのプロである劇作家を、桃太郎ほかの物語を集合知によって作ってきた“偉大なドラマメーカー”たる人類の尖兵的な存在として、すなわち我々と地続きの存在として描いてくれれば、もっと当事者意識を持って鑑賞でき、より惹きつけられたかも。
だのに本作、劇作家というものを、我々とは別世界に住む異人種であるかのように描きすぎている。
ゆえに遠く感じられて感情移入がしづらいのだ。
この中から3つ
電動夏子安置システム
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2015/10/21 (水) ~ 2015/10/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
せいぜい4、5編かと思いきや…
約2時間に“演劇版三題噺”が13本も!
粒揃いで面白くアッという間に時間が過ぎ、体感的には80分ぐらいに感じられた。
笑いに徹したコント風の演目も楽しかったが、笑いよりはねじれた世界観に重きを置いた『世にも奇妙な物語』風味の諸作品も秀逸。
ゴードンとドーソン Gordon&Dawson~妻と夫と虎の夢~
はえぎわ
シアタートラム(東京都)
2015/10/23 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
誤解・間違い・行き違い/約115分
あれやこれやの行き違いが避けられない人の世への温かい眼差しが感じられる一作。
O・ヘンリの著名な短編を思い出した。
全体にやや淡白な気もするが、その淡さが味わいを生んでいる。
リボーン・チャンス
カムヰヤッセン
ワテラスコモンホール(東京都)
2015/10/14 (水) ~ 2015/10/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
伝承すべきは技術だけじゃないんだなぁ。。/約120分
作者の想像から生まれたとは思えないほどリアルな主要人物がバランス良く造形・配置されて生々しいドラマを織り上げ、問答無用で釣り込まれた。
セリフや語りに多くを負いつつ劇は進んでゆくが、大事な部分は黙劇で表現。
これが多大な効果を生んで、私は危うく嗚咽しそうに…。
役者の演技も素晴らしく、申し分のないホームドラマでした。
頼りないけど誠実そうな主人公の青年。
青年をさりげなく元気づける、心優しい元同級生の女の子。
心の襞まで見えるような精妙極まりない演技でもってそれぞれの役を演じてのけた某男優と某女優には、中でもことさら感じ入った。
主要人物が奥行きがあってリアルなのに対し、脇を固める人物にはリアリティの乏しいマンガチックなキャラクターもチラホラいるが、彼らは彼らで魅力的。
ソラミミホンネレソラシド
歪[ibitsu]
ステージカフェ下北沢亭(東京都)
2015/10/16 (金) ~ 2015/10/17 (土)公演終了
満足度★★★★
設定が「女性劇団」でも成立しそう/約55分
伸び悩んでいる若手女性ボーカルトリオのバックヤードもの。
とはいえ、よくある陰湿な“女の劇”には終わっておらず、より普遍的な“人間のドラマ”へと昇華されてゆくのが素晴らしい。
ほどよく笑いも挟んであって、引きつけられました。
キャストへの事前取材が生かされた、夢に向けて頑張る女子の等身大の思いが詰まったセリフの数々も秀逸。
ドリームランド
ロデオ★座★ヘヴン
【閉館】SPACE 雑遊(東京都)
2015/10/08 (木) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★
サスペンスとしても魅せてほしい/約130分
小栗剛作・演出作品は『おつきさまがついてくる』に次いで2度目の観劇。
作風なのか、本作もどこか荒んだ世界が舞台。
しかし、花火のように燃え盛るワケありな愛の数々は暗色の世界にこそよく映えて、否応なしに心を引っつかまれた。
ただ、愛のドラマである本作はサスペンス劇の顔も持ち、サスペンスとしての面白味はいま一つ。
もっと惹きつける見せ方があったのではないだろうか?
阿房列車
元祖演劇乃素いき座
アトリエ春風舎(東京都)
2015/10/09 (金) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★★
笑わせ方が強引な箇所も/約85分
小津映画で老夫婦が列車で語らうシーンがあったとして、それを85分に引き延ばしたような駄弁劇。
老夫婦が主役の、力の抜けきった駄弁芝居は他にない味わいがあり、穏やかな心持ちで楽しく鑑賞したものの、平田オリザ脚本特有の強引で安直なウケ狙いが随所に見られ、ややうるさくも感じられた。
老夫婦の奥さんのアクの強いキャラクターも、こののどかな駄弁芝居には馴染まず、悪目立ちしてしまっている。
少年の庭【5454初の大阪進出】
劇団5454
劇場HOPE(東京都)
2015/10/07 (水) ~ 2015/10/12 (月)公演終了
満足度★★★★★
教育って何なのさ?/約100分
自分がこれまで疑いもせずにすがってきた価値観を根本から揺さぶってくるこの種の劇は、やっぱ見応えありますね。
面白かった。
文化祭大作戦
20歳の国
すみだパークスタジオ倉(そう) | THEATER-SO(東京都)
2015/10/02 (金) ~ 2015/10/11 (日)公演終了
満足度★★★★★
現役で青春を生きる甥っ子や姪っ子にも見てほしい/約105分
国王にとっても役者陣にとっても、この舞台そのものが文化祭であるかのような、開放感と活気にあふれた舞台。
大作戦も小作戦も青春の機微に満ち、枯れかけた今だからこそその輝きが目に沁みるほど痛感できるあの頃を思い出し、一度ならず胸が熱くなりました。
や、ほんとは大も中も小もなく、そのどれもが当事者にとっては命がけ、渾身の「大作戦」なのでしょうが‥‥。
女優勢では本山歩さん、安川まりさんの両嬢が可愛く、二股をかけつつ観ていたが、途中からは役の魅力も相俟って山脇唯さんにも惹かれ始め、最終的には三股状態で観劇してました(笑)。
演出面では、光と影の対比を強調した照明が抜群の効果を発揮。
「青春の光と影」と言うくらいで、この照明は青春の劇によくなじみ、劇をいっそう味わい深いものにしてました。
鳥取イヴサンローラン
ロ字ック
シアター711(東京都)
2015/09/26 (土) ~ 2015/10/11 (日)公演終了
(仮)の事情
アンファンテリブル
中野スタジオあくとれ(東京都)
2015/09/17 (木) ~ 2015/09/24 (木)公演終了
満足度★★★★★
阿部定モノ。「(仮)の事情」=「カリの事情」?/約105分
阿部定事件の肝は押さえつつ、複層的な劇構造のもと自由に話を展開していて、グイグイ引きつけられました。
前川麻子さんの体当たりの演技、寺十吾さんの飄々としたキャラクター、吉村公佑さんの無骨さ‥‥役者陣も皆さん良かった。
『心中天の網島』
木ノ下歌舞伎
こまばアゴラ劇場(東京都)
2015/09/23 (水) ~ 2015/10/07 (水)公演終了
満足度★★
妻・おさんが魅力的/約115分
前段がショーアップされすぎていて、クライマックスの悲愴感があんまり伝わってこなかった。
また、私にとっては主人公の妻・おさんのほうが魅力があり、遊女に入れあげる主人公に気持ちがついていかなかった。
あたらしい憲法のはなし
多摩1キロフェス
多摩1キロフェス パルテノン多摩 水上ステージ(東京都)
2015/09/19 (土) ~ 2015/09/20 (日)公演終了
満足度★★
憲法を扱う劇として欠陥あり/約70分
国の成り立ちを寓意とユーモアを効果的に用い、舞台が水上であることを上手に生かして、面白おかしく描いている。
ただ、憲法が主として国家や為政者を縛る法規である点が強調されておらず、民主国家を成り立たせる礎たる憲法を主題に据えた劇としてはいただけない出来。
為政者がこの点を軽んじたがために国民が窮屈な思いをさせられている今だからこそ、この点は強く打ち出すべきだった。
ピッピピがいた宇宙
あひるなんちゃら
OFF OFFシアター(東京都)
2015/09/18 (金) ~ 2015/09/21 (月)公演終了
満足度★★★★★
いちおう宇宙話/約65分
大変な事を大変だと受け止める真人間が、大変だとは受け止めないすっトボけた男女に翻弄される3人芝居。
劇団員のみによる少人数芝居という事で派手な事は起こらないが、その分、会話劇に徹していて、純度の高い関村駄弁ワールドが楽しめます。
今回のは可笑しいだけでなく、ちょっぴりかわいいお話でしたね。