バルブはFB認証者優遇に反対!!の観てきた!クチコミ一覧

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グランディ氏の穏やかな遺言

グランディ氏の穏やかな遺言

電動夏子安置システム

駅前劇場(東京都)

2017/08/02 (水) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★

■110分弱■
これまで観た電夏の中でも屈指のややこしさ。複雑な話に食らいついていくのに必死で、あんまり笑ってる余裕もありませんでしたが、可笑しなシーンも多々あったという朧ろな記憶が。。
しかし詰め込んだなぁ、今回は。

ネタバレBOX

唯一の身寄りの孫娘に長らく会えないまま死んでしまったことを悔いている享年90の不憫な老爺が閻魔様(?)の計らいで生まれ直し、猛速で成長してすぐまた爺さんになり孫娘との再会も果たせぬまま一週間きりで死んでいく…。
こうやって要約すると、「けっきょく何だったんだ??」って気も。
真夏の短編集「榊原さんは永遠に憂鬱なのかもしれない」

真夏の短編集「榊原さんは永遠に憂鬱なのかもしれない」

ホットポットクッキング

劇場MOMO(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/08/02 (水)公演終了

満足度★★★

■『こってり地獄編』鑑賞/約100分■
連作短編集色はこちらのほうが強く、話が相互干渉している楽しさやラストまで観てようやくわかる面白さはあったものの、諸作品の出来映えは天国編が上。
『通勤急行大爆破』がとりわけ残念な出来。発想に新味がない上だらだら長くて締まりを欠き、しかもわかりづらい。たぶん書き手は年上だろうが、演出の吹原さんは心を鬼にし、改稿を命じるか潔くボツにすべきでした。

真夏の短編集「榊原さんは永遠に憂鬱なのかもしれない」

真夏の短編集「榊原さんは永遠に憂鬱なのかもしれない」

ホットポットクッキング

劇場MOMO(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/08/02 (水)公演終了

満足度★★★★

■『うっかり天国編』鑑賞/約105分■
公演の説明文から、各編がもっと緊密につながった連作短編集的なものを想像していたところ、一貫性はさほどでもなく、その点は拍子抜けしたものの、バカバカしくも心和む話から夏っぽい奇譚まで多彩な諸作を盛り合わせ、なおかつ効果的に配列していて魅せる仕上がり。橋本瑠果さんが面白かった。

ネタバレBOX

一番笑ったのは、前述の橋本さんがオッパッピーな女性バンドマンを演じる『バンやめ!』。オチは締まりを欠いていたけど、橋本さんの振り切れたバカ演技が超絶可笑しく、脚本の欠点を補って余りあった。
ワンマン・ショー

ワンマン・ショー

やっせそ企画

【閉館】SPACE 雑遊(東京都)

2017/08/02 (水) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★★★

■125分強■
これだけ地に足のつかない芝居も珍しい。面白かったぁ〜♪
…と書くつもりでいたのだが、甘く見ていた。ヤケドした。

スーパースーハー

スーパースーハー

かえるP

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/07/26 (水) ~ 2017/07/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

■約60分■
タイトルの『スーパースーハー』は呼吸音をもじったもの。当ダンスユニットのメンバー2人は公演の当日パンフに連名でこう書いている。
「普段無意識のうちにしている呼吸。意識しようとすると途端になにかが滞ってしまうのはなぜでしょう。しかし、その滞りこそ、先に至るために大事なものだと思いたい。(中略)意識された呼吸のその先を目指したい。」
意識すると滞ってしまうのは呼吸だけではない。呼吸と不可分に結びついた身体もしかり。当公演『スーパースーハー』は、常人よりも自在に動けるダンサーたちが高い身体能力にあえて制約をかけ、その“滞る身体”を表現した逆説的な試みだったと言えるだろう。
ある者は腹這いになって床を滑るアクションを何度も繰り返し、そのような動きしかできない架空の生き物の生態を模写しているかのよう。そうかと思えば、まるで溶接されたかのように膝頭をぴったりくっつけたままぎこちなく横歩きしたり、裏返されて起き直ろうともがくセミさながらの動きを集団で表現したり。
不自由と格闘しながら動こうと頑張る姿は、這い這いでたどたどしく移動したり渾身の力でつかまり立ちをしたりする赤ちゃんを思わせて、感動と同時に微笑ましさをおぼえながら鑑賞。
赤ちゃんはむろんのこと、人間全般へと普遍化できる。
無理をすれば痛む身体、おいそれとは変造できない顔、有機物であることに由来する様々な欲求…そうした障壁と闘いながら滑稽に、またがむしゃらに日々を生きる不自由極まりない我々の鏡像をまざまざと見せつけてくれるからこそ、かえるPのこの舞台は感動を呼ぶのだ。

きゅうりの花

きゅうりの花

Cucumber

三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)

2017/07/28 (金) ~ 2017/08/06 (日)公演終了

満足度★★★

■約110分■
地方都市の衰退を描くのなら、ここは新作を書き下ろすべきだった。18年前の初演時、15年前の再演時から状況はますます悪化し、その背後に、新自由主義を背景とする地方軽視、生産性の高い地域をさらに富ませ地方を見限る棄民政策という名の意図的無策が見透かせる今、地方の退潮と国政との関係が描かれない本作はどうしたって物足りなく思われる。

預言者Q太郎の一生

預言者Q太郎の一生

(劇)ヤリナゲ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/07/14 (金) ~ 2017/07/23 (日)公演終了

満足度★★★★

■80分強■
おふざけが過ぎる感もあったけれど、脱線もちゃんと可笑しく演出されていたし、芯になるエピソードもそれはそれでしっかりと見せてくれて琴線を揺すってくれたし、イイ感じに心がほぐれた80分。
Q太郎の3倍くらい負担のかかる大変な役を振られながらコミカルなシーンからシリアスな場面までを生き生きと演じきった永井久喜の熱演、朴訥すぎて奇人扱いされる純真青年をリアルに演じた男優X(興を殺ぐので名は秘す)の巧演に見惚れた。
ただ、預言者の話だったかと問われれば、大きな疑問符が浮かぶ。
預言者の物語を期待する向きには、正直言って物足らないかもしれない。

ネタバレBOX

従軍慰安婦としての数年の務めを終えて帰日したみちるが、昔なじみの沼で風景画を描いていたQ太郎(澤原剛生)に再会するシーンが見せ場。
「ちゃんと話ができる人はQ太郎しかいないってようやく気づいたんだ」
みちるの表白にも胸を打たれたけれど、それ以上にジィーンときたのが、「絵を描いてたの?」と問われたQ太郎が景色をぐるりと見回しながら満ち足りた表情でみちるに返す以下のセリフ。
「でも、もう描かなくてもいい気がして。こうやって、見ているだけでいいんだ…」
イエスに加えてモデルにしたという八木重吉が実際に言いそうなセリフである上、澤原剛生が口にするとこの上ない説得力があり、胸に沁みた。
私が知らないだけで、同様のことを言っている詩が実際にあるのかな?
「すがれる」2012/2017

「すがれる」2012/2017

鳥公園

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/07/06 (木) ~ 2017/07/12 (水)公演終了

満足度

■約80分■
省略過多な脚本、勿体つけた演出。これじゃあ伝わらない。

今が、オールタイムベスト

今が、オールタイムベスト

玉田企画

アトリエヘリコプター(東京都)

2017/06/27 (火) ~ 2017/07/04 (火)公演終了

満足度★★★★★

■100分弱■
玉田企画作品の安定感は、視点のブレなさに由来するのだと本作を観てようやく気づいた。本作含めどの作品も、序幕から終幕まで一貫して、多感な中学生男子の目線で描かれている。それも、少しひねた草食系中学生の目線で。
これまで主に中学生や高校生、大学生の生活世界、すなわちほぼほぼ等身大の世界を描いてきた中学生がこのたび活写するのは、自分を取り巻く大人の世界。
その大人たちのやり取りが、学生たちのそれと同様、子供っぽくて滑稽なものとして描かれるのは、人生で最も目の利く中学生の視界に、大人たちがガキ同然に幼く映っているからに他なるまい。中学生時代の私の目にも、大人はそんなふうに見えていたと今になって思い出す。
タイトルと内容に齟齬があるのはいつものこと。従来通り“あるある”な可笑しみ、共感を誘う可笑しみに満ちた楽しい作品でありながら、内容はタイトルほどノーテンキじゃなく、複雑な思いを抱えて劇場を後にした。
それにつけても、人間の綾を細やかに描出した精緻な脚本は相変わらずの素晴らしさ。玉田主宰は、そろそろ名のある戯曲賞を与えられてもいい頃なのでは?

ネタバレBOX

挙式に備え湖畔にある式場附属の宿泊施設にやってきた父と継母(ままはは)、そして息子の男子中学生。この一家の挙式前夜の話。
宿泊用のコテージには3人のほか、父が営む小さな会社の部下たちやウェディングプランナーのバツイチ男などもいて、様々な人間模様が描かれるが、物語の軸になるのは、宿まで持ってきたお気に入りのサンダルを継母に勝手に穿かれて穿き跡をつけられ、挙式間近な両親に反抗的な態度を取り続ける先述の息子。
クライマックスではフテ寝する息子のもとへ継母が詫びにくるが、継母は「ごめんね。でも分からない」と息子がおかんむりな理由を汲み取れていない様子。息子が以下のように説明しても母の無理解は変わらない。
なんでも息子は、経営者の父が部下たちを連れてきて家飲みしてはしゃぐことにも、最近まで赤の他人だった継母と暮らすことにも耐えており、くだんのサンダルを穿いてのお散歩だけが唯一の楽しみだったのに、そのサンダルまでを破損されて不機嫌なのだという。
これを聞いても「わからない」を繰り返す継母との間の溝は広がるばかり。
私には息子の気持ちが痛いほど分かったのに、継母はどうして分かってあげられないのか!?
溜飲の下がらない結末であった。
いくら若くて美人でも、こんな母親と良好な親子関係は築けまい。
あえて断絶を描いて話を終えるあたりはとても玉田氏らしいが、ここは和解をもって幕を閉じるハッピーエンドでも良かったのではないか?
さよならだけが人生か

さよならだけが人生か

青年団

吉祥寺シアター(東京都)

2017/06/22 (木) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

■約110分■
にぎやかさと静けさの対照の妙。静けさが沁みた。。

ネタバレBOX

色恋でもめる学生さんたちのエピソードがなんとも可愛らしくって…。あの3人が、騒々しいこの群像劇に味わい深い静けさを与えていた。
-平成緊縛官能奇譚-『血花血縄』

-平成緊縛官能奇譚-『血花血縄』

吉野翼企画

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/06/22 (木) ~ 2017/06/24 (土)公演終了

満足度★★★★★

■約100分■
性的シーンは互いが互いのバリエーションにすぎず、冗漫で面白くなかったが、ウーマンリブ演劇としてこの上ない完成度! 原作小説が書かれた頃には「ウーマンリブ」という言葉、まだ生きていたはずである。
それにつけても、演出・吉野翼の完全主義が生み出す、統制美に貫かれた演技や合唱は毎度ながらの素晴らしさ。

ネタバレBOX

母、姉妹、女中…あらゆる女が父に性支配されている堕落した家に、初潮を迎えて間もない少女が反旗を翻す話。
「私が戻る頃には、ここの女たちは血と一緒にこの家から剥がれ落ちている!」
ラスト、こんなセリフを家の者たちに吐きつけながら学校へと向かう少女。その勇姿に心が高ぶった。
ドア

ドア

ユニットR

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/06/26 (月) ~ 2017/06/29 (木)公演終了

満足度★★

■約75分■
弛緩した演出が緊密に書かれた原戯曲を台無しにしている。動きや声を揃えるべきシーンで揃っていなかったり、失笑を誘うほどに小道具がチャチかったり、これでは素人芝居。
プライバシーの尊さを主張する原作を共謀罪法施行後の世界に結びつけたり、脚本面では努力が感じられたが。

ネタバレBOX

この団体、先述の小道具をはじめとして美術へのこだわりが稀薄すぎ。
プライバシーの尊さ、さらに進んでプライバシーの妖しさをテーマとしながら、隠れ家やそこへ通じるドアを魅惑的に視覚化できていないのは致命的。なにも、物理的に部屋やドアを作る必要はない。ドアをドアノブだけで表現したり、妖しい隠れ家を照明のみで視覚化したり、やりようはいくらでもあるはずなのだ。
それから、稽古不足。これは観客のほとんどが感じていたのではないか?
ブリッジ

ブリッジ

サンプル

KAAT神奈川芸術劇場・大スタジオ(神奈川県)

2017/06/14 (水) ~ 2017/06/25 (日)公演終了

満足度★★★★

■約125分■
『地下室』のバリエーションだが、教祖の説く宇宙論が怪しいながらも体系だっていて、面白く観た。

ネタバレBOX

新興宗教団体のガイダンスという体で上演。ガイダンスの司会を務める信徒女性の話しぶりがいかにも“ぽく”て、のっけから引きつけられた。企業博のナレーターコンパニオンを思わせる洗練された話しぶりの中に“洗脳されてイっちゃってる”感じがそこはかとなくにじみ出ていて、見事でした。
宵待草

宵待草

おででこ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/07/01 (土) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★

■約80分■
『糸地獄』に向けたワークショップ用の作品とあって、習作の印象は否めず、脚本にさらなる錬磨や粉飾の余地があると感じた。
狂女を鬼気迫る演技で表現した須川主宰のお芝居は見事でした。

ネタバレBOX

結婚早々姿を消した配偶者を何十年も待ち続ける妻の話。
脳内には居るらしい夫に毎朝ごはんを作ったりする甲斐甲斐しさに胸を衝かれた。
セリフがもっと練り込んであったならば、さらに心を動かされたか?
月経ファンタスティック

月経ファンタスティック

美貴ヲの劇

【閉館】SPACE 梟門(東京都)

2017/06/29 (木) ~ 2017/07/02 (日)公演終了

満足度★★★★

■ノーマル編鑑賞/約85分■
女にしか来ない「月経」がタイトルに入っていても、描かれるのは誰彼なく自意識と自尊心を持つ人間固有の、性差を超越した苦しみ。「アタシはあのコよりマシ!」とか「あんな奴に見下された!」とか、そうした方面のことを扱うとジメジメと陰湿な劇になるのは避けがたく、本作も例外ではなかった。
作者の乾いた作風をもってすれば自意識問題も笑いの種に変えられると思ったし、事実、同種のテーマを扱った前作『ブスも美人も死ねば土』ではそのことに成功し、多くの笑いを取っていたのに、自意識問題にまつわる湿気をユーモアで蒸発させて笑いに変えることが本作でかなわなかったのは、前作よりもヒロインに近いところに身を置きながら作者が作劇を進めたせいか?
主役に寄り添うような立ち位置で書き進めるのは別に問題ない。
ただ、主役以下劇中人物全員を鳥の目で冷ややかに見下ろし突き放すような立場をも同時に保持しつつ書かないと、笑える作品は生み出せない。
むろん鳥の目も持ってはいるのだが、報われないヒロインに感情移入しすぎて鳥の目を忘れているシーンが多々あったように私には見受けられた。
思うに、作者は自分に近い人物をヒロインに据えてしまい、最後の最後まで“突き放しきる”ことができなかったのではないか?
突き放して対象と距離を置かねば対象を笑うことはできないし、距離がなければ対象に乾いた大風を送ることもままならない。
もちろん対象が自分の分身であろうとも、頑張れば突き放すことは可能なはず。

ネタバレBOX

無能なのに高慢で自己弁護だけはお達者な荻上チキ口調の口先野郎に不器用なキャリアウーマンが弄ばれる話。
この自己弁護男がほんっとうにヤな奴で、事実いそうなそんな男をヘドが出そうなほど生々しく描く描写力には舌を巻いた。
WORM HOLEワームホール

WORM HOLEワームホール

はなもとゆか×マツキモエ

こまばアゴラ劇場(東京都)

2017/06/15 (木) ~ 2017/06/18 (日)公演終了

満足度★★★★★

■最近の舞台芸術、『威風堂々』に頼りすぎてないか??/約60分■
メンバー2人に客演2名を加えた女性ダンサー4名が、アラサー女子の恋愛観から宇宙物理学まで、ミクロからマクロまでをダンスで表現…したかったのだろうが、セリフへの依存度が小さくなく、踊りだけで表現しきれていたかは大いに疑問。
とはいえ、マツキモエさんのこまめな衣装替え、客演陣の奇抜なビジュアル、大がかりな美術と、視覚面を中心に様々な趣向が凝らしてある上、女子4人によるダンスパフォーマンスは生き生きとしてなまめかしく、また随所に関西女子流の茶目っ気、イタズラっ気がうかがえて、片時も退屈せずにとても楽しく観た。
仮にいま私が幼児で、親に連れられてこれを観たとしても、きっと楽しんだのではないだろうか? 
そういう、プリミティブな娯楽性に満ちあふれた公演でした。

ネタバレBOX

客演さん2人は卑弥呼みたいなヘアメイクで登場。なのに足元は古風どころか、靴底の側面にちりばめられた色つきの電飾が高速でビカビカしているド派手なスニーカー。この趣向がとっても目に楽しかった♪
ベストダンスは、♪何も考えずに♪に合わせて踊る、マツキさん主体のダンス。パラパラ風の踊りって、なんであんなに心地いいんだろう。。。
こq『地底妖精』

こq『地底妖精』

Q

SCOOL(東京都)

2017/06/10 (土) ~ 2017/06/11 (日)公演終了

満足度★★★

■約95分■
幼女的万能感・唯我独尊感、さらには、その裏返しとしての排他主義・非社会性・他責的態度が強く打ち出されていた数年前の作品と比べ、世界に対して、社会に対して、一歩踏み込んでいた印象。

ネタバレBOX

妖精のお母さんと人間のお父さんの間に生まれた半端な妖精、言うなれば堕妖精を永山由里恵が演じ、ハンパ者の後ろ暗さから地下室にこもって独白を続けながら、時にモグラとからんだりする一人芝居。
“社会への踏み出し”を感じたのは、以下のようなセリフ。
たとえば、慰めてあげようと下心を秘めて抱きついてきたモグラを抱き返しながら、堕妖精は言う。
「優しさを求めるフリして、私はこの肌の下を流れる男の血の温もりに興奮している」(大意)
某恋愛マンガの主役の少年に憧れる堕妖精は、別の場面でこうも言う。
「マンガの主人公にいくら憧れても、子は成せない。子を成すためには、近所で噂の衣服切り裂き魔のような、生臭いオスの血の流れる男と交わらなければならない」(大意)
あげく、自らの被レイプ志向さえ打ち明ける堕妖精。
話を盛り上げるためかもしれないが、堕妖精のありようが“男にとって都合のいい女”像に重なるのが面白かった。
雨と猫といくつかの嘘

雨と猫といくつかの嘘

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2017/05/23 (火) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★

■B(=『雨と猫といくつかの嘘』華やぎの香り、猫組ver.)鑑賞/約70分■
ストーリーも脚本も雨編に同じも、こちらのほうが座組は好み。
ところで、スタンプラリーはやる必要があったのか? 一回一回の景品はお菓子ひと袋、ならぬ一個きり。4演目を制覇しても台本、劇団Tシャツといった特別なプレゼントはなく、それまで通りお菓子一個がもらえるばかり。期待を大きく下回る景品に当惑しているのは、私だけではないように見受けられた。

ネタバレBOX

しかし吉田小夏という人は、何故こんなにも生々しく男のマザコン心を描くのか? 真に迫り過ぎていて、いくつか正視に耐えなかった場面も。
雨と猫といくつかの嘘

雨と猫といくつかの嘘

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2017/05/23 (火) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★

■A(=『雨と猫といくつかの嘘』いぶし銀の味、雨組ver.)鑑賞/約70分■
老境の孤独と郷愁を情緒豊かにきめ細かく描いているが、逆に言うと、それ以上の広がりがない小品。

ネタバレBOX

福寿さんも藤川さんも、子供演技が上手い。
雨と猫といくつかの嘘

雨と猫といくつかの嘘

青☆組

アトリエ春風舎(東京都)

2017/05/23 (火) ~ 2017/06/04 (日)公演終了

満足度★★★

■D(=『幸福の王子・野ばら・あおぐみライブ』)鑑賞/約70分■
短くはない人生、それなりに辛酸も舐めてきたろうに、なぜ主宰の吉田小夏は他の同世代女性のように世間ズレせず、こんなにも明るく健やかでいられるのか? その思いを強くした公演。あおぐみLIVEでは目をキラキラさせて楽しげにしゃべり、歌い、リーディング劇『幸福の王子』からは、万民がしあわせで笑いの絶えない世界の到来を主宰が本気で願っていることがひしひしと伝わってくる。かわいいユーモアを織り交ぜて生き生きと演じられるこの青☆組版『幸福の王子』は子供にも楽しめるはず。この演目を引っさげて学校巡業を行えば、きっと上々の反応が得られるのではないだろうか? 
ただ、前述のあおぐみLIVEは内輪ノリが強く、あるていど距離を置いてこの団体に接している私には楽しみきれなかった。

ネタバレBOX

リーディングは2作とも上出来。大人の男性俳優二人による、重厚な『野ばら』も良かった。

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