Flapper's 私たちにできること
ジョーズカンパニー
小劇場 楽園(東京都)
2014/12/27 (土) ~ 2015/01/04 (日)公演終了
満足度★★★★
補欠陸上部員の控え室に,転校生が舞い込む。
この演劇は,二回めだ。どのようなストリーか,じっくり観察する。
まず,補欠陸上部員の控え室に,転校生が舞い込む。本人は,やる気があるが,部室の雰囲気は暗い。幻のバトンに願をかけて,窮地を出することくらいしか浮かばない。
もともと,音楽部だったが,緊張のために本番を失敗し,それ以来退部し,人生まで悲観いている女の子がいる。この子が主役かもしれない。どうせ暇だろうから,インフルエンザで出られなくなった合唱部の代役をしてくれ,という話が転がりこむ。
なにをやってもいいことのない人たちにも,それぞれの個性ある声があることに気が付いた彼女は,とにかくみんなをまとめていく。転校生はとくに,迫力のある声量を披露する。なんとか,出演できそうになった頃,合唱部が復活するという連絡を受けがっかりする。
それでも,屋上において,自分たちだけのステージをやってみよう。そこには,負け犬の人生はない。たぶん,めげない人生,強い人生に進めるだろう。
ミュージカルとちがって,演劇は,言葉とか,表情とかに負担がかかる。セリフも,メロディにのせて,歌いあげるところを,シリアスに掛け合うので,大人の世界になる。辻友里香,とか,内田夏音が出る組を選んで,観劇した。よくやっていたと思う。
ふだん,大人の演劇を観てると,多くは完成度が高い。そこでは,役者って,最初はどうやって演技を習得していくのか,不思議に思う。まだ,まだ,これからだ,というセミプロの集団に,逆にいろいろなことを学ぶ。今回の作品は,一番良かったと思う。
GREAT EXPECTATIONS -大いなる遺産-
Studio Life(スタジオライフ)
シアターサンモール(東京都)
2014/12/18 (木) ~ 2015/01/12 (月)公演終了
満足度★★★★
楽しい時間をありがとう
新宿シアター・サンモールは、満席ではじまる前からたいへんな熱気だった。ディケンズの傑作は、はたしてどんな風に劇場化されるのだろうかと、興味津々。
終わってみると、すごくよくまとまっていた。とくに、原作ほか映画でも、もやもやしていた複雑な人物関係が、かなりはっきりとわかって良かった。
エステラは、主人公ピップを、少年時代より翻弄する小悪魔的な美少女。さらに、大人になって、もう一度なんの罪の意識もなく彼をおもちゃにして捨てる。
そんな、エステラが、この作品のひとつの魅力だったはずだが、やや物足りない感じがした。とはいえ、非常に感動的な演劇化にクリスマスに良い思い出が出来た。
『リズミックタウン』
Zero Project
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2014/12/24 (水) ~ 2014/12/28 (日)公演終了
満足度★★★★
クリスマスの名作
昨年より、ずっと感動出来た。いくつかの点で、手がくわわり良くなっている。自分自身三回めなので、挿入歌等がなじんで、懐かしいものになっている。
ただ、サンタからのプレゼントをもらって喜ぶ子供たちの人員減が、確実に盛り上がりを欠いていた。離婚協議中の両親を厳しく責める子役が風邪でか迫力を欠いた。
あさとさんの歌は、見事としかいいようがない。関ジャニ仕分け高得点者の実力だろう。秋本さんの歌も、結構いい感じだった。こちらは、期待以上だった。
全体的に、このミュージカルは、うまくまとまっている。最後で、3人がまとまって泣く場面は、目頭が熱くなった。今年は、一度しか見なかったが大満足。
Xmas Love
劇団子供の中の子供
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2014/12/25 (木) ~ 2014/12/28 (日)公演終了
満足度★★★
なかなか面白かった♪
池袋シアターグリーンは、演劇に関心を深めるきっかけになった場所。そこで、ゲイとレズが、ルームシェアをする話。
パートナーのアンディ。クリスは、不慮の事故でキャロラインを失い悲嘆に暮れる。そのとき、アンディは、なんとかクリスを慰めようとする。ビールの早飲み競争は楽しい。
ふたりは郷里で、正常な結婚に最後は向かうのだか、一緒だった時間は、かけがえのないものだった。結構、あっさりとした関係でほっとした。
実際には、男が男を追いかけ廻す場合しつこい。最初は、友情だと思って油断するから失敗する。そんなときに、役に立つ演劇だっかもしれない。
PS
全体的に、ほのぼのとしていた演劇なので、そういう意味では、救われる。アンディも、クリスも、善的なキャラクターで性の倒錯を越えて、人は、優しさに癒やされるべきと思う。
さりながら、二人は、正常な結婚に向かってもおそらく永続きはしないことは、明白であろう。二人芝居は、ちぐはぐさも含めてよく出来ていたと私は感じた。
鴨猟 -Утиная охота-
ロシア語劇団コンツェルト
早稲田奉仕園スコットホール(東京都)
2014/12/27 (土) ~ 2014/12/28 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しい時間をありがとう
人生をよりしっかりと理解したい。そのためには、言語がいかに重要か、そう考えるひとたちは多い。ジョン・ロックは、言語の明確化が人類に最高の恩恵と信じた。
ロシア人は、この『鴨猟』のように、暗く重い作品を残す。妻との関係に、破綻し、少女イリーナにも絶望する。そのありさまを、明確に言語で表現する。
さらに、日本の大学生は、ロシア語というなじみのない言語を見事に体得し、演劇化する。わたしは、おーちぇに、プリヤとな(はじめまして)くらいしか聴きとれない。
でも、異文化体験もまたいいものだ。また、今後も、チェーホフとか機会あれば拝見したいものだ。人生の暗闇は、わたしにはそこに真実がおおく見える気がするから。
ゆうれい
イプセンを上演する会
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2014/12/19 (金) ~ 2014/12/21 (日)公演終了
満足度★★★★
順調にみえるひとの人生だって
ヘレーネは、男運がない女である。遊び過ぎた夫は死ぬ前には、からだかボロボロだったのだ。そんな苦労も知らない牧師は、妻の不寛容をずっと責めて来た。
夫は、メイドに子どもを産ませ、その子はまわり回って美しい娘に育ち、もう一度忌まわしい家で精神薄弱な一人息子と恋に落ちる。じつは、兄妹の関係なのに。
頭の少しおかしなバカ息子だが、どうやら父親の遺伝が原因らしい。どこにも救いらしい救いはない。ただ、ひとつ人生の償いに建てた孤児院も放火か失火で消えた。
比較的順調にみえるひとの人生だって、最後には悲しい結末が必ず来る。むしろ、ヘレーネのような苦境に人は結構あっているやもしれない。ただ表面化しないのだ。
丸美屋食品ミュージカル「アニー」 アニークリスマスコンサート
キョードー東京
青山劇場(東京都)
2014/12/20 (土) ~ 2014/12/21 (日)公演終了
満足度★★★
初めてアニ~の、クリスマスコンサート
初めてアニ~の、クリスマスコンサートなるものを鑑賞する。とても楽しいものだった。時間があっと、言うまに過ぎてしまい、もう一時間欲しかった。
キャストは、ほとんど2013・2014のメンバーで、自分が知っている顔はまれだった。でも、アニ~ナンバーは、なじんでいるので非常にここちよい。
あと、半年もしないうちに、2015のメンバーで、劇場をかえて公演がはじまる。何回見られるだろうか。子供ミュージカルの定番は、どうなってゆくのだろうか。
幸福な王子(おかげさまで無事に幕を降ろすことが出来ました。皆様のご来場に感謝します。)
せんがわ劇場
調布市せんがわ劇場(東京都)
2014/12/16 (火) ~ 2014/12/22 (月)公演終了
満足度★★★★
調布の仙川劇場をはじめて訪れた。
調布の仙川劇場をはじめて訪れた。閑静な街に、モダンな建物があって驚いた。121名の座席は、完売で当日券は、わずかしか用意されていない。
ワイルドの作品は、『ドリアン・グレイの肖像』『サロメ』と異色である。彼には、子ども向けのずば抜けて有名な作品が残っていて、これを演劇で1度見たかった。
親子対象で、クリスマス企画のややくだけたものだった。時間も70分で、そこそこに打ちきり、あとは、サンタクロースがプレゼントを配っていた。
演劇ではなく、読み聞かせ的なものと予告していた。だが、子どもには、複雑な演出で凄くこっていた。最後は、泣かされた。ここちよい終わりだった。
検察官
ミドルシアター
シアター風姿花伝(東京都)
2014/12/19 (金) ~ 2014/12/22 (月)公演終了
満足度★★
『検察官』を見た。
『検察官』を見た。いつわりの検察官のまぼろしに、多くの人間が翻弄される。どこか、裸の王さまの話と似ている。たぶん、みながそうだと思うことは一番さ!
登場人物が、むやみに多く、40台のシェアープアップされない姿態が目立って、そっちの方が気になった。ときどき、ズブズブのしろうとたちなのか?
あと、メイクが不気味で怖かった。名作は名作として、それなりに表現されていたのではあるが。いくつか、めりはりをつけた方がいいかもしれない。
たくさん、だしてあげたい気持ちはよくわかる。しかし、演劇はやっている方が楽しいだけなのだとだめだ。傑作が、不完全燃焼で終わってしまった。
PS.
テンペストなんか,次回・・・どうでしょうか?
マザー・テレサ 愛のうた
ミュージカル座
シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)
2014/11/17 (月) ~ 2014/11/23 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しかった~
マザーテレサという偉人を、あっさりと美化し過ぎず上手にまとめてあったと思います。せっかく子どもも参加しているので、実像とは違っても子どもたちと唄う場面がひとつくらいはほしい。当日、ハローキテイとつかオマ~ジュを見たが、期待以上に格調の高い作品で締めくくった。やはりこころに響く美しいお話だと感じた。わたしも、日頃より徳のある人間を目指したい。
熱海の果てに
非シス人-Narcissist-
サンモールスタジオ(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
楽しい時間をありがとう
つか作品は、弱者への限りない共感。オマ~ジュとして、感動できる。痛感な警察での取り調べは、社会でのトラブルも重なる。下手な芝居は、やめろ! つかの演劇ですかっとすればいい。いじめ、暴力は演劇の中でやって下さい。楽しめる、迫力満点の演技だった。
PS.
演劇というのは,何なのだろうか?そういうところから,私の観劇の旅は,出発した。今のところ,私には,論理の演劇が一番だと思う。演劇・ミュージカル,それは,究極には論理の世界だと思う。背景には,キリスト教という神話,言葉の世界がある。日本化したが,どのような演劇にも論理が貫いている。そこから離れて,東洋的禅の世界になって,直観に飛び込むのは,演劇をわかりにくくするだけだ。
日本で,つかこうへい系の作品が人気あるのは意味がある。つか作品は,いろいろな点で,西洋演劇の枠からびっくりするほど飛び出しているが,それでも,どこか一般大衆にはわかるところで上手くとどまっているからだ。
今回の,『熱海の果てに』はとても面白かったと思う。スローモーションで,会場の中を役者が少しずつ動き出すのは,どこかでも体験した。少しずつ舞台準備ができていく。中でも,驚きのシーンは,SM女優的な宙吊りを自演している場面が右側でくっきりと浮かぶ。異常な世界を暗示する・・・
熱海で起きた事件とは何か?その背景には,故郷を捨てて,都会で身を落とした女との再会がある。彼女は,田舎相撲で,唯一自分を応援してくれた幼馴染みだ。しかし,男は逃亡の果てに,その娘と再会するが,彼女がその時の気持ちまで忘れて落ちぶれていた事実は容認できなかったのだ。
つか作品には,いつも底辺でボロボロに生きる人間の苦悩がにじむ。そのような人間ではあるが,そこに暖かいまなざしがある。救いがどこかにある・・・と信じる。もちろん,あまりにも悪い状況の中で,普通に逃げ場などない。しかし,生きるにも値しない人間たちにも,言い分はあるし,ほんの少しの「救い」はあるのだから。
ミュージカル 恋するハローキティ
劇団プロジェクト
紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA(東京都)
2014/11/19 (水) ~ 2014/11/24 (月)公演終了
満足度★★★★
楽しかった~
たいへん面白い作品。さすが、坪田文。ストーリーが、まとまり最後はかなり感動できる。ダンスも、楽しめるた。小野田あやさ、出番も多かった。歌にダンスに、良くがんばっていた。まのえりな、の時とは雰囲気も違うのだろう。当時なぜか会場の前を通過した記憶がある。すごく充実したミュージカルだった。
葉っぱのフレディ ―いのちの旅ー
株式会社ステージドア
蒲郡市民会館大ホール(愛知県)
2014/08/11 (月) ~ 2014/08/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
ドラマ構造が,ドラマとして立ち上がるためには,演出がある。
演劇研究では,たしかにイプセンとか,チェーホフの戯曲から,始める方がわかり易い。『人形の家』も,『かもめ』も,歴史的に残った有名な戯曲が存在するからだ。この考えでやっていると,どうしても,文学表現=ドラマになる。
ドラマというのは,太陽の最後に一片が,水平線のかなたに消えていくのを見るようなときに,ドラマチックというような使い方をする。感動を表現するときに使う。ドラマは,上演されたもの,パフォーマンスの一形態である。
アリストテレス的にいうと,ドラマは,ある状況になるきっかけがあって,その状況が展開し,終わりが来る。この中に,お話を関連づける筋としての,プロットが機能する。戯曲にならない,テクストはまだ完成されていない。
ドラマ構造が,ドラマとして立ち上がるためには,演出がある。これを,場面の中に置く,というフランスで,ミザンセーヌということばを使うことがある。
(Mise en scene,mettreは置くの動詞)。
『ゴドーを待ちながら』という作品では,ドラマとして変化していく感じが欠落している。アクションへの期待は残っている。反ドラマ的な作品は,現代人の人生に対する感じ方を象徴するような問題提起となっている。
始まって,終わるとは,何?「状況」という観点から,アリストテレス的説明では,始めとは,何かがそれに続いていくこと。逆に,終わりとは,そのあとに,もはや何も続かないことである。
『葉っぱのフレディ』では,春になって,「フレディ」は生まれる。そこから,物語は始まる。しかし,さしたるドラマチックな展開,プロットはまったくない。で,時が来て,秋から冬になって,枯葉となって消滅して,終わる。
場面をひとつひとつ,そこに置いて考えてみると,何かがわかる。確かに,『葉っぱのフレディ』は,戯曲になっていない,テクストによるパフォーマンス的な作品にちがいない。そこに,ドラマはないが,でも,なぜかドラマチック。
葉っぱのフレディ ―いのちの旅ー
株式会社ステージドア
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2014/09/06 (土) ~ 2014/09/06 (土)公演終了
満足度★★★★★
葉っばのフレディ、七回め達成(^-^)v
葉っばのフレディは、東京で四回。蒲郡市 で、一回。そして、横浜で二回。以上、七 回観劇した。同じものを七回も観るのはむ だかもしれない。
される。あ、フレディがこけた! あやうし。
最終回は、クリスとメアリーのナンバーに 魅せられた。
。とりわけ、メアリー、クレア、フレディ のトリオが素晴らしい。いずれも負けてい ない。十分な声量で重なるので、絶妙だっ た。
ほかにも、ダニエルの声もよく聴こえた。 意外と、小鳥がかわいいわりに、歌上手な のかもしれない。音楽をとても大切にする ミュージカルで、たくさん聴くと心にしみ て来る。ふたたび、同じナンバーを聴きた いと思う。
ゆうなっち、は子役をそつなくこなす天才 だったのだろう。成人する頃には、地方に 眠っていた才色兼備の女優が上京する戦国 時代に、生き残っていけるだろうか。マル チに活躍の場所を求めていってほしいもの だ。
葉っぱのフレディ ―いのちの旅ー
株式会社ステージドア
KAAT神奈川芸術劇場・ホール(神奈川県)
2014/09/06 (土) ~ 2014/09/06 (土)公演終了
満足度★★★★★
神奈川芸術劇場は、わ関内?
ゆうなっち、はダンスの切れが非常に完成 されている。東京公演でも、愛知公演でも 、非常に安定感があった。たぶん、千葉子 どものミュージカルでの主役とか、氷川丸 での主役の子役で度胸がついたのだろう。
畑すみれ、は二度フレディを拝見した。舞 台慣れしているが、やはり歌が上手だと思 う。
Nicky
ミュージカル座
光が丘IMAホール(東京都)
2014/08/19 (火) ~ 2014/08/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
『演劇論の変貌』の中で位置づけられるミュージカル『ニッキー』ほか。
『演劇論の変貌』の中で位置づけられるミュージカル『ニッキー』ほか。
『演劇論の変貌』という本の序で,毛利三弥氏は,われわれが日常的に楽しんでいる演劇について,大学ではどう研究されているか,説明している。
世界で最初の,演劇学科は,1923年に,ベルリン大学で設立された。このときまで研究者は,文学科の中にいて,ドラマ研究をしていた。演劇研究の中心は,テキストである「文学」ではなく,上演されたものでなくてはならない。
しかし,舞台表現は,完成と同時に消滅する。過去の舞台表現を再現することはできないのだ。演劇学科が出現する頃には,「演出家」の台頭というものがある。演出そのものの定義があいまいだが,それ以前にも,座長演出みたいなものはあったようだ。スタニスラフスキーなどは,役者兼演出だった。
文学テキストとしての戯曲が,読むだけでは想像できない舞台になる。そのとき,演劇は,文学の領域を飛び出してしまう。確かに,イプセンの戯曲を何度も読んでいるので気がつく。実際に目の前で上演されたものは,戯曲を読めばさらに理解が深まる。しかし,そうでない作品は,どこかぼやってとしている。
パフォーマンスということばは,大道芸みたいなものをイメージするだろうか。このパフォーマンス(performance)という言葉が,演劇・音楽・ダンスなどを総称して呼ぶうちに,いろいろな使い方がされ,キーワードに利用された。パフォーマティヴィティ(performativity)と抽象名詞化していく。
新しい演劇・ミュージカルの傾向には,いろいろな特徴がある。工業資本による娯楽性付加には,「お話」が重要で,保守的と思われるドラマ回帰が目立つ。(『ニッキー』みたいなものでしょうか?)。異文化接触上演intercultural performance(『ライオン・キング』が該当するかもしれません)。
先端テクノロジーに依存する舞台表現。これは,何を言っているのか。『ミス・サイゴン』で,ヘリコプターが飛ぶような仕掛けのことでしょうか。演劇よりダンス,あるいは,ダンステアターに,現代的前衛上演のあり方を求めている風潮。例えば,『葉っぱのフレディ』も『ココ・スマイル』もそうですね。一番すごかったのは,やっぱり,『ニッキー』でしょうか。
『演劇論の変貌』の一著者は,演劇の上演的側面をいかに美学的にとらえるかが,関心の中心となってしまう。ということは,論理的な問題,ストーリーは,二次的に観て良い,演劇・ミュージカルもあるということでしょうか。ただ,ストーリーも,大事なのだと私は思うのですが。
夏色のマイソング
ジョーズカンパニー
吉祥寺シアター(東京都)
2014/08/15 (金) ~ 2014/08/24 (日)公演終了
満足度★★★★★
ココ役、内田夏音、かのたんがすごい♪
吉祥寺シアターに、到着したら、30分が経 過していた。まあ、最初は、説明的部分で 、昨日も見たからいいか。今日は、昨日よ り、ダンスと歌が非常に良く感じた。
ミュージカルは、施設で育てられた姉妹が 、ドラマチックな再会を果たすというもの 。ここのところに、みんなの気持ちが集ま ると、なんだか納得する。ここまでが、辛 抱だ。
ダンスについては、良く観察すると、格段 に上手な例に気がつくことがある。あちこ ちで、実践を踏んでいるのか、バレエなど の基礎が違うのか、理由は良くわからない 。
観るたびに、だんだん良くなっているよう に思う。赤坂劇場で、歌が上手だったかの たんは、やっぱり少し出来が違う。なにに しても、聴かせるかのたんのソロが印象的 だった。歌上手かのたんは、健在だった。
ライオンキング【東京】【2023年1月22日昼公演中止】
劇団四季
四季劇場 [春](東京都)
2000/01/01 (土) ~ 2016/05/28 (土)公演終了
満足度★★★★★
楽しい時間をありがとう、菅野花音
ライオンキングは、有名過ぎるので、敬遠 していた。しかし、劇団四季のレパートリ ーのなかでも、秀逸なものだと感じた。誰 が見ても、面白いし、かつ感動できるとい える。
叔父さんにだまされた話は、劇の中で良く あると思う。おじさんは、叔父で結婚もで きず、子どももいないから、暗い。兄が優 秀で、比較されて、いじけてゆくものだ。
シンバとナラは、悪役を憎んでボコボコに しなくてはならない。ミュージカルだから 、ストーリーはシンプルな方がいい。高ら かに、王位奪還は完成する。
これに対し、コリオレイナスとか、オセロ は悲惨だ。勝ち誇ったはずの主役が挫折し て、終わる。やっぱり、ときどきは正義が 勝つ作品を見たいものだ。
PS.
本橋哲也さんの本による。舞台版ミュージカル『ライオン・キング』の原作は,1994年制作の,ディズニーのアニメーション映画。確かに,今回の観劇で,なにかに雰囲気が似ていることに,気がついた。そうだ,アニメ映画の展開とそっくりなのだ。映画作品は,アカデミー賞などもゲットした。
劇団四季の売店ではCDを購入した。そこには,エルトン・ジョンの名前がある。南アフリカの音楽家も共作しているようだ。アフリカ音楽といえば,モリカンテの曲が有名だ。何度も聴くと,リズミカルであり,センセーショナルだ。今回,『ライオン・キング』は,アフリカンの音楽に圧倒された。
劇団四季では,『オペラ座の怪人』でのその音楽が素晴らしかったという体験がある。やはり,ミュージカルは,ストーリーで観るものでなく,ナンバーの魅力に感動すべきものなのだろう。そういう意味では,フル・オーケストラというわけではなかったけど,結構楽しめた。すごかった。
アフリカン・ミュージックというのは,私の印象では,バラードみたいなものじゃない。魂をゆり動かし,生命の躍動を喜ぶ,ドラムによる単調なメロディに特徴があると思う。音楽というのは,ときには,単純な繰り返しが,身体の中にしみこんでいくようなことがある。そのとき,音楽に魅せられる。
http://jp.youtube.com/watch?v=cIUD1Z3pU1g&feature=related
ほかに,音楽と並んで,ダンスの素晴らしさがある。ダンスは,一番身近なものになっているが,その源は,どういうものか,あまり研究されていない。私は,バレエの歴史に少しヒントを感じる。オペラの影的な存在だったが,バレエもまた,チャイコフスキーなどによって,一世を風靡し,地位を向上した。
人間が,人間の舞踏を素朴に楽しむということは,大事なことだろう。クシェシンスカヤは,バレエにおいては,音楽の方が目立ってしまった「クラシック・バレエ」でなかった,『ラ・シルフィールド』とか,『ジゼル』など,芝居部分が魅力的な時代を懐かしむ。高く評価する。だとすると,ミュージカルも同じ。
『ライオン・キング』は,総合芸術的に観て,たいへん興味深い。
夏色のマイソング
ジョーズカンパニー
吉祥寺シアター(東京都)
2014/08/15 (金) ~ 2014/08/24 (日)公演終了
満足度★★★★
演劇の見方を学べる舞台
ここの演劇は、何度か見ているが、結構お となの展開だ。だから、小さな子どもには 少し難しいように思う。これには、主催者 側が、演技とうものは、かくあるべきとの 信念があるのだ、と思う。
ひとり演出家兼プロの男優が、はいると子 どもたらけの芝居が一気にレベルアップす る。これは、いつも思うことだ。たぶん、 彼は、同じ舞台にさりげなく溶け込み、演 技のなんたるかを伝承しているのだろう。
場所も、いつもの下北沢駅周辺の猥雑な小 劇場から、おしゃれな吉祥寺駅ちかくの中 ホールだったが人気があるからいっぱいに なっていた。たぶん、子どものミュージカ ルとしては、わが道をゆく貴重な演劇なの だと思う。
最初は、退屈な演劇だと思うことも多かっ たのだけれど、それは、観るべきものが見 えてなかっただけで、私の頭がいかに空っ ぽだったか痛感する。みたいものだけ見る と、えてして、こんな結果になる。
アンケートなど回収しなくても、彼には自 分の作品がどう見えるか、たぶんわかって いるのだろう。役者になるときは、弟子入 りしたい人物だ。
補足意見
『ココ・スマイル7:夏色のマイソング』について
ジョーズカンパニーの企画は,何度か観ている。ほとんど,二チームとも観たと思う。下北沢では,「楽園」のときと,「小劇場」のときがあった。横浜では,「相鉄」で観た。ストーリーが印象に残っているのは,水泳部の話だった。水着が試合直前に消えたのが,実は,屈折した選手が自作自演での芝居だった,といったものだった。これは,なかなかおもしろかった。今回も,ストーリーでは,素晴らしいものだった。
ジョーズカンパニーの企画は,プロの役者に混じって,少女たちの出番があるようなものではないので,どうしても「仕上がり」は,弱いところがある。しかし,子どもたちのミュージカルなのだから,ときには,ほとんど自分たちだけでできる芝居もあって良い。ストレート・プレーの部分が続くと,鍛えられた役者ではないので,間の取り方,感情のこめかた,声の大きさ,など欠点は目立つ。でも,仕方ないことだ。
毎回,話の内容を変えることは立派だと思う。離れ離れになった姉妹・兄弟が,再会するという話は,シェークスピア演劇にも出て来る。最近観たものでは,『十二夜』で,妹は,男の恰好をして,双子の兄を探している。最後は,奇跡的にもう一度出会えたことを喜んで幕となる。良いお芝居だった。内容は,まるでちがうが,幼い頃楽しく遊び,喧嘩した相手が,数年の時を経て,突然目の前に現れる設定は似ている。
演劇の演劇たる「定義」は,劇の文字にヒントがある。劇という漢字を分解して,金八先生になって解説すると,トラと,イノシシの字が見える。となりに,キバを意味する部分があるから,敵対する人物が,激しくぶつかりあうものとなる。だから,そういう意味では,ジョーズカンパニーの企画は,全体的に静かだ。事件らしい事件もない,その中で,地主が土地を売りとばす窮地に,とけこんでいく,チェーホフ的演劇かもしれない。
演技がへたくそで,あまり伝わらなかったのかもしれないが,同じ船に乗ることになった二組の背景は悩み深いものがあったと思う。成績優秀で,すぐに,そろばんでもやってみましょうか,ということくらいしか,「かくし芸」がない進学塾チム。また,ボランティア活動中の「きずな」チームは,世間さまに,自分たちの施設生活をなるべく隠したい,そういう屈折した気持ちがある。どちらも,明るくない。
(だから,演劇としては,二つの団体が,もっと,もっと,ぶつかりあう方がいいのかもしれない。進学チームは,「きずな」チームをバカにする。しかし,船での生活一般では,むしろ,彼らに教えられる。しかし,島に上陸して,別の知識では,その逆の状態になり,進学チームは,「きずな」を助ける。だんだんと,その距離が縮まり,意気投合しお互いの良さに気がついていく・・・と,勝手に脚本をかえる)
でも,そのようなメンバーが,たどたどしいセリフを掛け合いながら,やがて,どっちでも良かった宝さがしも忘れて,『十二夜』的結末に喜び,涙する。そこで,進学塾連中も,施設の家の子どもも,ひとつになって,ダンスに夢中になり,主題歌をせいいっぱい歌う。良い演劇だと思う。下北沢では,ダンスをすると,「けり」が飛び,「あせ」が舞ってきそうだが,吉祥寺シアターの広さは,ゆったりとしてのびのびとしていた。楽しかった。
ご来場ありがとうございました♪ ミュージカル「ニッキー」
ミュージカル座
光が丘IMAホール(東京都)
2014/08/19 (火) ~ 2014/08/24 (日)公演終了
満足度★★★★
楽しい時間をありがとう
子どもと、おとなが雷のショックで見事に いれかわる。少女は、雨の思い出は、あま り良くないのだ。心も、身体もいれかわっ たついでに少女の苦しみはおやじのストレ スになった。
ありえない展開なのだが、このすれ違いを 説明しながら、歌い踊る。なんとなく、納 得する。二人のしぐさ、表情が笑える。ひ とが、うろたえ困った風景は、ひとごとだ と笑える。
全体としては、非常に元気があって良い。 子どもをあずけて、ハチャメチャなドレス アップは、正直お婆ちゃんには見せられな い。少しはめをはずし過ぎる演出かと感じ た。
ただ、この手の演劇では、痛快に面白い。 何人かのギャグに強いプロが場を引き締め ていることによると思った。この点、おと なのすけだちは、子どもの演技とかみあっ てもいたのだ。
最後は、それでもしんみりと、泣かせてく れた。これは、良くできている。