満足度★★★★
順調にみえるひとの人生だって
ヘレーネは、男運がない女である。遊び過ぎた夫は死ぬ前には、からだかボロボロだったのだ。そんな苦労も知らない牧師は、妻の不寛容をずっと責めて来た。
夫は、メイドに子どもを産ませ、その子はまわり回って美しい娘に育ち、もう一度忌まわしい家で精神薄弱な一人息子と恋に落ちる。じつは、兄妹の関係なのに。
頭の少しおかしなバカ息子だが、どうやら父親の遺伝が原因らしい。どこにも救いらしい救いはない。ただ、ひとつ人生の償いに建てた孤児院も放火か失火で消えた。
比較的順調にみえるひとの人生だって、最後には悲しい結末が必ず来る。むしろ、ヘレーネのような苦境に人は結構あっているやもしれない。ただ表面化しないのだ。