udonの観てきた!クチコミ一覧

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ぼくらの90分間戦争

ぼくらの90分間戦争

企画演劇集団ボクラ団義

in→dependent theatre 2nd(大阪府)

2018/01/19 (金) ~ 2018/01/21 (日)公演終了

満足度★★

鑑賞日2018/01/19 (金) 19:00

この作品には「見方」があるのだと思う。アングルというか。
漫然と舞台上を眺めているだけだと本当に何も残らない。

たとえばダイハードやハリーポッターのようなハリウッド娯楽大作を見に行ったつもりがフランス映画だった、みたいな話であって。それはフランス映画がハリウッドに劣ることを意味しない。この比喩わかりづれえな。。

それでも10年やってきたのは大したことですよ。
奇跡です。我々は奇跡を目の当たりにしているのです。

劇団メンバーだけで動員2,000人達成おめでとう。

ネタバレBOX

そもそも誰向けの公演か、というところから深読みすべきなのかもしれない。
ここの団体が常々標榜していた「すべてはお客様のために」という(観客側からすれば「そりゃそうだろ」と思うが)キャッチフレーズを今回は一切言っていない。たぶん。

思うに、ボクラ団義が今までやってきた作品は、単純にこういう本が書けたからやってみようではなくて、その時、そのキャストで上演する明確な意味、位置づけがあった。個々の作品が「自分たちはこんなこともできる」というショーケース、ポートフォリオの役割も果たしてきた。

観客との関係構築という点においてあれほど貪欲かつクレバーな彼らが、何の考えもなく今このタイミングで最大の武器であるエンタメ要素をここまで削ぎ落とした作品をやるだろうか。

とある俳優さんが言っていた「いかに上質なものであってもエンタメ作品は演劇界では評価されにくい」という言葉を思い出す。

役者の「地の芝居力」だけを抽出して見せる本作品は、一般の観客向けエンターテイメントというよりは、役者仲間やスタッフといった内輪向けアピールという意味合いが強いのではないか。
はなから10周年おめでとう!ワーみんなで楽しもう!という点をねらっていない。

そう考えていくと、関係者限定公演もヒントのひとつ。
俳優(過去と未来のゲスト)や演劇界(≒個々のメンバーの客演先)へのアプローチは、一般の観客に対するそれと同じではない。
過去の客演さんとの関係を良好に保つことも前へ進む原動力になる。

そんなようなわけで、今回10周年20作品目だしちょっと変わったのやってみよっか、という明確な意思に基づいて今作の上演が決まったのではないかな。
そんかわり小さい劇場でロングラン公演、イベントもたくさんやるからそっちで楽しんで!というメッセージに違いない。

でも、そろそろわかりやすくて明るい話が観たいよね。外部脚本提供作品じゃなくてボクラ団義本体でね!
ぼくらの90分間戦争

ぼくらの90分間戦争

企画演劇集団ボクラ団義

阿佐ヶ谷アルシェ(東京都)

2017/12/20 (水) ~ 2017/12/23 (土)公演終了

満足度

ボクラ団義らしさがまったく感じられない、かなり特殊な作品。

ネタバレBOX

ダンス、殺陣、笑いといったエンターテイメント要素を完全に排除している。
持っている武器をすべて投げ捨てた丸腰の会話劇。

既存のファンでも「誤人」が好きなら、あるいは…
飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ

飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ

企画演劇集団ボクラ団義

吉祥寺シアター(東京都)

2017/04/04 (火) ~ 2017/04/16 (日)公演終了

満足度★★★

鑑賞日2017/04/06 (木) 13:30

ロジカルを超えてテクニカルすぎる。

時代ものが難しいのは、まず通説となっている前提を説明した上で、でもこの作品内ではこういうことだったという話なんだよ〜と二階建てになる部分。歴史好き以外にはその一階目の土台が固まる前に二階を建て始めることになる。
ボクラ団義の過去作品で言うと、たとえば「忍ぶ阿呆」あたりをあっさり飲み込める人なら一回で楽しめるかも 。

とはいえ、今回は劇団メンバーに見せ場が多くてよい。
できる人がいるんだから。

衣装と照明がきれいだった。

SUBLIMATION-水の記憶-

SUBLIMATION-水の記憶-

護送撃団方式

萬劇場(東京都)

2017/02/15 (水) ~ 2017/02/19 (日)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/02/15 (水)

価格3,800円

いい作品だと思います。
いろんな面で過不足がないというか。
唯一、セットが凝ったつくりになっている分、舞台がせまく感じた程度。
初日ちょっとセリフトチリが多かったかも?

表のヒロインは時田愛梨さんなのですが、こいつがただのヒロインじゃない。
そして本間理紗さんがアナザーヒロインでした。
出番自体が多いわけじゃないけど物語のキー的な意味で。
美しいし。

全体的に女性キャストの圧、熱が高め?男性やや押され気味。がんばれ。

前作同様、ダンサーチームがかっこよかったです。
ただ出てきてダンスだけじゃなくて物語にしっかりと食い込んでるあたりとか。

この下に「舞台を初めて観る方に」というタブがあるのですが、これは人を選ぶかも。好きな人はドはまりしそうな反面だめな人もいそう。
最初の出会いって大事ですよね。

ネタバレBOX

福地さん、某ボクラ団義の久保田さんの影響ちょっと受けてるかな?
まあマネとかではなくて手法の一部要素を取り込んでみたという感じだし、観てる方はおもしろいから何の文句もないです。逆もあるでしょうしね。
憑依だよ!栗山ハルコさん!

憑依だよ!栗山ハルコさん!

ホットポットクッキング

赤坂RED/THEATER(東京都)

2017/01/13 (金) ~ 2017/01/19 (木)公演終了

満足度★★★★

鑑賞日2017/01/17 (火)

価格6,000円

まずメインのキャスト4人、元アイドル?現アイドルかはともかく必要十分な女優っぷりでした。期待以上。
もう一人、期待以上だったのがサイコ野郎・福地教光!急に歌い出すミュージカル演出もシュールさとシリアスさのバランスが絶妙で違和感なかった。すごい技術力と雰囲気を併せ持った役者さんですね。並の役者では陳腐なキャラクターになりがちな役どころを魅力的に演じきっていたと思います。

平山空は普段やらないような役ばかり5役?も見られて若干混乱しましたが満足。安定感と爆発力が同居している不思議な状態。アイドル三人組の二人はまだ経験豊富とは言い難く、その分この人がキャリアに裏付けられた確かな力量で組み立て支えていました。

実はまだPMC野郎を観たことがなく、初めての吹原作品だったのですが役者のパワーに本が負けてる感じがしました。
憑依というシステムにもうちょっとおもしろい使い方があったんじゃないかと、あと、もうちょっと「精密な話」に詰めようがあったんじゃないかなと思いました。

キャストの使い回しというか、本役ではないがモブ以上、というシーンが多々あったので、そういうの慣れてないと混乱するかも。

チケットの券種と発売時期、購入方法がよくわからず気づいたらA席しか残ってなかった。Confettiはいちいち細かく何重にも手数料を取るのでできればあまり利用したくないなぁ。

Re:call

Re:call

d-contents

ザ・ポケット(東京都)

2017/01/25 (水) ~ 2017/01/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

鑑賞日2017/01/25 (水)

すばらしかった。
どれだけ語彙を尽くして書いたところで陳腐な感想にしかならないのであきらめました。
とにかくすごかった。

ひとつだけ。
高田淳、竹石悟朗はじめキャストの技術力がきわめて高く、むらがない。そして稽古場から作られてきたであろう座組力。
2017年現在この規模の劇場で観られる演劇として最高水準ではないでしょうか。

あ、あとこのプロデューサーはいい仕事します。
今度はDVD遅れないといいですね。

今だけが 戻らない

今だけが 戻らない

企画演劇集団ボクラ団義

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2016/11/16 (水) ~ 2016/11/23 (水)公演終了

満足度★★★★★

真骨頂にして金字塔
現代劇+サスペンス。
ボクラ団義の歴史に新たなマイルストーンを打ち立てたと思う。

ネタバレBOX

「嘘つきたちの唄」との関連性について。
相川、瀬戸沼、羽田のそれぞれ2010年以前と2016年現在の説明がつく。

相川は自らの出自について調べるべく「捜査の第一線」から当時閑職とされていた特命捜査対策室へ異動する。2010年時点で32歳、警視。ということはキャリア。そして神谷雪子をめぐる事件の全容(中原耕介が実父であることを除いて)を知り、これ以上は特命捜査対策室にいる理由がないと判断したのか捜査一課の管理官、つまり「現在の事件」を捜査する第一線へ復帰する。

瀬戸沼は2006年の事件で婚約者である町田一花を失う。2010年の時点で特命捜査対策室へ「自らの意思で」異動してきたのは、その事件を風化させまいとする思いからであると推測できる。2016年時点でも特命に残っているのは、この事件が依然未解決だからだろう。

羽田成太は2010年時点で「第一線から飛ばされてきた」と語っているが2016年では見事に捜査一課殺人係に返り咲いている。

単に過去作品のキャラクターを使い回すだけでなく、その過去の作品の見方まで変わるような新たな視点を提示される、ある意味マニアックな設定であった。
今だけが 戻らない

今だけが 戻らない

企画演劇集団ボクラ団義

CBGKシブゲキ!!(東京都)

2016/11/16 (水) ~ 2016/11/23 (水)公演終了

満足度★★★★

どこへ行くかわからない
ボクラ団義の見せ方に慣れてきたのか、近年の作品にしてはわかりやすいと思う。ただ、万人にとってわかりやすいか、あるいは舞台作品として正攻法かというとそうではない。独自の見せ方を開拓・追求しようという意気込みが強く感じられる。
どこへ向かっているのかはわからないが、いつのまにかとてつもないところに連れて行かれそうな予感はする。
ただし映像化したら安っぽいサスペンス短編になってしまいそうな危うさと隣り合わせ。具体的には田中彪がギャーギャーうるさい。

久保田作品の中でもやはりホームであるボクラ団義の本公演は「やりすぎ」の傾向にあると思う。「レプリカ」や「バック トゥ・ザ・舞台袖」のように観る側からしてちょうどいい力加減のものが観たい。

「嘘つきたちの唄」と世界が一部つながっているのはおもしろいと思った。
事前に役名が公開されている相川理恵、瀬戸沼陽はもう完全にあの相川と瀬戸沼。スピンオフ感覚。
平山空演じる相川は相変わらず知的でタフな女性。こういうキャラクターの描き方と演じ方は本当に素晴らしい。
あと歌。なんだこの急に降って沸いたようなボーナスゲーム的な要素は。脊髄がゾクゾクするほどいい。

宮島小百合が大暴れで、それだけでも見る価値がある。

ネタバレBOX

やりすぎ感あふれているわりにバランスがよすぎる?
「鏡に映らない女 記憶に残らない男」ほど鮮やかな展開には感じず、ダークヒロイン水月沙矢ほどのリアリティと魅力を感じなかった。
「遠慮がちな殺人鬼」ほどの深い情念も感じない。
「シカク」ほどの重苦しい緊張感もない。
「ゴーストライターズ」や「さよならの唄(祝!再演)」ほどの怒涛の伏線回収に伴う快感もない。

また、一人一人の命が奪われていく描写が、どうしても複数の「事実」を何回も観客に提示する形になるため、何が「真実」なのかを含めてインパクトが弱まってしまっているかも。

人間の記憶や意識をいじれる装置は前作「十七人の侍」にも近いものがあったし、PocketSheepS「あの日はライオンが咲いていた」「100人のタナカ!」でも扱われた題材なのでちょっとトレンドを逃した感もある。
100人のタナカ!

100人のタナカ!

PocketSheepS

TACCS1179(東京都)

2016/10/13 (木) ~ 2016/10/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

もっとおもしろくできる余地あり!
ちょっと脂っこくなった感はあるものの楽しめた。
観る人によってポケシらしいとも言えるし、いつものやつという感じもする。

三十路人妻女優・和泉奈々が八面六臂の大活躍。
さすが狂犬バレリーナ、動きがいちいちサマになっている。
「え?」「あ。」みたいな一瞬の顔芸?も、なかなかできる人いないと思う。「双鱗姫」の羽斗海(ハト)を彷彿とさせる。

全体に劇団員やほぼ常連メンバーの力量が目立った。
ポケシはこの3作ぐらいでキャスティングという意味で一皮むけた感がある。象徴的なのは小泉匠久の配置と使い方。今回かっこよかったしやってる方も楽しかったのではないかと思う。

高津はる菜(高津春希)はシュッとした立ち姿が美しく、ちょっと前の少年役が似合うイメージとは別人のよう。それほど抜群の美人というほどではないかもしれないが(失礼)声の使い方の上手さとあいまって舞台上で輝くタイプ。
よく見るとちょっとムチっとしているのも愛嬌があってよし。

岡部裕樹との対照がもうちょっとハッキリしていてもよかったかも。

今回初参加の大石歩佳は大物の予感がする。
クマのプー太郎に出てきたカラオケザルを思い出した。

あとポケシはいつも音がいい。
ほとんどの人にとっては不満がないのが普通のことなのかもしれないが、明瞭かつ音量、音圧感、音場感が絶妙。

杏梨とタナカがあそこまでやっておいてラストの展開は唐突というかちょっと好みが分かれるかなぁ。
もっとわかりやすいハッピーエンドが見たかった。

以下ダメ出し。
全編通して出ハケが多くて少し疲れる。
相変わらず「会社」の描写にリアリティがないのはあきらめた。
2つ前の公演「あの日はライオンが咲いていた(再)」のDVDが売り切れで買えなかったのか心残り。

バックトゥ・ザ・舞台袖

バックトゥ・ザ・舞台袖

ENG

シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)

2016/09/23 (金) ~ 2016/10/02 (日)公演終了

満足度★★★★★

すべてが正しく機能している奇跡
おそらく脚本の時点で相当おもしろかったんだと思う。
とにかく座組の全員が、あるいは制作のスタッフワークまで含めて自分が何をするべきかを正しく理解していればこんな奇跡が起こるのか、ということを感じさせる傑作。
どこがどうとか言い出すときりがないので省くがとにかくキャラクター、ストーリーともに過不足なくしっかりと、そして活き活きと描かれている。小劇場でこのクオリティの作品が観られることはそう多くない。とても演劇らしい演劇。

余談。
BigTreeならA席でいいや、と思って千円の差額をケチったが、客席が適度に温まっている回だと爆笑シーン直後の舞台上の音やセリフが聞こえないことが多々あった。S席にすべきだった。

ネタバレBOX

舞台監督(平山空)はツンデレだと思う。あと足袋がかわいい。
Hands Up

Hands Up

SANETTY Produce

新宿村LIVE(東京都)

2016/05/25 (水) ~ 2016/05/29 (日)公演終了

満足度★★

キャストのファンなら…
ボクラ団義の初演を観た者です。

前作Over Smileのときも思ったのですが、これ久保田唱演出とクレジットされてるの本当?名義貸しみたいなものじゃなくて?

この時期のボクラ団義の作品は怒涛の伏線回収劇というか、もうほんとにすべてのキャラクターの一挙手一投足に意味というか、物語上の「機能」があったんです。

その「機能」を理解しないまま台本通りにやってみた感じ。アテ書き的な部分も含めて。
NAOTOとDAICHIは最初っから完全にセットで扱われてるし。
バスケットボール選手、初演の竹石悟朗に比べてボールの扱いが明らかに下手。

物部と曉美(キャサリン)が戸籍上の夫婦になっている改変もよくわからなかった。
誰が演じるかに関係なく物部というキャラクターは結婚という関係を望む、あるいは受け入れるタイプとは思えないし、曉美も初演の終盤でのバカップルぶりから遡って物部に裏切られた(と感じて)自殺する展開にリアリティが見えてくるが、この二人が夫婦で、一般的な夫婦と同様に同居しているのであれば、家庭内で決着がついて自殺にまで至らない気がする。

笑いの要素も、何がおもしろいのか以前に、そこは笑いである、という「記号」が理解できていなさそうな場面が複数あった。
2012年の初演当時、前年まで首相であった菅直人の記憶が観客の中でも鮮明だったかもしれないが、今「カンナオト」と言われても。一事が万事こういった調子。

キャストの力量にもかなり差があるように思う。
物語を「ドライブできる」役者と、乗っかるのが精一杯の人がいる。

こういった事情に比べて衣装や小道具が変に派手なのがかえって「滑稽だと思わないか!」

個々のキャストを見ていくと光るものはたくさんあるので、作品そのものを楽しむよりもキャストを見に行くと思えば悪くない。悪くないが、わざわざこの作品を選んで再演した、そこで見る意味は見出せない。

これだったら広島大学演劇部が上演した「わラワレ!」の方がおもしろかった。

余談だがDVDの出来もあまり良くない。
まず全体的に音声のゲインが低すぎてセリフが聞き取れない。再生機器で、ちょっとびっくりするようなところまでボリュームを上げるか、ヘッドホンを使えばなんとか。ただし音楽が流れる部分もラインで録ってるのではなく現場のPAをマイキンクしているようで急に10倍くらいの音量が鳴る。しかも収録時点でなのかクリップしている。
セリフといえば会場PAの都合なのかもしれないが終始ディレイがかかっているように二重に聞こえて、言葉として認識しづらい。規模が同程度の、たとえば他団体の六行会ホールやCBGK!!で収録された作品では問題ないので、新宿村LIVEがよほど特異な劇場であるか収録部隊の力量不足のどちらかだろう。
もうひとつは、舞台上の位置関係において成立する場面、ミザンスとは少し違うのだが、その位置関係があえて見えないように(?)編集されている。舞台をテレビドラマのように見せようという畑違いのプロ?的な仕事。

こういうこと書くと再演そのものを否定しているとかずっとDVD見てろと言われるかもしれないが、オリジナルを踏襲する部分と新たな命を吹き込むべく改変された部分の出来、バランスが悪い。

これはあまり時間をおかずに今のボクラ団義がPlay Againで再演して作品としての意味、また再演の意味を世に問うべき。

P.S.上原真梨華を後ろから手帳でどつくシーンやってみてえー。

耳ガアルナラ蒼ニ聞ケ~龍馬ト十四人ノ志士~

耳ガアルナラ蒼ニ聞ケ~龍馬ト十四人ノ志士~

企画演劇集団ボクラ団義

HEP HALL(大阪府)

2016/07/23 (土) ~ 2016/07/25 (月)公演終了

満足度★★★★

不思議な魅力。
ボクラ団義はこの5年ぐらい全作観てますが初演に★2つをつけた者です。

なぜか初演とは全然違う作品のように思えた。
相変わらず歴史は苦手というかあまり興味がないのだが、もうそういうの関係なく楽しめた。振り切れた感じ。

これだけ強力な客演を迎えた上で、ボクラ団義のメンバーが重要なキャラクターを堂々と伸び伸びと演じているのもとてもよかった。

春原優子さん誕生日おめでとう。
糸永徹さん、今までありがとう。またどこかで会いましょう。

雁次と吾雲

雁次と吾雲

護送撃団方式

萬劇場(東京都)

2016/07/14 (木) ~ 2016/07/18 (月)公演終了

満足度★★★

何かすごいもの観た感はあるものの…
主宰の關根さん(ふりがなつけませんか)を何度か観たことがあって、ちょっといいなと思ってたので、今回初めて本家の作品を観てみました。

結論から言うと僕はあんまりピンとこなかったというか、疲れました。
想像で補完しなければいけない情報が多すぎるためでしょうか。

そもそも護送撃団方式のwebサイトから引用すると
----
観劇中、作品のメッセージを『伝える』のではなく、『渡す』。
つまり。
「お客様に作品の核心を一方的に見せず、様々な解釈の自由を持ってもらう」
「作品のメッセージを答えとして見せるのではなく、そのチラリズムを美学とする」
これらをコンセプトとした作品です。
----
ということなので、やや観る人を選ぶのかもしれません。
僕は観劇において「察しがいい」方ではないので…。

熱いとか重いとかじゃない、何か「圧が高い」感じは確実にありましたが。

ミザンスや何か含め古式騒然とした演劇らしい演劇を作ろうとしすぎ?
もうちょっとエンターテイメント性が盛り込んである方が好みです。

ダンサーチーム4人の使い方はおもしろかっこいいですね。

ごく個人的には儚くも美しいヒロイン本間理紗が何パターンも見られてよかったです。袴とブーツ。昔かっ。

よかったこと
・全席自由
・3,800円のつもりで行ったら金曜だけ3,500円だった
・アンケート記入しやすいようにバインダーが用意されてる

よくわからなかったこと
・空調の温度設定22℃

もうちょっとがんばって
・SEのタイミング
・劇場のイスが固い

ネタバレBOX

まず冒頭から世界の描写があまり丁寧でなく、重要な要素であるはずの統治体制がよくわかりません。

フライヤー(デザインはともかく読みにくい)のあらすじによれば
「-大正-
それを思わせるような、かつての日本らしき虚実混濁の世界」
ということですが、舞台上、少なくとも視覚的には確実に日本の大正デモクラシー前後を思わせます。
その世界で、国を統べていると思しき大臣?がどういった背景でその地位につき、またどんな手続きを経て(一見簡単に)交代するのか、我々が受けた教育で知っている日本の状況とは明らかに異なる。(没落貴族や「新しい法律が制定される」過程など)

これは終始キーワードとなる「自由」に大きく影響してきます。
その自由なるものが民主主義の発展あるいは「公権力が私人に干渉しない」という、時代背景を踏まえた上での社会的な意味なのか、吾雲が持ち合わせていた「魂のありよう」(これがすべての災禍の源のように思えます)なんだかよくわからない。
そしてその自由という概念の取り扱いを何かごまかされたような気分のまま物語は終盤へ。

自由は生と死の両極端にしか存在しえないのでしょうか。
吾雲は本当に自由だったのでしょうか。
雁次は、白乃は自由になれたのでしょうか。
…とは思っても、
現代に生きる我々は自由なのでしょうか。
結局のところ自由とは何なのでしょうか。
とまでは思わない、ぐらいの「メッセージを渡された」具合でした。
ツイタモチヨリ、ココロモチ

ツイタモチヨリ、ココロモチ

順風男女

G/Pit(愛知県)

2016/04/23 (土) ~ 2016/04/24 (日)公演終了

満足度★★★★★

バカ&じわじわ&シュール
おもしろかったです。
ちゃんとコントとしておもしろかったです。
そして全員女性キャストでやる意味のある作品。
脚本は11本中9本が男性の作なので、女子特有のエグさは控えめ、というか許容範囲。いいバランス。

小劇場そのものが未体験の人がまったく初見でも楽しめると思います。

バカバカしいやつ、じわじわくるやつ、シュールなやつ、シュールすぎるやつ。
そういう女子パワーに満ちあふれた1時間40分でした。

ネタバレBOX

本間さんのスリッパがかわいかったです。
誤人(ごにん)

誤人(ごにん)

企画演劇集団ボクラ団義

シアターKASSAI【閉館】(東京都)

2016/03/23 (水) ~ 2016/04/03 (日)公演終了

満足度★★★★

観る方も真剣勝負だ。
実質★5つ。
(変な信念により、ボクラ団義の公演には★5つつけない者です)
ただし複数回観劇が前提。一回だと★3つ。
やはりテクニカル。ロジカル会話劇。正直昼夜連続で観るのはかなり精神的にきついと思う。

極めて大ざっぱなプロットは、嘘つきたちの唄+遠慮がちな殺人鬼+時をかける206号室といった趣。

前作「十七人の侍」のとき外部出演していた大神拓哉が帰ってきた!という感じがバリバリ感じられる。
個々の役者が確固たる技術を持っていると確信できる出来。

今回また客演も豪華なのだが、フライヤーの4人すべて劇団メンバーなのがとてもよい。願わくば糸永、高橋、内田、中村も出演してほしかった。

個人的ベストキャスト
大音文子(金曜日の女)
福田智行
松嶋沙耶香
大友歩

本編終演後のイベント等、集客(動員)への努力とホスピタリティに関しては、なかなかここにかなう団体はないと思う。

Over Smile

Over Smile

SANETTY Produce

新宿村LIVE(東京都)

2016/02/10 (水) ~ 2016/02/15 (月)公演終了

満足度★★

どうしても期待と違う部分だけが目についてしまう
あのさ、肉じゃがという料理がどうやってできたか知ってる?
旧日本海軍の士官がイギリス留学中に食べたビーフシチューに感銘を受けて、帰国後に軍の料理長に「なんかこんな材料でおいしかったんで同じようなもの作れない?」という無茶ブリしたらその料理長ががんばっちゃってできあがったものらしい。(諸説あり)

まわりくどいけどそういうこと。

たとえば洋食屋さんでシチュー注文して肉じゃがが出てきたらどう思います?という話。
初めから定食屋さんで肉じゃが食べようと思ってたんだったらそりゃまあそれなりに期待通りかもしれないけど。僕は洋食屋さんだと思って入っちゃったんですね。そこがこのバージョンについてそれほどでもないかなぁと思った根本的な原因のように思えるのです。

全体的に説明が丁寧になってて一見で理解しやすいのと、部分的に光るものはたくさんありました。

竹石悟朗、平山空、高橋明日香、門野翔といった個人的におなじみの役者さんは気を吐いていた、というか彼らがいなかったらどうなっていたのか想像がつかないくらいの活躍っぷり。日程の都合で齋藤彩夏が観られなかったのは残念。

悟朗ちゃんの「間違いなく本物のOverSmileです」は確かに嘘ではないのですが、それが本物であるが故に別物でもあるということを強く感じました。

神林さんの映像も普通かな。クレジットが出るまで神林さんだと思わなかった、ぐらい普通。

同プロデュース第三回公演"Hands Up"への期待も微妙。。。

まあ僕はガンダムも最初のやつしかわかんなくて後のは全部蛇足だと思ってるタイプなので、こういう厄介なファンもいるということです。

ネタバレBOX

ボクラ団義の初演をこよなく愛する者としてはいろんなところに違和感を覚えました。
まずオウ・レイが優しすぎる。
診療所で目をさましたくだりからドクトルタカマツと普通に話し合いが成立している。敵や裏切り者は見つけ次第殺す、闘うことしか知らずに生きてきた凶暴さが感じられない。

対するスーちゃん。終盤で一言だけ声を出して話すんだよ。

声を出して話すんだよ!?

「小鳥のような声だった」じゃねえよ、さっき聞いたよその肉声をよ。
これもう元作品のコンセプト全否定でしょう。足立梨花に土下座して詫びるべき。フォンチーは、…まあいいや。

世界の一番はじっこ、それぞれ両極端にいるレイとスーを通して描かれる、人類普遍の魂の救済の物語なんだよオバスマは!それをテレビ局が作る映画みたいにこぢんまりとまとめちゃダメだよ。
個々のキャラクター、場面、ディテールにどれだけこだわったかじゃない。

まだある。
メアリーとドナルドのポートボールは、あれは初演メアリー野元愛の特技がドッジボールという文脈があったりとか、ミズーリの声のくだりも、あれはボクラ団義版の初演・再演ともに齋藤彩夏だから説得力のある遊びだったのであって、そのへんが共有できてなければただの使い回しでしかない。

メインテーマ音楽もオリジナルのEskju Divineに中途半端に似たオリジナルで、これはどうだろう…
レプリカ

レプリカ

d-contents

笹塚ファクトリー(東京都)

2016/01/13 (水) ~ 2016/01/17 (日)公演終了

満足度★★★★★

久保田唱クラシックス。
2016年の観劇初め。

久保田氏がハタチそこそこで書いたもの、しかも自らが主宰するボクラ団義では上演したことがない作品。
この人ほんとどうなってんだ…。
若いというより幼さすら感じさせる世界観。そう、世界ではなく世界観。近年の作品ほどテクニカルでなく、凝りに凝ったつくりではない。その分メッセージ性がはっきりしている。

それを2016年の技術と制作力で作品に仕上げたキャスト陣もすばらしい。
去年、とあるプロデュース公演でキャストが強力な作品を観たときに、全員がエースで四番なら自動的に強力な作品が出来上がるわけではないということを学んだ。今回これだけ強力なキャストで強力な作品を作り上げたのは決して順当なことではなくて、むしろ奇跡の類かもしれない。プロデューサー佐藤修幸氏を称賛すべきか。

そこに観客が参加して最終的に完成形をみる。
これは間違いなく劇場で観ることに最大の価値がある作品。

精神的にはかなりタフな作品なので覚悟して臨め!

ネタバレBOX

個別に挙げていったらきりがないが吉田宗洋、加藤凛太郎が特に良かった。沖野・竹石のボクラ団義ツートップ(同い年!)に関しては言うまでもなく圧巻。高田淳+中野裕理はブラックジャックとピノコ?
木本夕貴の「明日言って!」とかおれにはあんな青春時代なかったぞ男子高だったし!!

唯一、白井那奈だけ微妙に異物感があった。「ハイスクールミレニアム2015」はとてもよかったので、彼女自身に何か過不足があるということではなく、座組とのマッチングという意味で。(唯一の平成生まれ?)
ハイスクールミレニアム2015

ハイスクールミレニアム2015

アリスインプロジェクト

六行会ホール(東京都)

2015/12/16 (水) ~ 2015/12/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

大体知ってるのに笑える、わかってるのに泣ける。
書きたいことがありすぎてまとまりません。
とにかくいい作品です。
見目麗しいお嬢ちゃんを愛でるのもいいですが演劇としてちゃんと骨太なものが出来上がっています。

善くも悪くも今のボクラ団義にはないものがここにあります。

流星降る夜に

流星降る夜に

ステビアトウキョウプランニング

ウッディシアター中目黒(東京都)

2015/10/08 (木) ~ 2015/10/12 (月)公演終了

満足度★★★★

普遍的な物語
美人の二の腕にもBCGの痕あるんだなぁ。

という戯言は置いといて、客入れBGMがメタルメドレーだったところから好印象。

まず「星空のきれいな田舎の村」以外、時代設定を明確にしない普遍性が◎。スマホはおろかけーたいもテレビもラジオも出てこない、夏祭があるってだけで日本かどうかもわからない。1995年に上演されても2030年に上演されても違和感ない、その意味がある作品。
(「電車」は「よく遅れる」世界?)

でもそこは演出・演技の古臭さと紙一重というか表裏一体でもあって、演劇とはこういうものだ、みたいな、舞台で演技そのものを見せることへの拘泥からはそろそろ抜け出てもいいんじゃないでしょうか。
役者さんの巧拙はあるけどそれを目立たせないような上手さもありました。ひとつだけ、大きな声を出すシーンが多いのですが、この「大きな声」がワンパターンというか一種類しかなくてうるさく感じることがありました。

あとよかったのが照明。
光が鋭く硬い印象を受けるLEDが多用される傾向にあるなかで、旧来の機材を用いた柔らかい光が作品にマッチしていたと思います。

もうひとつ、劇場のイスが快適で舞台に集中できた。これ非常に重要。
視点から舞台が少し高めなのでそれなりに死角もありましたが。

当日パンフがちょっと雑かな。。。
指定席4,300円、自由席4,000円という価格設定も謎。電車か。
指定は列だけで好きなとこに座れるのはよかった。

ネタバレBOX

そうだよなぁ、人は急に死ぬんだよ。
「死に直面した人がやりたいこと」というのは本当に普遍的かつストレートな題材だと思う。
自分が死ぬとしたらどれくらい前に知らせてくれたら何をやりたいだろう。むしろ何もできなくても突然の方が幸せなのか。

物語そのものについて。
もうちょっと奥行きを増す余地がありそう。
メインの姉弟が、母がどんな人なのか、感情移入しやすいようにもう少し丁寧に背景を描いてくれてもよかったかなと。
たとえば野球のくだりを広げてみるとか。(野球少年(トシヤ?)は体格のみならずボールの扱い方とか本物っぽくてとてもよかった)
あるいは「星送りの儀」の歴史なんかももうちょっと説明があってもよかったかなぁ。ああいうの、いわゆる演劇的な記号表現なんでしょうか。
1時間50分という比較的コンパクトなランタイムも過不足なくていいところなんだけど、そこをあえて延ばしてでも。

パニー役の本間理紗さん(今回フルネームで書く必要があるのだ)
自我や感情を持たない、といった感じのクールな役。劇中一度も笑顔を見せない。「行くわよ」などの言い方が戦隊ものの敵組織幹部みたいでかっこよかった。故・曽我町子さんみたいな位置ねらえるね。ドジっ娘の相方キロットが何かやらかしたときのお姉さんっぽい感じ+ちょっとだけオロオロするギャップ萌え、ってやつですかこれは。

最後まで余談ですが幸太のカエルTシャツ、同じの持ってまーす。
関ヶ原で一人 〜lonely SEKIGAHARA〜

関ヶ原で一人 〜lonely SEKIGAHARA〜

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六行会ホール(東京都)

2015/09/30 (水) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

いろんなことが起きすぎ!
舞台上のキャラクターにも言わせているように、とくに中盤いろんなことが起きすぎて何が何やらわからなくなります。「あーこの話わかんないわー」と一度あきらめそうになりましたが、終盤わりとテンポよく展開していくところで戻ってこられました。

視覚情報だけでも、人間の脳が処理できる能力を大幅に超えてる。

もうひとつは、キャストが豪華すぎるのも善し悪しだな、と。
どこ見たらいいんだかわからない。照明の使い方なんかも関係あるのかもしれませんが、芝居的にオフの部分、見る側が調節できる余地がなさすぎる。

と、文句っぽいことばっかり書きましたが総合的には楽しめました。
これから観る方へのアドバイスは、関ヶ原の戦いで東軍西軍それぞれ誰がどっち側だったか予習していくとより物語を楽しめるでしょう。歴史が苦手な人はとくに!

初見の役者さんでは斎藤未来がよかった。表情のつくり方と使い分け方が、まさに役者やのう!

沖野+石部+平山+春原の関係と、さらに中野+大神+木本、このあたりの構成は安定感がありながら見応えがありました。

ネタバレBOX

春原さん普段あんな感じでしょ?

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