満足度★★★
見えない仕掛け
それは時間軸の前後にあった。だから・・当初、リーディングなんか必要ないから本番いってよ。なんつって胡坐でもかきそうな意気込みだったけれど、ストレートプレイを観終わって、「ああ、なるほど・・。」と思ったのです。最後の展開で謎?の残った方は見るべし。笑
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
リーディングの前に観客全員に台本を配るが、これは必要ないように感じた。目の前でリーディングしてるのにわざわざ台本に目を通す必要はないからだ。
ストレートプレイの序盤、ハヤテとリエは倦怠期を迎えたカップルだったが、ハヤテに浮気相手がいることが発覚したのをきっかけに2人は無事結婚を迎える。という設定なのだが・・、終盤で、ハヤテの浮気相手かと思っていたチエコが二人が居る部屋に帰ってきて「え?!ちょっとうちのダンナと何してんの?!」なんつってリエに抗議する。この展開が度肝を抜いたが、なんてことはない。元々、自分の夫だったハヤテの浮気現場を見たチエコはハヤテと離婚し、後に妻として収まったのがリエだったという謎解き。
これが「見えそうで見えない」真実という物語。笑
ワタクシはまた、「見えそうで見えない」のは、ってか「解りそうで解らない」のは、ノボーっとしてうだつのあがらないハヤテが何故オンナにモテルのか?こっちのほうが見えない謎なんだけれど、案外こういったうだつのあがらなそうな癒し系のマメ男がものすっごくモテルらしい。
だから・・なんでモテないんだろ?って考えてるそこの君!ボーっとしながらも「好きです!好きです!好きです!・・・・」と性懲りもなく一人のオンナに100回くらいコクりまくってると必ずモテル。そう、君はモテル!モテル・・・。
満足度★★★★
戦争の悲惨さは余りなく
むしろコミカルでポップな作品だった。ミュージカル風にジョイス(桜井明美)とエリック(吉田正朗)が歌うシーンがあるのだが、これが素人以下の下手さ。いくらなんでもあれはマズイ。特に歌を入れなくてもよかったような気がするのだが・・・。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
戦時中の家族の生活を中心に描いた作品だが、戦時中の香りはあまりない。外では空襲警報がなったりするのだが、なにせこの家族ら自身がみな、楽天家なのだ。生まれつき足が不自由な長女ヘレンを中地美佐子が演じ、一方で節目節目にふっと芝居から抜け出してナビ役も務めていたが、案外それらに違和感はなくむしろすんなりと溶け込んでいた。
ストット家の人々は戦争が始まったというのに祖父(里居正美)はペットの葬儀に腐心し、炭坑労働者の父(杉本孝次)はピアノに夢中。母(日色ともゑ)は教会を解雇されそうな神父のことで胸を痛める一方、妹(桜井明美)は恋人からのプロポーズの返答に悩んでいた。そんなバラバラな家族をどこか遠巻きに眺めていたヘレンは、やがて軍人と恋に落ちていく。
誰かに抱かれてるって、それで眠るって、それで目を覚ますって素敵!なんて夢見心地だったのもつかの間、軍人・ノーマンは既婚者だったことから、ヘレンの恋は転げ落ちるようにぬかるみにはまっていく。それでもヘレンは自分の運命を受け入れノーマンと暮らしたいと母・ペギーに相談するもペギーが納得するはずもなく家族は一時的にバラバラになりかける。そしてヘレンは家を出てしまう。
至福な時は長く続かないもので、やがて・・・、戦争が終わるとノーマンはヘレンから去って妻の元へ帰ってしまう。こうしてヘレンはストット家に戻り一家は相変わらず、それぞれが勝手なことばかり話し、その内容はかみ合わないが賑やかな家族の風景を描写し幕を閉じる。
舞台はごくごく普通の家族を描写しているようだが、楽天家の母・ペギーがこの家族の代表格でもあるかのように家族を仕切り、家族というカラーはつくづく妻が作り出すものだと実感させられる。だから・・、それぞれの悲哀を包み込むようにいつも家族は暖かいのだ。と納得させられる舞台だった。健気なヘレンの吐くセリフにほろっとさせられて、愛とか家族とか、当たり前にそこにあるものじゃなくて積み重ねなんだな、ってしみじみ思う。勇気をもらった作品といえる。
満足度★★★★★
超大絶賛!
とにかく素晴らしいの一言。「Oi-SCALE 」という劇団を今の今まで知らなかったことを残念に思うくらい素晴らしかった。薄暗い照明、それぞれのキャラクターの特性を存分に生かした演出にセンスを感じ、またそれに応えるキャストらの演技も見事だった。セリフの所々にアメリカンジョークを飛ばしながら、ともすれば陰鬱になりがちな物語をそれらのセリフで巧みにカバーしていたと思う。惜しむらくはセリフが聞き辛い箇所があってそれだけが残念だった。セリフの声の大小は劇場のキャパに合わせてほしい。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語は大木昇を主軸に回す。昇は警察官の兄の世話で現在の仕事を手に入れた。だけれど何だか満たされない。まだ未熟な大人だった。トカゲのようにしっぽが生えたら何処ででもバランスをとって生きられるのに・・なんて考えていた。一方で交番で自分の頭を撃ち抜いて自殺した警官の父親のことが昇の頭から離れない。何故自殺したのか・・。
またもう一方では最近別れた若い彼女のことを考える。自分から彼女と別れてしまった昇は付き合っている間中、「彼女に恥じかかせてちゃ悪いな」とか、「守らなきゃいけない」とか、考えるとその責任の重圧に耐えられなかったのだった。だから彼女と別れた後はなぜかホッとした。頼られる事が得意な人間もいると思うが昇はそうではなかった。
場面は変わって自殺系サイトで集まった7人の内の一人、湯田は昇の同級生だった。彼は死ぬ間際に昇に電話をかける。昇の自殺した父親の事で昇に「羨ましい。俺もお前んちみたいに解るオヤジが欲しい。」と笑った湯田は昇との間に目に見えない深いしこりが残っていたのだった。父の自殺で苦悩する昇。家族関係で悩む湯田。彼らの歪みは得体の知れない大きな膿となって渦巻き、少しずつ心が壊れていったのだった。
これらの物語を共通の友人・須藤を絡めながら、彼らの住む街の人々の情景、月の丘総合病院のドクターと看護婦、秩父警察署警察官らを絶妙に割りこませ舞台を動かしていく。中でも警察官・松尾のキャラクターの立ち上がりは秀逸でイタリア映画に登場するようなセンスの良さ!また、ドクター池田のイッチャッテルキャラもお見事で、この二つのキャラクターの存在で物語に味わい深いスパイスとちょっとした爆弾を落とす。
こうして昇は湯田からの電話を受けたものの、どうすることもできなかった経緯を悔やみながらも相変わらず少しずつ大人の仲間入りをしていく。だから表情のないトカゲのお面をかぶった大人たちは世の中と上手にバランスを取りながらスーツを着て今日も仕事をするのだ。遮断機の向こうの大人たちと同じように・・。
このスーツトカゲ人間はアニメで見たような気がする。タイトルは忘れたが・・。心が壊れそうになったとき脳が一時停止して心を守るというセリフにやたら感動した。「危ない!」というときに脳が作動する警報は実に素晴らしい働きだと思う。神秘的だとさえ思う。
「みんなが自分の事を大切にしてちょっとずつ周りも大切にしたら世界は良くなるんじゃないかと思う。無理するなよ。」と昇を励ました兄は湯田の自殺を止めに入って誤って刺されたのかどうかは定かではない終わり方だったが、それらを全部ひっくるめて才能を感じる舞台だった。
ああ、久しぶりに感動!
満足度★★★★
律動人型のダンスが素敵
オープニングに律動人型、つまり操り人形が踊るシーンがなんともダイナミックで楽しい。実はこのダンスは随所に盛り込まれていた。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
愛する妻を失った錬金術師は、その遺体を糸で繋ぎ合せて神経を作れば元通りの人間になると信じ実行する。しかしそんな錬金術師はその行為を罪だと咎められてゴルゴダの丘に連れて行かれ十字架に張り付けられてしまう。ゴルゴダの丘というとキリストを思うが、このお話はキリストの教えとこれから登場するキャラクターたちの生きざまを描いたお話だ。
人々はみな、天から与えられた運命という糸に操られてるだけだという風景を示すかのように舞台を3パターンに分けて、どのパターンも同じ動きで律動人型は動く。だからキャラクターのセリフと動きが状況に合ってないが、むしろそこがオモチロ可笑しくコミカルなのだ。言ってることとやってることがチグハグ!笑
そんでもってセリフを拾って繋げていく手法も非情に面白かったのだが、なんせ、その風景が延々と続くわけだ。だから、面白いのだけれどちょっと飽きる。
物語はそんな錬金術師を父に持った娘が父を探しに煉獄の山を修行さながら登る。といういかにもキリストなのだ。笑 娘は様々な出来事に会いながら、自分を見つめ直す。娘は失ったものをなげいてばかりで自分の意思で行動を起こさず、見ようとしなかったことに気付く。結果、精一杯考えて精一杯死んでいこうと決意する。「覚悟を持ってパフォーマーだーーー!!」と。
音楽、衣装、照明、全てが本当に素晴らしい舞台だった。全体的にコメディ感満載で、喜劇だと感じた。
満足度★★★
最初にどっか~~ん!
そしてちょろちょろ、中パッパ!この擬音が似合う舞台だった。「君たっち~キューぃ♪パパイヤまんご~だねっ!」の音楽に合わせて踊る場面が一番燃えた芝居。
ああ、このままドキューん!!!と突っ走って欲しかった~~。。。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
なんつったってアーイドーール♪のごとくマルチタレント・ユーシンの追っかけをするフジコ。300万の借財を作っても、「これが生き甲斐なんです」とのたまって果てにはデリヘル(出張サービス)まで落ちる。行った先はユーシンだったというオチ。憧れのユーシンの実態を目のあたりにしたフジコは絶望と不条理の入り混じった表情をする。
一方でそんなユーシンとトップアイドルの隠れてのデートの場面やドラエとトキオの恋の展開を描写するが、元々芸能人のデートの場面は一般人だって想定しているのだから、特別な感動はない。むしろもっとコメディっぽいコミカルな情景で突っ走って欲しかった。
イメージを気にするソッチ側と追っかけで妄想を膨らますコッチ側の合いまみれない物語。笑
満足度★★
コメディかと思いきやそうでもない
割にアニメ的な要素もあったけれど、毒々しい過去の背景もあり。どうやら主軸は春を売る売春宿での描写だったようだ。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語は3つのワードを絡めての描写。
拝み屋家業を営む多羅尾のもとに夢野から奇妙な依頼が入る。「フィルムに映らない女がいる…」と。このフィルムの謎を解き明かすのが1つ目のワード。
2つ目、「プレアデス」の夢を見る頭のオカシイ女優。後に記憶喪失の九条と兄弟ということが解り、更に母親は娼婦の館でこの二人を産んだ。
3つ目、真行寺と新聞記者の阿久津がこれらの事件を津山三十人殺しの事件とリンクさせてなぞる。
物語は天上人の子供たちを産んではいけないと命じられた娼婦たちは天皇の子もろとも他の子供たちも殺してしまう。惨殺事件だ。ここでの生まれてきてはいけない子供たちの二人が九条と頭のおかしい女優の摩子だった。
彼らは亡霊となってこの世をさ迷うがゆえに、フィルムに映らないのだ。
これらをノスタルジックに古びた映像とともに描写するがとにかく、物語を観客に説明する過程が下手なのだ。ナビ役の説明も解りづらい。コメディもシリアスも何もかもてんこ盛りにしようとするから、無理があるのだと思う。こういった背景を物語にUPする場合、コメディの要素なんて必要ないのだと思う。上海ら4人のキャラクターは必要ないのだ。無駄が多すぎるからかえって解り辛くなってしまう。表現したい一つの要素は何なのか?と素直にストレートに考えればおのずと見えてくるのだと思う。
満足度★★★
アニメヲタ向き!(^0^)
だいたいもって「ハチクロ」を読んでない方は全くノレないと思う。でもってこれって少女マンガ(確かマーガレットの月刊連載だったような・・?)なのだけれど、何故ボス村松が少女マンガを愛読してたのかも謎!笑)
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
物語はアニメに登場するキャラクターをなぞりながらマニアックな学者連中が量子力学やら素粒子やらニュートンやらガリレオやら、小難しい数式なんかをならべちゃって無理やりに「ハチクロ」と合体させる。笑
しかも・・・、そのプーさんみたいな絵文字の入った数式は誰がどー観たってアニメな訳よね。このくだらない数式を真面目そうにいとも難しそうに語り合ってる学者らのベクトル自体が既にヲタ!笑
アニメの中の花本はぐみをバグちゃんに見立てちゃうところ・・まったくキャラが違うから、吉村もノレナイ訳よね。しかも人見知りが激しく口数も少なく愛らしいはぐみという天使のようなアニメキャラとのギャップの差に、もうこれは施しようがないほど!・・笑
アニメの中では、はぐみと森田は惹かれ合っていくのだけれど、2人の恋は、通常の枠を超えた魂の結び付きのような物で「恋愛」と呼ぶには少し不思議な関係を保つ。ここで登場するキャラクターはお互いにそれぞれの恋心を胸に抱きながらも、全員がが片思いのままというストーリー。そうしてどのキャラクターも恋愛に関して不器用だ。という筋だが、このアニメがヒットした理由はこのような切ない片思いに読者は自分を投影して共感するのだと思う。
いあ、ワタクシは決してヲタではありません!断じて!笑
それでも、ヲタでなくて「ハチクロ」を読んでても今回の芝居は演出が雑だったような気がするのだ。芝居の殆どが説明に終始してしまったから舞台に華がない。願わくば・・・はぐみに似たキャラクターを探し出してほしかった~(^0^)
満足度★★★★★
た、た、た、た、楽しい!(^0^)
ショートコントみたいなダンス!マジでおもろい。しかも客席は女子が大半!人気の程を伺わせる公演だった。つくづく舞台って観客の応援なしではあそこまで盛り上がらないよね。観客も一体となって、フューフューキャーキャー!!ライブ感満載!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
文句なしで演出が上手すぎる。西川康太郎ってスゴイ!と思う。ダンスと演劇とコントのコラボ。上質なパフォーマンスだった。「ワンダーランド」という謳い文句同様、酔いしれた舞台だった。
たぶん、今までに見たダンスの中では抜きん出てる。特に「パフューム」のコンサートの光景は笑った!笑った!!(^0^)
コミカルでパッショナブルでちょっとしたネバーランドのよう。客席は超満員で立見客が出たほど。それでもこのライブはその立ち見客の声でも盛り上がった。少々、残念だったのは音とセリフが完璧にかぶってしまって聞き取れないセリフがあったこと。それ以外は完璧!
また次回も観たい!たぶんみんなも同じ気持ち!(^0^)
満足度★★
自己満足な世界
どうやら、ここの劇団は観客を楽しませようという観点からずれて自分たちの自己満足な世界を作り上げてるように感じる。
だからか、まったく世界に入り込めない。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
ケバいバーの情景から、いきなりロミジュリの世界に突入するわけよ。だから、ジュリエットがロメオを好きになった状況も経緯もないわけ。ただキスをしたがる。
はぁ?(・・!)
観てるコッチは何故今キスを?みたいな状況に・・・、犬じゃあねんだから・・。と唖然!しかもロミジュリのような衣装じゃあないわけよ。ロメオ的な役割の順一はジャージだし・・ww。ストーリー展開は幼稚です。コメディのようだがコメディではない。音楽もロミジュリのシーンでは全く合っていない。むしろセレナーデでも流した方が美しい。
そんなだからワタクシの好みには合いませんでした。
満足度★★
コメディとは程遠い!
まいったなぁああ、こんなにつまらないとはツユ知らず。殆どがウケナイ会話劇。観れば解ります。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
前説からシーン!!状態。関係者だけが笑ってる。なぜ関係者と解るのか?って突っ込む人は居ないだろうと思う。これだけの観劇数があるのだから、会場に来ている役者の大体は網羅している。プライベートだから声をかけないだけだ。
序盤、12人の使徒達はイメージするシーンから入るが、この場面でもウケナイ。シーン!! 「お客さんは私が何をするかまったく理解できていない。完全においてけぼり~。」っつうセリフがあるのだが、まったきそのとおり!客を果てしなく延々とおいてきぼり~~状態!ワタクシ、途中で帰ろうかと思ったくらいの本の酷さ。キャストの演技うんぬんより、コメディと自称するならもっと勉強して欲しい。
物語は最後にどんでん返しがあるが、これがちょっと、ををっ!?と目を見張ったぐらいで殆どが客席に居る事が苦痛だった芝居。
満足度★★★★
アニメ的!
流石にゲームの世界だけあってアニメ的だが、しか~し!ワタクシはアニメが大好きなので大満足だった。殆どがアクションシーンの乱舞だがJAEの指導が功を奏したのか、ちゃんとさまになってるんだからお見事!
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
昨今の戦国ブームったら、芝居でも映画でも目にしない日はないくらいなのだが、それでもそれらの火付け役になったのは「戦国BASARA」だと思う。さてはてゲームの世界の醍醐味を舞台だったならどんなショーになるんでしょ。(^0^)なんつって楽しみでいったわさ。
会場にはまだくちばしが黄色いような女子がわんさかで、そんな中に60~70歳くらいの紳士淑女も混ざってるわけ。「えっ!この人たちもゲームキャラが好きなんでしょか?」なんて激しく疑問を感じたワタクシは早速、その中のご婦人を捕まえてインスタントインタビューをしたら、「普通の戦国ものだと思って知らないで来た。」との事。な~~る、なるほど納得!(^0^)
さて舞台は、伊達政宗役の久保田悠来(青組さん)のライバルとして真田幸村役の細貝圭(赤組さん)が戦うのだけれど、両者とも天下を取るために協力し合って織田信長軍勢を倒すという筋。いあいあ、舞台上でこれだけの人数のキャラクターが揃うと圧巻ですわ。なかでも片倉小十郎の「背中は自分が守ります!」のクールなセリフに痺れる。
それにしても・・「AND ENDLESS」の西田大輔が脚本・演出・振り付けをしたのだけれど、彼の舞台を観たのは2007年、笹塚ファクトリー での「「ONLY SILVER FISH」「+ GOLD FISH」」 だった。あれから3年。こんな風に変わったんだね。商業演劇といわれる部類だけれど、だからこそ成功したのだろうと思う。
そして・・・約3時間を暴れまくって平然としてる彼ら。若いっていいね♪
満足度★★★★★
だって世界ってそうじゃない?(^0^)
何?コノ世界観は?!「elePHANTMoon」の世界観に似てる。だけれどこっちはもっとポップでファンキーだ。まるで「不思議な国のアリス」に登場するカラーで分けられた一つの部屋に迷い込んだような感覚。不思議だけれど魅惑的な部屋。たぶん好みは割れると思う。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
失踪した『ふきさん』は、パトロンとアメリカに渡りそこでパトロンを事故で喪ってしまう。絶望の底に落とされた『ふきさん』は同時に感情も失う。事故のトラウマだ。そして感情と精神を破壊されてしまった『ふきさん』は、どこか見えない場所に大きな傷ができそこから血が流れ続け徐々に干からびてしまうように髪と皮と肉だけになった人形のようだった。誰のせいでもない。だって世界ってそうじゃない?
そんな彼女を水山が介護する日々が続いていた。そんな中、『ふきさん』は電動式丸鋸を使用する恐ろしい「実験公演」を思いつき、実行し始める…。理由はバケモノのようになってしまった自分を人間に戻す為の必要不可欠な公演なのだと訴える。そんな理屈も解らない。だけど・・・だって世界ってそうじゃない?
『ふきさん』に関わった男3人は殴られ監禁されて犬のように鎖に繋がれる。彼らは『ふきさん』を人間に戻す為に彼女がワクワクするような話を聞かせなければならない。話がつまらないと罰として『ふきさん』自身の指を電ノコで一本ずつ切り落とさなければならない。どんな理屈か解らない。だけど・・・だって世界ってそうじゃない?
舞台はその光景を血シブキと共に壁に張り付く様を見せる。しかしそんな壮絶なクライマックスを見せられても『ふきさん』と登場人物の滑稽でコミカルな演技から、おどろおどろした陰鬱さはない。パレードのようだ。なんだか映画の中の特撮映像の出来損ないの怪物でも見せられているような気分になってしまう。その圧倒的な喪失感は不安定で姿を持たないにも拘らず強大なる重力にも似て人を圧するすべての動きを止めてしまうかのように・・。だって世界ってそうじゃない?
『ふきさん』は変わることを切望しながらも自分が変われないことを嫌というほど理解しているのだ。眠りと覚醒の狭間を行きつ戻りつしていた『ふきさん』は見えない部分に負の要素を押し込めて鼓笛隊のようにファンファーレするのだ。「だって世界ってそうじゃない?」
とにかく面白い!陰鬱な光景を見せつけられているのに、ポップでパラダイスな音楽は足でリズムをとってしまうほど。エキサイトな展開や明暗が混在する世界も全てひっくるめてパッションなのだ。だって世界ってそうじゃなーーーい?!(^0^)
満足度★★★
ベタな人情劇
寺町での訳ありの親子と商店街の青年達らの物語。物語はものすっごく解り易いが、内容は何処にでもあるような人情劇。昼ドラのような感覚。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
青年達らは町の再活性化を目指していた。そんな折、図ったかのように男女の詐欺師らが現れ、青年らは男詐欺師を料理の鉄人だと思い込む。同時に町おこしの為にこの鉄人を頼りに商店街の店舗を「B1グランプリ」に出場させる道筋を作って貰おうと持ちかける。誘い水に乗ってしまった青年らに詐欺師は袖の下をちらつかせる。
一方で、常光寺の山門脇の茶店「おたふく」では総一が病に倒れた後、一人娘のさくらは茶屋の仕事を手伝っていた。そんな時にさくらの種違いの妹が現れる。デザイナーで社長である母親の近況を伝え、母を助けて欲しいと頼まれるも、自分と父を捨ててデザイナーの道を選んだ母親の事を、さくらはどうしても許す気持ちにはなれなかった。それでもさくらは小さい頃に母に書いてもらったデザイン画を後生大事に持っていたのだが・・。
親子の確執は溶けないまま、青年たちは詐欺師に言いくるめられて、いざ金を渡すという日に、この町にやってきた母・良子はかつて自分が詐欺られたこの男を覚えていたのだった。詐欺師の正体を暴き青年たちを救った母とさくらはここで対面したが、さくらの心は頑なに閉じたままだった。しかし、母が帰るというその瞬間にさくらは、母親に今まで淋しかった心の内を打ち明け、親子は抱き合うのだった。。
今回の物語は何か物足りない気がした。前作があまりにも秀作だったからかもしれない。それとも暗転の時の間が気になったのだろうか?キャストの人数に対して舞台が広すぎたような気もするのだが・・。
満足度★★★★
「南河内万歳一座」の河野目当て
で観劇した舞台だったけれど、客席を埋めたのは殆どが中年の男ばかり!(・・!)ハロプロの北原目当てなのか、宮本目当てなのか解らないけれど、もっと解らないのはロリコン根性だ。宮元目当てだったなら、自分の孫みたいな年齢の男性は会社で・・・、
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
大学卒業したばかりのOLに自分より有能な企画を出されて能力の差を噛みしめてるんだろうか?家に帰れば帰ったで自分のポジションが見当たらなくて置き去りにされてるんだろうか?結果、大人の女性には到底敵わない、自尊心が満たされないと考え少女から大人になるギリギリのバランスを持った彼女らに自分のよりどころを見出して夢を見るのだろうか?ワタクシには彼らの感情自体が解らないので、いつか機会があったなら聞いてみたいと思っているのだ。
そして今回の宮元のアフタートークは流石だった。きちんと大人が期待している仮面をかぶって「舞台では初日だけはあがりますが、2日目からは何も考えないようにしてるのであがりません。」とのたまう。単に優等生を演じる訳じゃあない。本人は自分が有能な女優だと観客に知らしめている。小さい頃はいたずらっこの仮面をかぶり、少し経つと反抗期の仮面をかぶり、思春期の仮面、将来に悩む女性の仮面と変化していくのかもしれない。北原は観客を意識しすぎる。舞台で目がいちいち観客を見ちゃってるから芝居に集中できないようだった。
TVとはつくづく恐いな、と思う。タレントに魔法をかけちゃう。蜃気楼をみせちゃう。夢はすぐ目の前にあるようにみせちゃう。そうやって鞭を入れるのを焦り過ぎた競馬のように、デビュー直後はヒットを連発していた彼女たちの人気は急に失速するのがお決まりだ。
「かいぶつのこども」は才能のある親に生まれた子供が自分には特別な才能がない普通の人間だったことから様々なプレッシャーに悩むエピローグだが、「かいぶつと呼ばれる親のこども」と「かいぶつと呼ばれるこども」の両方の意味合いがあったように感じる。
だから、本物のかいぶつは大人になって解る。そうして「本物のかいぶつ」を仕組んでしまうのは大人たちなのだ。
個人的には珠乃が面白いと感じた。ベラの到来かと思った!笑)
相変わらず河野洋一郎のシャイさが素敵!
楽しくてコミカルでちょっぴり切ない物語。
満足度★★★★
昨年12月の博品館劇場
での「コントン・クラブ」よりもはるかにおもろい!
その理由はショートコントの数が増えた事で、歌の部分が減ったこと。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
今回はコントだけでなく、不条理コントやホラーネタなども織り交ぜ、色んなスパイスが効いていた。特に「婚活パーティー」とヒト型ロボットショーが楽しい。更に今回のゲスト・根本正勝が思わぬボケネタで楽しかった。打ち合わせナシのゲストコーナーだったが、大爆笑!
たぶん、次回も観る!(^0^)
満足度★★★★
男女七人物語みたいな展開!
「アラサーの光と影」というタイトルでフリーライターが仕組んだ物語。
ワタクシ的には好みの作品だった。登場人物のキャラクターもコミカルで序盤、コメディか?!と感じたほど。笑って楽しめた作品。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
アラサーの実態を書くべくフリーライターの新井は喫茶店の常連客の春奈、香織、智子、萌香に「偽装婚活パーティ」の依頼をする。アラサーの彼女達とこれに掛かる男たちの実態を知る事によってリアルなネタが欲しかったからだ。3万円の謝礼とゴージャスな海外旅行のセットで、という新井の提案に飛びついた彼女達はこの企みにOKする。
そんなこんなでパーティーの当日、3人の女性は実年齢を誤魔化し、自分を良く見せようと自分自身を演じる。春奈は美しく積極的で多くの男性と付き合った経歴があり、香織はキュートで甘えながらも男に金品を貢がせるのが巧みだった。智子は現在も女優をしている。萌香だけはそんな中、彼女らとは違い地味で臆病な性格で男と縁がなかった。容姿も綺麗とはお世辞にも言えない萌香だったが、彼女に会って3時間で結婚を申し込んだ男がいたから、さあ大変!笑
メーカー勤務で容姿も申し分なく真面目な藤木が何故、萌香を選んだのか?と負け組み3人は騒ぎ出す。要するに3人はそれぞれ自分の方が綺麗でモテルはずだと萌香を高みから見下ろしていたのだ。しかし、こんな状況になって、「萌香は騙されてるんじゃないのか?」と疑心暗鬼になった3人は萌香の為に男の真意を突き止めようと躍起になる。笑
結果、男は自分がリストラにあい、4人の中では萌香が一番手ごろで無難だと感じた事を白状する。他の3人は自分には手強そうだと思った、とも。笑
解るよね。結婚を考えるなら、ド派手で遊び好きな女性では困るもの。むしろ男性のほうが結婚と恋愛は別って考えてる人が多いような気がする。私が男性だったら、やっぱ萌香を選ぶと思う。逆に女性も男性を見るとき、同様だよね。結婚するなら真面目な男性の方が断然いい。
そして最終的に新井は結婚相手にするなら萌香さんみたいな人がいい。と断言して結婚を前提に付き合う。というオメデタイ物語でした。春奈、香織、智子のぶっ飛びキャラクターが面白くて良かった。フリーターの紺野が「自分がリストラされてもこれまでやってこられたのは応援してくれる家族がいたからだ。結婚っていいもんだよ。」と吐くセリフに全員が頷く。
満足度★★★
はぁはぁぜぃぜぃ!(苦笑!)
コメディというよりも全体的にコミカルな動きと内容。案外バカバカしい。アニメ的と感じた。
まず舞台のセットが可愛い。沢山の仕掛けがあって面白いが、舞台セットのターンでよろつくナカタニ監督こと鈴木智晴。本物の監督が見てたらここでダメだしするのだけれど・・・笑)
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
鱗町の鯨岡市長は「打倒!エンゼルフィッシュ!」を掲げ今日も市民にカツを入れる。町の小悪党エンゼルフィッシュは「町の電波を奪う!」と宣言しそれに立ち向かうべく市長を長にした刑事や白バイ隊員が防衛のチームを組まれる。ここでナカタニ監督の独自のシナリオを採用して、エンゼルフィッシュの考えの裏をかこうと企てるも、事態は裏の裏をかかれ、またまたその裏をかく、というどんでん返しの連続。
その度に以前のシーンの再現をコマ送りにするものだから、体力のない役者や、前日の晩に酒の量が過ぎた役者は、肩震わせちゃって、桃色吐息どころか、絶命寸前!みたいなナリで息切れ切れになっちゃうワケ。それでもそんな役者として、プロとして素を見せるということは「恥です!」みたいな自覚があるものだから、堪えようとする。
しか~し、堪えようとすればするほど、動悸は激しく慄き夜の稲妻に撃たれたような苦々しい表情になっちゃってる!これはもう・・・、コメディなんかどーだっていいわけよね。役者の素に戻る瀬戸際が面白いのだから・・。笑)
一体、この物語をどーやって終わらせるんだろ?なんつって腕組んで足も組んじゃって自宅のソファーで寛ぐような感覚で観ていたら、町の住民全員がシナリオどおりに動いていた役者だったという筋。真犯人のデカ、チーフは捕まり、めでたしめでたし!で終わった町総ぐるみのシナリオでした。
白バイ隊の敬礼がバラバラ。これもシナリオ通りなのか?笑)
まあ、ゆるりと観た方が楽しめる。そんな舞台!
満足度★★★★
故郷といえる場所
人口200人そこそこのむつじ村にはむつじ川が流れ、そしてむつじダムがある。そして、その景色を映すように後にそびえ立つむつじ山。
そんな田舎での物語。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
いつものように多面的な場面を同時進行させるのが「世田谷シルク」のカラー。今回も1990年の一年間と現在、そして2019年の未来をどう繋がっていく物語なのかを断片的に交差させて魅せる。
物語は8年前にダムの底に沈んでしまった「むつじ村」が当時はどんな生活様式だったかを「実験教室」を通して教師らと子供たちとの関わりあいで上手に機能していたことを物語る。教師と生徒の会話が実に愉快な芝居だった。テンタとマサキの二人が面白い。そして子供を脅す教師のキャラクター。笑
毎回の如くビデオを早送りするみたいなコミカルなダンス。あれって水の中の生き物なんだろうか?タツノオトシゴみたいな・・。笑
一方で8年前は生徒だった彼らの現在の様子も、炙り出す。現在はフリーでドキュメンタリーを作ろうとしている遠藤。そのドキュメンタリーのターゲットを「むつじ村」にしようと考えたことから、様々な思いや意見が浮き彫りになる。
舞台が終わってみれば「自分たちの故郷」を考える正当な芝居だったような気がする。その表現の方法がテクノ的で斬新なだけだ。故郷の両親や都会に出て行った家族、残された者とそこでの生活。それらを直面からではなく、こっそりと斜めから描写したような舞台は、たぶん、後からじわーーっと記憶に残る。
満足度★★★★
真実の愛
人間に生まれてきたなら誰もが欲しがる一途な愛。この物語には永遠の愛と本当の愛、究極の愛・・・と、とにかく愛満載なのだ。これだもの・・・、誰もが感動して涙なんか流しちゃって、あたかも自分自身がドラキュラになったり、アマンダになったつもりになっちゃうわけよね。
久しぶりに大舞台を観て別世界を体験しました。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
人の習性とは恐ろしいもんです。新国立劇場といえば、小劇場みたいな考えがべったりと頭に張り付いていたものだから、小劇場に行っちゃったわさ。苦笑)
物語はドラキュラがメフィストと取引した事から吸血鬼になってしまったのだけれど、アマンダにいつか再会出来るという希望を胸に400年の月日が流れてしまった。その間、ドラキュラは浮気もせず、若い女子にウツツをぬかす事もなく真面目にアマンダだけを想い焦がれていたわけさ。ここがツボ。観客のツボ。
そんでもって、純白の大輪の薔薇が吊り降りてくるセット。ベルバラかと間違えるくらいの大輪さ。思わずフェルぜーん!!!と叫びそうになっちゃったよ。ああ、なのに・・・フェルゼンもオスカルもおりませぬ。勿論、「お菓子を食べればいいじゃないの!」の声も聞こえません。
客層は松平健のファンなのか、それなりの年齢層のご婦人が多く、健さまが歌えば拍手、踊れば拍手、クレーンの上に乗って今にも落ちそうな危なっかしいシーンでも拍手!いあいあ、思わずワタクシだって、手から血が出るほど拍手しちゃいました。だって世の中の流に乗り遅れたくないから・・。
しかーし、健さまよりド迫力満点だったのは教授役の今井清隆!彼は魔的な魅力のある俳優でした。目力満点!更に慄いたのは、メフィスト役の園岡伸太郎。ヅラがすんごいです!まるでビーバップハイスクールに登場するガクランを来て軒下で雨宿りしてます!みたいなヒサシのようなヅラのメフィスト。既に悪魔なんだか、それとも閣下なんだかワカランようなナリ。
そんなキャラクターを登場させちゃってるから、ワタクシ的には楽しい訳よね。コミカルな部分とシリアスな部分を織り交ぜながらも、後半はミーナの記憶はアマンダと重なります。全てを知ったミーナは自分の胸を一刺しして死を選びドラキュラと永遠の愛を誓ってこの世から二人は消えるのでした。
ああ、ロマンだな~。1000年愛というよりも400年愛だったけれど、それでも一人の女性に恋焦がれて愛を求めて吸血鬼になるって、素晴らしいでしょ?真実の愛が手に入るなら、吸血鬼だって悪魔だって神にだってなっちゃう訳よ。そんくらい渇望してます!たぶん、みんなもそう・・。笑)
満足度★★★★
要するにマイファミリー
みな兄弟!ってな感じの内容。コメディかと思ったくらい笑った!笑った!爺隠才蔵の登場で笑い、ってかこの役者、初めて観たけれどものすっごいインパクトある。この名前は本名じゃあないよね?笑。劇中、押入れの中で生あくびはするは、本番中なのに何だか自分ちの炬燵にでも入ってるような緩さ!演技なんだか、図太いんだかよく解んない。笑。
小林タクシーは相変わらずの絶妙な演技!そして今回の目玉はなんといっても赤澤ムックだ。実にいい。とにかくいい。笑の半分は彼女が取ったようなものだ。舞台セットが美しい。。
以下はネタばれBOXにて。。
ネタバレBOX
当日の配ったパンフには幼児を犯してるような絵図がある。これを見た瞬間、「とりあえず寝る女」の「寝る」とはこっちの「寝る」かぁ・・。と感じる。
物語は二人の姉妹を軸に動く。今は亡くなった母の血の継承なのか、妹・殊は誰とでもHする。男にとっては都合のいい女だ。男が彼女を見たとき軽んじてもいい女だと判断してしまう何かが潜む。この女ならぞんざいに扱っても踏みにじっても大したことではないと思わせてしまう何か。そして、そのことを彼女自身心のどこかで知っていると察知させてしまう何かが彼女にはある。だから男が隙間なく寄り付く。寄り付くたびにヤラせちゃう殊。
一方で姉・真理の恋人・椎名も一度だけ殊を抱いた。この過ちを真理は知ってはいるが椎名を許せなくも嫌いになれない。突き放して切ってしまえばいいものを椎名を好きな真理は「信じることが出来ない。」といって悩み葛藤する。宙ぶらりんなのだ。好きだけど信じられない。どうして裏切ったのか。と引くことも進むことも出来なくて、だからといって切ることも出来ない。それでもただただ、傍にはいてほしい。
そして過去に真理は種違いの殊の父親に犯されていた。こんな環境の姉妹が暮らす家に立ち退きを進める役人と親睦会長、叔父さん、姉妹の恋人ら、近所のカフェ経営者、受験の為に上京した親子が絶妙に絡む。この受験の親役の赤澤ムック扮する代海が大概のバカさ加減で会場を笑わせる。
「誰とでも寝る女」と烙印を押された妹と、姉との感情の交差と距離感がなんとも切ない。切ないけれどここで関わる男女の関係はぐちゃぐちゃなのだ。(苦笑)
この物語には結論はない。引っ越して行った姉妹には相変わらず恋人たちが付いて行ったのかどうかも解らない。だけれどこの二人を飲み込んでいた家の外では、凍て付いた雪の世界から、季節はすっかりうつろぎ、はらはらと桜が舞うなか姉妹の残像が浮かび上がる。そしてその穏やかな光景の中、受験生だった純子が吉報を持ってきたように佇んでいた。春の便りだ。