みさの観てきた!クチコミ一覧

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私を月までつれてって

私を月までつれてって

劇団こんぺいとう

高田馬場ラビネスト(東京都)

2011/05/20 (金) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

満足度★★

旗揚げ公演なので
本来ならもっと賞賛したいのだが、舞台上で演じるキャストらは演技力不足が目立つ。どうやら初舞台のメンバーが多かったようで、ギクシャクギクシャク・・。苦笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

ストーリーは臓器売買に絡んだ裏側の世界に身をおくバンパイアに恋をした青年のお話。

まず、旗揚げする前に役者をどこかで客演させるべきだと感じた。旗揚げの場合、公演を成功させないと次回の公演に客足が向かないからだ。私たち観客は最初に観たイメージを後まで引きずることになってしまう。

そうして、脚本だが、もしかしたら詰め込み過ぎなのかも。臓器売買に絡んだ裏側のお話だけに内容を充実させるか、バンパイアに恋をした青年のファンタジーを扱うか。のどちらかにした方が良かったのでは?

登場人物の設定にもかなり違和感があった。高校生の逃がし屋がピストルを所持していたり、刑事が不浄脈ボトルを素手で触ったり(この場面は素人バリの刑事)と。

舞台上で吐かれるセリフの数々も古い。役者としてインパクトがあったのが安達芳野役の笠間だ。彼女が舞台に登場したときは林真理子が出てきたのかと、マジで思ってガン見しちゃったよ。笑
更にクリリンキャラも居たりしたのでコメディとしてのパンチを強くしたいのか、ファンタジーとしたいのかの方向性がイマイチ解らなかった。


お願いだから殴らないで

お願いだから殴らないで

MacGuffins

pit北/区域(東京都)

2011/05/19 (木) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

満足度★★

たかじん勝負
なんじゃこりゃ~!!みたいな空気感のなか、舞台に立つキャストらは案外、大真面目なのだけれど、内容はふざけたアニメ的な筋。そういえば・・筋肉マンにこういった勝負があったような・・。笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

悪魔と人間が取り引きするように、相沢は5000万に目がくらみ、まんまとヤクザの野口と取り引きをしてしまう。その取り引きの内容は叩いて被って勝負するジャンケンだった。相沢はかつてジャンケンでは負けたことがないという才の持ち主だったことから、契約し、そして「たかじん」に勝ち続ける。

しかし、その勝負は勝ち続けるごとにピコピコハンマーが凶器に入れ替わっていくのだった。相沢は勝ち続けるも最後の決勝戦での凶器はピストルだった。そしてその勝負相手は自分の息子という設定だ。やっぱり、アニメだ。笑

今回の舞台はあまり大笑いするシーンはなく、全体的にまとまりもなかったような気がする。たぶん、脚本が散漫なのだとも思う。キャラクターの「愛情仮面」というネーミングは、やっぱ、筋肉マンなのでは?笑
どん底

どん底

演劇企画集団THE・ガジラ

笹塚ファクトリー(東京都)

2011/05/20 (金) ~ 2011/05/29 (日)公演終了

満足度★★★★★

あまりにも素晴らしい!!
とにもかくにもハイレベルな役者陣たち。ダイコンは一人も居ない。そして洞窟を思わせるような独特なセット。薄ぼんやりとした照明、ランプ、イスラム的な音響、衣装、アクション、演出、これらが一つとなったプロ集団がこの最高傑作を作りあげたのだな・・と、しみじみと感動した。これらの総合芸術は独特の雰囲気を醸し出し、ワタクシ達観客をどっぷりと飲み込んでいた。ああ、みんな、いい仕事するなぁ・・。2時間26分。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

全体の描写だが、物語の筋はそのまま舞台に上げて、演出やアクションを斬新にさせていた。特にアクションが素晴らしい。人生の底辺に暮らす人々の滑稽で悲しい人間模様の描写はキャストらの秀逸な演技力もさることながら、照明や音響の効果で押しも押されもしない絶大な舞台だった。


彼らは貧困という牢獄から抜け出すことを夢見ながらも、歌と酒だけを娯楽に日々の生活を送っていく。そして彼らは人生の最後を謳歌する反面、自らの属性も嘆く。

彼らの臭いがこちらにも漂ってきそうな衣装は、その空気感に見事にマッチして、地下の木賃宿の湿った不潔感や泥臭い雰囲気も見事に演出されていたと思う。ひじょうに濃厚で見応えのある舞台芸術だ。最近の観た公演の中では最高傑作と言える。恐るべしガジラ!
風と共に来たる

風と共に来たる

劇団テアトル・エコー

恵比寿・エコー劇場(東京都)

2011/05/20 (金) ~ 2011/06/01 (水)公演終了

満足度★★★★

実話を基にした舞台
だった為、リアル感満載だった。強いていうなら秘書役のポッペンガルの大げさな演技が他の3人のキャストの世界感を台無しにしていた。更にスタッフ関係者らが後方席に座って全く面白くない場面で笑い屋みたいに笑っていたのがウザかった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

プロディーサーのデイヴィッドと新たな監督のヴィクター、そして大幅な書き直し作業に取り掛かる早書き作家のベン・ヘクトの監禁5日間を描いた作品。

なるほど、こうしてあの偉大なる三角関係の傑作は出来上がったのだな。としみじみ思わせる舞台だった。不眠不休での監禁日数が経過するに従って彼らが着ているYシャツの脇下にシミが出来てゆく細かい演出や、元気が無くなってヨレヨレになってゆく演技は流石だった。

しかし不思議なのは秘書のポッペンガルだ。彼女が5日間監禁された訳ではないのに、監禁開放後、デイヴィッドの部屋に入ってきたポッペンガルは、まるで自身が監禁されていたかのようにヨレヨレになって登場したのだ。これにはひじょうな違和感を感じた。ポッペンガルはむしろ自由だったはずだ。5日間、ボスの部屋に入ることを禁じられていたのだから。

劇中、デイヴィッドが映画の魅力を語る部分、「スクリーンは永遠の命だ。とうに死んだ人が自分の前で歩いてくれる」には胸が熱くなった。こうして名台詞は生まれるのだな。と実感できた舞台だった。
サリー【s'aeli】《当日券あります!》

サリー【s'aeli】《当日券あります!》

アフリカ座

TACCS1179(東京都)

2011/05/20 (金) ~ 2011/05/23 (月)公演終了

満足度★★★

せめて
話題の現役AV嬢、元AV嬢による舞台公演。誰が現役で誰が元なのかさっぱり解らないワタクシだが、せめて、もうちょっと演技力があったなら・・と思う。
そんな素人バリの演技力の中ですーたんこと、日高ゆりあが実に素敵だ。とんでもないコメディカラー満載のキャラクターのゆりあが、これまた客席に笑いの渦を起こすのだから、脱いでもさぞかし凄いのだろうな・・。と感じる。つまり有名になるってことは、頑張ることなのだとゆりあを観て実感できる。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

アニメキャラのゆりあは他のキャストを完全に食い殺し身体は小さいのに不思議なオーラを放っていたから、小心者のワタクシは身も心も圧倒されてボーゼン自失してしまったのだった。こういったキャラクターなら演劇界ではウケルだろうとも思う。

ただ、今回はストーリー自体があまりにもありきたりな話で新鮮味がなかったことと、まとまりがなく少々散漫気味だった。それでも演技力で勝負するキャストらなら、こういった物語でも観客を騙す手練手管は持ち合わせているものなのだが、まだ彼女らに確かな演技力はない。

しかし今後、頑張って演技力を身につければコアなファンばかりでなく演劇ファンも増えるはずだ。コアなファンには魅力のショーなのではなかろうか。これほど近くで生AV嬢を観られるのだから。脱がないけど。笑
「コンサギ」

「コンサギ」

東京パチプロデュース

劇場HOPE(東京都)

2011/05/17 (火) ~ 2011/05/22 (日)公演終了

満足度★★★★

詐欺師の恋
詐欺師の恋

相変わらず竹内健史がインパクトのある演技をしていて◎
彼はパチプロでは大抵、アホ役に徹しているが、彼のキャラクターがこれまたハマリすぎるほどハマルのだ。笑
でもって髪型だってイケテルし、とにかくカッコイイ。

以下はねたばれBOXにて。。

ネタバレBOX

結婚詐欺師が本気で恋をした相手も結婚詐欺師だった、というナンセンスコメディ。パチプロの素晴らしいところは、毎回の公演にハズレがないってことだ。これって凄いことだと思う。完璧に観客を笑わせる。脚本もさながらやはり役者のそれぞれのキャラクターに拠るところも多いと思う。

隣のバカップルと正面のコンサギらが織り成す関係も面白い。ちなみにコンサギになれる条件というのが顔はごく普通であること。みなりも普通。イケメンや美女はコンサギには向かないらしい。詐欺られる方でも「こんな美人が自分を好きになるわけない。もしかしたら騙されているのでは?」と疑心暗鬼になって気付くというのだ。ワタクシも気をつけねば。笑

とにかく安心して観られる愉快な芝居だった。
fuck you!! my love!

fuck you!! my love!

643ノゲッツー

OFF OFFシアター(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/16 (月)公演終了

満足度★★

前作「バニラ」が良かっただけに
どうしても「バニラ」と比較してしまうのは否めない。まず「バニラ」はキャストと脚本が良かった。
今回はメインキャストの森口美樹(ロスリスバーガー)の演技がイマイチ。舌足らずの発声は可愛いのだが、むしろ保育園児の役柄の方が彼女に合っていたような気がする。彼女は女優としては発展途上なのでまだまだ未熟なのだ。そんな役者が主役なので舞台全体のランクも下がる。こう書いてしまうと森口美樹のファンには殺されそうだが、ワタクシは元々演技力のある役者が好きだ。それは人並み以上の努力をして勝ち取った実力者だからだ。
ワタクシの観た回は大入り満員ではなかったようで比較的ゆったり座れたような気がする。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

保育園が舞台。保育園児は一人も登場しない。保育士たちはいつも子供目線で保育園児らを見るようにしようと話し合う。そんな中、卒園生らが埋めたタイムカプセルを掘り出してるうちにドクロや骨が次々と掘り起こされてしまう。
この様子から次はホラーな展開が待っているのか?とドキドキするも終盤はそういった劇的な展開はなく終わる。

まず、コメディではない。笑える箇所は少なく、かといってシリアスというほどでもない。舞台上での構成も曖昧で端的な訴えもない。キャラクターの立ち上がりもインパクトがなく弱い。結局、先生たちがタイムカプセルを掘り起こして途中で止めてそれで終わり・・みたいな受けだ。

ここまで書いてしまうと作・演出のひがし君には気の毒だが、こうして時間を割いてまで感想を述べるという行為も劇団を想ってこそだと捉えて欲しい。だから次回は「ナニクソ!」という心持で舞台を作って欲しいと思う。
死に際を見極めろ!

死に際を見極めろ!

ライオン・パーマ

王子小劇場(東京都)

2011/05/12 (木) ~ 2011/05/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

今年一番の爆笑コメディ
今回の舞台は確実にワタクシの好みだった。毎度のことながらワタクシ自身がライオン・パーマのキャストが大好きなので贔屓目もあるだろうが、それでも相当にバカ馬鹿しくて楽しかった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

刑事専門俳優、藤岡琢磨、通称スリムの殉職シーンを取る為に織り成すドラマ・・という設定のはずだったのだが・・。笑
序盤、スリムは自分の死に際が気になって占いの館に行く。このシーンからライオン・パーマらしいコメディの連続だ。
スリムはカッコイイ殉職シーンの撮影を目指して、撮られていくうちにどんどん地球から離れて宇宙の果ての怪しすぎる星に到着してしまう。スリムを運んだのは勿論、スリーナインだ。笑

たどり着いた怪しすぎる星は「ボケと突っ込みの星」「世界で一番優しい星」なのだが、これらの星の住人があまりにも怪しすぎる。笑

スーパーマンのようなタイツに身を包んだスリムは彼らと戦うもその戦い方があまりにもカッコ悪い。スリム(石毛セブン)自身がそれなりのお年頃なので元々、ハードボイルドなんて無理なんだってバ!笑

しかし、観客はセブンのハードボイルドなんて元々期待していないから大丈夫だ。結局薬局、今回もスリムは死なずに無事に地球に戻ってきてしまう。宇宙を舞台にした壮大な殉職シーン!・・・のはずだったが、今日も刑事専門俳優、藤岡琢磨、通称スリムの殉職シーンを取る為にスリムは監督にシバかれて、最初からやり直しするのだった。

構成がひじょうに上手い。キャストらは一生懸命、演じてるのだろうけれど、そう見せないところも凄い。更に主役のはずのスリム自身が台本を読んでないのか渡されていないのか、シーンの展開の先が解っていない設定も面白い。だから、いちいち、「俺はコイツラの幼馴染なのか・・。」などどつぶやきながら疑心暗鬼のうちに演じるのだ。笑

全体的に中途半端な劇中劇のような設定になってる緩さも素敵だ。あまりにも楽しい時間だった。
東京バンビ 『男子と女子と、ときどき鹿と』 決勝は、さらにパワーアップして旋風します!

東京バンビ 『男子と女子と、ときどき鹿と』 決勝は、さらにパワーアップして旋風します!

元東京バンビ

小劇場 楽園(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/14 (土)公演終了

満足度★★★★

ぶっちぎりのくだならさ
前説からくだならさ全開。町田が口パクで裏から聞こえてくる声に合わせてしゃべるのだが、これが本当におもろい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

内容もしごく緩くでだらだら。とてつもなくアホらしいコメディだ。もののけ姫やうるせいやつら、ドラゴンボールなどのアニメネタのパクリも全開。まさにぶっちぎりだ。

寺本(はやし大輔)がチヨコとセックスしたい一心ゆえに本丸を攻めるには外堀から・・と、変態的な一生懸命さが笑える。ロボット・唐栗(中峰健太)も素敵だ。彼は本当は精巧に作られたアンドロイドじゃないかとも思えてしまう。更に今回、実に良かったのが結こと佐々木千恵だ。天然なんだかセリフなんだか解らない微妙な突っ込みや恥ずかしさが素晴らしく面白かった。

中盤でポップンマッシュルームチキン野郎のケンタウロスが登場する。これはポップンが毎回の公演ごとに登場させるキャラクターだからレンタルしてきたのだろうが、ここでは鹿でなくきょんだという。笑
きょんは「がきデカ」で有名になったが八丈島一押しの動物だ。東京都総務庁のHPに画像が乗ってるのでご覧ください。

緩くてバカバカしいお馬鹿なコメディ。
わたしのゆめ

わたしのゆめ

ガラス玉遊戯

「劇」小劇場(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/15 (日)公演終了

満足度★★★★

保護者会
こういった舞台は案外多い。そして毎回のパターンだが、キャバ嬢を「呼ぶ派」「呼ばない派」で保護者の職業によっても意見は分かれる。それにしても・・逆バージョンでホストクラブに勤める父親がいたらコメディな要素があったかも。笑

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

キャバクラで働く母親役が龍田知美だ。ワタクシは個人的に彼女の顔が好きだ。動物で例えるなら鳥顔だ。しかも鷹のような凛々しい鳥類顔だ。そんな鷹が己の爪を隠してキャバ嬢役なのだから、これはファンとしては必見なのだ。笑

そんなキャバ嬢を子供達に「なりたい夢」の代表として話をさせるのは教育上良くないと議論するのは当然のことで、世の中には建前と本音の部分で職業差別は存在する。ワタクシ達だってそうだ。建前では職業差別なんて微塵もありません。みたいな顔をしているが、本音では風俗嬢を作家と同等には扱えない。

今回の保護者会ではそんな本音の部分を舞台上で徐々に明らかにしてゆく面白みがある。またキャバ嬢が他の母親と議論する際に喧嘩腰になる場面はキャバ嬢独特の言葉遣いの下品さも露呈してしまう。

しかしながら保護者達にも、かつて夢があったことを気付かせる。子供の視点になって顧みると観る目も違ってくるということだろうか。しかし大人になってしまったら、どう頑張っても子供の視点にはなれないのが普通の大人なのだが、ここでは保護者らで丸く治めていた。笑

「将来はどんな大人になりたいですか?」とのアンケートには「ただの大人」と書いてかつての担任から顰蹙をかったワタクシは子供の頃から小生意気な餓鬼だったのだとつくづく思う。それでもやっぱり、ただの大人になれたのだから夢は叶ったのだろう。と自信を持っていえる。
PerformenVI~Paradiso~

PerformenVI~Paradiso~

電動夏子安置システム

吉祥寺シアター(東京都)

2011/05/07 (土) ~ 2011/05/15 (日)公演終了

満足度★★★★★

壮大なテーマの完結編・「アルテ編」
前回は地獄編だった。今回はパラダイス、つまり天国編で、「自分達の生きている意味はどこにあるのか?」という疑問から発した自分探しの旅はこれで終焉となる。
思えば小説より内容の濃い舞台芸術だった。神が世界を創世し、その原理に基づいて人間は動かされている。という思想哲学のもと、「本当にそうなのか?自分達の意思はどこにあるのか?」というしごく単純な発想を起点とした物語だと思う。だからあまり小難しく考える必要はないのだが、始まりの舞台2009年から年月を経て今回まで、全ての総括的な舞台だった。時計のゼンマイのようなセットとソレがデザインされた衣装も素敵だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

物語は神聖喜劇だが、テーマの元はダンテだと勝手に思っている。竹田哲士の今回のシリーズはダンテの書物と並行して呼んでいると実にしっくりくるからだ。

今回のキャストの投入人数を緻密に計算しながら時計仕掛けの人形のように動かす演出は絶妙で、さぞかし大変だったろうと観終わって素直に感服した。今回も場面展開を複数に設定し時差を微妙な感覚を空けて交錯させる。バレーでいえば時間差攻撃だ。笑

全ての動きは配線→吹替え→編集→廃棄→遅延→条件と忠実にテーマに沿って行われるが、そのキーは言葉だ。言動のトリックと言えば解りやすいかもしれない。そのトリックの手法もきちんと舞台上で説明しているからひじょうに解りやすく構成も巧みだと思う。ただ、こういった時間差によるトリック舞台は観客が魔法使いに操られたスヌーピーみたいな錯覚に陥り不思議感一杯で頭の中が???となってしまったら最後、どんな描写も受け入れられなくなる恐れは十分にあるのだ。

それでも幸運にも、聖書やダンテや神話を読んでる輩にはこの舞台は壮大で宇宙的な香りがして、舞台の前でひれ伏してしまいたい衝動に駆られる。それはあくまでもこちらと舞台上の感性の駆け引きの結果なのだ。

そしてこの宇宙のどこかに存在している、誰もその正体を知ることはない何者かは、いつも誰かの心の片隅に宿っているものだとも思う。そのものに人間が動かされていようと、いまいとも、私たちは運命を受け入れて生き、そこに僅かな幸福を見出すべきだと考える。そう思わせる舞台だった。素晴らしい!!と心からそう思う。


ガクラン

ガクラン

THE 黒帯

テアトルBONBON(東京都)

2011/05/11 (水) ~ 2011/05/16 (月)公演終了

満足度★★★

SECRET GUEST岸哲生がすごぉ~く良い!
「KUSARE芸道R」の主宰という岸も知らなければ劇団名も聞いたことがなかったが、人間離れした天然的なコミカルさといい、不思議なキャラクターが魅力だった。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

岸が舞台から掃ける場面では、それを渋ってジダンダ踏みながら水を要求したり何かをやりたそうな気配をみせながらも、黒帯劇団員らがそれを軌道修正しようとやっきになっていた場面が微笑ましい。笑

しかし、彼らはむしろ岸に蹴散らされ、笑いの殆どを彼が奪っていたのは予想だにしなかったに違いない。つまりはTHE黒帯の連中をアドリブでもタジタジにさせていたのだった。この回に観られたことは幸運だったと思う。

物語事態は大したことはない(失礼)が永山が暴れまくって、いったい何処からどこまでがセリフで、アドリブなのか、はっきりしない。彼のキャラクターが、好転して「やれやれ・・」と観客の抵抗力を圧していたと思う。

観ているこちらもコメディなんだか、きっちり物語を作る気があるのだろうかと良く解らず、半信半疑で緩く観ていた。
まあ、娯楽的に楽しめると思う。SECRET GUESTによって印象が違うかも・・。
ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち

ヘレン・ケラー~ひびき合うものたち

東京演劇集団風

レパートリーシアターKAZE(東京都)

2011/05/12 (木) ~ 2011/05/16 (月)公演終了

満足度★★★★★

感動の嵐
舞台セットがシンプルで美しい。実際にポンプから水が出るセットは素敵だ。
今回のヘレン・ケラーは、若き家庭教師アニー・サリバンとヘレンの二人が出会い2週間の共同生活を送る前後の1ヶ月ほどの期間を題材にして描いた物語だ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

今回の舞台はその演出の見事さに圧倒された。アニーがヘレンに指文字を教える場面や、ヘレンが空に向かって手を掲げ、まるで地球を支えてるかのような動作は役者・白根有子の目がほんとうに見えないのじゃないかと感じ、その演技力と演出に感動した。役者らの動き、仕草、呻きはいちいち見応えがあり体当たりの演技を観ていると実に清清しい。

今回のアニーは見事なほどのおてんばで活発な家庭教師だったが、ヘレンと七転八倒するその風景は微笑ましく感じ、努力と愛情の原点を観たような舞台だった。

幸福な人生とは・・をつくづく考えさせられ終盤は感極まって号泣してしまったが、同じように観客席では啜り泣きが聞こえキャストらの演技の白熱さを物語っていた。

惜しむらくは孤児院に残してきた弟の死の声として回想シーンがあるがその声があまりにも棒読みで残念だった。アニーも時々棒読みになる場面があったが、結果的にこれだけ感動させられたら文句のつけようもない。

幕後、拍手は鳴り止まず「ブラボーーー!!」の声も響いていた。まさに観客と舞台が響きあっていた瞬間だった。素晴らしい!
夏葉亭一門会vol.2(公演終了!!ご来場ありがとうございました!)

夏葉亭一門会vol.2(公演終了!!ご来場ありがとうございました!)

王子落語会

王子小劇場(東京都)

2011/05/09 (月) ~ 2011/05/09 (月)公演終了

満足度★★★★

TUTAYAでCDレンタルして特訓した成果
夏葉亭ナッツこと【七味まゆ味(柿喰う客)】は「いきなりベッドシーン」の落語バージョン。なんでも出演者の感想では落語じゃなくて芝居とのこと。笑
それでも他の役者は落語として成り立っていて出演者の器用さを物語っていた。
案外、落語って独特のテンポがあるから芝居より難しいかも。。


以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

権助魚:夏葉亭ジンジャー【登米裕一(キリンバズウカ)】

初天神:夏葉亭ハスカップ【鬼頭真也(夜ふかしの会)】

個人的に↑が一番の好みだった。落語の選択も良かったと思う。鬼頭真也のころころ変わる表情も秀逸だった。


時蕎麦:夏葉亭空豆【齋藤陽介】

↑こちらはあまりにもメジャーすぎて誰でも知ってるネタかと。苦笑!


火焔太鼓:夏葉亭メロン【小玉久仁子(ホチキス)】

紙入れ:夏葉亭ポルチーニ【中川智明】

死神:夏葉亭金保丸【多田直人(演劇集団キャラメルボックス)】

↑演目どおりのちょっとホラー的な内容。死神から足をすくわれるオチも絶妙。


権助魚:夏葉亭みかん【村上誠基(柿喰う客)】

↑登米裕一(キリンバズウカ)】のネタかぶり。プロデューサーからかなり前に連絡があったらしいが村上はそのメールを見過ごしたようだ。バカじゃね?笑


金明竹:夏葉亭雛菊【永島敬三】


全体的には楽しかった。
ちなみに落語ネタは↓を参考に
http://homepage3.nifty.com/~tomikura/rakugo.html#ka
平田オリザ・演劇展vol.1

平田オリザ・演劇展vol.1

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/17 (火)公演終了

満足度★★★★

「舌切り雀」を観た
山内健司ほど日本人らしい顔をした役者は居ない。と個人的には思っている。しかし最近、フランス滞在が長かったせいか「ぼんそわーる、ふらんすめていてそう。」と、どことなくおふらんす的な香りを放つ。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

リーマンスーツにトランクを下げて登場した山内はまず、観客を暖めることに徹する。その努力のせいもあってか子供の野次が面白い。おばあさん、おじいさんの人形の顔が恐いが日本人が創作したものでないと聞いてなるほど・・と思う。日本の童話に登場するおじいさんの顔は大抵、人の良さそうな顔をしているはずだ。

のっけから見た目恐そうなおじいさんと雀の場面から始るがストーリーは誰でも解っているので安心して観られる。しかも懐かしい。これで人形そのものがもっと穏やかな表情をしていたら完璧だったのだけれど、どうみたっておじいさんは悪党っぽい。むしろ、オリザ人形でも出しとけば、もっとウケタに違いない。笑


平田オリザ・演劇展vol.1

平田オリザ・演劇展vol.1

青年団

こまばアゴラ劇場(東京都)

2011/04/28 (木) ~ 2011/05/17 (火)公演終了

満足度★★★★

「走りながら眠れ」を観た
社会主義者で革命家の大杉と伊藤野枝の家庭での会話劇。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

いつも思うことなのだが、人となりのイメージって本で捉えて自分なりに凝り固まってしまうのだが、かくゆうワタクシも大杉に対してあまり良いイメージは持っていなかった。しかし本日の舞台での描写は、家庭の中での妻・野枝とのほのぼのとした緩やかな会話を通して幸せそうな大杉の生活が伺えるのである。

大杉は略奪愛でも有名だがこういった家庭を築けるなら略奪愛も悪くない。笑
幸せそうで楽しい夫婦の会話は本来なら延々と続いて欲しいところだが、この後、大杉が伊藤野枝とともに虐殺された経緯を考えると、人間の一生は本当に解らない。ファーブル昆虫記も懐かしく感じながら観られて、とても有意義な時を過ごせた。

LDK【ご来場ありがとうございました】

LDK【ご来場ありがとうございました】

風雷紡

神楽坂セッションハウス(東京都)

2011/05/04 (水) ~ 2011/05/08 (日)公演終了

満足度★★★

模倣家族
雪乃ちゃんの朗読がたどたどしくてちょっと残念だった。こういった素人っぽさを良いと評価する観客と、そうでない観客とがいるのは当然の事だと思うが、ワタクシは後者だ。学芸会なら別だが、元来、有料の舞台を興すなら子役といえどもプロなのだから、そこは手厳しい。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

舞台は3月11日の地震の日に突如として失踪してしまった夫と残された家族を起点に進むお話。残された家族が、夫の身代わりに模倣家族を作り上げるのだが、何となくしっくりこない。その模倣家族の設定はアンバランスだ。そのアンバランスの中にそれぞれの悲しみを抱えている人たちが集合体として息づいてるだけだ。

だからいくら家族ごっこを演じてもそれは幻でしかない。この現実離れした家族を終盤はどうやって閉じるのか、と興味津々だったが終盤はあっさりと失踪していた夫が戻ってくる。という設定でむりやり閉じてしまう。これには少々度肝を抜くほど落胆してしまった。

そもそも模倣家族を作ろうと考える発端が妻の弱さと甘えと依存性にある。物語をその妻に引きづられる可哀想な娘として構成されたならもっと違った舞台になったと思う。実に惜しい舞台だと思った。

おヒゲのオカマ・祥野獣一のキモさが素敵!笑

湯河原ドリフターズ 菊の間

湯河原ドリフターズ 菊の間

アリー・エンターテイメント

シアターグリーン BASE THEATER(東京都)

2011/05/06 (金) ~ 2011/05/10 (火)公演終了

満足度★★

古臭い
生き馬の目を抜くような怒涛の小劇界であまりにも古臭いネタの乱舞。大丈夫なのか?安土桃山か江戸時代のネタのような・・。あまりにも飽きて途中で帰りたかったほど。指定席だった為、出るに出られず。観れば解る。以上。

ネタバレBOX

勿論、初見の方にはお勧めは出来ない。小劇団がみんな、こんなだと思わないで欲しい。役者の演技力以前に脚本に魅力がない。
アイアン・ディッシュ

アイアン・ディッシュ

劇団芋屋

OFF OFFシアター(東京都)

2011/05/04 (水) ~ 2011/05/08 (日)公演終了

満足度★★★

かなり強引な緩いコメディ
下町の鉄工所を舞台に繰り広げられるコメディ。
毎度のことながら中山貴裕(ゲキバカ)の演技が素敵だ。中山が登場するだけで場の空気が変わるのはやはり実力だろうとしみじみ思う。

ネタバレBOX

はっきりいってストーリーは大したことはない。要所要所が、ターミネーターのパクリだったりする。鉄だけに。笑
でもって肝心の笑いもワタクシ的にはベタだったりもする。

アガッテいたのかぎこちない動きの役者もいたりして、更に肝心の演技までぎこちなかったりする。大げさなリアクションが過ぎて失笑されてたりもしたが、そういった部分も「まーったくしょうがないわねぇ~。。」みたいな生暖かい諦めが観客のほうにあったのは、劇団側としては有難かったのではなかろうか?

鉄工所を長男に任せて海外の技術指導に行ってしまった鉄の親父とその妻。その留守を守ってきた長男に、帰国した父親は過酷な取引を強いるのだが、この場面の展開がどうも腑に落ちない。父親は長男に人として生きる指標を諭しながらも、一方でその持論を覆したりする。

まあ、コメディが主軸ならそういった場面も緩く消化してしまうのだが・・。全体的に緩いコメディ。



よ~いドン!!死神くん

よ~いドン!!死神くん

ポップンマッシュルームチキン野郎

吉祥寺シアター(東京都)

2011/04/29 (金) ~ 2011/05/02 (月)公演終了

満足度★★★★

ナンセンスコメディ
漫画界の巨匠・小林コロンバインが死神くんとなって本来の自分を隠し息子らの為に一揆奮闘する物語。

以下はネタばれBOXにて。。

ネタバレBOX

序盤、シリアスで大真面目な舞台から始まる。ここで感じたことなのだが、ここの役者はこういう演技も出来るんだ・・、と妙に感激。音楽でいえばベートーベン「悲愴」の第一楽章といった趣だった。舞台は観客を完全に支配して独自の世界を作り出したと思った矢先、置物のようにあった大きな物体が半分に割れて「死神くん」が飛び出してきたのだった。笑

瞬間、会場全体が息を止めたような一瞬の静寂を破って爆発的な笑いが沸き起こった。ワタクシはこういったとんでもない場面展開が大好きだ。予想もしなかった展開を目のあたりにして完全に舞台に吸い込まれるようにこちらの感情はステージめがけて押し寄せてしまっていたのだ。

それからの舞台はコメディとシリアスとが混ざり合ったような内容だったが上演時間が長いこともあってか、ジェットコースターのような大げさな笑いではなく、線香花火のような笑いだった。家族愛をベースにした脚本だからこそ大きな笑への方向転換は難しいようにも思う。

旅館の主人こと寿栗太郎(今井孝祐)がひじょうに素晴らしい演技をしていた。会場の笑いを一身に集めていたような気がする。また青山の前説も自虐ネタが面白かった。大沢刑事(最所ユウキ)は役不足のような気がして物足りなかった。彼は以前、アメリカ大統領チュッパチャップス氏を演じてたキャストではなかろうか?あの役が一番似合ってた気がするのだが・・。

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