東京裁判 pit北/区域閉館公演
パラドックス定数
pit北/区域(東京都)
2015/12/22 (火) ~ 2015/12/31 (木)公演終了
満足度★★★★
普通席より観劇
3年前は傍聴席、今回は普通席から観劇。
夏場に野木さんが脚本を書いた青年座の「外交官」を見ていたせいか、その世界も思い出した。5人の役者によるシリアスで直球の討論が繰り広げる中、時に笑って考えてつい泣けてしまう。
口コミ効果なのか、はたまた劇場が閉館になるためからか、場内は満員。
役柄の年代が役者の年齢的に近づいてきたキャスト、部屋を照らす灯り、効果音もないのに、いつにも増して迫力と熱気を感じました。
白鯨-Moby-Dick-
文学座
文学座アトリエ(東京都)
2015/12/08 (火) ~ 2015/12/22 (火)公演終了
満足度★★★★★
文学座名作劇場みたいな
セットらしいセットはほとんどなく、全ての視覚は船上の役者に注がれる。そこには気温を感じる灯りや靄がかかったり、宿になったり酒場になったり。フレキシブルな白い幕引き使いや生声や小道具を楽々と扱いながら奏でる音楽。
海上で他の船と遭遇して白鯨にまつわる情報を得た後の船長の自尊心に巻き込まれた先の結末まで、最後まで飽きさせない展開に童心に戻って楽しめる演劇でした。
正面座席からの観劇だったので、強大なアレの迫力も体感でき、とても面白かったです。
「ツイン・ベット」「四畳半襖の下張り」
椿組
【閉館】SPACE 梟門(東京都)
2015/12/18 (金) ~ 2015/12/23 (水)公演終了
満足度★★★
2本立て
上演順
外波山文明ひとり芝居「四畳半襖の下張り」約55分
道産子男闘呼倶楽部「ツイン・ベッド」約75分
SPACE梟門のこけら落とし公演。
夏場にプレオープンで「夢を見る」という占部房子さんの一人舞台を同劇場で見ていたので、視覚位置などは分かってはいたつもりだったが、舞台後方上手側に座ったため、舞台上の梁で奥が見切れ、芝居が見えない箇所もあったが話の腰を折るほどの場面でもなかったので、まぁそんなに気にすることもないか。100席近く、場内満席で見ていて身動き取れず、空調の加減がうまく取れず、酸欠になりそうな観劇体制にやや疲弊した。
ライン(国境)の向こう【ご来場ありがとうございました!次回は秋!!】
劇団チョコレートケーキ
東京芸術劇場 シアターウエスト(東京都)
2015/12/17 (木) ~ 2015/12/27 (日)公演終了
満足度★★★
これまでとは活気が違う舞台
これまでの観劇後は深い重りのような感慨が湧いていたが、今回はそれが薄く、女性キャストや含めると10人近くのキャストが登場する。
階段状のセット、衣装は農作業着、モンペ姿。舞台の世界観が1945年からのもしも日本がこうなったら、なフィクション。緊迫した場面で笑える要素があるとは想像してなかったので、ここら辺は合作ゆえの見せ方だな、と感じた。
舞台上は簡略化されたセットで小道具類も設置していない、役者の動きもステージ上で座ってセリフを喋る場面も多々あり、そうなると客席側のE(F)列まで段差ないため、正面席は前列客の頭で遮られながら見なければならないのも辛かった。
役者さんはそれぞれ役柄に合ってて良かったし、話の展開も合作なのでいろんな意見あってこうきたか、とも考えるし、公演終盤の観劇や劇場の違いで見たりすると、また異なった感想になると思う。が、メデタシメデタシなエンタメも良いけど、個人的には劇チョコにそれはあんまり求めてないんだな、って思うのはわがままかな。今回の趣向がいい変化にいけばいいけど。
約130分。
熱海殺人事件
ホリプロ
紀伊國屋ホール(東京都)
2015/12/08 (火) ~ 2015/12/26 (土)公演終了
満足度★★★★
古典演劇
当時のリアルタイムで観ていた観客がいると、それなりに劇場の熱気が違いました。いのうえさんらしいタイトルロールの出し方についニヤニヤ。
最初、風間さんの喉は大丈夫かなぁと心配したけど、長年の染み付いた為せる技なのか次第に面白くなっていく風間氏と平田氏の掛け合い、本家の「チャイコフスキーはお好きですか!?」のセリフを聞けてラッキーでした。
ド派手な効果音で耳が痛くなる座席付近で観劇、話の展開は突っ込みどころも多いけど、ここまで来たら今後は昭和の近代古典演劇を目指してほしいし、次回もあるとしたら、またいのうえさんが演出してくんないかな。
若手俳優さんを活用した演出より、いのうえさん演出のつか作品おもしろかったです。
悲しみを聴く石
風姿花伝プロデュース
シアター風姿花伝(東京都)
2015/12/11 (金) ~ 2015/12/21 (月)公演終了
満足度★★★★
蚊帳のような仕切り布の装置が面白い
世界の遠く離れた場所では、こんなことが日常的なんだろうなと、暗澹たる気分。
生と死と性と怒りと懺悔の願いを聞かなきゃいけない中東の神様も忙しいんだろうな。
那須さんの膨大な独白を集中して聞いてたら、極限状態の世界に入り込みすぎて、少し肩が凝った。
ツインズ
パルコ・プロデュース
PARCO劇場(東京都)
2015/12/06 (日) ~ 2015/12/30 (水)公演終了
満足度★★★
作風の灰汁の強さ
安部公房と北村想が合体した映画「バクダッドカフェ」+「渚にて」、てな印象。個性的なキャストに期待はあったけど、全体的にモノトーンな雰囲気で、見ているだけで感情が薄暗いままうつむき加減で見てしまいそうだった。調理場面も多い為、少しお腹を充しておかないと舞台上からの匂いにやられるw。
各自、個性的な人物設定の印象が残り、サイドストーリーで見たら、もっと話が理解できたんじゃないか、人物の枝葉の部分がダイジェスト的展開、と思った。
今回のお話(暴力とか性描写セリフなど)、渡英前の阿佐スパの作品をいくつか思い出したが、何と無くその時の作風に戻りかけてるのかな。
約2時間。
『痕跡≪あとあと≫』◆◇終演。ご来場ありがとうございました!!!◇◆
KAKUTA
シアタートラム(東京都)
2015/12/05 (土) ~ 2015/12/14 (月)公演終了
満足度★★★★★
良作
劇団結成して20周年だとか。
円形劇場での初演も見て、見せ方も面白かったし役者さんも素晴らしかったし、話もわかっているし。リピートして見ても感慨も薄いだろうな、と思いつつ劇場の使い方がどう変化しているのか見たくて見に行った。
わかっているのに、世代の違う母の行動とそれぞれの意思の強さに今回もまんまとボロ泣き。
円形のステージを彷彿とさせる見せ方も面白かったです。
バグダッド動物園のベンガルタイガー
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2015/12/08 (火) ~ 2015/12/27 (日)公演終了
満足度★★★
上演して間もないせいか演者に硬さのようなものを感じた
とある場面がヤンキー兵による♪over 30 do the soulの歌詞を彷彿とさせたり、貴方が探しているのは金の便座?などとふざけたこと思い浮かんだ平和脳。でも、ここら辺もっと笑わす要素もある気がしたが、時代的に10年ほど前の紛争や宗教観を混ぜ合わせ、見聞でしか知り得ない言葉の重みに、乾いた空気感が全体を覆っていたような舞台だった。
中津留さんの硬派な作りはわかった、亡霊に取り憑かれちゃった事も理解できるが、前もって解説など読んでた方がもっと楽しめたかも。
国立系の劇場じゃないと上演出来辛い作品なのかもなぁとも。
シザーハンス、ではないが安井さんの苦悩ぷりやアメリカ兵の谷田さんが良い。
水仙の花 narcissus
城山羊の会
三鷹市芸術文化センター 星のホール(東京都)
2015/12/04 (金) ~ 2015/12/13 (日)公演終了
満足度★★★★
独特
「アレ」が「あれ」で「ねぇ」と、例によって不毛で歪んでいく男女の異様で親娘の仲。
山内氏の新作映画「友だちのパパが好き」と共通項があるのかな。
舞台から発する匂いを嗅いだら、感覚の隙間からエロが垣間見え、世代を越えた男と女の業の騒動を体験しているような、なんというか日本的ではないフレンチ作品のような舞台だった。
花言葉を調べたら、あー納得‼︎
今回も三鷹の人はいい仕事するわw。
約2時間。
モデル
西瓜糖
テアトルBONBON(東京都)
2015/11/26 (木) ~ 2015/12/03 (木)公演終了
満足度★★★
最終日観劇
ユニット?劇団?としては初見。
大正末期の軽井沢、富裕家族(華 ではない)とパトロン、そこに集う人々。何処となく昼ドラの女子校的甘美文学の感覚をたゆたいながら見ていた約2時間というか。
冒頭の銃声が終盤に明かされるがその扱いも女性的な明るさだな、と思ったり。生粋の芸術バカ気質の土肥さんの描いた顔を見たかったかな。
言葉使いが綺麗でした。有川さんの対極な役柄と演じ分けの広さに驚愕。
桜の園
新国立劇場
新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)
2015/11/11 (水) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★
この作品を見るのはこれで何度めだろう
いろんなところで上演され尽くしてる感もあるのに、チケットほぼ完売だとか。今回の転落ぶりのラネーフスカヤやトロフィーモフのシンプルな説教いい。ウケ狙いではない笑いの要素が多かったような気がした。
柄本ロパーヒンは何回か見たらクセになりそうな妙技だった。
現代能楽集Ⅷ『道玄坂綺譚』
世田谷パブリックシアター
世田谷パブリックシアター(東京都)
2015/11/08 (日) ~ 2015/11/21 (土)公演終了
満足度★★★
能楽と三島文学の甘美さが共存
そこはかとなくアングラメロドラマ感出てる小町パートは面白かったけど、宗盛とユヤの近未来部分の徴兵制の件は、三島文学というより三島の人物史感が透けて見え、そこらへんは虚が削がれて見てた。
昭和令嬢の喋りは美しくて好きだが、歌う場面もあってそこらへんは一路さんへのファンサービスなのかな、とも思ったが、三島由紀夫作品て女優が活きる舞台だから、やっぱそれがあって良かったのか。
スポケーンの左手
シーエイティプロデュース
シアタートラム(東京都)
2015/11/14 (土) ~ 2015/11/29 (日)公演終了
満足度★★★★
対面式舞台
右手を探して歌っていたのはブルーハーツ、左腕の用心棒は丹下左膳。
今作では左手を探し求める40後半の男。男の色気は感じるけど恋愛要素はあまり感じさせず、母親に手をこまねいている感がいかにも外国の男って感じで可愛い。その彼が探し求めた先の顔ってああなるよなぁ、な顔に納得。
ディバインレフトハンドを操ってたの実は彼だったりして。
時々置いてけぼりくらう小川さんの翻訳劇、今回は面白かった。
約95分。
「タイタス・アンドロニカス」「女殺油地獄」
劇団山の手事情社
吉祥寺シアター(東京都)
2015/11/06 (金) ~ 2015/11/16 (月)公演終了
満足度★★★★
「女殺油地獄」観劇
話そのものは近松戯曲なのに、貨幣価値は現代、変形マイムなのにすっごい緻密な動きに魅せられる、シンクロナイズ油ダンス。ビデオドリームみたいな油映像もなかなか変で面白い。古典文学なのにクズダメンズの与兵衛の衝動的な行動が今っぽい鬼畜さが見えたりして。面白かった。約90分。
ニホンオオカミはいなかった
十七戦地
小劇場 楽園(東京都)
2015/11/11 (水) ~ 2015/11/15 (日)公演終了
満足度★★★★
初見
チケットプレゼントにて観劇。
先祖代々の土地、地方といえど地元の主として君臨していた家柄とその分家、過疎の村。
三人姉妹、特に本家に残った次女を取り巻く環境が殊更慌ただしく、また周囲を担ぎ込み、嫁の立場にいる外様の女の本心がいかにもありそうなマウンティング。
相続問題、親族、血族の重みと破滅に向かう加減に見につまされる部分もあった。
よくできたウェルメイドプレイで面白かったです。
ベイビーさん ~あるいは笑う曲馬団について
株式会社セガ・ライブクリエイション
Zeppブルーシアター六本木(東京都)
2015/11/07 (土) ~ 2015/11/14 (土)公演終了
満足度★★★
劇場は違う場所の方が良かったような気がする
出だしから緩いながらも毒吐くピエロさん、あぁ関西の劇団や…とニンマリ。芸達者で軽妙洒脱なベテラン勢に僧正いつ出てくるんやろと錯覚しそうになったが。現実感もありそな話だけど温かみあるラストと久しぶりの中島らも作品に満足。
チケット代のせいか、開始時間の速さか、場内満席とはいかなかったようで、後部座席を潰していたのが勿体ない。
『いとしの儚-100DaysLove-』
劇団扉座
座・高円寺1(東京都)
2015/10/29 (木) ~ 2015/11/08 (日)公演終了
満足度★★★★★
惚れられて惚れあう2人
もともと「長谷雄草子-はせをざうし-」を下敷きにしてたと思う。
15年ぶりに劇団に戻り、改定してる部分もあったけど愛の形が夫婦愛、同性愛、多様な愛情表現と外連味あるスーパー歌舞伎場面も盛り込まれた王道の舞台。
映像の活躍も良いが、舞台で見る山中さんはやっぱ華があるのである。
約2時間弱。
ヤッシーナイト2
ヤッシーナイト
早稲田小劇場どらま館(東京都)
2015/10/29 (木) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★
最終日観劇
演者も演出も当日のトークゲストも、演劇界の早稲田派閥で囲まれ劇場の外では六大学野球の優勝パレードが聞こえるという、滅多に経験しないような観劇日。
個性的な4作品、この作家陣を集めたのはご本人の人徳ゆえなんだろうな。
矢柴さんの映像での活躍は目にしているけど、舞台で見る姿は初見。これまでも幾人もの一人芝居を見たことはあるけど、今回は作家陣に惹かれ見に行った。劇場アクセスも良く、劇場内部も綺麗だった。
舞台で演じる時は一人だけど、幕間にお手伝い役?のメイクさんが出てきてその人と台詞なんだか素の会話なんだか、あまりにも自然な会話を挿入し、舞台上で着替えを見せながら次の話へ移行する。更衣中、胸にバストバンドしているから「ああ、一人舞台って大変だなぁ‥」と漠然に思っていたら、実は前日の舞台で肋骨骨折してしまったのだとか。お大事に。
少し長くも感じたが面白かったです。約2時間半。
地を渡る舟 ―1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち―
てがみ座
東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)
2015/10/23 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
最終日観劇
側でみれば知の道楽のようなお屋敷でも、そこは研鑽を積む学舎でもあり家庭でもあり。農耕、風習、戦時下の正義、唇噛み締め大地を踏みしめて生きてく昭和の日本風土記のよう。身分や立場は違えど、みな市井の人々。戦争により失ったもの、奪われたものは人命以外にもたくさんあるが、女中の志野さんがお国言葉で漏らした本音に涙止まらず。世の中的に自分にとって無駄なモノは簡単に淘汰しようとする流れは誠に不憫な考えだと思ったりして。
澁澤の妻と宮沢の妻が相対する場面の毅然とした真摯さ、その澁澤妻の選択肢のない生粋の生き方、苦悩の日々を過ぎ、それを受け止めた澁澤の気持ちにも憂う。シンプルだけど印象に残る舞台セット。
いい舞台でした。