満足度★★★★
渋滞からのコミュニケーション
日常が非日常になり、何時の間にか日常に変化して時間が経過しているようで、まさに見ている行為が渋滞と連携して白昼夢のような感覚だった。
ネタバレBOX
昨年の震災で被災地を彷彿させるエピソードあり。そんな中の怒り、共同、和解、別離、友情、親愛、新しい命が上手い事絡み合って話が流れていくが、どこで終るのか全く予想つかず、このまま渋滞の先頭が見えないまま話も終わらなんじゃないか、と思ってしまった。(さすがにそんなことはないけど)
クリスマスが近づいたある日のプレゼント交換シーンに思わず気が緩んだ。閉塞の最中で起きたいい場面だった。
miniの彼女の時計が見つかり、時が動き出す。
渋滞は解消され、いつの間にか連帯感を持ったコミュニティは崩壊する。
バスの運転手はあのまま、彷徨い続けるんだろうか。
不思議で面白かった。
満足度★★★★★
女は凛々しく美しく、男は無様でカッコ良い
つかこうへいさんの舞台は、90年代末期から00年初期作しか見ておらず、その当時は過去作品上演で役者は替わり商業規模が大きくなったリメイク作しか見ていないので、面白さとか興奮とかの印象は思い起こさせず、隔世感のようなものというか舞台の見方が偏っていたと思う。
なので、正直その当時は戯曲からなる、つかさんの凄さというものをあまり感じることが出来なかった。
が、今回は!
横内さんと扉座のつかさんへの作品愛が深〜く伝わる素敵で魅力的な舞台だった。
命の息吹が沸き上がるような、色気あって熱気あって楽しくってド派手で!これがつかこうへいの舞台の威力か!こんなの見せられたら即効ホレるって!
台詞の一言一言が血管切れそうなスピードで喋りまくり叫びまくるが、いい役者さんばかりなので楽しんで聞いてられる。
舞台観ながらこんなに興奮したのも久しぶりかも。
おみそれしました!いい舞台を見せて戴きました!!
亨さんの華麗な殺陣と軽快なステップが見られるのもいい!極上至福!
ネタバレBOX
女はレオタード姿の殺陣で魅せ、男は眩しい白ジャケットで極める。
女だけど男だと言い張る〜、や、劇中歌のチョイスからマイクパフォーマンスに至るまで見ている内にグイグイ物語に惹き込まれ、あっという間に終ってしまった感じ。
最後にスポットライト浴びてタキシード姿で全員踊るのか!?と期待したけど、さすがにそれはなかった。‥ちょっと見たかった気もするw。
劇作家近松と松尾芭蕉の弟子其角、赤穂藩浅野家、吉良家、将軍家、近松一座が混じり合うカオスな展開なんだけど、討ち入りの大義が全てに於いて理屈や理想より、救いを求める人々から垣間見える憤りやその人々への気持ちの故の愛や運命からなるものに、つか作品が脈々と息づいているようだった。
冒頭から機関銃のように捲し立てる岡森近松さん、揺るがなくって凄い。
阿久利麻理さん、凛々しく意志の強さと苦難を逆手に取る刹那な表情が良い。
七五郎美奈子さん、いるだけでぴりっと締まる男装の麗人ぷり。素敵。
源吾有馬さんと内蔵助犬飼さん、闘わない意志を貫こうとする姿勢はリーダーたる姿勢と中間管理職の迷い事が透けて見ているようで、時に重苦しく切実だけどわかりやすい。
団十郎新原さん、かつての萩原流行さんばりのキメまくった表情でたまらんかった。
桂昌院の中原さん、自由自在の行動に存分に笑わせてもらいました。
吉保の佑佳さん、阿久利とはまた違う凛々しさと頭の良さが垣間見えてそれがまた魅力的。
上野介鈴木さん、自ら罠にはまってしまい、殿様なのに小市民ぷりが余計にいい人に見え最後まで気の置けない人だった。
内匠頭野田さん、おぼっちゃまぷりに可愛気が前面に出て面白かった、ちょっとイラっともくるけどw。
人数多いのでヒトマトメにするけど(すみません)イケメンぞろいのチーム赤穂浪士!スケコマシやら家族思いやすぐ生き返る人とか、盛り沢山過ぎて面白すぎる。面白過ぎて忠義へ転ずる場面は哀しく美しかった。あと、某小田さんの季語は「さよなら」と「せつない」だと思う。
山本亨さん、台詞にしろ殺陣にしろ流石の安定感、ぐっとくるシーンが多過ぎて、この舞台で見られた事に思わず溜息。
徹底した扉座版の忠臣蔵つか芝居。
セリフがまるで当て書きのようで聞いてるだけで気分が高揚する娯楽舞台だった。面白かった!
満足度★★★★
昔々の小国での出来事
問題児に頭を悩ますというスタンダードなお話しだけど、変態成分多い。微妙に寓話な音楽劇。大人が見て楽しむ劇。
エロシスターが幅広い意味で、お上手。おっとりした吐夢さん良い。けいさん、ドSぷりがまたハマる。
ネタバレBOX
問題児のスキラギ=悪魔の子ー!笛を吹いたり(当たり前か)、武器になったりしたけど、舞台の〆にも効果的でした。笑いました。
満足度★★★
微笑喜劇
話の内容は変わらないのに、ちゃんと三谷流の喜劇要素の部分がよくわかる。
開演10分前に演者による前説あり。その前説もしっかり見てねと強要されてるような雰囲気だったが、着席後は電源OFFしてチラシ見る派なので内容は聞いてない。
メイン重要なしんペーさん役柄上おふざけ禁止の中でいいアクセント。
青木さんは真面目さが全面に出てた。回数こなしていけばもっと変化しそうな役者さんなのかも。自業自得のような内容だけどチェーホフ好きのケラさんと作品比較して見てみたいかも。
ネタバレBOX
お金がない事は自覚しつつ、過去の遺産を使い果たすが大事にしている桜の園を手放したくない地主婦人とその兄。パリに移住する決意が勝手に悲壮感を漂わせるが、常に現実逃避がお得意のようでそれは最後まで変わんなかった。
夫とは既に離婚、婦人の実子は事故で死去、養女にした長女はそんな母を健気に支え、次女は素朴で陽気。姉の恋愛はままならず、妹は恋の運命も味方に付ける、そんな姉妹の関係が明快に映る対比。
会話がかみ合っているようでそうでない使用人達。
議論?口論はしているものの、過去の栄枯から盛衰に気づかない(気づきたくない?)という行為が、チェーホフが喜劇にしたかった事なのかな。
浅丘さんと藤木さんは完全に浮世離れした没落ロシア人、常に10cm程浮いて生きていそう。一瞬ルテ銀にいるみたいだった。
満足度★★★★
ダークなファンタジー
出演人数が多いけど上演時間は2時間もない。
虫も殺さないような顔して考える事は残酷、10代?のナチュラルな少女から女になる手前の際どさに多部さんの純粋な狂喜ぷりがハマってた。
仄暗い地下の預言者ヨカナーン、朽ち果てた身体つきながら、その成熟な存在と発する声が世の終幕を際立せるような佇まいの聖職者ぷり。
成り上がりぽい風格の王様、あの姫にしてこの王妃ありな風格。
ネタバレBOX
もともとヘロディアス王妃はヨナカーンを好きだったから?
ヘロデ王は兄の嫁ヘロディアスを妻にし、サロメに娘以上の好意を持ち、それを批判されてヨナカーンを地下幽閉、図星だったのか。
そんな義理パパに生理的嫌悪感のサロメ、そこから魔性ぷりを発揮。自分に好意を抱いてた親衛隊長を自殺させるわ、王様から踊る事を強要されると見返りにヨナカーンの首を頂戴という始末。最初は渋っていた王様も最終的に首切り奴隷役人?に実行させる。ここら辺やり取り緊迫してたんで、ただ見入ってたけど、振り返ってみればなんであそこまで「ヨナカーンの首」に拘るのかよく理解してない自分。ヨナカーンの首を持つ事で一つになれると思っていたのかなー?
前方席で見たので、最後は血で血を洗うような地獄絵図みたいだったけど、あの場面は後ろから観た方がもっと尊厳感が増して見えたかもしれない。
また、第一の〜人とか〜人等、配役が多い割には活躍が最小限の人も居たような、話の展開から変えられないんだろうけど、なんか勿体なかった。
満足度★★★
愛は殺し合い
混迷の渦の中で激しく葛藤が大きいまま生き進んでいく複雑な人間関係と思惑というか。ギリシャ悲劇と日本文学の正気を逸脱した純愛が合わさったようで面白かったけど、どこか消化不良のような混乱と違和感も残った。
もう一回見ればまた違った印象も出るんだろうけど、そう簡単にリピート出来る金額の劇団じゃなくなったからな‥、大人しくDVDかゲキシネ待ちます。
どこから見ても「悪人」ゴダイを演じていた高橋さんが凄過ぎた。
劇団員の占める役割もいいとこ取りばかりで、そこら辺は徹底して楽しめた。
ネタバレBOX
蛮幽鬼に出てた狼蘭族、再登場。
面白い設定故、今後もそれを絡めた話を作るのかな、と勘ぐってしまう。
伏線が残ったままで結末になったようで、回収が不十分にも見えた。
現代の抱えてる状況を連想させるような幕切れに、セリフの一編で「人間としてやる事がある」と言い切ったあたりに、コチラは複雑な思いもあって希望と共に困惑が出て油断ならない。
シレンとラギの関係がわかった時、可哀相なんだけど、その関係の不幸が生々し過ぎと嫌悪感が出て、ちゃんと聞いてられなかった。
満足度★★
友情の確認再生作業
出演者一人一人にそれぞれ見せ場があり、それがちょっと全体的に長く感じてしまった。
舞台に客席との仕切りがなく、駅前劇場内の狭さを無駄に拡げてみせてた感じ。
あらすじとは別の内容を考えてたので、実際見たら不思議な話だった。
ネタバレBOX
ある程度生きていけば、都合の悪い思い出や記憶も良いように解釈して変化して記憶したりして、この舞台の場合、それが「鈴木」になってしまったってことか?
ショートストーリー寄せ集めみたいに話が進んでいくが、唐突に妹を殴ったのは幼かった子供故の無邪気な悪意の行動によるものだったのか?
鈴木ひろみっちゃんを探しながら記憶の断片も探っていくけど、辻褄あわせてるような勢いで、後半ごちゃ混ぜに見えてしまった。
登場人物達と世代的に近いんだけど、同学年男子の懐古話を酒の席で聞いているような奇妙な観劇だった。
満足度★★★★
難しかったけど楽しかった
当日参加者50名近く。
参加した時間帯で、全て解決出来た人は7名でした。当日一緒に参加する予定だった友人が私用で参加出来なくなり、一人で挑戦する事に。
制限時間は約50分、時間との戦いでもありました。
劇場から外の清掃スタッフやビストロの店員さん、県民ホールの警備員さんにヒントを貰いながら推理していく、そこまでは良かったけど、そこから先、劇場内でのオーディション(ダンス、セリフ、唄!)推理からが難関でした。
「謎は全て解けた!」って言いたかったけど、さすがにそれは無理でw
でも、楽しかったです。
ネタバレBOX
次回公演「愛と哀しみのクレオパトラ」を控えたKAAT。
ある日、出演者である一部わがままで有名な女優、綾小路麗子が突然失踪してしまいそれを知った共演の男優も降板してしまう。代役オーディションが開かれる事になるが、女優のマネージャー陰山からの依頼で、復帰を望んでるファン(このイベント参加者)を頼りに彼女を捜してほしいとの事。
趣旨と注意事項等の説明があった後、行動開始。
KAATを飛び出し県民ホールから戻り劇場内1階〜3階〜5階と動き回りました。
上の3人のスタッフとのやりとりの後、ここから劇場内で本格的な推理開始。
1)稽古場にて宮本亜門氏が出題するダンスVTR課題、4つのダンスパターンから正解のダンスを推理、それは何番か→VTR見るまで昔懐かしの武富士CMみたいだったらどうしようと心臓バクバクもんだったw。ターンがあったり横跳びだったりフラッシュダンスぽかったり、多分初歩的なダンスだと思う。周りの小道具と照らし合わせながら答えを導き、別室で控えてるダンスの先生の前で発表!‥リズム感はなかったけど正解でした。
2)台詞。大ホールに続くエントランスロビーの一角。階段上がって別室にクロスワードクイズ方式で10の出題、課題の台詞を導く。ここでその出題がどこにあるのか壁見たり下見たり、天井近く探したりと大変!一人てんやわんやで時間かかり、場内スタッフさんにここにありますよーとか教えてもらいながら、なんとか答えを出すも、回答は別室なのでまた階段移動、そこで答えキーワードの半分間違え、階段上り下りを2回もするハメに。スタッフさんから「一名戻りまーす」と言われた時のトホホ感に、ひーって言いそうに。子供の頃、ウルトラクイズでこんな場面あった様な気がする‥と意識が遠のりそうになりましたさ。
3)歌。再度階段上り、舞台セット会場が設置された小劇場へ。ダンスオーディションの時のヒント課題がそのまま適用されるんだけど、小道具が微妙に違うのでそこからまた仕切り直して推理。なぜかわからないけど1の応用?と思った瞬間、一気に答えが出たのに、無常にも時間切れなり、終了〜。
時間切れとなったので、陰山マネの説明があった小スタジオへ移動し、よくわかる解説と共に正解発表。
答えがわかってしまえば「あ〜なるほどね〜」と。途中、友人知人にメールして安楽椅子探偵になってもらおうかとも考えがよぎったけど、そんな暇なかったわー、あと、30分くらいあったら解けてたかもね!って一人強がってみたりw。
単なるバックステージ見学ではないので、一人推理だと「?」の相談が出来ないのが難点。このてのイベントはみんなでワイワイやる方がもっと楽しめると思う。
失踪の原因はマネージャーのスケジュール発注ミス。
お休みだと思った麗子さんは、バカンスで「石垣島」に行っていたのでした。
満足度★★★★★
日本一ロックな一人芝居
孤高のミュージシャン的な役者舞台。シンプルだけどカッコいい舞台でした。がっつり2時間越え、劇場内が寒かったのは考えてほしい。
ネタバレBOX
上演作品順
100
デストロイヤー/古田新太 作
富士そばの友人/赤堀雅秋 作
スーパーカーナビ
一人朗読劇「いつか見た青い空」
さらば 劇団 松田優作
Run For The Dream/ブルースカイ 作
ブロークバックマウンテン
マペットと共に始まり、出だし3作は静かな幕開けだったような感じ。
古田さんの作品はうん、下品w!普段の会話をそのまま舞台で上演しているかのよう。赤堀さんのは、拡大させたらまんまシャンプーハットで上演出来そうな作品と思った。
ナンセンスさが勢いついてるブルースカイ作品、ゲスト作家陣の中ではこれが一番好み。
個人作品では最近の世間ネタを巧みに盛り込み、笑えたり切なくなったり。配役事の切り替えも見事だが、日常会話と生活感の眼差しがいつもながら優しい。
最後の隕石の話は「んな、アホな!」と思いつつ人生何が起こるかわからんからねw、油断大敵!
いい舞台でした。
満足度★★★
最終日観劇
前作「天守物語」の和テイストが、今回は洋の舞台に変化。ハムレットの名を借りた少年社中版のオリジナル芝居だった。
そのままシェイクスピアの舞台に持っていったら似合いそうな舞台美術、昭和特撮怪獣映画を思い出すような音楽(←あくまで個人の感想ですよw)
例によってみんなすぐ死ぬが、ゾンビではなくゴーストで即復活、この切り替えの早さが社中版らしいわ。復讐悲劇が見事に喜劇脚色された、気難しくない面白舞台。
ネタバレBOX
旅役者の芝居(舞台)への思いがこもった台詞は作品を愛しているからこそ出る台詞だと思った。
一観客の自分は遭遇した事はないけど、劇団解散への不尽はどうもリアリティがありすぎるようにも見えた。どこかの実話にも想像出来そうw。
満足度★★★★
初日ソワレ観劇
タイトルからしてホラー風味だけど中身は相変わらずのわけわからん面白芝居の乾電池でした。おじさん達の力の抜き加減がいい。この手の作品は話を聞くよりも実際に見る事が大事だと思う。珍味な面白さを味わえた。
満足度★★★
初見
劇団と運営スタッフの手際の丁寧さ、観客への心配りの見事さに感心しました。あの姿勢は素晴らしいです。
社会風刺と文明批判を混ぜ合わせ日本の民話をベースにしているような印象、RPGゲームでもやっているかのような話の流れにも見える。
壮大な話で、動きが華麗な展開をこの舞台で演じているのは狭く思えた。
ネタバレBOX
ある日、文明を持ってきたイヨ。君臨していたヒミコは象徴にまつりあげられる。瞬く間に文明は浸透し、またそれに関わる紛争や権力争い、今日的な事故事件が起こる。
ナシメやその先の人々へ望みを託したまま、ヒミコ昇華の捧げ方が哀れ。
メインの主役はヒミコとナシメで恋愛要素もあったのだが、他の部分がエキサイトして話が進んでいたので、特に印象に残らず。
イヨの個性は強かったけど、最初から最後まで性格の変化が見受けられなかった。
総じて女性が活躍し、躍動感ある舞台でした。
ラジオ体操をはじめて聞いた人のネタは、他所で先に使われているのを何度か見ているし、喜劇要素はありきたりで笑えなかった。
滑舌の悪さが棒読みのような台詞使いに聞こえた役者さんがいた様に思う。
満足度★★★★
幻想的で貴重な一時間
段田/宮沢/松尾(敬称略)回。
一時間弱の短編読み聞かせ舞台、三人とも声が聞きやすく、テンポよい展開でも厳かな時間を過ごせました。宮沢さんは声もきれいだった。松尾ちゃんの「アメニモマケズ」は実体験ぽくて内容にハマる。段田さんとの「注文~」のやり取りが奇妙な出来事ぽくてイイ!
漆黒の舞台上に輝く星空とマリンバの演奏が綺麗だった。
満足度★★★
わー!と、やってるうちに終った
開演前にノゾエさんの前説、アイアムヒア・アイアムホエアの発音のきれいさが印象に残った。
居場所を巡る嘆きと楽観を天秤にかけたような面白さだった。
ネタバレBOX
冒頭から役者実名の自己紹介があるが、どこまでが真実でどこまでが台詞なのか、そのナンセンスさに面白く困惑。
RADIOHEADだったと思うが、全員揃って歌う場面につい爆笑。
笠木さんのピロートーク場面にはっとさせられ、川上さんの健気な生き様に可笑しさが込み上がる。「薔薇」のありさんのけだるさ、鬼の富川君良かった。
なんというか舞台上の人間模様が青春!ってかんじで、見ていて眩しかったです。
満足度★★★
微妙な変化
前川さんとこの劇団特有の持ち味でもある、SF的要素が今回も占めているのかと思いきや、いつもとは違う演出家による物なのか、至極真っ当な展開で進んでいったのが意外だった。それがつまらない、という訳でなく予想のつかない緊張した中で見た舞台は、自分を見つめ直す良い作品だった。
ネタバレBOX
ある日、物語の核となる一家の次男に災難が降り掛かり、休職することになる。その間に自分は会社にとって必要な人材と思い込んでいたのに、担当を外されしかも上手くまわっている。会社、働く場所というのはもともとそういう所。自覚はしてたけど仕事に費やしていた時間がぽっかり空いてしまい、不本意ながら周りを見つめられる時間を得たら、それまで異端に思えた人や行動が逆に新鮮に見えてくる。それに対比するかのようにその行為を不快に思う父親。二極化された町の中における社会のバランスの構造はその人からすれば非現実的。価値観の相違による気持ちの行き違いが起こるのは当然の事であり、そのように考える事も正しいと思う。
公園にいるホームレスは彼らの一部始終を見ているが、物語の守り神みたいな扱いと見ればよかったのかな。
天災がキッカケで家族と彼らの関係も微妙に変化していくが、結末が実にホームドラマぽい展開で「あれ?いい話」という清々しさもあり。
家族が揃う場面で、みんなが着ていたウインドブレーカーがカラフルで虹みたいだった。
イキウメメンバーの中で安井さんの配役よかった。
満足度★★★
原作に忠実
原作、映画、前公演観賞済み。
前回公演時キャラメルにこの世界観は似合わないのでは、と思っていた。ゲストキャストに惹かれ見に行ったら、ちゃんと舞台として成立していたのでビックリ感心した覚えがある。
一部キャストに変更はあるものの、前回と同様、原作に忠実、尚且つよりスリリングさとシャープな印象が加わっていたように感じた。
石神、靖子、湯川の関連と舞台上で物語をずっと見ていた「歯車」が象徴的。推理より人間性に照準を併せている所がこの劇団特有の良心だと思う。上演時間は2時間以上かかり、話の内容には気が滅入るが苦痛や長さは感じず。キャラメル陣と客演陣の見事さに恐れ入る、いい舞台だった。
ただ、劇団好きならわかる小ネタの内容はイマイチよくわからんし、そんな事入れんでも笑わせる箇所はあったと思うが。あまり舞台を見た事ない観客へ興味を持ってもらいたいのなら、舞台の内容で勝負して欲しい、とも思う。
あと、背の高い川原さんが更に大きい小林さんを見上げながら台詞喋っている、という姿を見た事もなかなか貴重だった。
ネタバレBOX
舞台セットが表裏一体型、人力主体の廻し舞台。出演者が手元で照明操作が出来そうな勢いだが、さすがにそれはない。
前回よりも情景やリーディング場面が縮小されたが却って好印象。主要キャストが転換時リーディングのように語るが、気になった点が「富樫」役柄上、彼が語りかけるのは違和感があり、別の役で出た方が良かったのではないか。
事件のアリバイの為のホームレス描写の細やかさ。男の純朴と純愛が招いた彼らの末路、石神の想いとそれに対する靖子の重圧感、美里の現実からの逃避、湯川が真相の過程を解明していく場面の切なさ(関係ないが客席に伸びる湯川のシルエットが綺麗だった)。見事なまでの富樫のクズで下衆で卑劣で冷酷ぷり。張りつめた雰囲気を良い意味でぶち壊すべんてん亭でのやり取り、デカ部屋のコミュニケーション具合に息抜き出来る。
生きる価値を見いだせなくなった刻の中から救ってくれた女性、そこから石神の献身は始まっていたのだろうか。それまでの凍てついた表情が氷解していくかのような活力が目に見えて取れる変化。石神と湯川の対面は湯川にとっては同じ思考の共有者への嬉しさがあっても、石神にしたら自らの老いを痛感したんではないだろうか。他者から見れば奇異、当人にすれば懐古と微妙な緊張が見て取れた。
花岡親子と石神の一つの歯車が狂った時から起こった歯止めの利かない生き方の衝動。石神は衝動とは思ってないだろうけど。知らず知らずの内に花岡親子を苦しめていた事に気づいたのか、積み上げた感情が壊れた瞬間は自己犠牲の涙か、はたまた謝罪の涙か。溢れ爆発した瞬間に、見ている心がざわめきだった。
花岡親子良かったけど、観客全員が原作内容を知っているという訳ではないと思うので、もう少し彼女達の心境を舞台ならではの視点で加えてあれば良かったかも。
元々、西牟田さんのハスキーな声が印象的だが、今回それが消えてる感じ。靖子の内面の強さと弱さ、哀しさと切なさ、誰かに頼れる事の安堵とそれが言えない辛さやもどかしさ。西牟田さんでなければ成り立たなかった靖子像だと思う。靖子、同年代の女の友達いなかったんだろうなー‥。
前作の西川さんの理系男の冴えなさと緊迫感ある石神から、近江谷さんの堅い風貌と神妙さ、どちらも変貌メリハリが利いて甲乙つけがたい石神像。
救われない結末だったので、湯川先生、観客も救ってほしかった。っていうか、湯川先生クール過ぎて二人の陰にかすんだ印象。
班長、部下に無茶ぶりさせたり混ぜっ返したり、時々台詞がロレってなってたけど。お茶目だけど年相応の風格があり、あのドラマの刑事さん役との違いを見せてくれたのは流石だ。舞台の中でドラマは別物だと思うのでその話題を出すと、つい一瞬だけど興ざめしてしまった。
草薙、友人への憂いと職務の遂行、愚者に見えて意外と賢者ぽく見えバランス感覚が優れている人に思えた。
岸谷、いろんな面で、頑張れと言いたい。
満足度★★★
よくわかる解説付き
どんとがボーカルでいたバンド、ローザ・ルクセンブルクについてではなく、ドイツの女性革命家ローザについての歴史検証パフォーマンス舞台。
個人的に、ドイツ人に限らず海外人名を一度に覚えるのは複雑思考回路状態の持ち主な為、解説あってホッとした。
演者4人しかいないのに入れ替わり立ち替わり、時には男優もローザを演じたりする。女性の闘士家、革命家といえばジャンヌダルクをイメージしてしまう自分だが、この方は独立独歩の精神が漲っていた。
見終わった時、芸術点の高い舞台を観たという感じ。
ネタバレBOX
部屋から一歩外に出れば交通量の多い一般道。客席数80位?の小さな一室で繰り広げられた誇り高い女性の話。灯りが白壁に奇麗に映え、身近にある物で音を奏でる。
クララ(共産党党首)、ゾフィー(ローザの親友)、ルイーゼ(思想家カールの妻、後に「ローザからの手紙」出版)、エーベルト(男、当時のドイツ大統領)がローザの墓前に集まり話が始まる。
理想、理念に立ちはだかる政治の壁に生きる力が跳ね返され、結末は悲惨。ローザと関わった人達による回顧懺悔録と言った印象。
絶叫する訳でないが、内容故混沌とした台詞使いに聞こえたシーンもあった様な気がする。
それぞれローザを演じてた、小柄なヒザイさんは身体の小ささの為かややロリータチックに見えたけど指先までキレイに見えた、窪田さん官能的でも清潔感あり、直江さん時折妖艶でクール、菅野さんあの中でローザ演じるのはある意味リーサルウエポンにあたりそう。
アフタートーク解説がなければ補完出来ない部分もあったけど、それらを含めて興味深い舞台だった。
満足度★★★
静かな演劇inパルコ
急遽登板になった中村倫也さん好演でした。
千葉さんのだらしない男役って久しぶりに見たような気がする。
内容が静かで地味めなので、台詞の聞き逃しがありそうでかなり神経尖らせてみてました。
ネタバレBOX
ハンドダウン=継承。料理手腕とかの話かと思っていたら、姉弟のこれからを示唆するような幕切れ。父親役の江守さんが和み役。
接客業には表の顔と裏の顔があって、それに伴い行動にも出たりする事がおうおうにしてあるって事か、気をつけねば。
終盤、関谷君がキッチンにきた経緯は彼もまた情報に左右されてやってきた一人という事か。
クチコミの効果、か‥内容は違えど、これを書いてる自分も同じ穴の狢に突っ込んでるんでしょうね。お金は貰ってないですよ〜w!
満足度★★★
原作未読
脚本家が海外の方だが、どんな経歴かも認識不足。セコいと思われてもいい、キャスト表も配布か掲示してほしかった。
だからと言って不満ばかり、というわけでなく。原作の内容?少年カフカの成長物語と不思議な老人ナカタさんの物語から考えるとよくまとめあげてるなと感じたり。でも、あれ?あの箇所は結局なんだったんだろうと、思うところもあったり‥。
「ムサシ」「血の婚礼」とかの舞台セットや転換を思い出し、動物の造形が妙にリアルだった。
星野役の高橋努さんとナカタの木場さんがはまり役だった。
後方席から見ても、柳楽さんは眉と目元に印象が残る俳優さん。
ネタバレBOX
父親殺しの疑いや母親や姉に対しての思い、大島さんから指摘された魔界迷宮のような森での体験。官能的だけど透明感あるシーン、それらの旅を終えた後の少年から青年への成長。最後の微笑む表情が良い。
カフカとカラスの相似、光と陰のような間柄という感じ。迷宮で思い出したけど、カフカの父親の彫刻家の代表作は「迷宮」シリーズだったっけ。
疎開先のある出来事で知的?障害者になってしまい、そのまま時が過ぎ老人に成長した、猫と話せるナカタさん。途中、ジョニー・ウォーカーさんと出会う。諸々あって彼を殺害するけど、その辺りの場面で同じ舞台上でナチスの記録を読んでいるカフカとナカタさんの対比は、視覚的にも痛烈で印象的な場面だった。
ナカタさんと星野の石を探す珍道中ぷりが愉快。
石は見つかったけど、ナカタさんのその後に星野はどうしたんだろう、石はそのままにしたのかな?ナカタさんの最後がなんかあっさりしてたような感じに見えた。
猫殺しのジョニーのシーンはより残虐で暴力的。オーバーラップするかのようなカフカの父親殺しとナカタさんの凶行。凄まじかった。
でも、カフカはTシャツ血まみれになったけど、次の登場シーンではまた白Tシャツだったような。あれは幻覚だったのかな?他、先生とGHQ、少女の歌関連の出来事は原作読まないと補完出来ない部分なのかな。
ペン廻しの大島さんの長谷川さんが今までとは違う雰囲気の役柄で良い。さくらの佐藤さんは小生意気ぽいけど性格良さげな感じ。
ジョニー・ウォーカーさんとカーネルサンダースさんの登場はもろアングラ風味があって見ていて楽しかった。猫のカワムラさん可愛い!
考えれば考える程、なぜ?謎の部分もあったけどいい舞台を見た。
吸い込まれていくような霧雨のラストが奇麗。
満足度★★★
久しぶりにコーヒールンバ聞きたくなった。
各々がディベート?ディスカッション?を繰り広げる静かな大人任侠愛憎演劇。日本のどこか、でも日本ではないような簡素な舞台セット、ギター演奏がいいアクセント。
ネタバレBOX
松雪さんの役名はここでも「ヤスコ」、なんかルールでもあるんだろうかw
荒川さんがもう少しかき回す役柄かなと思ってたら案外そうでもなくて、
主に増岡組の組長さんと公認会計士さんの出番の時に活気があった。
水野と坂本の鋭いやり取りが従順であり残酷であり、結末は予想通りだったり。