なしかの観てきた!クチコミ一覧

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ゴードンとドーソン Gordon&Dawson~妻と夫と虎の夢~

ゴードンとドーソン Gordon&Dawson~妻と夫と虎の夢~

はえぎわ

シアタートラム(東京都)

2015/10/23 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★

中年デオドラント
人生の折り返し地点を過ぎると誰しも出てくる(と思う)中年の芳香。
夫婦の食卓から起こる、追いつ追われつの不条理行動の行方を追っていたら、解けない知恵の輪を力任せに解こうとしたら却ってわからなくなりそうな気配のベケット展開というか。
カップル女の発する、「違い」の言葉使いに、なんとなく野田(秀樹)の舞台を思いだし、また今回は笑いの世代的反応の違いを往々にして感じた。約2時間。

ヴェローナの二紳士

ヴェローナの二紳士

彩の国さいたま芸術劇場

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール(埼玉県)

2015/10/12 (月) ~ 2015/10/31 (土)公演終了

満足度★★★★

元サヤカップルと面白従者のお話
とにかく明るい陽気なシェイクスピア劇。
殺伐さも皆無なので、オチまで「んなアホな展開」の喜劇。頭空っぽにして見た方がもっと楽しめる、と思う。
松岡さんの駄洒落訳面白い。
広い劇場で正名さんが一人で舞台独占し、セリフ吐くのを見られる日が来るとは感慨深いw。一緒に出てる演技指導された、体型は大きいかったけど、まだ子犬のワンコも可愛かった。

ネタバレBOX

古典だし、ある意味時代劇だし、グローブ座でジャニさん達もやってるし。ニーナ御大の王道シェイクスピア舞台でした。
溝端くんは見た目、淑女というより女子!って感じで、声の出し方にまだ野太さも。気になったのはそこらへんかな。
大逆走

大逆走

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2015/10/09 (金) ~ 2015/10/25 (日)公演終了

満足度★★★

新作なのに再演作を観てたような既視感
登場人物たちは庶民。
混沌とした葛藤から、人間の業が欠けた部分を肯定することを埋め込んだような、過去の劇団公演における赤堀作品のダイジェスト演劇といった印象。今回の配役も劇団公演だったら、この役をあの人がやってるな、と、しょーもないことも思い出したりしたが、この世界に出てくる人たちは現実でもいそうな、時に窮屈過ぎて、たまに息切れしてそうな庶民たちの話。
中劇場で味わう小劇場感覚舞台といった感じだったが、赤堀さんの作風は大体こんなもんだと思う、となんか偉そうに言ってみる。
赤堀さんの、広い舞台を使って色々とぶっこんで、前回コクーンの「殺風景」からの破壊と衝動を更に上乗せして見せてみました、とパロディーぽくとも受け取れたんだが。…この解釈は違うか。怒られるか。
しっかし、今の女優さん達はみんな顔ちっさいわー!

ネタバレBOX

お馴染みのブルーカラー業種に場末のスナック、蝉のうるさい声、汗かき感、ブレヒト幕や、客入れや幕間の昭和アイドル歌謡曲、転換時のお神楽音頭や御囃子。劇団としては「風の吹く夢」以降からは休止状態になっているが、それ以後も赤堀さんの描く世界観はあまり変化していないように見えるのは、良いことなのか悪いことなのか。そう思って見てしまうことも、いち観客のエゴなのかな。

真夏の都心から少し離れた場所で、市街地だけど手付かずの台地や野草がある情景を思い受かべ、偽善とニヒリズムを一緒くたに混ぜ合わせた白昼夢のような体験を味わった。そこからの脱却が見えるような幕締めにまた違う感傷が湧いて良かった。

シェイクスピア戯曲の台詞が小田島翻訳ぽいなー、と思って後でスタッフ見直したらまんまそうだったw。池田さんと秋山さんの吐くシェイクスピア台詞、良かった!どこかでこのキャストで上演してくんないかなw。、傍でマラカス持って「アカシア〜」の歌をフルコーラスで聴いてみたかった。
大倉さんの70歳の老女〜との件は、榎本俊二氏の漫画キャラ、二比ススムの世界観を思い出したが、役柄とはいえ、さもありなん。こちらもどこかで見たいかもw
世界が疾走している中で悠々と逆進行する峯村さんの姿、かっこ良かった。
吉高さんの声質って、テレビや映画で見る分には気にならないのに舞台で聞くと損しているような。宙釣りシーンのブルーな照明使いは最近の「海辺のカフカ」みたいで幻想的で綺麗だった。
趣里さんが日本の劇作家の舞台に出演すると、なぜ高校生役になってしまうのだろう…違和感なくハマっているから良いんだけど。バレエの心情吐露の独白場面は実感こもって聞こえ、踊る姿はプリマバレリーナだった。

演者も良く、現代アート的なシンプルな舞台セットも面白く、群舞する動きも良かったけど、冒頭から話の世界観が見えてしまったのはなんとかして欲しかったかな。


月の獣

月の獣

俳優座劇場

俳優座劇場(東京都)

2015/10/04 (日) ~ 2015/10/13 (火)公演終了

満足度★★★★

緻密な作品でした。
14歳でピクチャーブライド(ではないが)となった少女。根底がアルメリア人虐殺から移民で国を渡って、というあまり馴染みの少ない題材と思ったが、人間として生きる術を見つけようと長い年月をかけた男女の話なのでテーマ自体も思い気分にさせられる。だが、それだけではない人影から沈黙の間、複雑な人生なのに細かいトラウマ吐露描写に至るまでの緻密さに最後まで引き込まれた。

すててこてこてこ

すててこてこてこ

(公財)可児市文化芸術振興財団

吉祥寺シアター(東京都)

2015/10/11 (日) ~ 2015/10/18 (日)公演終了

満足度★★★

初日観劇
明治時代の三遊亭一門。存在感あり過ぎの師匠の話芸は如何にも落語家。師弟間の葛藤、足掻いて足掻いて霞んでしまうような円遊の芸が物哀しく、いつも怒鳴る事が多い役柄の(失礼?)千葉さんの和芸が嵌る。
迎賓館でワルツが流れると自然に身体が動くのはご愛嬌w。
途中休憩あり、約2時間30分。

劇団東京乾電池の月末劇場 総集編

劇団東京乾電池の月末劇場 総集編

劇団東京乾電池

新宿ゴールデン街劇場(東京都)

2015/10/02 (金) ~ 2015/11/01 (日)公演終了

満足度★★★★★

受付 Eの回 観劇
帰宅前、ぶらぶら街を歩いてたら月末劇場総集編をやってて演目に惹かれフラリと立ち寄り。
不毛な会話からガーン‼︎という効果音に至るまで、気楽に見るには十分過ぎる演目でした。面白かった。
約45分。

ネタバレBOX

雑居ビルの一室で精神科、今なら心療内科というのが一般的か。
その受付で机の上の事務用品を整理している女の元へ仕事の休憩時間を利用し、診療希望の男がやってくる。
女は男の家族構成をきっかけに世界各国の飢餓状況から募金を勧め、アイバンク、臓器提供、安楽死協会と、各階の受付嬢が全員独身であるなどとプロフィールなど話し、なかなか受付をしない。その発言内容に男は、クリニックなんて嘘だろ!と悟り、部屋の奥へ突進し確認する。
「この建物には36(?)の受付があって、36人の女が待っています。」と言う女の平然とした発言に、男は逃げ帰ってしまう。その叫び声を別室で聞き、受付に飛び込んできた医師だったが、受付嬢から「誰も来ていませんよ。」とやんわり否定される。宣伝しているのになぜ患者が来ないんだろうと不思議がる医師に対し「こんなにチラシも出して宣伝しているのだから待っていましょう。」と、受付嬢は悠然と構え医師を自室へ引き帰らせる。そして再び「では、次の方どうぞ!」と受付業務を再開するのだった。

行きすぎた善意の行為に受け止められた受付嬢の行動から、とりあえず受付嬢を変えなさいよ〜、なんて単純に笑って見ていたけど、医師が登場したあたりから究極の人生を選ばされていたのではないかと、どこか薄ら寒い思いも生じてしまった。

今のお笑いコンビのネタって別役作品感覚と思って見ればいいのかな。
面白かったです。
ルベール・カミュ vol.2 『戒厳令』

ルベール・カミュ vol.2 『戒厳令』

世田谷パブリックシアター

シアタートラム(東京都)

2015/10/03 (土) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★★

アルベール・カミュ
CoRich案内人さん、「ア」が抜けてますよ…。

2年前の『誤解』『正義の人びと』の戯曲リーディングは未見。
今回は一つの演目を通しで上演(リーディング)する、前半約60分、後半約90分(休憩10分あり)本公演並のがっつりリーディング。
終演後、出演者5人と演出の中屋敷さん司会による約20分のポストトークあり、 Q&Aなし。
登場時、読み手の手持ちシナリオが目に入った途端、ページ数のあまりの厚さにリーディングなのに、と見る前から怯んでしまった。リーディングにこの戯曲はハードル高いんじゃないかな、と思っていたが、終了後は意外と好印象に変わった。それにしても何故この戯曲を選んだろう、続きものだから?
戯曲自体は戦後間もない時期に上演された作品だが、古くて新しい海外戯曲のような作品で面白かった。
このまま舞台化した本公演が観たくなった。

ネタバレBOX

説明に描かれている通り、海辺の都市が舞台でそこにペストと名乗る男と女秘書が現れ、その世界の地位と権力がほしいと総督に迫る。絶対的な死力を持った残虐な敵、保身に走る権力者、このまま狂気の道に行けば「カリギュラ」になるが、そこは違ってペストに対立する青年。青年を想うヴィクトリア、青年の死によってペストの恐怖政治から逃れられた街の再スタート。混沌とした社会の話はいつの時代にも通じるような出来事なのな。

劇作家で思想家で、っていうカミュの頭ん中はよくわからんが、社会情勢の中で起こる色恋沙汰も交えて見せ(この場合聞いててか?)いろいろと混みすぎのように最初は感じた。話の展開には緊迫感があり、リーディングゆえセリフを聞き逃すまいと多少疲弊も生じたが、舞台セットなどの装飾的なものを排除した分、生身の人間が発する喋る勢いと緊張感には圧倒された。
メモ帳開いて線引いて護衛倒れる、の一連の行為に某人気コミックはこれから引用したんじゃなかろうか、と少し邪見。みんな静かだったんで思いっきり声に出せなかったが、女秘書の鉛筆削り?の仕草に吹きそうになった。ヴィクトリアの頭上で展開するペストとディエゴの怒涛の応酬の迫力、漁師が幕引きのセリフを言うとは思いもよらなかった。
なんだかんだ言ってもあの終わり方は、カミュの人を信じる希望のようなものを感じた幕切れだった。

木机3つに木製椅子が並ぶ素舞台、市民は白い服装、擬人化されたペストと女秘書は黒い服装。後ろにト書きを読む演出の中屋敷さん。口籠り気味な発語なのでやや聞きづらい箇所があった。同じように若手俳優さんの大事な箇所では早口になり(あれも演出なのかな?)、滑舌が不明瞭に聞こえたのは自分の座席や音響の違いによる聞こえ方の違いだったのかな。
時折ハンカチで汗拭いてる貴重な姿を見ることができたペストを擬人化した谷田さんや、個人的に久々に舞台で見た富岡さんが良かった。

ポストトークは岡野さん、小野さん、竹井さん、谷川さん、牧田さん
中屋敷さんの「コーラス、コーラス」という言葉がしきりに聞かれたが、カミュが上演した時の説明文(チラシ裏面)には「これは伝統的な構成を持つ戯曲ではなく一つのスペクタルなのであり〜〜(略)〜〜、目撃や単なる対話や笑劇や合唱なども含めた演劇表現のあらゆる形式をまぜあわせることである」と書かれており、上演時のそれがリーディングでは岡野さんが発するセリフの部分だったようで淡々とセリフを発することになったのだが、それを踏まえての「コーラス」だった模様。最初何言ってんのかよくわからなかった。
カミュはプライベートでは女好きだったのが美化してそのまま話書いているんじゃないか、ただし富岡さんの演った女の箇所はカミュの書く女にしては女ぽくなかったので、そこだけはあえて(演者を)富岡さんにした。
他、初演を終えての感想を各自、一言二言あり。総じて、明日はもっと違うと思います。
『心中天の網島』

『心中天の網島』

木ノ下歌舞伎

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/09/23 (水) ~ 2015/10/07 (水)公演終了

満足度★★★

初見
これまでとは違う趣向らしいが、初木ノ下歌舞伎の為、どう違うのかはわからない。冒頭の陽気な出だしに、Eテレの午前と夕刻の時間帯に放送されればかなり人気番組になりそうな音楽劇だなぁと思った。
足元すくわれそうな平均台セットに近松戯曲と駄洒落歌詞曲が奇妙なミスマッチ。あんなに俗悪言語が現代的セリフとあう不倫舞台も珍しい。
約2時間。

ネタバレBOX

箪笥整理の場面、舅の怒号にバイオリン演奏あたり場の空気も変わりそこらから話にぐっと引き込まれ、決断場面の照明が不謹慎ながらキレイと思った。
嫌われる勇気

嫌われる勇気

ウォーキング・スタッフ

赤坂RED/THEATER(東京都)

2015/09/26 (土) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★

アドラー心理学が原作の舞台
どこかの劇場でチラシを目にして興味を持った舞台なのだが、ここでは説明が記載されていないので、簡単に付記。
フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想を易しく説いた大ヒット同名書籍を原作に、これをスリリングなサスペンスへとシチュエーションを置き換えて緊密な人間ドラマを描く舞台。

ということで題材と一部キャストに惹かれて観に行った。
原作未読だが、心理や自己啓発や宗教とか、人の教えや思いは様々。哲学と心理の間から見える救いを求める人間ドラマ、本音を突き詰めるほど小難しい人間になってしまう人たちの深い会話劇、と思えばよかったのかな。
上演前のアナウンスで映像見切れる座席位置があり譲り合って〜、と前もって説明はあったものの、やっぱり最後のあの場面で読めないのはストレスたまった見切れ席(からの観劇)。舞台セットがよかっただけに残念。
約2時間。

ネタバレBOX

中年の刑事が主人公?、同僚の若い刑事と共に殺人事件を担当する。
事件の一方で刑事の娘が事故で亡くなる連絡が入る、それが自殺ではないかと疑念を抱く刑事。娘が生前通っていたという大学教授の研究室を訪ね、その話を聞いてみるが、教授が研究している「アドラーの心理」について聞けば聞くほど、すぐには理解しがたい話だった。
同時に事件は進み、事件の犯人の女は、実の母親と義理の父親を惨殺、自殺を図るも死に損ない逮捕される。取調室では黙秘していたか思えば、豹変した態度をとったりと罪の意識が見られない。そうしたことには理由があるがその女もまた、生きる幸福を得ることができるのか。

取り調べと教授との会話の場面が交互にある。
かつて刑事の娘が教授のもとで学んでいたように、教授の部屋でアドラーの教えについて語り合うことになる。刑事が娘に向けた負い目、事件を起こした女の底なしの絶望人生、救いが見えない人たちの目には見えない悲劇の感情に「人は誰でも変わることができる、そして幸せになれる」と指摘する教授。その解釈によって岐路も変わっていき。救いのある終わりでホッとした。

それにしても宝塚出身の女優さんっていっぱいいるんだな。宝塚の舞台を劇場で見たことがないので特徴ある名前の人たちが多い、としか覚えられないんだが、今回の女優さんも初めて演技を見る。犯罪を犯した女として静も動もどちらの豹変ぶりは凄かったけど、頬の肉付きかメイクをもっとシャープにしてくれてたら悲惨さが極まって、更に役に合っていたかもしれない。

刑事と教授との会話中に、舞台スクリーンにまるで講義さながら各章の標題が出るんだが、これに取調室の照明が被さって読めない(苦笑)
まぁ、これくらいだったら大体のイメージは掴めるから気にはならなかったんだけど、最後の肝心のアドラーの言葉が穴埋め状態で文字が隠れて読めないー!多分良いこと書いてあったんだろう、と脳内保管しておくが、でもこれってこの作品のかなり肝になる部分じゃないの?とモヤっとした終わり方に脱力。これはどう解釈すれば良いのか教えて、アドラーさん!
カタルシツ『語る室』

カタルシツ『語る室』

イキウメ

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/09/19 (土) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★

静かなイキウメカタルシツ
滋味舞台だった。決して地味ではない。いつもよりも落ち着いた雰囲気だった。

奇しくもキーワードの日付が誕生日なのだが、これまで通り変わるようで変わらない日常をこの話のように過ごしていくんだろうとどこか他人事ののように見てしまった。
イキウメ女優陣不在の中、中嶋さん登場時そこはかとなく錯覚もあったが、その後の違和感なく馴染んでいたのも良。繰り返して見るとまた一味違う思いを抱きそうな不思議と温もりのある舞台だった。

グッドバイ

グッドバイ

キューブ

世田谷パブリックシアター(東京都)

2015/09/12 (土) ~ 2015/09/27 (日)公演終了

満足度★★★★

ゴキゲンな恋愛狂騒劇でした。
太宰治の未完の小説の舞台化だが、第二部からはケラさん色強く、見てるうちに以前青山円形劇場で上演した「黒い十人の女」another verみたいな感じだっだ。
2年前のシスカンパニー制作のトラム版も見たが、それとは解釈?視点の違いが明確に出ていて、それもまた一興で面白かった。「未完」ということで弄りがいがあるのかな、もういろんな作・演出で不定期でも上演してほしい。
各人の軽妙洒脱さ、特に小池さんのピュアさの残るバカさが可愛く、池谷さんの弾けっぷりが最高で、他の女優陣も素敵。
昔っから、太宰の小説は苦手だが、ケラさんの描く太宰の世界観は好きだ。
各自の出演シーンをしっかり取っているためか、やや蛇足のようなやりとりも感じ、毒は薄めだったが面白かった。
休憩15分あり、約3時間5分。

無頼茫々

無頼茫々

風琴工房

ザ・スズナリ(東京都)

2015/09/12 (土) ~ 2015/09/20 (日)公演終了

満足度★★★★★

世の情勢
劇場の外側では世の中がひっくり返るかもしれない法が生まれようとしている中、なんともタイムリーな舞台を見る事に。
信念があれば人の思考はそう簡単に操作は出来ない、と思う。
いつの間にかネットでニュースを読む事が浸透し、そのままネット購読者に変わり、家庭での新聞紙購読は停止してしまった。
言論統制へと矛先が向こうとしている瀬戸際で、きな臭い雰囲気が漂う中、「ジャーナリズム」のみを考えて見てるとしんどくなるのが陽気な場面転換に気が紛れ心弾む。桑原さんのその時代のキャリアウーマン役がよく似合ってた。
一歩外に出ると容易に予想できない現実が待っているが、舞台は面白かった。

その頬、熱線に焼かれ

その頬、熱線に焼かれ

On7

こまばアゴラ劇場(東京都)

2015/09/10 (木) ~ 2015/09/20 (日)公演終了

満足度★★★★

真摯
小学生の頃、長崎の原爆資料館を授業の一環で見学したが、生々しさと事柄の衝撃さに途中から記憶がない。

選抜された原爆少女25人。
ヒロシマ、被爆、戦争、言葉からくる悲惨さやキツさが先立ち、泣かずに見てやる、と覚悟してたのに、片腕失っても清廉さを失わない信江さんの話から涙腺緩んでしまった。
対面式のステージだったが、頭上からぶら下がった焼き焦げたような布切れが人の疵痕や建物の痕跡のようにも思え、そちらも胸に迫る。
少し長めかな、とも感じたけど普段のチョケーの舞台と思えば苦にもならず。役者さん含め好演でした。

ここから余談。
終演後、階下ロビーは、生憎の天気で外で待機することが出来ない観客や関係者がごったがえしていた。
アンケートを記入するも、階下の回収場所までたどり着けず、結局持ち帰ってしまった。小劇場の終演後の混雑風景は見慣れてるから、それはいいんだが、観客にアンケートをお願いするのなら、回収スタッフを一人でも置いて誘導して欲しかった。

夜への長い旅路

夜への長い旅路

梅田芸術劇場

シアタートラム(東京都)

2015/09/07 (月) ~ 2015/09/23 (水)公演終了

満足度★★★

壮絶家族の愛憎劇
観劇して数日経過しても、喪中直後のような、なんかモヤモヤしたものが残骸として出てくる。

バッドエンド後から話が始まったような舞台というか。地の底、地獄穴のようなとこで、もがき苦悩してる家族。互いが何かを失い支え補う、阻害ある亀鑑な間柄というか。
終始、薄明かりのような照明使いに、舞台の両サイドには砂地のような場所を設置し、家から出た後の時間をそこで過ごしている。それも彼らの心境のようにも見えた。
役者同士の身体の接触も多く、顔が触れ合うような距離で、怒鳴ってねじ伏せ触れ合って。見てるだけでしんどい。気が滅入りそうになるも、その直後には母や兄弟は優しく抱きとめる。
ラストの闇間に消えていきそうな母メアリーの語りに、家族の明暗と再生がかかっている、と思えた。

重苦しく陰気さに覆われた海外戯曲って好みではないが、役者さんに惹かれ見たが、賞を取るような海外戯曲ってこんなんばっかなのかな?
見終わって原題名に納得。

ネタバレBOX

ドラッグ、ハイテンション、ヒステリックな母の感情の落差に見ている方も振り回され、そんな母でも大事に慕う父と兄弟。アル中の兄と疾患持ちの弟、この2人の感情のぶつかり合いに哀感。
父は父で現実から逃げてんじゃないか、とも感じたが、母一人になんでさせた!と兄弟に怒るシーンで滑稽だけど妻には愛想ついてないのが救い。やっぱ大切な人なのな。

ユージン・オニールのほぼ自伝らしいが、亡くなった後で作品発表されちゃうし、生前でも亡くなった後でもいろいろ大変だったんだなー。
追加。
なんだか、三原順の漫画を読みたくなった。
RED レッド

RED レッド

シス・カンパニー

新国立劇場 小劇場 THE PIT(東京都)

2015/08/21 (金) ~ 2015/10/04 (日)公演終了

満足度★★★

中日を過ぎての観劇
映画「スカイフォール」や「ラストサムライ」等を書いたジョン・ローガンの戯曲。
アメリカ戯曲の文化背景はわかっているようで薄い知識しかもっていないので、ここで「ユダヤ人」「移民」等のセリフが出てくるとそこで話を理解するのに時間がかかる。戯曲の中にその手のセリフがなくても、多少の説明も入れて欲しいが、そうすると変更したと思われて上演規定に触れちゃうのかな?

キャンパスへ一気呵成に描く迫力は見てる側も体力がいる。
名声を得た画家にしてはなんだか若すぎるような‥なんというか巨匠オーラがまだ薄めに見え、あと10歳ぐらい老け込んだ体つきにしてもらえたら印象も違っていたかもしれない。
舞台上を照らす灯りの加減が、宗教的な明るさにも似て、漠然と宗教的芸術の高揚感を見ているような味わいある舞台だった。
約95分。

ネタバレBOX

富(?)と名声を既に手に入れている抽象画家と、そこへ助手としてやってきた青年ケン、2人による濃密会話劇。
好きを一生の仕事にし、作業開始前には一定の行動を儀式化するような創作方法を取っている画家。商業画家になった故の葛藤、生き様。
その彼の元へ助手としてきた青年(戯曲上の架空人物)は、幼少時ある経験から触れて欲しくない過去があった。傷口をえぐるように話を聞き出す画家。そこから2人の関係も微妙に変化し軟化したりそうでもなかったり。月日が流れるうち、疑似的父子のような関係を彷彿。
ロスコが血だらけなって死んでる、と勘違いした青年が、駆け寄り抱き起こす場面があったが、子どもの頃に受けた経験のことを思い出すのかなと思ったが、ナニごともなく話が進んでいったので、いつの間にか克服したのかー?セリフでそんなこと言ってたっけ?と自分の考えが止まってしまった。
最終的にロスコが青年をクビにして部屋を出て行き終了するが、あの叱責行為はロスコなりの餞のような行為だったのかな。

抽象画の類はテレビ番組の美術系番組で補完し、解説を読みながら見ないと理解できないのが正直なところ。今回の抽象画もなぜあの赤色なのか、浮かび上がる背景を理解しようしたら観劇しながらはなかなか難しい。劇場にロスコ絵画の常設?展示館のリーフレットあったが、千葉県か‥見に行くにしても家からは遠いな…。
深海大戦争

深海大戦争

パラドックス定数

上野ストアハウス(東京都)

2015/09/08 (火) ~ 2015/09/13 (日)公演終了

満足度★★★

ん〜。
深〜い海の底から世相のような社会風刺も盛り込み投げかける、どこか手塚治虫的な青年漫画話を見たような感じっていうか。
確かにあの終わりは「えっ⁉︎」ってなる異色の幕切れだった。
約90分。

ネタバレBOX

まとめられなくて後編に続く、という結末に、モヤっとした。
野木さんの中で納得いかなくても、作品内ではセリフでいいから簡単なオチをつけて終わらせて欲しかった。
いつか改訂版で見せてくれるかもしれない後編に期待。
TEAM NACS 第15回公演 悪童

TEAM NACS 第15回公演 悪童

CREATIVE OFFICE CUE

EX THEATER ROPPONGI(東京都)

2015/08/26 (水) ~ 2015/09/06 (日)公演終了

満足度★★★★

ライブビューイングでTEAM NACS 初観劇
個別出演舞台は観劇しているが、TEAM NACSとしては初めての観劇。
以前、この劇場で他公演の舞台を観劇したことはあるが、舞台観劇にはあまり適していない印象を抱いたが、今回の脚本と演出に惹かれ気になっていた。が、思案しているうちに案の定、発売と同時に即ソールドアウト。縁がなかったと思っていたら、近郊映画館でライブビューイングがあると知り、そちらでなんとかチケット確保。映画館で舞台観劇はゲキシネ以来。
初ナックスの為、役者さん全員の人間関係やカラーはよくわからないが、カテコの話術の巧みさに、その場でアイウエオ作文ができそうな頭の回転の良さを感じた。今回は外部演出の舞台の為、今回の舞台だけでこの劇団?ユニット?の魅力を全て判断するのは難しいが、会場内の熱気から人気居酒屋店というか小洒落たお店みたいな印象を持った。
カテコ内発表によると全国規模の劇場同時公開、約3万人のライブビューイング鑑賞だったらしい。映画館ゆえ、近席で飲食される中、いつもとは違う観劇体制。カメラ何台あったのか不明だが、全体場面で役者演技する中、人物が被っていたり見切れる写し方があったのは残念。来年早々には映像化されるそうなので、その時は修正して放送するのかな。
第一部演劇の部が約110分、第二部カテコの部、約40分?
来年早々WOWOW放送予定。結成20周年イベントも同時発表。

ネタバレBOX

不惑過ぎた中年男子が共通の思い出ある因縁の場所に集まった事から起こる、それぞれの少し難儀な生き様にOVER40の男性たちはかなり胸熱になりそうな、またその年代を過ごした人たちのノスタルジアを覚えるような話だった。男子の一言金鉄の如し。
コモダ?の中の人は、あのままでよかったんだろうか?
イントロダクションがおっさんのほうのマギーらしい演出でした。

当て書きのような配役と別作品で見たような役の印象もあり、また脚本家と演出家ゆえ、キサラギとジョビジョバの舞台を思い出したりもしたが、古沢さんらしい最後の表情場面まで無駄のない展開。
この人たちの演じ方、醸し出す雰囲気は見ていて心地よく気持ちの良い終わり方。エンタメ舞台で楽しめました。
人民の敵

人民の敵

オフィスコットーネ

吉祥寺シアター(東京都)

2015/08/21 (金) ~ 2015/09/02 (水)公演終了

満足度★★★★

最終日観劇
四角い舞台に町の未来と健全さを巡って自己の主張の訴えようとする若い医師、そんな夫を支える出産間際の妻。
多数が勝ちの方向には現代的でタイムリーな内容に感じたが、1幕は話を聞いてるだけでややぐったりした。2幕からの議論展開は劇場内を掻き回すように舌戦を繰り広げるマイクプロレスが面白く、渋くて濃くて愛嬌ある役者たちに眼福。ヨッパライの宮島さんの扱われ方にも笑った。

ネタバレBOX

医師の兄はその町の町長。
医師が町の基盤施設の温泉施設を独断調査し、そこに問題があることがわかる。公になると大騒動になることは容易に想像でき、医師への行動の鎮静を助言するも聞き入れず。
真実を暴露し理想的な社会を思い描くこと、一方、現在の損得を優先したい人、どちらも正しい主張のぶつかりあい。
優先された未来に取り返しのつかない事態が起きたら、と想像したら、その世代の人々の困難さも想像させるし、またそれを考える民衆(観客)という効果的な構図。
自分の意見に賛同しない人はみんな敵、見下す、卑下する。民衆の敵は、民衆なんだな。
それまで告発を思い留めるようにしていた妻が、夫の四面楚歌の状態に、唯一(船長もだけど)の味方になり最後までサポートしているのは、彼の倫理観をずっと見ていた妻だからこそ、彼女なりの愛だったのかな。妻のお父さんも最初のイメージは援護してくれるかと思いきや、そうでもなかった。娘と生まれてくる孫可愛さに生活に困らないように資産を残そうとしたが、その思惑が外れ、好々爺から嫌味爺に変化。登場した時のルックスからして不気味な存在感だったが、あの父からあの娘へと、どういう育て方をしたんだろうか。ああ、でも告発騒動前の親子はいい関係のようだったから、夫に添う娘の行動も腑に落ちるか。

自己信念が強い人ほど、生き残れる。
日和見主義の自分がこの町の民衆だったら、どう行動して、どちらを選択していたか、どんな行動を考えるか、ぼんやり考えた。
気づかいルーシー

気づかいルーシー

東京芸術劇場

東京芸術劇場 シアターイースト(東京都)

2015/08/22 (土) ~ 2015/08/31 (月)公演終了

満足度★★★★

最終日観劇
最終日11時開演、という、まるで歌舞伎のような時間帯に池袋で芝居を見る。
松尾スズキさんの絵本原作を戯曲化したものだけど、かなり忠実でびっくりした。その中でもラフな感じの王子、栗原さんやおしゃまなルーシーの岸井さんがとても愛苦しく魅力的。まるで飛び出す絵本のような不思議でちょっとブラックな楽しい舞台でした。まんま松尾さんの描き切った馬もよかったです。あんなにセリフ喋る小野寺さんを初めて見た。

互いに気遣いあう人物たちの行動に、それが子供にわかるのかなーと漠然と不安感もあったけど、客席にいたお子さんたちの笑い声が聞こえてたのも意外で、その反応も見ていて楽しい発見。
テーマ音楽も聴いてて心地よかった。

ネタバレBOX

受付に「おはぎ」や落書きコーナー、松尾さんの原画展示コーナーがあり。「おはぎ」はつい握ってしまいました。小鳥がいたら、肩に乗せてたと思います。
オールスターチャンピオンまつり『五右衛門vs轟天』

オールスターチャンピオンまつり『五右衛門vs轟天』

劇団☆新感線

赤坂ACTシアター(東京都)

2015/07/29 (水) ~ 2015/09/03 (木)公演終了

満足度★★★★★

特典てんこ盛りサービス
過去上演舞台の主要配役や人物入替ネタなど、良いとこ取りでお祭り感満載、また啖呵も不変で聞いてて小気味良く、説明不要の愉快痛快舞台だった。
笑っている内に五右衛門ROCKのテーマが流れた辺りから、不意に出演者の皆さんが年長者になっても、こんなに意味ないバカ芝居に全力を出していることに感慨深く見えてちょっとウルウル嬉し泣きしそうになったけど。ツインボーカル、今回も迫力ある歌声でした。それにしても冠君は貫禄ついたなぁ…。賀来賢人さん、初見だったが印象に残り、今後の活躍を見たくなった。
35周年おめでとうございました。

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