りいちろの観てきた!クチコミ一覧

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やや無情…

やや無情…

双数姉妹

新宿シアタートップス(東京都)

2008/04/09 (水) ~ 2008/04/13 (日)公演終了

満足度★★★★

不朽の名作
2003年の初演時にくらべて役者はかなり変わりましたが、その役者たちとベテラン組が見事に溶け合って、再び演劇をなすことの意味を見事に表現して見せました。

不朽の名作になりえる戯曲であり、それらを演じきった役者たちの力量にも瞠目です。

ネタバレBOX

劇中劇が本当にしっかりと作られていて、芝居が終わったとき、その外側にいる舞台上の観客(を演じている役者)の最後の表情もとても印象深かったです。

比較的新しい役者も成長著しく、双数姉妹復活を印象付ける作品だったと思います。
私、わからぬ

私、わからぬ

空間ゼリー

赤坂RED/THEATER(東京都)

2008/04/09 (水) ~ 2008/04/13 (日)公演終了

満足度★★★★

一年に積もるもの・・・
単なる家族劇の範疇にははるかに収まらない、奥行きをもった芝居でした。比較的平板に始まる芝居が中盤以降どんどん厚みをましていく・・・。

役者も一段と力をつけて、感性にしっかりと訴える趣深い作品となっていました。

初日で若干だけお芝居の固さがみられましたが、それをはるかに超える魅力がこの芝居にはありました

この質感、しばらく忘れられないかもしれません。

ネタバレBOX

幕が開いたときと、幕が下りるとき
同じ季節が再びめぐってくるのですが
その舞台の厚みがまったく違って見えるのです。

春の日、庭に桜咲く暖かな日差しの中での終演、その刹那が安堵とは似合わない一抹の切なさを観客の心に投げ入れます。切なさは帰り道にゆっくりと心で広がり、芝居を俯瞰する観客の心をやるせなく透明な色で染め上げて、安堵を潜ませてひらひらと舞い落ちる刹那への、柔らかな苛立ちにも似た想いを呼びおこす・・・

作家と演出家の勝利なのでしょうね・・・

クーロンの法則

クーロンの法則

劇団たいしゅう小説家

ウッディシアター中目黒(東京都)

2008/03/20 (木) ~ 2008/03/23 (日)公演終了

満足度★★★★

登場人物が生き生きと
結論からいうと、面白かったです。物語の導入もうまいし、物語が転がり始めてからの人物の描写にも優れていたと思います。

ただ、時間の経過とか重さの持たせ方がもうひとつうまくいっていないような・・・。

良いエンディングかとは思うのですが、それまでの時間経過の実感が観客に薄いのでちょっと説得力がうすくなりました。

フリータイム

フリータイム

チェルフィッチュ

SuperDeluxe(東京都)

2008/03/05 (水) ~ 2008/03/18 (火)公演終了

満足度★★★★

いくつもの視野で語られる同じ事象への繰り返し
岡田メソッドというかチェルフィッシュ流の表現が十分に機能していた。しかし、これまでの個人の感情の集積が社会をあぶりだすという仕組みが今回は真逆で、幾重にも表現される同じ場所や出来事から登場人物の感情が瑞々しく伝わってきたように思います。

特に後半の感情表現の見事さには息を呑みました

ネタバレBOX

ペットボトルや小さなオブジェなどの小道具が観客に伝えるニュアンスがとても鮮烈で.

チェルフィッチュの表現方法がまた一段と広がった作品だったように感じました
斑点シャドー

斑点シャドー

JACROW

OFF OFFシアター(東京都)

2008/03/12 (水) ~ 2008/03/19 (水)公演終了

満足度★★★★

シーンが変わるたびに・・・
ミステリー的に秀逸な部分もあるのですが
いちばん惹かれたのは人間の描き方の丁寧さ

話が進むにつれて視野が広がっていく感じにも心を奪われました

ネタバレBOX

時間の戻し方が秀逸

選挙のアナウンスとポスターの使い方がさりげなく物語の外郭を作っていました。観客の意識にあからさまに入り込まないで時間の逆送を示す、とてもうまい工夫だったと思います
チビルダ ミチルダ

チビルダ ミチルダ

康本雅子

アサヒ・アートスクエア(東京都)

2008/03/13 (木) ~ 2008/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★★

とにかく楽しい
切れがあるだけではなく、伸びやかで艶やかで・・・。

熱く、あるいはシリアスな表現もたくさんあるのだが、それをまっすぐに感じられることを含めて、とにかく楽しかったです。

終わってすごく満たされたパフォーマンスでした。

シナトラと猫(改訂版)

シナトラと猫(改訂版)

MCR

駅前劇場(東京都)

2008/03/11 (火) ~ 2008/03/16 (日)公演終了

満足度★★★★

積み重ねの見事さ
ひとつずつのシーンはラフな感じもあるのですが
終わってみれば主人公の人生の中間色が鮮やかに浮かび上がってきて・・・

櫻井さんがしっかりと舞台に表される世界観を描いているから、観客も寄りかかって観ることができる・・・。

感動がゆっくりやってくる、名作だと思います。

佐藤けいこ一人芝居「私の部屋」

佐藤けいこ一人芝居「私の部屋」

空間ゼリーLabo

pit北/区域(東京都)

2008/03/03 (月) ~ 2008/03/03 (月)公演終了

満足度★★★★

器用さを捨てたとき表されるもの
50分ほどの一人芝居・・・。

演技力と器用さを兼ね備えたような、本公演の彼女とはちがって、多少不器用であっても質量がしっかりある佐藤けいこを観ることができました。

綺麗に割り切るのでなく、中間色のなかで表した、彼女の感性がとても秀逸・・・。

後を引くトリガーの多い舞台だったと思います

恋する妊婦

恋する妊婦

Bunkamura

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2008/02/08 (金) ~ 2008/02/28 (木)公演終了

満足度★★★★

一座で描くのでなく一人ひとりを描く力
岩松了氏のもつ繊細できめこまやかな、人物表現がしっかり生きていました。

それぞれの思いのベクトルが見事に機能してなかなかの見ごたえ。

ストーリー的には商業演劇に近いものがあるのですが、人の描き方がまったく違う感じ・・・。

観ていてふっと後を引くような名作です。

ガールフレンズ(再演)

ガールフレンズ(再演)

ホイチョイ・プロダクションズ

天王洲 銀河劇場(東京都)

2008/01/25 (金) ~ 2008/02/03 (日)公演終了

満足度★★★★★

ユーミンの歌に包まれたものを開いて
堀内敬子と島谷ひとみの回を観ました。

ユーミンの歌唱にちかいのは島谷ひとみのほうで、彼女の歌からユーミンのスタイリッシュな部分が抽出されていき、一方で堀内敬子の歌からはユーミンの歌に内包された、デリケートでときには重たさを感じるような心情が見事に溢れ出していました。

台詞がひとつもないのに、アンサンブルの動きや男優たちの声にならない演技、さらには積み重ねられていく歌から溢れ出す時間達の流れで物語がしっかりと構築されていきます。

ミュージカルという表現方法が見事に開花した舞台だったと思います。

ロミオORジュリエット

ロミオORジュリエット

Nibroll

世田谷パブリックシアター(東京都)

2008/01/18 (金) ~ 2008/01/20 (日)公演終了

満足度★★★★

映像のすごさ、ダンサーのすごさ
舞台表現としては、さまざまな面で演劇から超越している部分すら感じました。

ダンサー技量の高さ、そして表現の豊かさ。

一方で証明や映像も深さと圧倒的な迫力があり、理性ではなく感性に作者の意図が舞い降りてくるような作品でした。

蓮池極楽ランド

蓮池極楽ランド

仏団観音びらき

タイニイアリス(東京都)

2008/01/12 (土) ~ 2008/01/14 (月)公演終了

満足度★★★★

もつ煮に焼酎、でもどこか洗練
関西系の劇団の良い部分がたっぷり出た作品。

チープな劇中劇のへたうまさや、物語のぬるさが妙に心地よくてはまってしまました。

でも、一方でどこか不器用でこだわりから抜け出せない人生を観客に鳥瞰させる域まで舞台を持っていくしたたかさもあって・・・。

なにか麻薬のような魅力のあるお芝居でした

ネタバレBOX

桂都んぼ師匠や峰U子の演技に男や女の性というか業を感じました。ぎりぎりでありながらけっこう居場所を見つけて生きているような、今の日本人をうまく掬い取った作品だと思います。
サバンナの掟

サバンナの掟

柿喰う客

シアタートラム(東京都)

2008/01/05 (土) ~ 2008/01/06 (日)公演終了

満足度★★★★

巧妙なドミノ倒し
出演者が多いのに、スピード感がまったく衰えない・・・。
個々の出演者にキャラクターの肝の部分がしっかりと課せられていて・・・。
役者たちがしっかりと演じているのでキャラクター間の相関でドミノがどんどん倒れていく感じ・・・。

ドミノの配置も実に秀逸で、時間を忘れて見入ってしまいました。

キル

キル

NODA・MAP

Bunkamuraシアターコクーン(東京都)

2007/12/07 (金) ~ 2008/01/31 (木)公演終了

満足度★★★★

13年ぶりの再見で・・・
初演の時にはもっと混沌としたなかで熱がどんどんとましていくようなイメージだったのですが、今回はずいぶんと風通しがよくわかりやすくなっていました。功罪はあるとおもうのですが、野田演出の進化といえないこともないような・・・。

妻夫木、広末とも大健闘だと思います。荒さは確かに感じるのですが、なんというか演じる「志」を感じる舞台でした。あと、驚かされたのが山田マリアさん。こんなに切れのある芝居が出来る方だったのですね・・・。

野田戯曲、ブランド名が多少時代からずれていても、そのスピリットは色あせることなく、大満足の本年一発目(観劇)でした。

わが闇

わが闇

ナイロン100℃

本多劇場(東京都)

2007/12/08 (土) ~ 2007/12/30 (日)公演終了

満足度★★★★★

極上の家族劇
終わってみれば3時間15分があっという間に過ぎていた感じ。
長いとはすこしも感じませんでした。

3人姉妹と書生、そしてそれを取り巻く人々の人間模様は見ごたえ十分。

視点の作り方が非常に巧みで、ステレオタイプではないけれど真理を包含している家族像が見事に浮かんでくる作品です。

必見!

クリスマス、愛の演劇祭

クリスマス、愛の演劇祭

アロッタファジャイナ

ギャラリーLE DECO(東京都)

2007/12/11 (火) ~ 2007/12/16 (日)公演終了

満足度★★★★

色が違って粒ぞろい
12月16日に1DAYチケットで観て来ました。

5本のお芝居、ジャンルがみな違うので見ていて飽きないし、完成度もかなり高い。

空風びゅーびゅーの生演奏が組み込まれた芝居や、しっかりと作りこまれたストレートプレイ・・・。

お尻にはとても負担がかかったけれど、時間を忘れて楽しむことができました。

偏路

偏路

劇団、本谷有希子

紀伊國屋ホール(東京都)

2007/12/14 (金) ~ 2007/12/23 (日)公演終了

満足度★★★★

ニールサイモンテイストの極上喜劇
前回の作品とは趣を大きく変えて、確かにホームドラマでした。シニカルで創意溢れる物語は時間をまったく感じさせません。

ニールサイモンやウディアレンの喜劇をみるような、洒脱さと<ペーソスに溢れた視点から生み出される極上の喜劇のテイスト。

彼女の感じる「面白さ」が、創作力と役者の技量に編みこまれて、観客にもしっかり伝わる作品として花開いたよう・・・。

ネタバレBOX

劇中の「一月一日(年のはじめのためしとて♪)」の替え歌が物語で主人公が感じる「グロテスク」感を端的に表していて実に秀逸。
おまけにこの曲と歌詞、やたらと耳にのこります。

また組み込まれた映像も見事で、ちょいと目を奪われました。
岡田あがさ一人芝居「ワタシガタリ」

岡田あがさ一人芝居「ワタシガタリ」

空間ゼリーLabo

pit北/区域(東京都)

2007/12/10 (月) ~ 2007/12/10 (月)公演終了

満足度★★★★

観客を圧倒するような密度の高さ
約一時間の一人芝居、構築された空間の密度の高さに目を見張りました。
閉塞した空間の中で動く眩いものに惹き込まれて・・・。

終わるころには観客側も消耗していたような・・・。

強さというか力を十分にもった稀有なパフォーマンスだったと思います。



ネタバレBOX

縄跳びの紐でつないだたくさんの携帯電話がとても効果的・・・。

また、タンバリンの音にこれほど鮮烈な印象を与える力があるとは思いもよりませんでした。
この世界にはない音楽

この世界にはない音楽

空想組曲

新宿村LIVE(東京都)

2007/12/05 (水) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

広がりを作り出すまなざし
舞台のトーンが上手にコントロールされていて
物語が奇異に感じられないところに
ほさかよう氏の実力を感じました

牛水里美嬢初見、舞台で映える演技も魅力的でしたが、後半のきわめて地味な演技が物語全体に大きな広がりをあたえてもいました。

ラストでは不覚にもちょっと落涙

ネタバレBOX

後半の牛水さん、柱の影から事の成り行きを見守っているだけなのですけれど、その表情だけで(せりふなし)彼女の演じる悪魔の心情がしっかりと伝わってくるのです。

かなり惹かれてしまいました。
Dog Eat Dog

Dog Eat Dog

JACROW

新宿村LIVE(東京都)

2007/12/05 (水) ~ 2007/12/09 (日)公演終了

満足度★★★★

ちょっと複雑な関係も、たやすく・・・
1時間の芝居にしてはちょっと複雑な人間関係の物語なのですが、これがすっと観客に伝わってくる・・・。
それも説明などなく、まるで観客に沁みいってあたかも既知のごとく関係が浮き上がる感じ。

それゆえ後半の展開を舞台に入り込んで楽しむことができ、エンディングまでがあっという間でした。

中村作劇・演出恐るべし、役者も好演で時間を忘れて楽しめました。

ネタバレBOX

しいて言えば、ひとつの空間の使い方に工夫があるのですが、それを生かす場面転換のタイミングがいまひとつ。あと、アカペラの歌が入り、出来自体は悪くないのですが、芝居の盛り上がりと歌が大きくなっていく部分にちょっとアンマッチな感じがあって残念。

しかしながら、観客が身をゆだねうる物語の構造や演出、さらにそれを支える蒻崎や客演の役者陣の力に、お世辞抜きにはまりました。

また、本公演を逃せない劇団がひとつ増えてしまった・・・。

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