Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会
日本劇作家協会東海支部
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
「Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会」Dプログラム観ました
劇王Ⅹからすでに二週間以上…やっとDプログラムの感想です。。。
(並びは上演順です)
〈 櫻井智也(東京地区代表A) 『鬼籍の人』 〉
残念な人たちのホラーラブコメディか(しかもヒロインがいちばん残念w)
演技・演出ともテンポよく笑える、完成度の高い作品だけど、それ以上ではないような…
以前の上演を観ている審査員評にも違和感。そこまで深読みして観る作品とは思えなかった…総じて関東圏からの参加作品は、純粋にエンタメとして気軽に観る作品が多かったようで、劇王の傾向ではどうしても苦戦しそうな感じでした。
〈 佐藤茂紀(東北地区代表B) 『奥羽行進曲!-song of bagabonds-』 〉
福島のドキュメンタリーが、某・犬漫画の世界とオーバーラップw
バカバカしさと切実さのせめぎ合う作風が、割と好き(福島びいきかw)
整理されてない感はあったけど、訴えたいものとの距離感を考えた姿勢に好感。
〈 鹿目由紀(劇帝) 『上中下』 〉
美術、照明、演技…寺山修司・天井桟敷かw
構成的な演出で強調される、ループする構造は、鹿目さん特有の作風ではあるけれど、講評では内省的に過ぎるとの弱点を突かれてしまった…しかし、多くの(ダメ人間系)観客が共感できる作品である事は疑いなし。
〈 武田宜裕(中国地区代表) 『住めば都の宿、カリ、カリ』 〉
二人芝居なのに、嵐の如き地口の羅列…天野天街・少年王者舘かw
分かりにくかった感は否めない…しかし意欲作。
私は佐藤さんに投票、結果、鹿目さんが勝ち抜き決勝へコマを進めました!
次はいよいよ決勝プログラム!平塚・柴・福田・鹿目、栄冠【劇天】は果して、いったい誰の手に!!乞うご期待!!!(もうみんな知ってる)
Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会
日本劇作家協会東海支部
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
「Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会」Cプログラム観ました
劇王Ⅹ感想、二日目のCプログラムです。一日目8本の観劇で、すでにヘトヘトでした(汗)
(並びは上演順です)
〈 品川浩幸(第2・3代劇王) 『卒アル』 〉
OPから序盤がステキ(AAF『虫』のように、手で押されて揺れる美術が味わい深い)。ただ、その後が単調か…
高校生の役者はナチュラルに初々しく、芝居にピッタリ。
〈 中山明文(神奈川地区代表) 『sixx』 〉
直球ハードボイルドのサスペンス。演出も、小説を舞台に乗せたかのよう。
緊迫感があまり感じられかった…神奈川で上演した中華料理店の空間なら、もっと切実に見えたのかも(舞台に代わって立てた美術はよかったけど)
できれば、荒木比呂彦のごとく二転三転するひねりも。
〈 納屋真」大(北海道地区代表) 『失うモノを手に入れろ』 〉
とにかく、限界まで激しく入れ替わる状況や役が、ひとつのテーマへと収斂していく…。名古屋の芝居では、演劇組織KIMYOを彷彿とさせる作風か。とにかくパワフルでテクニカル!
ただ、そのテーマに、「その作家だからこそ」という切実さは見えにくかったかも。使いやすく作られた美術にも難が…
なお、主演の小島達子さんは、佃典彦さんとはせひろいちさんが選ぶ役者賞「彦いち賞」を受賞されました!(ケダモノ男優二人の手綱を見事に取ったとしてw)
〈 福田修志(九州地区代表) 『ノイジー』 〉
方言の台詞はもとより、題材も設定も、妙に土着性を感じさせる独特の味わい。ストーリー自体ははシンプルに分かりやすい。
落ち着いて鑑賞できて、しかも個性的というのは、思ったほど簡単にはできないだろうなあ…。
講評でも言っていたけど、個人的にも、もっと分からない所があってもいいと思いました(あの子供の正体とか 笑)
投票では、私は納屋さんへ一票。結果は、福田さんが決勝へ進出しました!
以上、Cプログラムの感想でした。続いてDプロへ。
Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会
日本劇作家協会東海支部
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
「Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会」Bプログラム観ました
たいへん間が空いてしまいましたが、劇王Ⅹの感想です。
今回はBプログラム、まだ覚えてますよ(爆)
(並びは上演順です)
〈 遠藤雄史(東北地区代表A) 『絶望への道は善意で敷き詰められているそうだ』 〉
限定された空間の極限状況で、さらに追いつめられる女性三人。
コントきわきわの爆発力が気持ちいい 。キャラが定型的で展開が読めやすいのが、ちょっと難か(汗)
〈 鈴木友隆(関西地区代表) 『クわれて幸せ』 〉
特殊な性癖の男と、彼と夫が縁のある女の出会い。
ミニシアター系映画を彷彿とさせるテーマ 。名古屋・シネマスコーレやシネマテークによく行く身としては、そちらの方の琴線に触れる作品。
もう少し分かりやすく見せた方がよかったかも。
〈 真臼ねづみ(東海地区代表・劇王子) 『ひとりぎめ』 〉
彼女のひとり芝居、名古屋で三作続けて観ています。今回はその中でも扱っている、アイドル・まうちゅーシリーズ。コミカルと悲哀の折り重なり。
空間が、ふだんの小屋に較べてあまりに広かったので苦戦した模様。
作・演出も一人でやってるため、創作がそれ以上に広がりにくかった、というののも否めないか…(北村想さんが優しく指摘 汗)
ただし、ひとりの人生の奥行き を見せる作品としては、この中で一番だったと、贔屓目抜きでも感じました。
〈 柴幸男(第4代劇王) 『つくりばなし』 〉
この前の週に、いわき演劇まつりで「ままごとのひふみ」内の初演を観ました。役者による後説や、創作者の苦しみをメタで過激に語る柴さんを思わせる件は、いわき版からカットw
もう何度も書いてるけど、 クドい理屈と言いっ放しとメタ、柴さんの明るいダークサイド全開。。。そして、観た後は自分も闘いたくなるという、恐るべき後味の爽やかさ。。。
投票では私は真臼さんに投票、結果は、柴さんが勝ち抜き決勝に進出しました!
なお、Bプログラムでは、審査員の坂手洋二さんが過剰なまでに各作品を深読みしていたのが思い出深いです(笑)
以上、Bプログラムの感想でした。続きはまた時間が取れたら(汗)
Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会
日本劇作家協会東海支部
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2013/02/09 (土) ~ 2013/02/11 (月)公演終了
満足度★★★★★
「Jr.ライト級チャンピオンタイトルマッチ 劇王X~天下統一大会」Aプログラム観ました
今年は全国大会となった、日本劇作家協会東海支部プロデュース「劇王」(長久手市文化の家)。地元の強みを活かし、3日間通して観ました!
コマ数が多くていっぺんに書くのは辛いので(´Д`)、A・B・C・D・決勝プログラムに分けて書かせていただきます。
今回はAプログラム。(並びは上演順です)
〈 樋口ミユ(東京地区代表B) 『Hurray』 〉
詩人は名乗ってなれるものではない。承認欲求と、そう生まれついたものとの違い。
テーマは好きだけど、テーマの割にはわかりやすい説明が先行し過ぎたような気が。
抽象を具象へ置き換える事の難しさ。
〈 玉井江吏(四国地区代表) 『葉桜す。』 〉
静かな夫婦の会話。岸田國士を思わせる風景。雰囲気はいい。
ただ、あまりに単調で、普通に客をひきつけるには弱いような…。
「京都・烏丸ストロークロックの柳沼さんが、松山の演劇状況をガラパゴスみたいと評していた」という玉井さんのチラシコメントが印象的。
〈 杉本明朗(初代劇王) 『3匹で斬る!』 〉
3人で100人斬り!殺陣師という、自分だけの武器で勝負。チャンバラ・舞台の約束・ギミックを最大限に生かした見せ方。
「こんなの演劇じゃないよ」という人も周囲にいたけど、私には光り輝いて見えた(目からウロコ)。
見せ方と直結した物語も切ない。(「兄ちゃーん…」という、今は亡き末弟の声が…涙)
ギャグが終盤になっても多すぎたのが、せっかくの空気を損なったかも(汗)
〈平塚直隆(第9代劇王) 『イオン』 〉
昨年「鹿」からさらに踏み込んだような、作家の心象風景(だろうなあ。。。)。ことこつと掘り起こしたであろう、友情へのトラウマ、劣等感を丹念に調理。
畳み掛ける言葉の意味・無意味の嵐が、観客の意識を気持ちよく大混乱させてくれる。
ばかばかしいミュージカル仕立て(しかも一瞬だけというのがw)や、それも考えたセットというのか小道具もすばらしいw
大笑いできて切なくなる、稀有な作品。
観客投票では私は杉本さんに投票、結果は平塚さんが勝ち抜き決勝に進みました!
以上、Aプログラムでした。続きはまた後ほど。
I-Play Fes~演劇からの復興~いわき演劇まつり
I-Play Fes 実行委員会
いわき芸術文化交流館アリオス(福島県)
2013/02/01 (金) ~ 2013/02/03 (日)公演終了
満足度★★★★★
「I-Play Fes~演劇からの復興~いわき演劇まつり」観ました
震災・原発事故から1年10ヶ月…当時からいわき総合高校の方たちとツイッターでやりとりをし、2011年12月には東京・アトリエヘリコプターでFFを観て、今回やっと、いわきへ行きました。
【いわき総合高校演劇部「北校舎、はっぴーせっと」】
高校生離れした、自分達への徹底した客観視。人は、どこまで分かり合えないのか。無自覚な残酷さ。そして、共有した者同士の、高速かつ自在に時間を操作する記憶の永遠さ。マームとジプシーに似すぎているのが難か。しかし、あの手法をきちんと理解して使えているのもただ事ではない…。
その場所のでなく、その場所を失った後の思い出。
【青年団「ヤルタ会談」(短編)】
歴史上の、世界情勢を決める大国首脳の会談が、おばさん達の井戸端会議の如く展開(笑) 首脳そのものと言うより、国を擬人化(ヘタリアw あくまでも、日本人の目から見たイメージの三国) 包み隠したり隠しきれないエゴのぶつけ合い。 出入りに伴う三者の関係の変化も妙。
アウシュビッツやアジア、日本のくだりでは反応に戸惑う…。視点によって受け止め方が変わる、という事が非常にわかりやすい舞台。
【ままごと「ままごとのひふみ」】
・「あゆみ(短編)」
長編「あゆみ」は名古屋や横浜で観たけど、こちらは持ち帰りたくなるコンパクトな思い出。
・「反復かつ連続」
長久手での再演集「劇王再び」で一度観てます。しかし、何度観ても衝撃。台詞や登場の順番の構成がもう、神…。
・「つくりばなし」
劇王Ⅹに向けての新作。あゆみともわが星ともファンファーレとも違う、クドい理屈と言いっ放しとメタで、柴さんの明るいダークサイド全開。。。
ままごとは、役者の前中後説も作品です。
【マームとジプシー「あ、ストレンジャー」】
サンプルを彷彿とさせる、オブジェを多用した舞台。珍しく、群像劇というよりは主格視点のある構成(それでも多視点)。映像の使い方が、先日の東京デスロック「東京ノート」を思い出させる。
原作に即した、孤独な苦い味。だるい都市生活の中で、なじめない孤独感、絶望感が淡々と積もっていく。安易な救いは与えない。
時間がなかったため、いわき駅といわきアリオスの間しか動けませんでしたが、いしい先生にもご挨拶で来たし、いわき総合高校の生徒さんたちはすごくいい雰囲気でした(10年前の私より大人な気がする。。。)
名古屋から遠くいわきへ足を運ばせた、演劇というきっかけに感謝!
エダニク
iaku
津あけぼの座(三重県)
2013/01/26 (土) ~ 2013/01/27 (日)公演終了
満足度★★★★
iakU「エダニク」観ました
iakuは、昨年名古屋・大須の雑貨店・モノコトで「人の気も知らないで」を観ました。あれもエグかった…。
それぞれの事情を抱えた男三人の、自己中で身勝手だけど生きた裏付けを持つ、ドロドロのドタバタ劇。笑っていいのかゾッとしていいのか迷ってしまう。。。
三人それぞれの立場も明確に区別・設定されており、作劇・演出に緻密な戦略を感じさせる。どんどん上がる感情のテンションも、ちゃんと調整されてるんだろうなあ…
こういう人いる!という人物造形のリアリティーもハンパない(最初の焼きそばの取り扱いでもう笑った)。声もすごく来るし、役者さんの力量も見もの。
津あけぼの座では狭いなあ、と思ったけど、空間的にはしっくりくるサイズでした。公演は、場所選びも重要なんですねえ。(去年の時間堂・全国公演「ローザ」もぴったりだったな…)
第十一回公演『Crazy Talk Floor another memory』
電光石火一発座
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2013/01/26 (土) ~ 2013/01/27 (日)公演終了
満足度★★★★
電光石火一発座「Crazy talk floor another memory」観ました
4年前の前作は観ていません。名古屋・ナンジャーレでの公演は数回観ています。
いつもの公演に比べ、かなり抽象的なイメージを推した美術。
世間から切り離された隠れ家に集う傷ついたこころと、彼らに関わる人々のゆるやかな関係。危うさと確かさを共に兼ね持つ、ひとりひとりの姿。
この題材だと、陰惨な方向に行きがちだけど(カッコー…)、大事にしたい世界だと感じさせる作りになっていた。
違う価値観を持つ外来者との、メリハリある対比をもっと見てみたかったとも思う。
自然体の会話、演技が特色の団体だけど、今回は美術の関係もあって、出入りにもう少し身体の切り替えがあるとよかったかも(と、一緒に観たダンサーの方がアドバイスしてました)。
漆黒の舞台が似合う(真白にしたらどうなるだろう?)、へたに触れれば壊れそうな、幻想を感じさせる舞台。
東京ノート
東京デスロック
こまばアゴラ劇場(東京都)
2013/01/10 (木) ~ 2013/01/20 (日)公演終了
満足度★★★★★
東京デスロック「東京ノート」観ました
千秋楽を観ました。戯曲は既読、舞台は観た事なし。東京デスロックは「再/生」静岡・袋井公演以来、多田さん演出は「義経千本桜」横浜公演以来です。
美術館公演と対極の、あまりに予想外の空間、そして観劇姿勢。しかし慣れれれば、ここが美術館であると思えてしまう。壁に無数の絵がかかっていると想像できる不思議さ。
文字通り地に足のつかない感覚が、夢の中のよう。あやふやな境界、空間と一体になる観客。ひとの存在やことばの肌触りにも敏感になる場。
多数のベクトルの視点(登場人物のみならず、観客の観る映像、鏡、移動可の客席や「見えない」状態も含めて)が凝縮された空間では、どうしても見えない事もあるし、見ない事を選択することもできる。
私たちはなにを見て、なにを見ていないのか。目の前の出来事に対しても、世界に対しても。
音楽、照明の使い方も、ハデに見えて非常に繊細。感覚的にも思考的にも、万華鏡に入ったような空間体験でした。この、対極に見える空間によって際立つ、もとの戯曲の力強さも思い知った…
※ちなみに、千秋楽でやけに目についたであろう観客、第一位は杉原邦生さん、第二位は私です(汗)
「テヘランでロリータを読む」
時間堂
シアター1010稽古場1(ミニシアター)(東京都)
2013/01/19 (土) ~ 2013/01/28 (月)公演終了
満足度★★★★★
時間堂「テヘランでロリータを読む」観ました
舞台上に、姿の見えないキーパーソン(原作における一人称の語り手)と、自在に動き回る架空の人物(作中で読まれる小説の登場人物)の対比。さらに、劇中の実在の人物たちと、小説のもうひとりの架空の人物がかぶさる見せ方の妙。 彼らを軸やガイドに繰り広げられる、宗教・体制・性差・欲求に絡め取られた多彩な人間模様の群像劇。
顕微鏡で覗いたように切り取られ出てくる場面場面が、映画やTVドラマのように観客の中で紡がれる。
劇中で読まれる小説「ロリータ」の読み方は、人それぞれで違う。人の尊厳、自立への考え方の違い。その上で同じ世界に生きることとは。世界への読解力の違う人間同士の相互理解は、どこまで可能なのか。
同日に観た、東京デスロック「東京ノート」と共通するテーマを感じました。
観終わった後は、まるで海外ドラマをまとめて観たような、もたれた感覚が(笑)
【舞台版】絶体絶命都市 ー世界の終わりとボーイミーツガールー
劇団エリザベス
G/Pit(愛知県)
2013/01/05 (土) ~ 2013/01/06 (日)公演終了
満足度★★★★
。「【舞台版】絶体絶命都市 ー世界の終わりとボーイミーツガールー」観ました
名古屋・G/pitフェスのトップバッター。原作ゲームは、第一作が出たときに今は亡きゲーム誌「ユーゲー」で読んだだけの知識しかありません…。
役者は皆それぞれの良さを活かして魅力的。特に主役の少年「僕」と大人の男「ライター」が好対照の魅力。
この題材やテーマで、オシャレな演出は疑問。綺麗な照明やダンスは必要かな?。「あのセット」の照明は、たぶん一回だけでも充分印象に残る。もっとガレキな世界観がほしい。
照明・音響による世界・空気づくりや、原作の設定・ことばに頼らないストーリーテーリングがもっと巧くできれば…(どこか頼っているようなぎこちなさ)
荒い所はあるけど、若い作り手が自分の内に抱えた何かを伝えようと熱量を注いた舞台。
パンク歌舞伎「逆夢」-SAKAYUME-
ハラプロジェクト
名古屋能楽堂(愛知県)
2012/12/21 (金) ~ 2012/12/24 (月)公演終了
満足度★★★★★
ハラプロジェクト「逆夢」観ました
「マクベス」「リア王」に続き、三年連続で観劇。
古事記とパンク歌舞伎がここまで相性が良いとは…絶句。群像劇であり、かつ日本人の深層になじみ深い題材ならでは?舞台が能楽堂というのも効果的。
新解釈の蛭子の扱い、家庭内暴力や男と女の諍いと調和等の焦点の当て方も、自然に飲み込める。元からあったかのよう(後で当日パンフを読んで、全部書いてあった(笑)。
原初的な威厳のあるイザナギイザナミ、凛々しいアマテラスと女々しいスサノオ、エロコミカルなウズメ等の迫力ある神々に混ざり、素にしか見えない原さんが堂々存在(笑)
天岩戸のシーンは、参加者の特技を生かすパンク歌舞伎の為にあるかのよう。祭だ!
パンク歌舞伎は今回で一区切りとの事ですが、折が来ればぜひ再開を!
さらば、行きずりの人よ
劇団B級遊撃隊
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2012/12/21 (金) ~ 2012/12/23 (日)公演終了
満足度★★★★
B級遊撃隊「さらば、行きずりの人よ」観ました
B級遊撃隊は私にとって、舞台の掴み方がよく分からない団体。今までに
「カレー屋の女」「犀」等を観て、空気感は好きだけど総合的に把握しづらい…(「土管2012」は割と分かりやすかった)。
今回もそうだったので、終演後に上演台本を読んでじっくり考えてみた。 会話は具象的なのに、全体(関係、状況、展開)が抽象的というか可変性が高いためだろうかと結論。具象的にみえてそうでもない、不条理系にみえてそうでもない。
演出家によって掴まえ方がまるで変わるのでは(他での演出作品はあまり観てないけど)。演出のしがいがありそう。
今回は、男1のいたりいなかったりする存在の仕方がすごく好き。
人々の関係の仕方も、ことごとく行きずり(兄妹でさえも)の微妙さがいい。手ざわりの不確かさが魅力的。
こうして後々考えると、「分かりにくいとはっきり断定しにくい分かりづらさ」がB級の特徴で魅力なのだろうか…最後まで煮え切らない…
星の息子
燐光群
岡山市民文化ホール(岡山県)
2012/12/18 (火) ~ 2012/12/18 (火)公演終了
満足度★★★★
燐光群「星の息子」観ました
12/16、あの衆議院選挙の日に燐光群を見るという、この巡り合わせ…
全体と個人の関係(国家ー国民、地域ー住民、家族ー一員、運動ー参加者)が、ところどころはみ出しながら重なって見える構図。
なりふりかまわぬ闘いをせざるを得ない人々が、それでも明るく振る舞い、世代を越えて思いを託す様が活きいきと描かれる。
セットや照明、音響も強力。意志の結集や圧力の暴力を具現化。
濃厚なメッセージ性と、観せる舞台表現が、せめぎ合いつつ手を取り合いパワー溢れる舞台に。
個人的には、客入れ時の仕掛けがいちばん好みだったりします。あれを体験した 観客が、自分の内に湧き出す何かを感じてほしい…
『 パレパーレ星の新しい生き物 』
札幌ハムプロジェクト
ナンジャーレ(愛知県)
2012/12/10 (月) ~ 2012/12/10 (月)公演終了
満足度★★★★
札幌ハムプロジェクト「パレパーレ星の新しい生き物」観ました
「サンタどん」に続いての観劇。なんと、舞台端に座布団席までできる満員御礼(初めて見たw)。
ともに精神的な弱みを持った子供と老人の友情が、ゆるく笑えて切ない舞台。最初から、悲しい別れを予感させつつも、バカバカしい笑いも交えて楽しく観れる。そして最後はハートフルに…。
仕掛けとして、「役者の交換可能性」が興味深い。所属でない東京の役者をおおぜい旅公演に同行、場所によって人数や役柄も変わるフレキシブルさ(戯曲もそれを前提として作られる)。
独特の衣装が異界からの来訪者らしい、参加型の現代の旅公演一座。今度は、全国各地の演劇人を旅に巻き込んでほしい!
※「サンタどん」の時は、交流会も終わった深夜1時頃、バラシを手伝いました。ホントに全部、一台のバンに納まった!笑)
三島ル。
長久手市文化の家
三重県文化会館(三重県)
2012/12/08 (土) ~ 2012/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
長久手市文化の家×三重県文化会館プロデュース(第七劇場×shelf)「三島ル。」三重・津公演観ました
前週の愛知・長久手公演に引き続き観劇。
shelf「班女」は、物語を求める人間のあがきを、文字通り舞台上に広げる。思わず、ふだんの観劇よりも高い位置の席に(笑)。
第七劇場「邯鄲」は、錯綜する意識下の空間を、実験映画のように展開。多発する暗転が、記憶の断線を思わせる。
今回も美術が、どちらも観客の中でイメージが膨らんで素敵。
アフタートークでは、「班女」 作中人物-作家(+読者)の多層性や、「邯鄲」 主体(次郎、菊)や世界(夢、死後の世界、実験室?←これ私が言ったw)の変動性等のワードが。演出家と一緒に考えを深める貴重な体験。
公共劇場の共同事業として、実り多い公演でした。団体を変えるなど、更なる継続を希望します。
虫
公益財団法人愛知県文化振興事業団
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2012/12/07 (金) ~ 2012/12/09 (日)公演終了
満足度★★★★★
愛知県文化振興事業団プロデュース「虫」観ました
5人の女性の間でざわつく空気が静かに充満する。相互に等価ではない関係性や距離感、会話とモノローグ(知人と他人)、生き物としての女性(性、食、知覚) 。
観劇後、女性は男性の、男性は女性の感想を知りたくなる。
繋がって不安定な美術、心底を静かに流れるような音楽、ひとり一人にじわじわと焦点の当たる照明、それぞれの役どころにハマった役者も魅力的。唯一の男優(クラウンをやってるパフォーマー)の使い方も面白い。
ぬるぬる感が気持ち悪くて見応えあり。
二週間後には、劇作家自身の演出で、東京・アトリエ春風舎で上演。これも面白い試み。
12人の兄弟
演劇組織KIMYO
ナビロフト(愛知県)
2012/12/07 (金) ~ 2012/12/10 (月)公演終了
満足度★★★
演劇組織KIMYO「12人の兄弟」観ました
次の都合があり、上演時間150分を120分で途中退席。
演出はスタイリッシュでテンポよく、役者も演技力が高く魅力的。120分観た時点で飽きなかった。
それだけに、あの戯曲はどうにも分からない…。人物の動機が飛躍し過ぎたり、世界観も掴みにくくて入り込めず(山田悠介「リアル鬼ごっこ」を連想)。グリム童話をKIMYO的に解釈したと言えばそれまでだけど、見ている間中、全然落とし込めないというのは辛い…。劇王Ⅸでの審査員の指摘を思い出した。
KIMYOの売りの一つといえる、舞台セットを全く使わなかったのも、視覚的に残念(初めて観た「カチ」が割と好きだっただけに)
あまり舞台を観ないという人なら、違和感なく観れるか。
二時間超える上演時間の告知は絶対必須。
三島ル。
長久手市文化の家
長久手市文化の家 風のホール(愛知県)
2012/12/01 (土) ~ 2012/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
長久手市文化の家×三重県文化会館プロデュース(第七劇場×shelf)「三島ル。」愛知・長久手公演観ました
アーティスティックな二劇団と、アグレッシブな二公共劇場の、稀有な共同事業。
第七劇場「班女」はダンス(世界、空間との関わり方)、shelf「弱法師」はリーディング(物語、言語への関わり方)に近しい印象。身体性やセットがそれぞれの方向で象徴的。前者は、もう少し長い方が見応えあったかも。後者は、広い空間の使い方が圧巻。
(今回は)完成度を突き詰める第七劇場と、可能性を掘り進めるshelf。劇場内外とも、いろんな気づきが豊潤な体験でした。
そして、一週間おいての三重・津公演へ!
よく聞く
劇団あおきりみかん
愛知県芸術劇場 小ホール(愛知県)
2012/11/29 (木) ~ 2012/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★★
あおきりみかん「よく聞く」メソポタミアバージョン観ました
スケジュールの都合で、メソポタミアバージョンのみ観劇(出演者に知り合いが多いしw)。
上演中、クリスティ「ねずみとり」を上演したらこんなかんじになるのかと連想(観た事ないけど)
いつものあおきりに比べ出演者が少ないためか、演技の密度が濃い。ほとんどの役者が、人格や時間、関係性を複雑に抱えてコンパクトな舞台上に。
現実、回想、心象の多層風景が演劇冥利に尽きる。アイデンティティとは、やり取りとは、果たして真相は…。
極めて上質のサイコサスペンス。アガサ・クリスティとか京極夏彦とか好きな人必見。
へ・ち・ま
てんぷくプロ
七ツ寺共同スタジオ(愛知県)
2012/11/29 (木) ~ 2012/12/02 (日)公演終了
満足度★★★★
てんぷくプロ「へ・ち・ま」観ました
現代的感覚から見るとむしろ珍しい、懐かしく落ち着いた熟年ファンタジーロマンス。
現実と幻想が地続きになった雰囲気はわりと好き(脈絡なく場を通過するアレとか、川崎ゆきおの漫画を連想w) 、話もキャラも地に足をつけて立っており、役者は小熊さんを始めとして存在が力強く力的。
個人的には、「見る舞台」より「読み解く舞台」が好きなので残念ながら好みからは外れますが、団体が培ってきた伝統的な力を感じる力作でした。
ただし、上演時間が二時間半近いのは、事前にわかっていた方が…(汗)