tamagawaya_ucが投票した舞台芸術アワード!

2017年度 1-10位と総評
アンティゴネ ~時を超える送り火~

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アンティゴネ ~時を超える送り火~

SPAC・静岡県舞台芸術センター

(5/6)
 この世のものと思えない、衣装・水上舞台・生演奏・ことばと身体を分ける演出が、すっかり世界観にはまる、魂送りの儀式のような舞台。
 慎重に丁寧に踊られる盆踊りを、全身を使って魂を送る動作だと感じる。
 そして、現実社会に対して表現は無力なのか。
(あの衣装を見た時、ウルトラセブンのガッツ星人を思い出しました)

 日本から世界に勇躍する演劇の代表格。

劇王Ⅺ~アジア大会~

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劇王Ⅺ~アジア大会~

長久手市文化の家

(9/16)
 香港代表、日本と異なる価値観の提示と磨かれた役者の身体のよさ。
 北海道代表、台詞が回収されるカタルシスと今そこでやる役者の存在感。
 甲信越代表、コントから演劇へもう一歩か。
 中国代表、定番のアングラ感がかえって印象薄く…

 日本各地+世界数カ国から短編劇が集結。
 私が観れたのは予選3ブロック中1つのみ、決勝も観れなかったが、それでも地域性あるバラエティぶり。

つぐない

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つぐない

劇団あおきりみかん

(7/13)
 数年前の『よく聞く。』を思わせる、上質の密室サスペンス心理劇。普通に小説として出版できそう。
 自己暗示、認知の歪み、呪縛…つくづく本人にもままならない人の精神を、シャーマンの如く解体・再構成して救う舞台。

 エンターテインメント系の団体なのに、感想を書くとしばしば「フィリップ・K・ディック」「シャーマン」といった、精神に切り込むフレーズが出る…

短編集「ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常」

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短編集「ふたり、目玉焼き、その他のささいな日常」

空宙空地

(11/12)
 団体のこれまでの積み重ねを結晶させた珠玉の短編集。
 巧みな構成や語り口で、死と寄り添う人生を見つめる優しさやせつなさをたたえる話たち。一人芝居の形式化を最大限に活用する演出。
 客演含み役者もみな見事。

 愛知のごく小さな団体が、全国でこつこつと積み重ねた活動の集大成。

腹話術師たち、口角泡を飛ばす

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腹話術師たち、口角泡を飛ばす

SPAC・静岡県舞台芸術センター

(5/6)
 演者から分離した身体・ボディを有する仮面「人形」の周囲に渦巻く、演者たちの妬み嫉み、劣等感、精神外傷、分裂症…建前、本音、深層、様々な心理をも象徴。
 人形という仮面を付けて本心をさらけ出す人々。人形を外して社会性という仮面をつけ直す人々。

 人類史に寄り添う「人形劇」の本質に迫る、実は人間心理劇。

バットシェバ舞踊団/オハッド・ナハリン『LAST WORK - ラスト・ワーク』

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バットシェバ舞踊団/オハッド・ナハリン『LAST WORK - ラスト・ワーク』

愛知県芸術劇場

(11/3)
 個人と集団の総合力。振付されつつ各ダンサーに根ざすムーブメント、ズレから次第に関わりが強まる関係性、次から次へ出る手札の謎と解釈の余地の大きさ。
 ラストのテープのシーンは目が潤みそうに。
 プレミアム席は舞台を見上げて観にくかったのが無念、、、

 世界最高峰のダンスカンパニー。

『それからの街』

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『それからの街』

愛知県芸術劇場

(10/22)
 最初15分眠かったが、、、それ以降俄然明晰な意識で観れた。
(既知の台詞が次はどうなるかに興味?体がこの舞台の観方を会得した?)
 繰り返される言葉のダンスに伴う身体。身の詰まった質の高い有意義な不可解。美術は見えるものも見えないものも見せる、抽象の極致。

 AAF戯曲賞受賞作を、審査員でもある鳴海康平氏が美術作品のごとく演出。

鈴木忠志の世界 昭和篇『サド侯爵夫人(第二幕)』

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鈴木忠志の世界 昭和篇『サド侯爵夫人(第二幕)』

SCOT

(9/2)
 初めて戯曲を読んだ時の衝撃が素直に蘇る、限定したシンプルな演出。
 メイン女優二人の、役に沿うというよりも個性の際立った配役が、キャラクターという命を吹き込む。
 行動は共通しても価値観は相容れない二人の、私はルネに共感…(キャーッHENTAI)

 日本有数の、力強い戯曲を力強い演出家が扱う。

身毒丸

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身毒丸

演劇実験室◎万有引力

(3/19)
 怪しくも楽しい奇想天外が詰め込まれたあっという間の二時間。
 見世物の場面では、視界のあらゆる所で何かが起こって見逃す贅沢さww
 妖しく悲しき主筋は、実は頭に入らなくてもOK。直感的に受け入れて、周囲のディテールを楽しむ。それも、主筋の民俗的骨太さあればこそ。
(卒塔婆の殺陣が、宇宙刑事のレーザーブレードにも見えた)

 伝説の演劇人の作品を、その直系の団体が再演。

うちやまつり

10

うちやまつり

オイスターズ

(4/24)
 表面に見せない分厚さを感じる深津戯曲を、いじり回さずに言葉で空気を伝える平塚さんの演出で舞台に。
 日常と不穏さの並立する、霞がかかったように果ての見えない、穏やかな悪夢。
 人物というか役者が色々とエロくて、とてもよい。

 関西の伝説的劇作家と東海の個性的演出家の、不条理な出会い。

総評

 今年は自分の稽古が多くて、観劇数が大幅に減りました。

・愛知県内の団体ーあおきりみかん、空宙空地
・県内制作・県外要素ー「劇王Ⅺ」、『それからの街』、『うちやまつり』
・県外団体の県内公演ーバットシェバ舞踊団
・県外公演ーSPAC、SCOT、万有引力、ジゼル・ヴィエンヌ

 県内から推せる純正な作品が大幅に減ってしまいました…
 愛知では、こりっちを使わなくなった団体も増えています。
 やはり、「こりっちは東京中心」というイメージが強いようです…
 

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