1
ブルームーンが尽きる時
ねこまんまLABO
物語・演出・演技、どこも取り立てて突出してはいないけれど、それが「大きな窓が大通りに面したバー」という公演場所の借景を活かす絶妙なバランス取りに。
表を通行する人や車、時間帯による光など全てが、常に変化する効果に。
約20分という上演タイムも、バーを楽しむお客さんにはいいのでは。
カフェ・バー公演でも外界と切り離して作られる公演が多いと思うのですが、この公演は、ふだん劇場に通いづめの目には強烈に衝撃でした。
2
高校生と創る演劇『赤鬼』
穂の国とよはし芸術劇場PLAT【指定管理者:(公財)豊橋文化振興財団】
愛知・豊橋市の公共劇場が、地元の高校生をキャスト・スタッフとしたプロデュース公演。
東京・時間堂の黒澤世利さんが演出として一ヵ月半に渡り滞在制作。
精密な舞台を作るプロの基で「いま」を完全燃焼させる高校生たちの姿は、野田秀樹による戯曲に負けていませんでした。
3
茨姫
公益財団法人愛知県文化振興事業団
愛知・AAF戯曲賞受賞作を、京都・地点の三浦基さんが演出。
息継ぎしながら泳ぐように夢うつつの世界を漂う人々の姿は、戯曲を読んだだけでは想像できない。演出の類を見ない創造力。
4
だるい女
劇団あおきりみかん
愛知で若者向けのエンターテインメント性高い舞台を長年手がけている作・演出家が、自劇団でつちかった演出手法を昇華させつつ、出身地・福島の現状への思いを乗せた、現時点での集大成。
あの日は、まだ何も終っていない…
5
パンク歌舞伎「ハラ版 天守物語」
ハラプロジェクト
3年ぶりの名古屋市能楽堂での公演は、ハラプロお得意の日本人の身体に根ざした祝祭性と、泉鏡花の戯曲によるしっとりした叙情感ある異類恋愛の物語が両立した、豊潤な公演でした。
6
INDEPENDENT:15
INDEPENDENT
毎年各地から集まった才が競い合う、最強の一人芝居フェスティバル。
今年は役者の力を見せる骨太な作品が多かったようです。
愛知と九州からの出場団体が、似たようなテーマ・手法を扱いつつ、印象が正反対だったりと、それぞれの作り方も堪能できました。
7
対ゲキだヨ !全員集合
MICHInoX(旧・劇団 短距離男道ミサイル)
仙台・名古屋・大阪の劇団が、一つのテーマに基く中編を持ち寄って、仙台→新潟→名古屋と旅公演を渡り歩いた合同公演。
現地の劇団が受け入れ役となって観客を動員。共同制作の新しいやり方では。
2016年には大阪や東京(こまばアゴラ)でも公演。
8
屋根裏
燐光群
人が二人入るのがやっとな極小空間で繰り広げられる、悲喜こもごもの人間ドラマ。
社会性が高くて舞台としても面白く、しかも数年おきの再演に堪えうる普遍的な強度。
9
ファイナルカウントダウン
東北大学学友会演劇部
「上演時間60分」という、学生演劇伝統の理不尽なルールそのものを世界観の主軸に据えた挑戦作。
全ての進行が秒単位で管理される過酷な舞台(観る方はお気楽に笑い転げるけど)。
10
新春玉山福袋
花まる学習会王子小劇場
・「芸術監督(当時)が全演目主演」
・「カムイヤッセン・北川さん始め劇場職員でもある新進の劇作家・演出家5人が作る短編集」
という、どう聞いてもトチ狂っている自主公演企画。
劇場からお客様へのサービス精神ここに極まれり。