木
ろりえ
サンモールスタジオ(東京都)
2013/08/22 (木) ~ 2013/09/01 (日)公演終了
満足度★★★
一長一短あるいは終わり良ければ全て良し?
「よろこび」が女性の一代記であったのに対してこちらは男性の半生。
少年期を描いた第1部はワクワクだったが、青年・中年期の第2部はダイジェスト感(あるいははしょり感)アリ。本当は3時間級だったのを削ったワケではあるまいな?
しかも何やら中だるみ感まで漂ってしまい…。(←ダイジェスト感とは相反するハズなのに)
が、終盤の災害スペクタクル(!)で持ち直し(←表現がどうも)、最後の一言にトドメをさされる。
アレって芝居の世界から現実へのバトンだよね。
様々な事柄に対する復興への強い祈念、しかと受け取った!
被告人~裁判記録より~
アロッタファジャイナ
ギャラリーLE DECO(東京都)
2013/08/27 (火) ~ 2013/09/01 (日)公演終了
満足度★★★★★
題材の選択・アレンジと構成が巧みな二人芝居集
現代のものから歴史的事件まで全5編から成る二人芝居短編集。
次第に過去の事件へ遡る構成で、進むにつれて虚構度も上がるシカケ。
1編目は法廷での弁護人による尋問シーンで、弁護人の意図するものが手に取るようにワカるのが快感。
巧いところを切り取ったモンだ。
2編目は法廷での尋問を別の状況に置き換えてあり、どこが創作部分か想像しながら観る楽しみアリ。
3編目以降は歴史的事件で「記憶」ではなく「知識」の範疇に属す分、元々馴染みが薄い上に裁判記録以外のテキストも使っており、まさにドラマや映画を観る感覚に近いか?
そんなことから「芝居としての見せ方」に目が行く。
そして、結果として「アロッタファジャイナ流(あるいは松枝流)二人芝居」を観た感覚となり、これまたそれはそれで満足度大。
それぞれタッチが違っており、最終編など照明が…(ネタバレ自粛)…だし、空調まで切っていたし。
なお、2編目あたりから松枝さんの狙いがワカるような気がして、以降頬が緩んでしまい、真面目な顔でご覧になっていたお客さんの中で浮いていたような気が…(爆)
さて、次はどんな「実験」をしてくれるのかな?
奴婢訓
虚飾集団廻天百眼
ザムザ阿佐谷(東京都)
2013/08/23 (金) ~ 2013/08/27 (火)公演終了
満足度★★★★
原典未見だったのがちょっと惜しまれる
寺山修司の戯曲自体はほとんどいじらずに使ったそうだが、元ネタ未読の身にはいかにも百眼な印象。
そんな中、「少女椿」での手口を応用した(あるいは亜種の)ラストの入れ子構造にニンマリ。
一方、物語そのものはどちらかと言えば静的(「存ぜぬ快楽」に近いか?)だが、生のドラム演奏や生歌も含めてショー的要素が強く、見世物小屋的いかがわしさも漂わせて本領発揮?(笑)
そして最後の一人ずつマッチを擦っての名乗りと全員でのショットは画竜点睛を打つ格好良さ。満足!
黄金のコメディフェスティバル2013
黄金のコメディフェスティバル
シアター風姿花伝(東京都)
2013/08/15 (木) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
千秋楽スペシャル
順位を競うとなるとやはり一番得意なスタイルになるようで、6団体中5つは如実に「自団体色」を出して来たのが面白く、結果的に「異種格闘技戦」の如く優劣を付けにくくなったのもまた良からずや。
ディストピア
角角ストロガのフ
吉祥寺シアター(東京都)
2013/08/22 (木) ~ 2013/08/26 (月)公演終了
満足度★★★★
ルミちゃんの新境地?
人気俳優が無実の罪で捕まり、護送中の事故により逃げ込んだのは道徳観念がほぼ逆転した社会で…な物語。
従来の家族や学校のクラスなどと較べて町に近いレベルの共同体になり、テーマも「正義とは?」のように大きい分、毒が希薄になったか?という気が序盤ではしたが、観ているうちにそれは思い違いで、粘液タイプの毒から気体に変化したと解すべきだと気付く。
換言すれば今までは舞台からねっとりした毒がドロリと流れ出て来る感じだったのに対して、本作は毒が霧のように会場全体に漂い広がってゆく感覚。(会場の広さも関係しているか?)
なお、悪夢のような「ルミちゃんワールド」は健在。
廻天遊魚
アムリタ
新宿眼科画廊(東京都)
2013/08/23 (金) ~ 2013/08/28 (水)公演終了
満足度★★★★
ほほえましく やがておそろしき 廻天遊魚かな(字余り)
意思疏通の脆さ・儚さ、思い込みや思い違いをモデルケース的に抽出した純演劇?
前半は微笑ましくユーモラスなのにちょっとした思いのズレから「キズ」が広がって行く後半はコワいくらい。
古傷が引きつるような気がしたし、そんな思いの真っ只中な方にはイタいだろうなぁ。
見世物革命ゴウマちゃん
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シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/08/23 (金) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
騒乱とグルーヴ感の中に歴史のうねりと反戦の意
和洋折衷(←当日パンフより)というよりは年代不明の鎖国中の日本らしき国の革命家のオハナシ。
が、倒幕派に加えて開国を迫る外圧も描き、騒乱とグルーヴ感の中に歴史のうねりと反戦の意を表現して見事…ってか楽しい。
一方、細かい台詞は聞き取れなくても十分理解できるとはいえ、それが伝わればなお良く、一部の歌詞・台詞の投影も視角的な効果は認めるも実用性に乏しいのが惜しい。
ま、そんなトコまで完璧にこなされたら鬼に金棒状態でヤバい(笑)んだが。
あと、本編結末の印象を一掃する(爆)フィナーレ(というよりはオマケ?)は賛否両論?
σ(^-^)自身も「それもアリ」(あ、もちろん好きです)と思う一方で、「あのまま終わるのもインパクトがあってイイかも?」な気がして決めかねる。
なお、東京ペンギン中井・ナカゴー篠原のお二方、さすがのサポートぶりに好感。
そういや前説アナウンスのレトロな音質も良かったな。
舞台ドリームクラブ
劇団ドリームクラブ
ラゾーナ川崎プラザソル(神奈川県)
2013/08/16 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★
玉石混淆
恋愛シミュレーションゲームの舞台化。
お嬢様、セレブ、ボクっ娘、メガネっ娘、アニメ声、ツンデレ、などそれぞれ個性あふれる「ホストガール」たちのメイク・衣裳はアニメから抜け出て来たようで、ゲームから舞台への「昇華」と言えようか?
彼女たちのキャラ作りは良くできており、元ネタを知らない身としてもワクワクだったのだが、それゆえの難点もアリ。
というのは登場人物が多く、しかも(恐らく)オトナの事情で大半をフィーチャーする必要があったから。
結果、クライマックスでユニット毎に歌(とダンス)を披露する下地的にメインのストーリー以外に地下や体内(!)で展開する傍系の挿話を複数併走させることになり、それが連繋せず独立しているために全体の流れが途切れがちな感が否めない。
また、その傍系エピソードも細かく描いているために上演時間が140分もの長尺となったため、ブツ切れな流れと相俟って体感的に実時間以上に思えてしまうのが残念。
そして長い割にはキャラの個性を必ずしも活かしきれずダイジェスト的な印象になってしまうのも惜しい。
それぞれをフィーチャーし独立した複数作品にした方がスッキリしたのではあるまいか?
あと、クライマックスのアニバーサリーレビューの後、店長の映像で暗転して終わるのは致命的。
ホストガールズたちがハケているので拍手するのも変だし、画も音も無くなったが何かがまだあるかもしれないと待つが置いてきぼり、的な。
リピーターらしきお客さんたちが手拍子と「アンコール!」のコールをしたからまだしも、いや、それでもせっかくのクライマックスの昂揚感がスッパリと切断されたことは否めず勿体ないったらありゃしない。
次回があるのなら、そのあたりを是非改善して戴きたい。
WANTED
TEAM空想笑年
ザ・ポケット(東京都)
2013/08/22 (木) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★★
「ルパン愛」が溢れ出る快作にして秀作
「ルパン三世」への愛が溢れ出ているアクションコメディ、快作にして秀作、そして力作。
予め上演時間は140分とアナウンスがあったものの、体感的には2時間程度だったし、それどころか実測時間は150分だったというのに驚く。
単に元ネタを表面的になぞるだけでなく、シリーズの精神やコンセプトまでを咀嚼し消化・吸収した上でそれをベースに自分のものとして創り上げていて、それによって主要人物の行動やもの言いがいかにもそれらしく感じられるシカケ。
ただ、ルパン一味&銭形を世襲制とするなら200年くらい未来のハナシになってしまうワケで、「末裔」などの用語を排して「AKB0048」のように単なる襲名制にした方が良くはなかったか?
また、次元がリボルバーに弾丸を装填する動作があるのはアッパレだが、撃った弾数に較べてローディング数がまだまだ少ないので、どうせならもっと慌ただしく何度も装填して欲しかったなぁ。
一方、無理にダンスシーンを入れるのでなく、物語の進行上自然にダンスをさせて、しかもそのダンスの中にもストーリーを組み込むのは見事。
それに、西園寺家(だったかな?)の御曹司のキザな動作は愉快だし、「目にゴミが…」の伏線と回収も巧い。
それらの細部だけでなく、全体のストーリーの流れ、構成ももちろん良くできていて、かなりの手練れと見た。
が、ストーリーの根本的な部分と言うか、すべての元となった「15年前の出来事」はちょっとひっかかる。(ネタバレBOXに詳述)
とはいえ、そのあたりは「珠に疵」レベルで、全体としては上出来の部類。CoRich舞台芸術!でふと気になって、知り合いどころか一方的に存じている方もいないのに観に行って大正解。
かつてハチビット・プラネット、企画演劇集団ボクラ団義、劇団やぶさかなどを初めて観た時と同様の「うおぉ、イイ団体にめぐり逢えたぜ!」感を味わうことができて良かったぁ。
来年1月の第2回公演は大好きなバックステージものだそうなので、今からハードルがだだ上がり状態で待つ。(笑)
癒し刑
ガラス玉遊戯
王子小劇場(東京都)
2013/08/21 (水) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★★
「もうひとつの現代」を描いたSF的寓話
人のストレスなどを制御する技術ができた「もうひとつの現代」のSF的寓話。
根本的治療ではなく対症療法にすぎないその技術は必要悪?などと考えつつ観るが、各人物それぞれに理解できる部分がアリ、「正解」は見出だせない。
そうして迎えるラストは最大公約数的なもので、その落としどころが実に巧み。
TANPENG30 Bグループ
TangPeng30 Bグループ
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2008/08/19 (火) ~ 2008/08/26 (火)公演終了
満足度★★★
個性的な3団体
【総論】
それぞれ個性が出ており、3団体とも30分の枠にきっちり収めていたが、必ずしもまとめきれてはいない感が無きにしも非ず。
【各論】
レティクル座「空想G」、おバカでややお下劣なのが楽しいし、時事ネタ的モチーフもワカるが、欲を言えばもう少し毒が欲しい気もする。
劇団ヒキ「マジ者」、正攻法の胸キュン青春ストーリー。一通り見せた後に隠された部分を見せる構造はワカるが、必ずしもそれが成功していないのが残念。また、ブッ跳び系のレティクル座の後だけに割をくった感もアリ。
in企画「不思議の国のロックスター」、写真で始まる思い出というテーマを前面に押し出したことと、リリカルな感覚は素敵だが、30分でまとめきれず、描ききれなかった(あるいは表現しきれなかった)部分があるのが惜しい。
超人テレ娘!
Tricobo
シアターグリーン BASE THEATER(東京都)
2013/08/02 (金) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★
小細工よりも構造でワカり易くして欲しい
超能力+タイムスリップというジュヴナイル系。
時制を往き来するだけに、その「場」がいつであるかを示す工夫はあるが、入り組んだ構造により今一つワカり難いのが残念。
構想から何度も推敲を重ねている作家と異なり、観客は原則的に予備知識なしで1回しか観ないので、小細工で凌ぐのではなく、もう少し構成面でワカり易くして欲しいなぁ。
PADMA vol.5 「戦国BARASHI」
Performance team PADMA
スクエア荏原・ひらつかホール(東京都)
2013/08/16 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★★
さらなる進化を遂げた感じ
キャパ400近い劇場でのパフォーマンスはまさに「劇場版」(いや、今までも劇場での公演ではあったのだけれど)。
舞台のタッパを活かした「かつてない」高さからのジャンプや客席通路も使った演出など、あれこれスケールアップ。
ある舞台のバラシと建て込みに来た裏方達が調子に乗って「芝居ごっこ」をしてしまうという構成で、前半はパフォーマンス中心、後半は(パフォーマンスも含まれる)芝居中心としたことにより上演時間時間は115分(休憩10分を含む)と史上最長だったが、体感的には90分程度。
もちろん新ワザやゲストパフォーマーとの複合ワザなどもあり、さらなる進化を遂げた感じ?
銀河鉄道の夜 〜青〜
からふる
パフォーミングギャラリー&カフェ『絵空箱』(東京都)
2013/08/19 (月) ~ 2013/08/22 (木)公演終了
満足度★★★★★
来年また新版が観たい!
銀河鉄道内にほぼ特化した前年版と較べ、お馴染みのあのフレーズから始まる分、原作に忠実になった反面「普通になった」感無きにしも非ずではあるが、その略し方が巧く、また、ラストやケンタウロスの祭りシーンを筆頭とした照明、天の川をモチーフとした装置なども良くて感服。
来年、さらに改めた版とか観たいなぁ♪
隣で浮気?
傑作を遊ぼう。rorian55?
王子小劇場(東京都)
2013/08/16 (金) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
翻訳戯曲感と舞台美術が魅力的
良い意味での翻訳戯曲感(言い回しとか論法とか)満載で、変に翻案したりしないその味わいを堪能。
また、白と黒に統一した舞台美術は3組の夫婦と2つの部屋をワカり易くするだけでなくデザイン的にもスタイリッシュでステキ♪
お酒との正しい付き合い方
月刊「根本宗子」
BAR 夢(東京都)
2013/08/15 (木) ~ 2013/08/18 (日)公演終了
満足度★★★★
終盤の論法・構造が秀逸
ある原因で眠りたいのに眠れないのでアルコホルの助けを得ている姉妹の対話。
愚痴と相手への思いやりがひとしきり語られた後の「心頭滅却すれば火もまた涼し」的なオチに繋ぐ論法、構造が秀逸。
「空のハモニカ-わたしがみすゞだった頃のこと-」
てがみ座
座・高円寺1(東京都)
2013/08/01 (木) ~ 2013/08/04 (日)公演終了
満足度★★★★
器楽曲を管弦楽に編曲したようなオモムキ
「劇」小劇場での初演を観ていたので座・高円寺で再演と知った時には「どうなるんだろう?」と思ったが(失礼!)、逆にこちらを観て初演が想像できないほどに的確なスケールアップがなされていて、どちらも完成度高し。謂わば器楽曲を管弦楽に編曲したようなオモムキで、両バージョンを折に触れ上演して欲しい気も。
また、舞台上の演技だけでなく、壁に映る(演者や装置の)影も見どころ。
生きている家
ゲイシャフジヤマNo.1
小劇場 楽園(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
アイデアに脱帽
元ネタである狂言「梟山伏」でその翻案である本編部分を挟み込む構成によりテーマをワカり易くするアイデアに脱帽。
また、目にして「二方向客席対応」と思った装置の真意も見事。
さらに大好きなメタフィクション系のネタもいくつかありニヤニヤ。
それにしても初見であった前回公演と全く異なるテイストで来るとは…。
次回はどんなテで来るのやら?
黄金のコメディフェスティバル2013
黄金のコメディフェスティバル
シアター風姿花伝(東京都)
2013/08/15 (木) ~ 2013/08/25 (日)公演終了
満足度★★★
オープニングイベント
来賓(?)挨拶を含むセレモニー的なものの他に参加団体の主宰6人を2組に分けてのトークなどで構成された70分弱は随所に(良くも悪くも)江古田のガールズ的なノリが感じられた。
それにしても主宰トークでも話題となったが、コメディとはいえ作風が全く異なる団体の組合せは「異種格闘技戦」の様相、本戦を観るのが楽しみ♪
くろいぬケンネルVOL.3『学級会』
くろいぬパレード
OFF OFFシアター(東京都)
2013/08/07 (水) ~ 2013/08/11 (日)公演終了
満足度★★★★
「小学生あるある」が懐かしい
小学校での学級会のハナシ。
男子と女子の対立からキャラ設定から議論中の茶々の入れ方、ものの考え方にいたるまで見事なほど小学生で「昔、似たようなことがあったなぁ…」と遠い目状態。
それにしても前夜、隣で観たものと共通点が4つもあったのにはビックリ。
ちなみに初演は未見。