天動虫版マクベス
劇団天動虫
シアター711(東京都)
2023/12/06 (水) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/12/07 (木) 14:00
原典由来の「いかにも古典戯曲」な台詞回しとダンスや歌を取り入れたポップな味わい、それに初期(要町の第七秘密基地で公演していた頃のチープだが工夫に富んだもの)と較べて洗練されつつもどこかアングラテイストがある舞台美術が混然一体となりタイトル通りまさしく天動虫版マクベス!
なお、この日この回は出演者の体調不良のためクライマックス前で公演中止となったが関係各位の心中いかばかりか。いつの日かリベンジ公演があること(と関係各位が気を落とさないこと)を切に願う。
空ヲ喰ラウ
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2023/11/28 (火) ~ 2023/12/10 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/11/30 (木) 14:00
言われてみれば確かに新機軸。設定は現代だし、悲劇の度合いも従来作と較べて(あくまで相対的に)マイルドだし「桟敷童子といえば」な「アレ」もないし。しかしそのことによって「各人物のドラマ」がより前面に押し出された感じ。
そして脚本・演出・演技に舞台美術・音響などのスタッフワークも含めて「桟敷童子の芝居」なんだと改めて認識。
生きてるうちが華なのよ TAIAI
グワィニャオン
シアターグリーン BIG TREE THEATER(東京都)
2023/11/15 (水) ~ 2023/11/19 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
「笑って泣ける本格/正当ゾンビ芝居」、みたび(前2回は2005年5月・東京芸術劇場、2012年12月・萬劇場)。タイトルにしても劇中使用曲にしてもそうだしこの題材で「生きる/生きているということ」を前面に押し出しているのがイイ。
そしてラストで語られる「その後の変化」は、作・演出の西村さんをはじめとした関係者のみならず観客……どころか全人類(広げすぎ?(笑))の願いなのではなかろうか? 昨今の情勢を考えるとよりそのように感じる。やはり名作。
日本演劇総理大臣賞・余話
ロデオ★座★ヘヴン
新宿眼科画廊(東京都)
2023/10/17 (火) ~ 2023/10/24 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/10/22 (日) 13:00
「日本演劇総理大臣賞」の登場人物2人それぞれのスピンオフ短編二人芝居2編。
どちらも主人公とその相手との「絆」が浮かび上がって心地好く、「当時ならさもありなん」な内容ながらイマの世相にも通ずるものがあるのはさすが。
オダマキとフクロウ
十七戦地
東京おかっぱちゃんハウス(東京都)
2023/09/20 (水) ~ 2023/09/24 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/09/22 (金) 15:00
哲学の教授たちが集まる冒頭と結論が出て去ってゆく〆の場面を除いた正味80分ほどが議論というガチ論争劇。
戦時中の若者に生き方を示唆するとか大学での覇権争いとか最近話題の映画やドラマなど連想しつつ、現政権では「そんなこと」になりかねないという部分に慄く。
憶えてるのは言葉じゃなくて
チャミチャム
カフェムリウイ「屋上劇場」(東京都)
2023/07/27 (木) ~ 2023/07/30 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/28 (金) 17:00
元彼とのあれこれを一人語りで見せる65分。恋愛でありがち(?)な「理屈ではない不条理さ」に懐かしさ(爆)を覚える。
また、演技エリアの背景となるテラスとそこへのドア・窓を上手く使った(見立て含む)この会場ならではの演出が楽しい。
あと、二人の会話を上下(かみしも)切り替えで見せる手法(これも上手い(演出・演技とも))に落語を想起。
ただ、「火蓋を切って落とす」という表現があったのははいただけない。火蓋は切るものではあるが「切って落とす」ものではないんだな。
ブラウン管より愛をこめて-宇宙人と異邦人-(7/29、30 愛知公演)
劇団チョコレートケーキ
シアタートラム(東京都)
2023/06/29 (木) ~ 2023/07/16 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/12 (水) 14:00
昨今の作品群とは趣を異にし、特撮ヒーロー番組の裏話的なものを軸に差別に関して語る。
題材的に娯楽要素も多く、元ネタがワカる身にとっては冒頭のS.E.~音楽で頬が弛んだのを筆頭にあれこれ大ウケ。
そんな中に「差別が生まれる原因」「差別をなくすためには?」などをさりげなく織り込んで、終盤にはさらに「こういう差別も」という現代的な(?)命題にも触れるのがいかにもここらしい。
また、舞台中央のミニチュアセット/ジオラマに手前から明かりを当てて後方のホリゾントに影を落としたりスポットを当てたりの効果が秀逸。「こういうテがあったか!」と狂喜♪
あと、劇中の中心作品である「ワンダーマン」のタイトル、wonder と wander をかけたものであることにもニヤリ。
おわたり
タカハ劇団
新宿シアタートップス(東京都)
2023/07/01 (土) ~ 2023/07/09 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/07/05 (水) 14:00
「いわゆるホラー」的設定もありつつ基本的には「民俗学的サスペンス」で進行し、途中で「え、そっち!?」と観客を欺いて(笑)からは怒涛の「古今東西ホラーアラカルト」。
それまでの伏線を回収しながら「あ、そのパターンか♪」が次々に出てくる後半などホラー好きにはタマラン。
そのクライマックス、基本はモダンホラーな味わいだが、実は日本古来の(因果応報的な)怪談に通ずるものもあり、さらに某ギリシャ神話&日本神話を連想させる設定もあり、報い・悔いだの憑代だのの単語がアタマに浮かび楽しかった♪
推しのためなら死ねる!!
guizillen
萬劇場(東京都)
2023/02/08 (水) ~ 2023/02/13 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
10日にBチーム、13日にAチームを観劇。
ブラックでシニカル、不穏ですらある状況から一転、痛快アクション(?)になり粋に締める。
ダブルキャストや複数バージョンの公演は先に上演される方が基礎編で後から上演されるのは応用編(のことが多い)というのが持論だが、本作も私見ながらAチームはオーソドックス、Bチームはデフォルメ版な印象。
もちろん役によってはAの方がデフォルメタイプだったりもするが、ファーストシーンから登場してそれ以降も物語の軸となるミドーを演ずる依乃王里・矢吹ジャンプお二方の演技のタイプの違いによるものが大きいと思う。
そしてそれはどちらが良いとかそういうことではなく、芝居における配役/役者の演技や演出の面白さを改めて提示した公演として大きな意義があったのではないか。ブラヴォー!
十二人の怒れる男
劇団東京乾電池
ザ・スズナリ(東京都)
2023/01/05 (木) ~ 2023/01/09 (月)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2023/01/07 (土) 14:00
同一演目としては二桁回数観ており熟知しているだけに特に支障なく感じたが、言われてみれば確かに「深剃り」的に削り過ぎた部分があった感は免れ得ない。特にラストのあの印象的な台詞を削ったのは承服し難い。
その一方、いかにも「あの頃のアメリカ人」っぽさ(偏見含む)を感じさせた衣装と役者の立ち居振る舞いは見事。
あと、作品初見のお客さんが多かったのか期せずして笑いが起こる場面が時々あったのは興味深い。
すずめのなみだだん!
やみ・あがりシアター
駅前劇場(東京都)
2023/01/06 (金) ~ 2023/01/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
多分に哲学的、というかやみ・あがりシアター流の信仰論/思想論/幸福論か。今までに何度か観た作品それぞれテーマや描き方が異なり笠浦さんの「引出しの多さ」に驚愕。
また、タイトルの(もう一つの)意味を明かすラストの詩的な台詞、「その映像が見えるよう」だったことも含めてステキ。まさに「画竜点睛を打つ」的な。
過負荷の蟲 他二編
美貴ヲの劇
エビスSTARバー(東京都)
2022/12/01 (木) ~ 2022/12/04 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/11/02 (水) 14:00
スナック「生活」の常連客3人それぞれの奇妙な体験……という体の短編3編。
各編とも有名作品の換骨奪胎だがそれぞれにパターンが異なるのが巧みで「そう来たかぁ」的なツクリが愉しい。
ただ、全面的にこちらの非ながら「山月記」を予習して行かず今一つピンとこなかったのが残念……ってか「山月記」って折に触れてWikipediaで予習したりするものの、なかなか印象に残らないのは何故だろう?(爆)
蒲田行進曲【クロジカ】
演劇ユニット クロジカ
王子小劇場(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/09 (金) 14:00
【海田バージョン】
古屋敷銀ちゃんと海田銀ちゃんで「バックグラウンドの違い」を感じた。
古屋敷銀ちゃんは「叩き上げてスターの座を獲得したがその過程であれこれ失くした」感じ、海田銀ちゃんは「根が小心者なのに大物ぶっている」感じ。
そういう意味でダブルキャストの面白さを実感。
ところで演出・演者の意図はどうだったのかしら?(笑)
蒲田行進曲【クロジカ】
演劇ユニット クロジカ
王子小劇場(東京都)
2022/12/07 (水) ~ 2022/12/11 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/08 (木) 14:00
【古屋敷バージョン】
映画では観たものの原作舞台は未見だったので観終えてまず思ったのは「映画は原作にかなり忠実だったのか!」だったが、後に演出のフジタさんから「シーンの構成などは原則映画版準拠」と伺い「そういうことか!」と納得。
とはいえそれは全体像のハナシであり、この公演独自のものであろう箱馬などを上手く応用した「舞台表現」は巧みで面白く、そこに原作自身の魅力や映画版の懐かしさなども加わり大いに満足。
オイコラケンジ~何しれっと帰ってきてんだよ~(仮)
オイウチケンジ製作委員会
中板橋 新生館スタジオ(東京都)
2022/12/24 (土) ~ 2022/12/24 (土)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/24 (土) 14:00
この企画の発端となった8年前の「オイウチケンジ」の中の1編を見せてから今回出演者の一人がそれ以降のいきさつを語り……というスタイルで始まる連作短編集。
そんな構成が巧みだし各編が名作映画オマージュやシュールなものなども含めて作家性がモロに出た色とりどりだしアッパレなプロデュース公演でありました。
喩えて言えば、みたらし・ごま・あんこなど味が異なる……と言うより選りすぐった銘店の代表的な団子を1本の串に刺したような?(笑)
老いた蛙は海を目指す
劇団桟敷童子
すみだパークシアター倉(東京都)
2022/12/15 (木) ~ 2022/12/27 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/20 (火) 14:00
微かな光がないでもないが大半は観ているのがしんどいほどの悲劇。でありながら目を逸らせないどころか惹き込まれてしまうのはあの装置の中での演技合戦とも言うべき熱演の賜物か。
特に本作は強力客演陣と劇団員(レギュラー的な客演者含む)の「がっぷり四つ」感が強烈。観ていて「嗚呼、今、舞台演劇(と言うより桟敷童子)を観ているんだ」と何度思ったことか。また、ラストシーンの美しさ/ダイナミックさと言ったら!
G線上のアリア
PSYCHOSIS
新宿スターフィールド(東京都)
2022/12/16 (金) ~ 2022/12/20 (火)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
月蝕歌劇団のオリジナル版を知らないので推測の域を出ないが、温故知新、スタンダードナンバーのロックアレンジのようなものではなかろうか? そして「解剖台の上のミシンと蝙蝠傘の偶然の邂逅」ならぬ舞台上のフランス革命と島村抱月・松井須磨子の邂逅はまさに高取戯曲の真骨頂。それまで差し挟まれていた島村・松井エピソードとフランス革命パートが融合する終盤のブッ跳び具合たるや!(笑)
あと、衣装も良かったなぁ。(坪内逍遥の表現は爆笑モノ!
凪の果て
動物自殺倶楽部
雑遊(東京都)
2022/12/14 (水) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2022/12/17 (土) 14:00
年初の旗揚げ公演「恋愛論」は「裏・鵺的どころか鵺的とは真逆」と感じたが、本作は鵺的の延長線上と言えるか? 離婚調停の当事者夫婦とそれぞれの代理人弁護士の会話をひとしきり見せてからの後半はその真相編と言おうか「実はこういうことでした」と明かす構成が面白い。
そして序盤では複数の人物の極端さに頬が弛むが観ているうちにそれが次第に実在感をもってくるというか、実際にいそうと思えてくる恐ろしさ。観客全員が固唾を飲んで観ている感もまた格別。濃厚な観劇体験でありました。
気が澄むまでここにいる
チャミチャム
日の出町団地スタジオ(東京都)
2022/05/05 (木) ~ 2022/05/08 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
2泊3日の仙台・松島紀行(強ち誤りではない(笑))。
本作にしてもかるがも団地作品にしても藤田脚本とσ(^-^) の相性が良いのか、会話/台詞も話の流れもごく自然で無理がなくて心地よくもうそのまま受け入れてしまう。喩えて言えば「ヨギボー芝居」?(爆)
随時投影される写真と音響効果(と照明効果)がその場を具体化したり、本役以外は口調や方言などで明確に区別したりするのも妙案。いやホント、脚本・演出が巧みだわ。
なお、それを実体化して演じて見せた演者も、というのは言わずもがなにして絶品。
秒で飛びたつハミングバード
かるがも団地
OFF OFFシアター(東京都)
2022/12/15 (木) ~ 2022/12/18 (日)公演終了
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2022/12/16 (金) 14:00
二十代後半となり自分の生き方・あり方に迷いが生じた面々を中心とした群像劇。シリアスな主題ながらユーモアを交えた見せ方はかるがも団地の真骨頂か? また、意外と近かった人間関係も計算しつくしてのものという印象で巧いんだなぁ。
主要人物以外のモブを各演者が早替えで演ずるのも劇中の自虐的な台詞も含めて愉快。
なんだかんだでじーんとした。